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書籍版

著者琴平稜
イラストさとうぽて
レーベルファンタジア文庫
装丁デザイン株式会社 楽日
既刊2巻(2021年現在)

概要

作者の琴平稜氏がデビューして五作目となる本作は「異世界に転生した主人公が、ワケありの後宮に追いやられるも、そこで出会った少女たちとともに成長し、いつしか世界最強へ」といったストーリーとなっている。

タイトルにも書かれてある通り「追放もの」と「ハーレム」に加え、「異世界転生」「ドレス×戦闘」「可憐で果敢な少女部隊」と作者の『スキ!』を詰め込んだものとなっている。

あと、寝取られは一切ない

あらすじ

異世界に転移したカヅノロクだが、“掃き溜め”と呼ばれる後宮に追放されてしまう。

彼は、後宮で暮らす姫達と出会い、交流を育んでいく。さらにはハズレスキルと思われた『魔力錬成』も実は魔術の根底を覆す最強のスキルであった。

その力でロクは魔術教官となり、姫達の魔術の才能を開花させる。その結果“掃き溜め”と呼ばれていた後宮は大陸最強の“後宮部隊”へと成長していく。

一方、ロクを追放した勇者と王女は一切活躍できず、やがては落ちぶれていくのであった。

登場人物

後宮

  • カヅノロク(鹿角勒)

異世界に召喚された平凡な青年。28歳。

『魔力錬成』のみを授かったという理由だけで役立たずと罵られ、後宮に追放されてしまう。

魔術教官として姫たちの魔力を操作して神姫達を成長させ、カリオドス撃退戦を経て勇者として認められた。

幼い頃に両親を事故で亡くして天涯孤独の身になり、養護施設に入るも何度も別々の親戚に引き取られ、バイトと学業を両立しながら高校を卒業して就職してからも様々な理由で転職せざるを得なくなるなど、流浪な人生を送っていた(書籍版では行く先々でそれなりにはやってきたものの、居場所というものはなく、どこにも帰れない虚しさを抱えた日々を送った事が窺える)。

そんな人生を送り続けたせいか自らを「究極のたらい回され体質」と自嘲し、無意識に諦めようとする癖が身についてしまったが、リゼから心から求められた事を機に姫達を導く魔術教官になる決意した。

不幸な身の上であってもなお、他者を蔑ろにする程に心根が捻じ曲がる事はなく、穏やかで心優しい人間性を保っていた。

姫達を指導していく内に『心身の健康は、魔術の素養に直結する』という考えに至り、姫の中で病弱の身であるフェリスの魔力回路を活性化させる方法を模索していた。

『魔力錬成』は魔力回路を目視、調整できるスキル。

ロクの目線では魔力回路が光の模様として浮かび上がり、しかも魔力の光の色までも読み取れる。自らの魔力を他者に譲渡できるが、ロク自身は攻撃魔法を使いこなす事はできない。

一方で魔力は魔王をも凌ぐ程の膨大な量であり、問題児と評された神器『祝福の剣』に魔力を吸われても平然としている。

  • リーズロッテ・ベイフォルン

ロクを最初に後宮に出迎えた姫。愛称はリゼ。

リボンがあしらわれた亜麻色の髪とルビーを思わせる真紅の瞳をしている。

愛嬌の中に気品さを持っているが、それ故につがいの意味を知って赤面する場面も。

ベイルフォン子爵家の長女として生まれたが、八歳の頃に妹であるシャロットと共に姿を消し、魔王の彼岸を達成する為の「開闢の花嫁」として覚醒するための『魔の種子』をその身に埋め込まれてしまった(戻った時は「失踪した時の記憶」が欠落したが、恐らくは人間側にバレないために記憶改竄を施したのだろう)。その影響で元はしばみ色だった瞳も赤くなっただけでなく、背中に黒いアザが刻まれ、発動する魔術も黒く禍々しくなるなど、彼女の身に魔族の力が宿ってしまった。

その事で貴族から陰口を叩かれた挙句、愛情深かった父からも冷たく接されて屋敷に幽閉される日々を送り、勇者召喚の儀では父から勘当同然に後宮へと行ってしまった。

彼女が入宮した理由は『あの日行方知れずとなった妹のシャロットを探し出し、再会する』為であり、勇者に仕えるのも魔族の情報が入り、冒険に連れて行ってもらおうとする為であった。

