「〝あせび〟ではどうだ? 東の家の栄達を願って」
概要
大紫の御前とは今上陛下の正室で現皇后。若宮の異母兄である長束の実母。
人物
南家出身で今上陛下・捺美彦の時代の登殿者。登殿時の仮名は「夕蝉」。
女だてらに大変な策略家と称されており、政治に興味がない今上陛下の代わりに政治を行い実権を握る。
長男である長束を金烏の座に即位させようと、実質的な配下にある落女や部下である藤宮連を利用するなどして何度も若宮の廃嫡や暗殺を企てる。
烏に単は似合わないでは姪・浜木綿に配下の苧麻を女房として入り込ませ暗殺させようとした。
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長束を即位させようと策をめぐらせていた理由は、全て弟の現南家当主・融を文官最高の称号である「黄烏」の座につけるためだった。
彼女は幼少期、前日嗣の御子・捺美彦の皇后となるために厳しい教育を受けていた。ちなみに仮名である「夕蝉」は彼女が生まれた時期から父親がとってつけたものである。その両親を心から尊敬し、皇后となるために努力を続けてきた。だが、兄である前南家当主・煒の手によって父親が殺され、母もその後を追って亡くなってしまう。その後兄が当主となるが、夕蝉は屋敷内で大きな顔をする兄夫婦を余りよく思えず冷ややかな目で見るようになる。両親が殺されてからから夕蝉は味方は誰もいないと思うようになっていた。しかし、兄を慕っているはずの融が陰で兄から貰った文箱を池に投げ捨てているところを目撃し、自分と同じ考えを持ち、彼を理解できるのは自分だけだと確信した。そこから弟が自分の生きる意味であると思い、懸想するようになる。
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金烏・奈月彦が何者かによって暗殺され、その首謀者とされる。
最初は何も知らないと白を切っていたが、死ぬはずだった元藤宮連で藤波の筆頭女房の滝本が生き残り、金烏暗殺の証言をしたことによって計画が露見した。
その後、彼女に対して南家当主が「処分はいかようにも」と言ったことで絶望し、失意のまま夫である捺美彦から毒を賜り処刑された。