ヤン・タイロン
やんたいろん
概要
広大な銀河を旅し、一代で財を築いた才能あふれる交易商人として登場、息子の人格形成にも多大な影響を与えた人物でもある。
宇宙歴767年、一人息子が生まれるが、宇宙歴772年、妻・カトリーヌ・ルクレールを亡くし、それ以降、財産相続の親権トラブルを避けるため息子を交易船に乗せ、ともに宇宙を旅してまわる。
その間・息子・ウェンリーにとって父・タイロンが師であり、彼の思想信条は息子に色濃く反映されることとなった。
息子にとっても父との旅は「民主主義」「専制政治」「ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム」などについて語りあう得がたいものであり、ウェンリーは旅のさなか交易商人の息子・ボリス・コーネフと知りあう実り多いものとなった。
が、タイロンにとって生涯最大の失策は趣味の古美術品集めで、財産をはたいて買ったものは息子が相続した壺ひとつ(それも後に憂国騎士団の襲撃によって壊されるが)を除いたすべてがガラクタで、一文無しになった息子は歴史学をタダで学べる士官学校に通うハメになってしまった。ただ、これに関してはヤンは父がニセモノをワザと買い漁ったかもしれないとも推察しており、そうだったら父らしい事とも認識していた様だ。
ヤン・タイロンが息子に与えた言葉
- 人に忠告することについて
「偉人なら一度の忠告で反省する。凡人なら二度繰り返して諫めれば、まずあらためる。出来の悪い奴は三度も言われれば考え直す。それでも態度を変えないような奴は、見放してよろしい」
(四度目の忠告をしなくていいことについて)「四度になればな、追放されるか投獄されるか、あるいは殺されるからだ。暗君という奴はそういうものだ。だから四度目の忠告は自分自身に害をおよぼすだけでなく、相手によけいな罪業をかさねさせることになり、だれのためにもならない」
- ルドルフ大帝が台頭した理由と、銀河帝国に対する辛辣な評価
「民衆が楽をしたがったからさ。自分たちの努力で問題を解決せず、どこからか聖者なり超人があらわれて、彼らの苦労をひとりでしょいこんでくれるのを待っていたんだ。そこをルドルフにつけこまれた。いいか、おぼえておくんだ。独裁者は出現させる側により多くの責任がある。積極的に支持しなくても、黙って見ていれば同罪だ」