作品概要
2016年9月20日から2018年11月5日まで連載された。ジャンルはホラー、サスペンスとなっている。
舞台は3月ながらも真夏のように暑くなっているほど、地球温暖化が深刻化した日本である。
ある男子高校生の二人は下校でバスに乗ったところで拉致されるところから物語が始まる。
「食糧人類」と「食糧人類-Starving Anonymous-」があるが、本項では先に後者を解説する。
登場人物(食糧人類-Starving Anonymous-)
- 伊江
本作の主人公。画家を目指しており、前述でバスで眠らされ、「ゆりかご」と呼ばれる施設で運搬されるところで目を覚ます。その時、施設の職員が太らせた人間を冷凍して解体する場面を見てしまう。
- カズ
伊江の親友。伊江と一緒にバスに乗ったところで同じく拉致されており、施設内で伊江と再会するも、謎の薬液で太ってしまい、性格も幼くなってしまう。
- ナツネ
伊江が人間飼育場の中で出会った青年その1。コミュ障であり、目的のためには暴力も振るう危ない人。
- 山引
ナツネと同行している中性的な青年。不思議系大好き。バイセクシャル。恋愛・性愛の相手を一人に絞るという発想がない奔放な男。
- 小倉
施設の天井裏に潜伏している男性。通称「オグっちゃん」。裕子という女性を描いており、彼女がいるかのように接している。
前者の「食糧人類」
前者の漫画は原案が水谷健吾、漫画はKamaroが担当している。
舞台は砂漠に囲まれた東京であり、異形で残虐性のある生物である新人類と現代とは何の変わりようがない旧人類との戦争が描かれている。
旧人類は新人類にとって食糧であり、雨が降ると新人類が現れ、旧人類を襲っていた。
なお、この作品は作者の都合で休載となっている。
『食糧人類Re: -Starving Re:velation-』
『食糧人類-Starving Anonymous-』の続編。本作において、巨大生物は人類社会を自分達を「天人様(あまひとさま)」と崇める体制に統制する事に成功している。
前作と異なり形態はヒューマノイドに近づいている。異形の頭部はそのままであり、自身の姿を描く事を禁じ、天使めいた美しい姿で描かれた祭壇が作中に登場している。
- 天沢大輝
主人公。死に不安を覚える、という漠然とした不安や悩みが引き金となり、人間を食糧として天人様に捧げる社会の異形さに気付いてしまった少年。
- 帆秋(ほあき)
レジスタンスの少年。飄々としてトリッキーな男。歯が抜けても再生する特異体質の持ち主。独自のルートを持つらしく、「天人様」の幼体をどこからか入手して見せて大輝を驚愕させ、万智音を慌てさせた。
- 万智音(まちね)
大輝の通う学校の生徒として帆秋と行動するレジスタンスの男。手の平から杭のような飛び道具を射出できる。本来は天人の餌にされることのない上流階級の出身。幼少期に餌にされる下民の姿に違和感を抱く。いずれ現状の世の中をひっくり返すという目的を持つが、表立って動くには時期尚早と考え、多少の犠牲は切り捨てるのもやむなし決意しているが、人としての慈悲心を捨て切れてはいない。
- 蓮沼柚
大輝が想いを寄せる少女。教育・広告などあらゆる場に充満した価値観を内面化しており、天人様への「出荷」対象に選ばれた際には喜んでいたが……
- 柊
生徒会長をつとめる男子生徒。現体制に陶酔する熱狂的優等生。ドスを持ち出し、文字通り自身の身を切り、血肉を捧げる事も厭わない。
- 辻
「天人様」に仕える宮廷庁所属の壮年の男。万智音のかつての師。「天人様」に人肉が供される社会の異形さを把握しつつもそれを割り切り、体制側として万智音たちと対立する。
世界観・用語解説
- 異星の巨大生物
ゆりかご施設内で絶対的な地位と権力を持ち、人間を食糧として提供させている巨大生物。成体はカマキリのような姿をしており、また成長過程も芋虫からサナギを経て羽化するなど昆虫そのもの。桐生曰く、かつて宇宙からやってきた地球外生命体であり、人類よりも高度に発展した科学技術を持つとされ作中における地球温暖化は海底から大量のメタンハイドレートを掘り起こし引き起こしているという。知能も高く人類の言葉を理解し僅かながらも話すことが出来、また繁殖力も非常に高い。
- クイーン
巨大生物たちの女王的存在。見た目はフジツボが無数に張り付いた球状の塊のような姿で、他の巨大生物のように言葉を発することは出来ないが、触手から人間を介することで自身の意思を代弁させることが出来る。巨大生物の中で最も知能が高く、全ての巨大生物はクイーンの産む卵から誕生するため、巨大生物たちの中心的役割を持っている。
- ゆりかご
表向きは核廃棄物処理施設であるが、実際は巨大生物の主食となる人間を養殖する施設。施設内は国家機密扱いされており、従業員は一度雇われると基本的には施設の外へ出ることは出来ず、また機密に近づこうとする者や不満を漏らした者は容赦なく処分されるなど徹底した情報統制がとられている。施設内では巨大生物が絶対の存在であり、従業員であっても彼らによる犠牲者が後を絶たないため、作業は命懸けで行われている。
- 生殖種(せいしょくしゅ)
ゆりかごの地下一階のエリアに収容されている人間達。男女それぞれが興奮剤や催淫剤などの薬物を投与することで24時間発情させられ、半永久的に子作りをさせられている。従業員の「茹で卵からヒヨコは孵らない」という言葉の通り、薬漬けとなった彼らを救う手立てはなく、最期は廃人となって廃棄されるという残酷な末路が待っている。
- 増殖種(ぞうそくしゅ)
ゆりかごで研究されている人造人間。中枢神経が損傷しない限り、体のあらゆる部位が欠損しても再生する新人類でもある。
巨大生物たちの無限とも言える要求を打開すべく、ゆりかごの開発によって生み出された。本編の作中ではナツネが完全体として誕生している。
関連タグ
ミノタウロスの皿:本作はとある星の支配者である牛のような容姿の「ズン類」が人間のような「ウス」を食用、愛玩用などの用途で飼育しており、ウスにとっては食べられることは幸せそのものという「Re:」に近い設定を持つ。