ロクに対しては魔術を再び使えることができた事、身体中に刻まれた黒いアザを見ても恐れることなく接したことから彼に全幅の信頼を寄せている。彼女もロクを魔術講師として神姫達に教えるきっかけを作り、結果的に諦めに支配されたロクを救う事となった。

  • ティティ・コルト

南のアルカナ諸島出身の姫。

肩まである長さの髪を編み込んだ髪型と、夏の海の様な蒼い瞳をしている。

小柄であどけない外見と元気が漲るかのような性格をしており、彼女の場合は「ドレスを纏った淑女」というよりは「おめかしした少女」という印象が強い。

大所帯の隊商で育ち、その生活を経て交渉術を得意としている他、東洋の服や小物を好んでおり、身につけているドレスも東洋風の衣装をアレンジしたものとなっている。

その隊商も飽きてしまい、やりたい事と行きたい所も見つからなかった上に後宮の生活に憧れた事が入宮の経緯となっている(尤も、侍女のスパルタ教育に根を上げてしまったようだが)。

しかし非常に目端が効き、戦場全体の把握と遠方からの狙撃を得意としており、その事から弓姫部隊を率いている。

  • マノン・レイラーク

勇者に仕えるレイラーク家の公爵令嬢であった姫。

豊かに波打つ髪と、すみれ色の瞳をしている。

才媛の誉れが高い事から姫達を取り纏める立場にあり、他の姫達へのお作法や教養などの教育をしている。優美な仕草と気品溢れる立ち振る舞いをするなど淑女の手本となっているが、策略家としての一面を持ち、ある理由で後宮に乗り込んだリュウキを追い返した(この時、密かに王宮にパイプを作って情報網を張り、侍女がいち早く報告した事で後手に回る事もなかった)。

入宮した理由は、『勇者を支え、大陸平和の礎となる』という父の、ひいてはレイラーク家の悲願を叶える為。勇者に侍るに相応しい才女になる為に幼少期から英才教育を身に付けさせられ、人形のように育てられながらも不満はなかったが、それとは別に自らの夢を秘めていた。

それは「誰かに恋をする」という小さなもので、しかしてかけがえのないモノであった。奇しくもカヅノロクのおかげでマノンの願いは叶う事となった。

  • サーニャ

西方の騎馬の民ビルハ族出身の姫。

氷の彫刻のような短い銀色の髪と、淡い金色の瞳をしている。

あどけなさを残しながらも口数は少なく、表情らしい表情を見せない事から、全体にミステリアスな印象を持つが、ロクに対してはつがいの契を交わした事から信頼を寄せている。

体術に優れ、短剣でゴブリン四体を瞬殺した。動物に異様に好かれており、コミュニケーションを取れるだけでなく、興奮していた馬を手綱を握っただけで大人しくさせていた。

他のビルハ族は魔族に殺されてしまった事から彼女が最後の生き残りとなっている。知り合いであるロゼスからの誘いも断った後、何かしらの理由で後宮に入った。

  • フェリス・アルシェール

魔術の名門であるアルシェール家の出身である姫。

絹のような長い金色の髪と翡翠色の瞳、何より細っそりとした身体が特徴。

華やかさに、繊細さと臆病さを抱えたような性格をしているが、部屋に籠って読書をするなど勉強家でもある。

名門の生まれに反して魔術を使えない上に病弱であったが、これはフェリス自身の魔力が少ない(=魔力回路が細い)事が原因で、その身で魔術を行使すれば命に危険が及んでしまう事から魔術を使う事ができなかった。そのせいで魔術講座も長らく欠席しており、彼女はもっと早く出席したかったものの、前述の理由で侍女に止められたようだ。

それとは別に、細くさせようとコルセットを付けた事で腰周りの魔力回路が滞っている他、食事や睡眠が十分に採れていない事が示唆されている等、健康面でも不安が見られた。

しかし、ロクと厨房番の尽力でフェリスの体質に合わせた料理を用意された事、魔術講座で特訓を繰り返した事で改善の兆しが見られ、更には魔導剣を授けられた事で戦闘手段を獲得、カリオドス撃退戦や遠征に参加できた。

