ワッハマン
概要
外見から分かるとおり、スーパーマンより古い世界初のスーパーヒーロー「黄金バット」をモチーフにしたSF作品である。古代アトランティスが総力を結集して作り上げた不死身の改造人間、ワッハマンが宿敵である「パパ」と戦う物語である。
これだけ見るとしごく単純なストーリーだが、幾重にも鏤められた伏線・仇敵「パパ」の特異な存在感などからあさりよしとおの作品の中でも一際異質な部類に入る。
ストーリー
超古代都市アトランティスは謎の男:パパによって滅亡の道を歩んでいた。パパにせめて一矢報いるべく、国中のオリハルコンを結集して不死身の男が生み出された。それがアトランティスの置き土産、ワッハマンである。
・・・・それから途方もない年月が過ぎた現代日本にて、ある日唐突に目覚めたワッハマン。長すぎる雌伏の時を経て、彼は自分の正体も託された使命も忘れ去っており・・・・。
登場人物
ワッハマン
「パパ」を倒すために古代アトランティスが生み出した不滅の改造人間。その体はオリハルコンによって構成されているためこの世のどんな攻撃も一切通用しない。
だが彼は元々が人間であるためその精神は人間のままであり、”永遠”という時間は常人の精神では耐えきれないため、普段は意識を眠らせている。そのため通常時の彼は半分ぼけたような状態である。
ぼそぼそと小声でしゃべっているためか彼の台詞は劇中一回も描写されていない。
作中人物とは会話が成立しており、会話の相手が復唱することで間接的に描写されることがある程度。
肉体を持っていた頃の名残故か、暇さえあればとにかく何か食べている。
なお、人間であった頃は、褐色肌のかなりのイケメンで、周囲には勇者と呼ばれていた。
レミィ/ハンババ
ワッハマンの宿敵「パパ」が作りだした戦闘用アンドロイド。正式名称は「ハンババ」だが、もっぱら愛称の「レミィ」と呼ばれる。普段は華奢な少女の姿だが、戦闘時には物理法則を無視したトランスフォームによって戦闘形態になる。
登場する度ごとに色んなコスプレを披露しているが、これはパパが趣味で集めた衣装を勝手に着ているためである。人造人間であるためか、微妙にずれた価値観の持ち主である。裸に対する羞恥心は薄い。
ワッハマンと戦うために生み出されたのだが、戦っていく内にワッハマンとは友情に似たものが芽生え、「パパ」に追放された後には彼の味方になっている。
名前はシュメールのギルガメッシュ・サーガに登場する「ハンババ」から。
イシュタル
レミィの後に生み出された戦闘用ロボ。武器である爪と仕込み刀にオリハルコンが使われているため、ワッハマンに傷を付けられる。性格はレミィに比べ冷酷かつ悪い意味で機械的。
その体はナノマシンで構成されているためレミィと同じく変身できるのだが、彼の正体は読者の度肝を抜いた。
尚サキエルは「イシュタルみたいなやつというミもフタもない注文」でデザインされたことがTVサントラ第二弾「NEON GENESIS EVANGELION II」のブックレットにてあさり氏によって明かされている。
オシリス
イシュタルの後に開発された人造人間。こちらもご多分に漏れず人間形態を持っているのだが、他に比べて段違いにグラマーである。自己修復機能と自己進化機能を持っているため、戦えば戦うほど強くなる。
性格はいい加減で、人間形態ではなぜか北海道弁になってしまう。「ワッハマンを倒す」という命令以外は何も覚えていない。変身のたびに服が破れることもあるが、レミィ同様に裸に対して羞恥心がなく、特にパンツは履きたがらない。
名前はエジプト神話、一度死んでバラバラにされてから妻・イシスによって再生した男神オシリスから。
イシュタルを肥大化させたようなデザインだが、サキエルのデザイン経緯を知らない読者からサキエルのマネ呼ばわりされたとか……。
長沼内規
ワッハマン監視の任に当たっている自衛隊諜報部門の一員。技術研究本部第四分室を受け持っており彼らに振り回され・・・もとい彼らと協力してワッハマンを監視している。本作随一の実力者で中国拳法の達人であり、素手でイシュタルやレミィと渡り合ったほどである。
そんな人間離れした実力とは裏腹に良識人で、ワッハマンやレミィに振り回されてはボヤいている。
名前の由来は限りなくアウトに近いものがあり、長沼ナイキ事件から。
技術研究本部第四分室の面々
竹村(右二番目)
長沼の部下。かなりの天然ボケで長沼を振り回しているが・・・・。
梅田甲三(真ん中)
「分室」の技術職員。性格は「マッド・サイエンティスト」そのものだが作るマシーンは大抵欠陥まみれである。技術そのものは一級品なのに。
松岡(左端)
梅田の部下。いつもろくでもないめにあっている。
石田ルミ
第四分室でアルバイトをしている、赤面症で引っ込み思案な女の子。眼鏡と三編みおさげに加え、どう見ても幼児にしか見えないほどの童顔と体型の持ち主で、変装をして幼稚園に紛れ込んでも全くバレなかった。何故か彼女が顔を出すタイミングで敵が撤退したり人間形態に戻ることが多く、長沼と女性(レミィ、オシリス、拳法女など)が絡む場面に出くわしては誤解をするのがお約束。
実際は21歳で、運転免許証ももっている。免許証に記載された現住所は東京都町田市、本籍は福井県北野町。
謎の坊主
レミィやイシュタルとも戦ってのける強大な戦闘力を持った流浪の破戒坊主。
日々、空き家に押し入って盗み食いしたり、畑で野菜泥棒をして過ごしている。
インガー・W・C・ミュンヒハウゼン
隠居したスイスの時計職人。長年人造人間の開発を行っている関係もあってか、レミィやオシリスの修理までやってのける天才。
ゲルダ
インガーが手塩にかけて作り上げた女性型人造人間。誕生してからずっとインガーに寄り添ってきた存在。カタカナ言葉で喋る。
パパ
諸悪の根源にしてワッハマンの宿敵。ワッハマンの故郷であるアトランティスを滅ぼした張本人である。最初の頃は制服収集の趣味をレミィに暴かれたりと若干親しみの持てるキャラクターであったが、物語が進む内に傲慢な本性をあらわにしていった。この世界を自分を楽しませるためのオモチャ程度にしか見ておらず、現に世界を影から生み出したのは彼である。