マグル
まぐる
概要
ウィザーディング・ワールドにおける非魔法族、いわゆる「普通の人間」のこと。尚、「マグル」という呼び名はイギリス魔法界における呼称であり、世界中に存在する各々の国の魔法界によって呼び方は異なる。
【現在判明している呼称】
・イギリス魔法界:マグル
・アメリカ魔法界:ノー・マジ
・フランス魔法界:ノン・マジーク
解説
魔法族はマグルからその力を恐れられ、中世以来、幾度も迫害を受けてきた。
そのため魔法族はマグルの目を避け、自らの存在を隠しながら生活するようになる。更にみだりにマグルの前で魔法を使うことを自ら法律で禁じた。
ただし、マグルとの結婚をはじめ、限定的で私的なマグルとの交際は認められている。そのような場では魔法を見せても問題はない。
要は既存のマグル社会にあらぬ混乱を引き起こさないための処置である。
また、銃火器やITといった現代兵器を発展させたマグルに魔法族が襲われたら必ずしも勝てるわけではないからかもしれない。
(とはいえ、魔法使いは一瞬で移動したり相手の精神を先読み&改竄したり物体を消したりできるので、早々負けることはない。ただ、「魔力のない相手に負けるかもしれない」という懸念があるのが問題なのではないだろうか? もちろん、未熟な魔法使いならマグルの銃で普通に死ぬだろう。)
純血主義的な魔法使いは特にマグルへの偏見・見下しが強い。マグルと交わることを忌避すべきであり、自らの優位性や伝統を損ねる行為だと考えているのだ。このへんはグローバリズムとかナショナリズムの話題に似ていて、おそらく作者も意識しているのではないかと思われる。
突然変異あるいは隔世遺伝でマグル出身から魔法族が出ることもある。ハーマイオニーとか。通称マグル生まれで、純血主義的には差別の対象。マグル出身を揶揄する単語「マッドブラッド」(穢れた血)というのは、魔法界のポリコレ的にはタブーワードである。
逆に両親から考えて魔法使いであるはずの子供が魔力を持っていないこともあり(正確にはディメンターが視認できたりといった最低限の魔力しかない)、こちらはスクイブと呼ばれる。彼らは魔法界で折り合いをつけて生きていくか、完全にマグルとして生きていくのか二択になり、かなり辛い。家系図から抹消されたり隠されることもあったようで闇が深い。
まとめるとマグルにしても魔法使いにしても、その血が必ずしも次世代に引き継がれるとは限らないのだ。
ただそれでも、「魔法使いの数が少ないという事実」や「魔法が使えないマグル・スクイブへ見下しや恐怖をどうしても抱いてしまう人間の心理」を踏まえれば「なるべく魔法使いの血が濃いもの同士で結婚すれば、魔法を次代に伝えられる可能性が高い」と考えるのは無理からぬことと言える。
一度自分が魔法使いだと仮定して、穢れた血と結婚した結果生まれた子供がスクイブだった時のことを想像してほしいフォイ。
こういう保守思考が行きすぎて、死喰い人や半グレによるいわゆる「マグル虐め」も起きがち。ロンの親父アーサー・ウィーズリーなどのリベラル派のおかげで、数年前からマグル保護法が制定されたが。これは裏を返せばそれまでマグルを積極的に保護するような法整備が行われていなかったということである。
ちなみに、マグル生まれ出身の魔法大臣は魔法省設立してから何年も経ったのちにやっと生まれた。ポリコレ的にマグル生まれ・マグル差別はNGでも、なかなか社会には根深い差別が残っているものなのである。
グリンデルバルドの思想
闇の魔法使い、ゲラート・グリンデルバルドは「魔法族は正体をマグルに明かすべき」という先鋭的な思想を掲げた。
マグルらの世界大戦(WW1)があったという当時の時勢もあり、この思想は欧州でかなり支持を得た。だがグリンデルバルドがダンブルドアに破れて収まる。
ダンブルドアによれば、グリンデルバルドは死の秘宝を手に入れ、最強の魔力と死人の軍団を武器にしてマグル世界を征服しようとしていたらしい。
このようなマグル支配的な極右思想をリバイバルさせ、純血旧家を巻き込んだのがヴォルデモートである。
もっとも、ヴォルデモートはグリンデルバルドのような政治的な理念というよりは自己の魔力や血統を拗らせた結果マグルへの暴力に向かったという、心理的で個人的なものである。あくまで本人の最終目標は社会の構築ではなく己の誇示と不死化であった。