概要
昭和52年に発行された、夢野久作の著作。
平成21年に改版初版が発行され、現在では角川文庫にて入手することが出来る。
海難事故により無人島に漂流し、最後には行方不明となった兄妹の残したメッセージボトルの内容を閲覧していく物語。
本編は三つの瓶に詰められた紙片に分かれており、それぞれをばらばらな順序で紹介していく形式となっている。
物語の全容は三つの手記の時系列を推測し並び替えることで一定の推察が可能だが、それでも不可解な点はあり一部読者間で考察が成されている。
ちなみに、小説としては極めて文章量は少ない。
登場人物
太郎
三つのメッセージボトルの記述者と思われる人物。『第二の瓶の内容』にのみ名前を記している。
妹の『アヤ子』と共に遭難して無人島に流れつき、食料が豊富で猛獣も居ない島にて命を繋ぎながら十年ほどの歳月を生きている。
神への信仰があるらしく聖書を所持していたが、ある日を境に妹に恋愛感情を抱いてしまったフシがあり、神への罪悪感に苦悩することになる。
アヤ子
太郎の妹。彼を『お兄様』と呼んでいる。
太郎と同じく、当初は無人島で過ごすにあたって障害が一切無かった為ある種の幸福感を得ていたようだが、彼女もまた彼を異性として認識し始めたらしいことが語られている。
兄とは聖書の内容をもとに学校ごっこを行い、字の読み書きを教わっていた模様。
ちなみに様々な考察がある本作だが実は『アヤ子』は男で太郎の弟ではないか、という考察がちらほらとある。だとしたら太郎は血の繋がった弟に恋愛感情を抱いたことになりそれはそれは苦悩したことだろう。