概要
『SK∞ エスケーエイト』の喜屋武暦と馳河ランガのカップリングタグ。
同じ高校、同じクラス、同じバイト先(暦が自分のバイト先に転校生のランガを引き込んだ)とただでさえ接点が多いが基本的に休み時間も放課後も夜中に家を抜け出して”S”に参加する時も二人行動をしているためほぼ四六時中一緒にいる仲。
本編での関わり
スケートボード仲間を怪我で失い一人寂しく新たな仲間を探しながら活動していた暦の前に、父親を亡くし熱中していたスノーボードへの熱も失い抜け殻のような状態で生まれ育ったカナダを離れ母の故郷である沖縄にやって来た青年・ランガが現れたことで物語が動き出す。
スノーボード経験者だったランガは暦の教えの元スケートボードでも頭角を現し、界隈で知らない者のいない程の実力者へと成長していく。
最初は一緒にスケートボードに熱中してくれる仲間ができたことを純粋に喜び、自分が教えた人間が順調に成長し他人に認められていくことに誇らしさすら感じていた暦だったが、才能あふれるランガはたった数か月で暦の実力を飛び越え、次第に周囲からも暦はランガの相棒ではなくオマケとして扱われるようになっていき暦の心に暗雲が立ち込める。
”S”の創始者であり伝説の男愛抱夢は実力者であるとともに常軌を逸したラフプレイを行うことで有名であったが、その前評判通り彼と勝負をした暦は全治二週間の怪我を負わされてしまう。
自分がランガをスケートボードの世界に引き込んだ責任、愛抱夢に与えられた恐怖、そして過去に怪我を理由にスケートを辞めた友人の件でトラウマを抱えていた暦は、自分やかつての友人の二の轍を踏ませたくないという一心でランガに愛抱夢とのビーフを避けるように約束を取り付けるが
スリルを求めるランガは暦との約束を守らず愛抱夢との関わりを断とうとしなかった為、二人の関係に亀裂が走る。
天才同士にしかわからない世界、自分はついていけないと失意にのまれた暦はランガの前から姿を消しスケートからも遠ざかってしまうがランガはそれを良しとしなかった。
自分を避ける暦を必死に探し回り、詳細を伏せつつ仲違いの相談を持ち掛けた母親には恋人に振られて傷心していると思われる始末。
スリリングなスケートに心を躍らせていたはずが、暦が傍にいないというだけで何をやっても虚しく、元の無気力で無関心なランガに戻ってしまい、ついにはジョーとの勝負の途中で完全にやる気を喪失し試合放棄寸前まで落ち込む。
しかしジョーの説得でこっそり試合の応援に来ていた暦が精彩を欠いたランガの姿を目にし悲痛な叫びをあげ、暦の声を聞いたランガは瞳に光を取り戻し、暦の存在なしでは己の幸福は有り得ないと確信。
暦不在の彼の自室に押し掛けたランガは暦の帰りを待つ間にしれっと暦の机を漁ったり暦の古いスマホの中を見たりしながら暦への気持ちをさらに募らせていく一方で、暦は自暴自棄のまま街を彷徨い過去のチームメイトに絡まれたり車に跳ねられたり見知らぬ男にラブホに連れ込まれたりとランガが聞いたら発狂しそうな事件に巻き込まれつつ、ようやく自分の感情に折り合いをつけランガの元に駆け付ける。
二人でしか作れない”∞”を見つけた二人はいつものパークで永遠を誓う。
ブロマンス
ブロマンスとは兄弟(brother)とロマンス(romance)の合成語。
米スケートボード雑誌編集者のデイヴ・カーニーによって「四六時中一緒にスケートボードをしているような関係」という意味で使うために造られた言葉である。
男性同士の極めて近しい関係を指すが、性的な関わりのない親密さの一種である。…とされておりまさに公式で描かれている二人の関係そのものである。
おすすめのラン暦回
本作品は全編にわたって天才のランガと凡人の暦が織り成す友情と青春が描かれており、二人は四六時中一緒にいるため基本何話を見ても二人の接点がある。
第1話
