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概要編集

CV:阪口大助


世間を騒がせる謎の通り魔。

劇中での呼び方はあまり安定しておらず、「バット少年」と称される事もある。

金色のローラーブレードを履いて赤い帽子を深く被った少年の姿をしており、くの字に折れ曲がった金属バットを片手に相手に襲いかかる。


悩みを持っていたり、人間関係や仕事等で追い詰められた者を襲撃するが、どのようにして対象を特定・選定しているかについては不明。

現実の物理法則を無視できるようで、通常であれば侵入が不可能と思われる場所にも現れて被害者を襲撃し、どこかへと逃げ去っていく。基本的には狙われたら逃げ切る事はほぼ不可能。


しかし、既にこの世の存在ではない者達に逆に追いかけ回されると慌てた様子で逃げていったり、自らの運命や死を受け入れ、狂気にも近い覚悟を持っている人間に対しては全く攻撃する事ができないという弱点もある。


被害者は重傷で済む者から殺される者まで幅があるが、生存していた人々の中には逆に少年バットに襲われ重傷を負った事で八方塞がりの状況から「解放された」という安堵を得る者もいる。


関連イラスト編集

跳ぶ、殴るマロミと少年バット


関連タグ編集

鷺月子 猪狩慶一 馬庭光弘























正体・末路編集

この正体不明の通り魔について、当初は警察の捜査線上には自身を某国民的RPG風の世界観における「聖戦士」、被害者を「魔物」と思い込んで犯行に及んでいる狐塚誠が上がっていた。

しかし、実際には彼はその姿や犯行手口等を自ら「少年バット」に寄せただけの模倣犯に過ぎず、後に留置所内で本物の少年バットによって殺害され、捜査は振り出しに戻る事になった(公には自殺という扱い)。


本物の「少年バット」の正体は実在の人物・犯罪者ではなく、10年前に鷺月子が愛犬マロミを自らの不注意から交通事故死させてしまった際に非常に厳しかった父親に対する言い訳として生み出した妄想上の通り魔だった。父親は娘の嘘にはすぐに気づいたものの、今まで娘に厳しく接しすぎた事を反省し、その嘘を信じたふりをして警察等に被害届を出すなどした。

これにより、「少年バット」の原型が生まれる事になる。


成人後、イラストレーターとなった月子は上記の事件で死なせてしまった愛犬をモデルに「マロミ」というキャラクターを考案し、これが社会現象レベルの大ヒットを飛ばし一躍時の人となるが、それと同時に上司からは次のヒットキャラクターを出すようにプレッシャーをかけられ、同僚たちからは嫉妬等による社内イジメを受けるようになり、精神的に追い詰められる。

この状況から逃れるために月子は鉄パイプで自分を殴打し、「少年バットに襲われた」とする狂言を行ってしまう。

これにより巷には「少年バット」の存在が知れ渡る事になり、以後この架空の通り魔は人々の間で噂話やニュース等を介して広まっていき、妄想上の存在であるにもかかわらず実体を得て現実へと干渉、連続通り魔事件を起こしていく事となる。


前述のように物理的にあり得ない場所にも現れる事があるのは、そもそも実在しておらず現代版怪異のごとき存在であるため。瞬間移動したり、幽霊のように消えてしまうのもこれが理由である。

劇中で襲われた人々は必ず何かしら追い詰められている状況にあるという共通点から、明言はされていないものの恐らく誕生経緯の関係によって月子同様に「追い詰められている」という精神状態、「少年バットに襲われて被害者になる事で同情を引いて状況を打開できる」という気持ちに反応して被害者の元に現れていると思われる。


人々の間で噂に尾ひれが付くに連れて力が増していくような描写があり、鍵が掛かった扉を問答無用で開けられる、ローラーブレードで自動車よりも速く走る、個人の妄想の世界に侵入・干渉して襲撃するといった面も見られるようになった。

最終的には外見自体も変形しており、劇中終盤では全長2メートル以上ある大男になったり、真っ赤な目をギラつかせながら鋭い牙を剥き出しにするもはや化け物としか言いようがない姿へと成長し、襲撃対象だけでなく周囲の物体まで派手に破壊するだけの力を得ている。


その後、マロミのグッズが突如として販売中止・回収となりこれにより人々の心の拠り所が無くなるとその行き場の無い思いを反映するかのように、人の形すら保っていない黒い泥状の物体と化して都内に溢れかえり、人々を飲み込み、街も戦後の焼け野原と見紛うかのごとく破壊された。


未曾有の大災害級の被害をもたらした黒い濁流は最終話にて現実を突きつけられた月子が自ら封印しようとしていた過去の記憶と向き合い、マロミを死なせてしまった事を受け入れた事で活動を停止。

「さよなら」と、別れの言葉と共に静かに消滅していったが……







そも、終わりに見えし物語編集

少年バットとは、いわば人間の弱い心そのものともいえる、時代が生み出した怪物。

彼に襲われて「救われた」と感じていた人々も、所詮は一時的に現実から逃げ出せただけでしかなく、いつか必ず厳しい現実に向き合う時がやってくる。


月子ではない他の誰かが心身共に追い詰められて妄想を現実に引きずり出そうとした時、少年バットは再び妄想を代理する都合の良い偽りの救世主として、現実に牙を剥くのかもしれない……


余談編集

「少年バット」という名称及び「金色の~」という部分に関して、下敷きとなっているのはおそらく『黄金バット』であると思われる。


『黄金バット』では正しきを助け、悪をくじく存在として「正義の神」とも称されるヒーロー黄金バットが登場するが、

  • 瞬間移動能力や超能力を持ち、一般的な物理法則が通用しない。
  • 天変地異レベルの現象を起こす事ができる。
  • 黄金バットが出てくる事で事態が概ね解決する

と、作劇用語で言う「デウス・エクス・マキナ」級の力を持つように描かれている。

一方で、少年バットも求める人の所に現れ、襲撃するという形で強引に窮地を脱させてくれる都合の良い存在であるという点は共通しており、神や都合の良いヒーローの存在は子供じみた空想や絵空事と一蹴されるようになった現代においても、人々の心の奥底で方向性こそ違えどそれを求めているというアンチテーゼであるとも言える。


また、黄金バットは度々「正義がある限り黄金バットは不死身である」と高らかに宣言するが、同様に少年バットは1話で「ただいま」と発言しており以前にも存在していたかのように匂わせたり、最終話においてもマロミが消えた後の東京では類似したフーニャというキャラクターが人気を博す描写があるなど、月子がきっかけで生み出してしまった少年バットこそ消滅したが、条件が揃えば再び現れ得る=不滅であると取れる部分もある。

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