魔族

  • 暴虐のカリオドス

北方を支配する魔族。

山羊のような角と漆黒の巨体、蛇のようにしなる尾の先に黒い鉤爪を有する、と禍々しい外見をしている。

通常の武器も魔術も効かない他、可視できない魔力の鞭で切り刻んでいく。そして可視化出来る程の濃い瘴気を発生させて生き物を魔物に変貌させる事もできる。

討伐に向かったリュウキを返り討ちにして、道案内という名目で彼と同化してトルキア王国の城を襲撃したが、大量発生した魔物は後宮部隊に撃退された挙句、自らもロクに膨大な魔力を注ぎ込まれて消滅した。

その前後に「開闢の花嫁」として覚醒したリゼを見つけるや否や真っ先に付け狙い、間際に「今に我らの同胞が迎えに来る!」と叫んでいた。

その他

  • カタギリリュウキ(片桐龍騎)

ロクと共に異世界召喚された大学生。20歳前後。

強大なステータス、極大魔術、SSランク冒険者級のスキルを授かった事で勇者として持ち上げられ、ロクの追放に加担する。

横暴で利己的、誰に対しても喧嘩腰で接しており、更に強大な力を授かった事で増長してしまった。選びすぐりの冒険者パーティーでさえも追い払い、宮廷魔術師をクビにした事で周囲からの孤立を招きながらも、省みようとしなかった。

歓迎の儀において後宮から巨大な花火が打ち上がったと知った時は、ロクのいる後宮に乗り込もうとしたが、マノンに追い払われた事で屈辱を刻まれてしまう。

それでも、神器の一つ斬魔剣ダイディストロンに拒絶されながらも強引に手にした事で北征(暴虐のカリオドスの討伐)と、その成功を祈る出立式でロクたちを呼び寄せて恥をかかせようとするも、これもロゼ達によって失敗に終わってしまう。

また、客として招いた貴族の集まる場で極大魔術を放った事からディアナに半ば見限られる形で、選抜されたパーティーメンバーと共に北征に向かうも、暴虐のカリオドスに返り討ちに遭って道案内という名目で取り込まれてしまう。

カリオドスに倒された事で解放されたが、魔力回路がズタズタになって魔術が使えない身体と化した挙句、自らは「結局ここでも負け犬」であったことに絶望してしまう。

最終的にはディアナ共々、トルキア王国から永久追放されてしまう。

書籍版では彼もまた、元いた世界でも上手くいかなかった事や、ロクとは正反対にどん底に堕ちていく事への焦燥感を見せる場面が追加される。

  • ディアナ・スレアベル

トルキア王国の第一王女。白百合の聖女と称される。

ロクやリュウキを召喚するも、『魔力錬成』しか授からなかったロクを追放するが、彼女も結果的に落ちぶれていく。

礼節こそ弁えているが、自らを「生まれながらにして高貴であり特別」という特権意識の持ち主。

これは、幼少期において自らにとって都合のいい教育をされたことが要因とされており、父である王もその落ち度を自覚していた。

後宮に対しては「少々ワケありのご息女が多い、おさがりの掃き溜め」と見下しており、同時に幼少期に父に聞かされた神話に出てくるのが神姫であり、彼女達のような王家でない人間なのに世界を救ったと讃えられている事に煩わしく思っている。

千年に渡って勇者を支え続けた後宮を取り潰し、自らが新しい神話(勇者を支えた、ただ一人の聖女)へと成り代わろうとしている。

しかし、『魔力錬成』だけ授かったロクに「外れクジにも劣るゴミクズ」と言い放つ他、上記のようにロクを後宮に追放させたのも「役立たずを召喚してしまった聖女」という汚点を揉み消すのが狙いであった。

反対にリュウキには「私たち二人で、新たな神話を築きましょう?」と好意的な態度を見せるものの、出立式でリュウキがロクに極大魔術を放っていた事から見切りをつけていた。

最終的にはロクがリュウキを取り込んだカリオドスを討伐した事で、手のひらを返して彼に擦り寄るも断られて事に屈辱を味わい、ロクにあらん限りの罵声を叩きつけるがトルキア国王の耳に入った事で失望を買い、リュウキ共々トルキア王国から永久追放されてしまう。