暦のクラスにカナダからの転校生ランガが編入してくる。
(ちなみにランガの実年齢は暦の1歳上だが、9月始まりのカナダの学校から4月始まりの日本の学校に転校して来た都合で下学年に編入している)
暦→ランガの第一印象は「なんかボーっとしたやつ」
ランガ→暦に関しては顔すら覚えていなかった
お互い第一印象はイマイチだったがランガは熱っぽく暦が語る”サイコー!”に興味を持ち、またバイト先でのトラブルに端を発した”S”での勝負で、怪我をしている暦に代わってスノボ経験者のランガが代走した際『沖縄に舞う白い雪を見た』と暦に言わしめるほど美しいトリックを魅せたことで暦もまたランガ本人に興味を持つ。公式ツイッターで配布されていた暦に見惚れているようなランガのカットが登場するのはこの回。
第2話
ランガのトリックに見惚れた暦と、一度自分が失ったはずの熱が再び胸に宿った事に気付いたランガは本格的にスケートボードの練習を開始。ランガが持っている白いゆるキャラ(おそらくランガをイメージしてデザインしたイエティ)の描かれた特徴的なボードはランガのために暦が自作した特製。また暦はランガにスケートの基礎だけではなく日本文化についても教えており(予告では日本人的な本音と建前の概念から弁当の具まで本当に何でもかんでも暦に聞いているランガの様子が見受けられる)抜け殻だったランガの世界を暦が少しずつ埋めていく。
第3話
天才ゆえに周囲から孤立してしまった過去を持つ日本代表候補のMIYAが暦とランガの仲を妬み、暦を賭けてランガに勝負を挑む。MIYAが勝てば暦はMIYAの犬になることに。初心者ランガVS代表候補MIYAでは実力差がありすぎると最初は懸念していた暦もランガがスケートに夢中になり始めた様子に胸を打たれて協力することにし、暦のメカニック能力とランガの才能の合わせ技で天才MIYAを打ち破る。ビーフ中にMIYAに追い詰められたランガは自分を応援する暦の顔をみて笑顔を取り戻しMIYAに勝利してしまう等、暦が軽くヒロインポジション。
第4話
ランガの才能に目を付けた愛抱夢が登場。今度はランガを賭けて暦と愛抱夢が勝負することになった。一人で早朝秘密特訓をしていた暦の居場所をランガが突き止めて寄り添ったり愛抱夢との勝負中にくじけそうになった暦をランガの言葉が救う等、二人が通じ合っている様子が見て取れる。スリリングなスケートに対して基本肯定的なランガだが愛抱夢が暦に対して虐待まがいの行為で襲い掛かり、暦がおびえている様子をモニターで見た際には「やり過ぎだ!」と血相を変え暦の傍に駆け付けた。結果、暦はクラッシュ。額と腕に怪我を負い、ランガは愛抱夢に恐怖ではなく怒りを感じる。次回予告で愛抱夢はランガへの愛を告げるがランガは暦と会話していてまるで眼中にない。
第5話
愛抱夢への恐怖心に憑りつかれ夢の中でもランガのクラッシュに怯える暦。ランガは怪我をした暦の水筒を開けて渡してやったり甲斐甲斐しい彼氏ムーブを発揮するが、どれだけ暦に説得されても愛抱夢との勝負を取り下げようとしない。暦がかつてスケート仲間を怪我で失いランガには同じ目に遭ってほしくない事を打ち明けると、ランガは自分は怪我をしてもスケートを辞めないと暦に約束。ついでに夜はバイクでランガが暦を家の前まで送り届けていることが判明した。暦をクラッシュさせた愛抱夢のラブハックを破り、ゾーンに入る感覚を得たランガは、さらなるスリルを求めて愛抱夢との再戦を望むが危険なスケートを好まない暦に愛抱夢とはもう関わらないで欲しいと懇願されてそれに応じる。
第6話
