概要
本作は「もう一つの産業革命」と題し、産業革命期初期のヨーロッパをモチーフとした世界観を持つ。現実との違いは、「トロットビークル」と呼ばれる乗り物が非常に発展、普及していることである。温かみのある描画や丁寧に作り込まれた舞台に加え、自由度の高いシステムや様々な遊び、見た目に反し完成度の高いストーリーなど、独特の世界観とゲームとしての出来を兼ね備えている。基本はロボットアクションであるが、内容の多様性から様々な層がファンとなった。
アイレム作品における「選択肢論」
絶体絶命都市シリーズなどのアイレム作品共通の特徴は、その独特の選択肢センスである。主人公は基本的に無人格に設定され、選択次第でプレイヤーは善としても、悪としても遊ぶことができる。本作においても、大きく分けて善人エンドと悪人エンドの2通りのエンディングが用意されている。また、アイレム作品において、選択肢はその後のストーリー展開を決定するだけのものではなく、主人公=プレイヤーの意思主張の手段としても大きな意味を持つ。たとえその後の展開が一本道と決まっていても、それを「いやいや」するのか、「使命感を持って」するのかを主張させてくれる。善悪などにパラメータは無くその時の気分でを変えることも許される。(ただし、一部は「メモ帳」に記録されるので注意が必要。)
選択肢の傾向として、本作では通常こうなるであろうという王道の選択肢の他に、なにかと金をせびるもの、相手に対し変な回答をするもの、敵に対し調子に乗ったりするなど、普通のゲームでは考えられないような選択肢も多く存在する(「そんなことよりおなかがへったよ」はこの作品で有名な選択肢である)。特に、金をせびるものに関しては、シナリオライターの高は車によって最初から最後まで徹底されている。
このゲームの自由度が高いと言われるのは、必ずしもまじめな展開にしなくともよい、むしろそれを崩すことに面白さを持たせているのも一つの要因である。サブイベントにも特徴があり、普通に完結しプレイヤーに利益があるものはもちろん、完結しても得をするどころか損をしたり、報われなかったりするものが存在し、現実主義が垣間見られるものも多い。
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