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飛乗物の編集履歴

2020-08-08 19:40:07 バージョン

飛乗物

とびのりもの

久我畷の飛乗物とも呼ばれる『西鶴諸国ばなし』に記載される妖怪。

概要

『西鶴諸国ばなし』に記載される妖怪

 

寛永二年(1625年)の摂津国(現在の大阪府北中部の大半と兵庫県南東部あたり)の初冬に出現したのを皮切りに、芥川、松尾神社辺り、丹波の山といった様々な場所に現れ、慶安(1648~1651)の頃まで目撃されたとされる。


『西鶴諸国ばなし』の記述によると、初めて出現した場所は池田の里の東、呉服(くれは)の宮山、絹掛松の下で、そこに真新しい女性用の乗物駕籠が打ち捨てられていたのを見つけた子供たちの連絡を受けた大人たちが駕籠の戸を開けてみると、中には1人の22、23歳の高貴な身分らしき美しい女性が乗っていた。


驚いた人々は彼女に様々な質問をぶつけるも当の本人は一向に話す気配はなく、俯いてばかりおり、目つきも鋭く、何処か恐ろしい雰囲気を醸し出していた為、集まっていた人々は我先にと家へと帰っていった。


しかしこのままの状態にしておく訳にもいかず、心配した者が様子を見に行くと、既に駕籠は姿を消しており、駕籠はそこから一里(約400m)先の瀬川宿の砂浜へと移動していた。


そして夕暮れ時に4、5人の馬方がそれを見つけ、中にいた女を口説き始めるが、女はやはり取り合おうとはせず、馬方が腹を立てて無理やり女を籠から引きずり出そうすると、なんと駕籠から蛇の頭が飛び出し馬方たちに食らいつく。


その苦痛は大変なもので、男たちは悶え苦しみ、その様子見た女は不気味に笑ったかと思うと駕籠は空高く舞い上がり何処とも無く飛び去って行ったという。


それ以降、上述似たように籠は様々な場所で目撃されているが、駕籠に乗っている人物は美しい禿だったり、80歳の翁だったり、顔が2つある化け物、眼鼻の無い老婆だったりなど、見る人物ごとに様々な姿へと変化しており、もしかすると駕籠こそが、この妖怪の本体なのかもしれない。


なお、このような出来事が続いた為、人々の往来が絶えていたが、時たま何も知らない旅人が夜道でこれに出くわし、肩から某が離れなくなることが度々あったとされ、1町(約109m)程進むと駕籠は自然と離れて行くが、時不思議な事に駕籠は少しも重くないのに急激な疲労感に襲われ、足も容易に動かなくなってしまうという。


関連項目

妖怪

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