暦の怪我の湯治のためMIYAたちと一緒に温泉に向かう。美人に見惚れる暦に終始つまらなさそうにするランガ。怪我が治っていないのに無茶な滑りをしようとする暦を止めたり、怪談を怖がり夜の滑走で一人遅れていた暦を気遣って迎えに行ったり、転倒しそうになった暦の腰に手をまわして助け、暦の無事を確認して微笑んだりと引き続き彼氏力が強い。海では女たらしのジョーを揶揄って上裸で「こわ~い」とじゃれついてきた暦をランガが抱きとめ「俺が守ってやるよ」と決め台詞まで吐いた。バカンスが舞台で全体的にコミカルな空気だが暦はランガとの実力差を気にし始め、ランガに褒められても素直に受け止められず二人の感情がすれ違い始める。
第7話
暦とランガは毎朝待ち合わせをしてひと滑りしてから一緒に学校に行き、帰りも一緒に帰っていることが判明。ランガはまさに絶好調で”S”でも注目の的。しかしランガが注目されればされるほど常に一緒にいる暦は不釣り合いな存在として悪目立ちし、周囲の悪意に晒されついには自信を喪失。ランガとの才能の差に絶望していく。基本的に暦以外の人間に関心がなく周囲の評判を知らないランガは突然自分を避け始めた暦に困惑し家まで探しに行ったり「探してる、どこ?」「暦、どこにいるの?何してるの?」とメッセージを送ったり、雨の中暦の家の前で暦が帰ってくるまで待ち続けたり暦を自分の隣に繋ぎとめようと必死になるが暦との約束「愛抱夢とはもう関わらない」をランガが破ろうとしていることを察した暦がついに感情が爆発させ「(自分とランガは)つりあわねーんだよ」と、ランガはもう暦の仲間ではなく愛抱夢たち選ばれた側の人間であるとして突き放す。
第8話
暦不在のままトーナメントの予選が始まる。愛抱夢から執拗にアプローチを受けるランガだが心ここにあらず。待ち望んでいたスリリングなビーフも全然心が躍らず、愛抱夢からの接触を暦と勘違いして喜びかけるも暦じゃないと知るや否や表情をなくし白ける等、暦のことしか考えていない。
翌日学校で暦に予選通過を報告するも関係ないと突き放され落ち込み、ランガを落ち込ませてしまったことで暦もさらに自己嫌悪に陥る。ランガは母親に相談しようとするが悩みっぷりから恋愛相談と間違われ「好きなんでしょ?」と問われ一瞬怯むも「まあ…」と暦への好意は否定はしなかった。
クレイジーロックに行く道中ランガはバイクで暦の部屋の前を通り不在確認をしているが、口ぶりから今までも何度か勝手に暦の部屋の前に来て不在確認していた様子である。本選の応援に暦が来ているかもしれないと分かると、愛抱夢が自分に向かってパフォーマンスをしようが対戦が始まろうがお構いなしに会場内を走り回り暦を探し続けた。
一方、選手として才能がないなら裏方として選手を応援するスケート人生を選ぶこともできると知った暦はジョーに背中を押されたこともありクレイジーロックに足を運ぶが、仲間たちと自分との差を目の当たりにしさらにみんなから距離を置こうとする。
第9話
ジョーVSランガ戦。誰よりもランガの才能を信じていたからこそランガの隣に立つことに苦しんでいた暦だったが、肝心のランガはクレイジーロックに暦の姿が見つからないことに落胆し、自分がスケートをする意味すら見失いビーフの途中で試合放棄寸前の失速を見せる。誰もがランガの敗北を確信したが、暦だけは諦めずランガの名前を呼ぶ。
探し続けていた暦の姿を目にした瞬間自分を取り戻したランガは神技を連発してジョーに勝利。しかし無理がたたってゴールと同時に暦が作ってくれたランガ愛用のボードが折れてしまい、奇跡的な勝利に喜ぶ暇もなく折れたボードの心配をし、ジョーに背中を押され周囲の称賛そっちのけで再び会場のどこかにいるはずの暦を探しに走る。ランガを立ち直らせた暦だったが当の本人はランガが圧倒的な力を発揮して勝利した結果を喜ぶことができず、自分は応援する側にも回れないと失意にのまれついには”S”の入場に必要なバッジも返却して山を下りてしまった。
第10話
