緩急車
かんきゅうしゃ
車掌が乗務し、列車の運行状態の監視など必要な業務を行うことができる設備がある車両。
緩急車は、機関車等にけん引される車両のうち、列車の運行に関わる業務を行う車掌が乗務し、列車の運行状態の監視など必要な業務を行うことができる設備のある車両である。この場合の車掌の行う業務については「車掌車」の項が詳しいので御参考に。
日本では緩急車のうち、車掌が乗務する設備のみがある車両を「車掌車」、貨車や客車に車掌が乗務する設備を据え付けた車両を「緩急車」と呼ぶことが慣例的となった。
国鉄では車掌車は「ヨ」、客車や貨車に車掌室がある車両には、元となった車両の形式名に「フ」(ブレーキのフ)を付ける決まりであった。
記号の変遷
日本では、黎明期の緩急車には「ブレーキ」の「ブ」が直接付けられていたが、1911年(明治44年)の鉄道院車両称号規程制定時には濁点を取った「フ」となった。
- 改番後
1928年(昭和3年)に改番が行われて緩急車のうち車掌車と、運行中に常時乗務員が乗り組む荷物車、郵便車、電源車、事業用車両は、車掌が執務できる設備や制動装置、非常制動弁(車掌弁)がついていても「フ」の記号を付けないものとなった。合造車で旅客スペースがある場合も付けない。
逆にそれ以前は「ヨフ6000(改番後:ヨ1)」のように車掌車であっても車掌が操作できる制動装置がある車両には、それを示す記号がついた。
- 歯車付緩急車
アプト式時代の信越本線では横川~軽井沢間を通過する列車では、ラックレールに噛み合わせることができる機関車だけの制動力では不足すると考えられたため、ラックレールに噛み合わせてブレーキを掛ける歯車を装備したブレーキ車が導入された。
この車両は「ピフ」という記号を割り当てられた(ピは「ピニオン」の意味)。