  • ルディウス・スレアベル

トルキア王国の国王。

娘であるディアナに甘やかし、都合のいい教育をさせた事で彼女の歪んだ人格を形成させてしまった。当人もその落ち度を認めており、ロクに数々な無礼を働いた挙句、思い通りに行かないと知ると罵声を浴びせたディアナに対してリュウキと共にトルキア王国を永久追放させた。

同時に、ロクに上記の行いを謝罪し、カリオドスの討伐を認める形で彼を勇者に任命した。

  • グレン

トルキア王国将軍。黒い鎧に身を包んだ壮年の男性。外見年齢は四十代前半と思われる。

右腕を酷使しすぎた弊害で、数年前から右手で魔術を発動できなくなったが、ロクのスキルによって改善された。

良識的な人物であり、リュウキの横暴な行為を度々窘めている場面がある。

  • アイゼン・ベイフォルン

ベイルフォン家の当主にして、領主。妻はシャロットを産んでから程なくして亡くしている。

領民に慕われ、愛情深い人物であったが、シャロットの失踪とリゼが魔族の呪いがかかったことを知ると、リゼに対して「もう自分の娘ではない」と突き放し、誰の目にも当たらないように屋敷に幽閉した。

勇者召喚の儀が訪れた時、勘当という形で後宮に送ったが、実は自らの収める領地が15年前から瘴気が蔓延ってしまい、リゼを失わせないために敢えてその態度を取っていた(前述の幽閉も、口さがない噂を鵜呑みにした他の貴族からリゼを守る為だったと考えられる)。

半年後には瘴気に冒されて床に就き、苦しげに呼吸をする程の重篤な状態に陥っていたが、ロクたちがダンジョンの主であるキメラを討伐した事で、瘴気が抜け落ちて快方に向かった。リゼにあの時の仕打ちを謝罪し、親子の間で和解を果たした。

  • シャロット

ベイフォルン家の次女にして、リゼの一つ下の妹。

姉であるリゼを慕っていたが7歳の頃にリゼと共に姿を消してしまい、魔王の極上の贄として捧げるという名目で異形の姿に変えられてしまった。

この出来事はリゼの心に暗い影を落とし、同時に彼女を探すことを誓っている。

  • ロゼス・ビリオン

伝説の鍛冶師。

鍛造が難しい魔導剣を打てる技術を持っているが、ここ数年姿を見せていない。

かつて、優れた魔導剣を鍛造する事が夢であったが、自らが造った魔導剣を巡って争いが起き、自分の打った剣で誰かが傷つく事に耐えられなり、やがては剣を打つのをやめてしまった。

一人娘のリリーは、ロゼスにもう一度鎚を握って欲しいという思いからハナマ鉱山に向かうが、行方不明になってしまう。リリーもロクたちによって無事保護され、ある理由からロクの為に魔導剣を作ることを決意した。

サーシャとは知り合いであり、魔族の襲撃でビルハ族のほとんどを殺された彼女に来るように誘ったが、結局断ってしまう。

  • ザナドゥ

ドラゴン。軽い山程の大きさを誇る。

魔族にやられ、失った魔力を取り戻そうとハナマ鉱山に辿り着くも傷を癒す事が出来ず、結果的に数年前にハナマ鉱山でドラゴンに住み着いた噂を広めてしまった。

しかし、ロゼスの娘であるリリーを捜索していたロク達によって見つかり、ロクから魔力を分け与えられたことで復活。彼に自身の鱗を分け与えて別れを告げた。

用語

勇者に仕える神姫達が詰める宮殿。

魔王との戦いを終えた勇者が元の世界に帰還し、残された神姫達は勇者が戻った際に、再び寄り添い支える事が出来る様に神殿を建てて暮らし、それが時を経て後宮という形で残った。

現在でも、祝福の実が生る(=召喚の儀が近くなる)と、大陸中から妙齢の女性が入宮するために集っていく(大陸中から集められた姫だけで50人近くおり、侍女や宮女並びに厨房番を含めると400人にのぼるなど、それなりの人数である事が窺える)。

