概要
CV:阪口大助
世間を騒がせる謎の通り魔。
劇中での呼び方はあまり安定しておらず、「バット少年」と称される事もある。
金色のローラーブレードを履いて赤い帽子を深く被った少年の姿をしており、くの字に折れ曲がった金属バットを片手に相手に襲いかかる。
精神的な悩みや追い詰められた者に現れるが、どのようにして襲撃対象を特定しているのかは不明。
壁や空間を無視してあらゆる場所に現れる事ができ、一度狙われたら逃げ切る事は不可能。
しかし、既にこの世の存在ではない者達に追われると慌てて逃げ回ったり、心を強く持っている者に真っ向から立ち向かう意志を抱かれると直接襲う事ができなかったりと、決して無敵の存在という訳でもない。
襲われて生存していた人々は重傷を負いこそすれど、まるで何かから解放されたかのように安堵の雰囲気に包まれており、襲われた事で逆に「救われた」とさえ感じる者もいる。
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正体・末路
当初は自身を「聖戦士」と宣う少年・狐塚誠が犯人だと思われていたが、彼は姿や犯行を真似ただけの模倣犯でしかなく、後に留置所の中で本物の少年バットに殺害されている(公には自殺として扱われている)。
本物の少年バットは最初から実在などしておらず、真の正体は鷺月子が10年前に愛犬マロミを不注意から交通事故で死なせてしまった際、父親から叱られるのを恐れるあまり生み出した妄想の存在。
彼女が成人してイラストレーターとして仕事を始めた後、人気キャラクター「マロミ」に次ぐ新作キャラクターの案に根詰まり社内イジメにも遭って孤立し、心身共に追い詰められた時、「通り魔に襲われた」という都合の良い名目で自身をひしゃげた鉄パイプで傷付けた。
現実から逃げ出すための架空の通り魔として再び彼女に生み出された少年バットは、あたかも実在する人間のごとく世間にその名を広められていき、妄想の存在でありながら現実へと干渉していく事となる。
壁や空間を無視してどこにでも現れる事が可能なのは、そもそも人間どころか生物ですらない怪異のごとき存在である為で、幽霊のように瞬間移動ができる。
劇中で襲われた人々は必ず何かしら追い詰められている状況にあるという共通点から、明言はされていないものの恐らく誕生経緯の関係から被害者の心情に反応して被害者の元に現れていると思われる。
また、これ以外にも鍵がかかった扉を問答無用で開けられる、車に追い付ける程のスピードで走れる、果てには個人の妄想の世界に干渉して襲撃するといった芸当も可能。
さらに人々の噂に尾ひれが付いていく事で力が増しているかのような描写があり、劇中ではあらゆる噂話を反映するかのように全長2メートル以上はある大男になったり、真っ赤な目をギラつかせながら鋭い牙を剥き出しにするもはや化け物としか言いようがない姿へと成長している。
最終的にはグッズとしてのマロミが突如姿を消した事で心の拠り所を失った人々の心が反映され、人の形すら保っていない黒い泥状の物体へと姿を変え、都市内の人々を呑み込んでいくだけでなく戦後の焼け野原と見紛うかのごとき災害レベルの被害を起こした。
後に現実を突き付けられた月子が過去の記憶と向き合った事で活動を停止。「さよなら」と、別れの言葉と共に静かに消滅していったが……
そも、終わりに見えし物語
少年バットとは、いわば人間の弱い心そのものともいえる、時代が生み出した怪物。
彼に襲われて「救われた」と感じていた人々も、所詮は一時的に現実から逃げ出せただけでしかなく、いつか必ず厳しい現実に向き合う時がやってくる。
月子ではない他の誰かが心身共に追い詰められて妄想を現実に引きずり出そうとした時、少年バットは再び妄想を代理する都合の良い偽りの救世主として、現実に牙を剥くのかもしれない……