毎朝二人で待ち合わせしていた場所に暦は姿を見せず、それどころか学校にもバイト先にも来ていない。自暴自棄になった暦は街を彷徨いかつてのチームメイトに殴られ力なく路地裏に座り込み、偶然出会った店長に弱音を吐く。仲間の一人であるシャドウが闇討ちされ入院したと聞きお見舞いに向かった暦は先に来ていたランガとニアミスするが、まだ気持ちに整理がついていない暦はランガの顔を見た瞬間逃げだし、タイミング悪く逃げる途中で車に跳ねられて加害者の男に連れ去られてしまった。気絶している間に見知らぬ男にラブホテルに連れ込まれた暦は男との口論の中でようやく自分の気持ちを自覚(ちなみに暦はラブホ初めてだった)暦の身に何が起きているとも知らず暦の家で帰りを待つことにしたランガは通された暦の部屋で暦のノートや過去の端末の動画を見て暦への気持ちを募らせる。
暦のボードを借りてパークで一人滑っていたランガのところに暦が駆け付け、今までの態度を謝罪しようとするがなかなか言葉が出ず、ランガの提案で二人は二人を繋いだスケートを通して和解することに。その滑りの中でランガは今まで自分が”スリリングなスケート”に感じていたと思っていた胸の鼓動の正体が実は”暦と一緒に滑っているからこその高鳴りだった”と気付き、
永遠に暦と共にありたいと願いをこめて”∞”のDAPを作り上げる。
(そしてそのままの勢いで暦への好意をマシンガンのようにぶちまけて暦を恥ずかしがらせた)雨降って地固まる展開に水を差そうと企む愛抱夢の存在にまだ二人は気付いていなかった。
第11話
無事仲直りし、またいつもの場所で待ち合わせをしてから登校するようになった二人。すっかり元気になった暦の元に愛抱夢からの招待状が届く。海外育ちのランガはそこに書かれた”Third Wheel”のスラングの意味(=邪魔者)に気付くが暦は悪意に気付かない。招待状を届けに来た忠を見た暦は「あんたラブホの…!」と言いかけて同席していた店長とランガを驚かせ(ランガはラブホの意味を知らなかったが)仲直りの日にあった一連の事故を暦がランガにまだ話していなかったことが判明した。暦が作ったランガのボードは修復不可能でスケート歴が長い暦にとってボードはあくまで”消耗品”だったがランガにとってはかけがえのない物になっており「俺はいつもなくなってから初めて気付くんだ。暦のこともそうだ。それがどんなに大切だったかって」とさらっと暦のことが大切だという告白をする。それに対して暦は「壊れたら直せばいいだろ、俺たちみたいに」と一度は喪失感にのまれて抜け殻になっていたランガに改めて希望を与え、ボードは使えるパーツをとって暦の手によって生まれ変わらせることになった。
みんなが心配する中で愛抱夢と暦のビーフが始まる。予想通りMIYAが直視できないほど殺伐とした展開になってしまうが4話で愛抱夢とビーフした際止めに入ったランガは今回暦の勝利を信じて見守り、1話でランガのトリックに見惚れた暦との対比のように今度は暦の活躍にランガが瞳を輝かせた。ゴールした暦のところに人ごみをかき分けて真っ先に駆け寄ったランガ。傷だらけの暦を支え微笑む。ボードから降りた愛抱夢は暦に危害を加えようと近寄るが、6話で「俺が守ってやるよ」と言った通りランガが暦を守るために愛抱夢の前に立ちはだかる。
ドラマCD
シンデレキ。
文字通り童話・シンデレラをもじった内容である。愛抱夢&ランガの二人が予告を担当したCMではランガに対して愛の言葉を一方的に並べ立てる愛抱夢をきれいに無視し「ドラマCDは暦がお姫様なんだ!楽しみ」とランガが喜ぶなど予約の段階で爆弾を落とした。
配役はシンデレラ役が暦、王子役がランガ。本編に比べるとかなり砕けたギャグ線だが暦とランガがラブラブで、アニメ本編を10話まで見た後に聞くと、各所でシリアスな本編の関係性・ストーリーを踏襲した表現があることにも気づく。
特に今まで誰にも仲間として必要とされていなかった暦が、自分を強く求めて取り巻く環境を変化させてくれたランガに対してどう思っているかわかるセリフは必聴。