出身地はおろか、入宮した理由も千差万別となっており、後宮に集った者も、貴族・農民・商人の娘と身分も様々であるが、後宮の少女達は身分に拘らず『姫』と呼ぶのが慣習となっている。これは、神話の神姫に準えており、マノンの言葉を借りれば姫達は「いにしえの神話から脈々と続いてきた神姫の魂を継ぐ者」といえる。

勇者の生活を潤すために礼儀作法や料理、裁縫、詩歌、文学、芸術、手跡といったあらゆる教養を学んでおり、入宮すると、役目が終わっても衣食住と手当が一生保証される。

しかし、神話を知らず、単に異世界の勇者が過ごし、妻を選ぶ場所として認識している者が殆どであり、半年前に召喚された先代勇者が後宮に訪れることなく先代聖女を連れて失踪した(これは、女性である事が大いに関係している)。加えて、上述における後宮に入宮した女性は「少々ワケありのご息女が多い」と評され、トルキア王国では「おさがりの掃き溜め」と揶揄される者もいる。

その為、講義らしい講義もなく半ば放置され、王宮からの支援もなく、かつて行われた魔術や剣術の講義も廃れてしまった。マノンもできる範囲で神姫達の教育をしているものの手が回らず、勇者を迎える使命を果たせないまま解体されると思われた矢先に、祝福の実が生った事で存続する事となった。

追放されたロクを魔術講師として迎え、スキルによって神姫達の才能が開花し、カリオドス撃退戦の功績によってその名は王国の内外に広まり、トルキア国王から認められる事となった。

部隊は後宮の姫や侍女たちで構成されており

  • 魔術による遠距離攻撃を担う『弓姫部隊』
  • 魔壁による防御と遮蔽を行う『盾花部隊』
  • 魔導剣による近接戦闘を行う『剣姫部隊』
  • 少数精鋭のエリート部隊である『遊撃隊』

が確認されている。

ちなみにロクは当初、現実世界における後宮を思い浮かべたシーンがあった。

  • 神器

神の力を授かりし武器。通常の武器が聞かない高位の魔族を打ち倒せる唯一の武器。

意志を持つ武器であり、神器が持ち主を選ぶというシステムがある。

元は神姫が使っていたが、年を経るごとに使える者が減少し、異世界より来りし勇者にしか使いこなせなくなった。おまけに、王宮が管理している上に前述の事情から後宮に詰める神姫では確かめる事ができない。

  • 魔族

魔王の麾下である存在。

高位の魔族では通常の武器は通用せず、神器でしか打ち倒す事ができない。

人間を初めとするあらゆる生き物を憐憫混じりに見下し、彼らに永遠の救いと安寧を齎す事が宿願となっている。

  • 魔物

瘴気から生み出された存在。

ダンジョンのような瘴気が濃い場所ほど魔物は強力になるが、街道に出る魔物は然程強くはない。

しかし、他の生き物を食らって魔力を取り込むことでより強力な魔族となる。

  • 魔王

千年前、北の果てにある《瘴気の巣》より大陸全土を闇に飲もうと牙を向いたが、異世界より召喚された勇者と神器を抱えた神姫達によって封じられてしまった。

  • 勇者

異世界から召喚された者。初代勇者は魔王を封印した後、元の世界に帰還した。

勇者を召喚するには、媒体である「祝福の実」と聖女と呼ばれる巫女が必要。

  • 祝福の実

『大陸樹』に生り、勇者召喚の義の媒体となる実。

大陸に危機が訪れる際に生り、結実するまでは百年であったり、二年程と様々であるが、半年は前例がない。

  • 聖女

勇者を召喚することが出来る巫女。

  • 精霊獣

神の使いである生き物。心が清い人間にしか懐く事はない。

  • 魔術

血統や才能、素質といった要素が深く関わり、中でも持って生まれた血統が大きく、貴族の血が魔術の才能を左右される。しかし、魔術を使うには知識と練習が不可欠であり、農民や商人といった庶民は練習できる時間が確保できない為、魔術に触れる機会がない。

それ故に、必然的に貴族の方が魔術へのアドバンテージがあるが、例え貴族の名門に生まれた者でも、何かしらの理由で魔術が使えない事もある。逆に言えば、練習できる時間とコツを掴み、上手に教えてくれる先生さえいれば、貴族でなくとも魔術を使う事ができる。

  • 魔術士

上記の魔術を使いこなす者。

魔術を「努力と血脈の結晶であり誇りそのもの」と捉えているが、ある人物からすれば昨今の魔術師を「無用なプライドばかりを肥え太らせている」と酷評されている。

  • 魔力

あまねく生き物に宿る命の源流であり、魔術の素。

生まれた時から体内に存在し、血液のように全身に行き渡っており、その道筋を魔術回路と呼んでいる(ちなみに植物にも魔力を宿しているため、野菜にもうっすらとであるが魔力回路がある)。

魔術を使いすぎると「魔力切れ」に陥り、動く事すらままならなくなる(但し、魔力を分け与えることで回復できる)。

魔力の光はおおよそ四色であり、赤、青、緑、黄色。これらは四元素の属性たる火、水、風、土に対応している。個人の体質や気質ごとに、それぞれ相性のいい属性があるが、稀に紫や琥珀色も存在し、光や氷、毒や雷といったレアな希有もある。

『浮魔球』と『魔矢』は魔術の基礎中の基礎とされている。

  • 祝福の剣(アンベルシュ)

とある存在からロクに授かった剣。

柄に宝玉が嵌め込まれている。当初は錆だらけの剣であったが、形状が変化し、輝きを取り戻していく。

『己が魔力で斬る』という言葉通り、使用者の魔力を吸収し、その魔力で敵を斬るというもの。

正しく「神話級の獲物」と言われるに相応しい桁違いの威力を誇り、ありったけの魔力を込めた魔力の斬撃でベイフォルン領を脅かしていたダンジョンの主であるキメラを一刀両断した。

しかし、「燃費が悪すぎる」と言われる程に魔力を吸い尽くす性質があり、普通の人間であれば一瞬で魔力が尽きて命を落としてしまう。ある存在からも『問題児』『じゃじゃ馬』と評される有様であった。

その為、アンベルシュを扱うには底なしの魔力が必要不可欠であり、これを扱いこなせた者はロクただ一人である。

その正体は、100年前に紛失したはずの神器。

  • ダンジョン

『瘴気』の発生源。『瘴気の巣』と呼ばれている。

『瘴気』は魔物を生み出す他、人間を始めとする生き物を害する性質を持ち、ダンジョンの核となっている魔物や魔族を撃破しない限りは『瘴気』が消えることはない。

  • ベイフォルン領

ベイフォルン子爵家が治めている土地。

あまり豊かとは言えないが、養蚕業が盛んで、絹の産地として知られている。

しかし、北方を支配する魔族『暴虐のカリオドス』の影響が強く、15年程前から瘴気が蔓延してしまう。冒険者に依頼したものの、肝心のダンジョンの位置が特定できず、手間取る内に蚕が病んで養蚕業に打撃を受けてしまった。

だが、ロクたちがダンジョンの主であるキメラを撃破した事で瘴気は晴れた。

  • ビルハ族

騎馬の民と呼ばれた少数民族。家族同士強い絆で結ばれているが、魔族に狩られてしまい、サーニャが最後の生き残りとなった。

ビルハ族は頭に触れられることで「つがいの契約」が成立するが、家族と将来を誓い合った者に限られている。そうではない人間が行った場合、その場で手を切り落としている。

  • 魔導剣

魔術と似た効果を宿せる剣。

その威力は絶大であり、一振りで一個大隊に相当する程。

反面、この剣を造るには特殊な鉱物スペルタイトが必要で、尚且つ鍛造が難しく、今においてコレを打てる鍛冶師はロゼス・ビリオンのみ。

フェリスの魔力回路の問題を克服する為にロクとリゼ達がこの武器(とロゼス)を捜し求めている。

  • ハナマ鉱山

ロゼスの隠れ家から一山超えた鉱山。

地面に魔力回路が通っている為、魔力がかなり豊富にあり、数年前においてザナドゥが消耗した魔力を補給するために訪れた(が、これがドラゴンの根城になったと噂が広まってしまった)。

  • ドラゴン

ファンタジー作品でお馴染みのモンスター。

悠久の時を生きると言われる程に長い寿命を持っている。知性が高く、個体によっては意思の疎通も可能だが、人間に敵対するものも多い。

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