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概要

中東・レバノンの首都ベイルートの北部港湾地区で2020年8月4日18時に起きた爆発事故。

爆発は2度に渡って起きており、1度目は規模もそこそこだったがこれが2度目の大爆発に繋がったと見られている。

発生した時点で確認できた犠牲者は70人、負傷者4000人にものぼる。その他爆風による建物の崩壊で家を失った住民が多数路頭に迷う事態も起きている。

事故は仮称「2020年ベイルート爆発」と呼ばれていたが暫くしてからWikipediaでも記事名の方に変更された。

原因

現地の報道が発表した所によると、以前から港の化学薬品の倉庫に不適切な状態で保管されていた2750tもの硝酸アンモニウムが原因と報じられた。

硝酸アンモニウムは農業で使われる肥料の原料となる一方で爆薬の原料でもあり、これを元に製造された爆薬がテロリストによって使用されたこともある。なぜそんなものが数千トンもあったのかについてだが、これはかつてベイルート港で立ち往生していた不法運航船をレバノン当局が発見し、船員を強制送還・積み荷を没収していたため。

その後この硝酸アンモニウムは6年間も倉庫に不適切な状態で放り込まれており、爆発はその倉庫の外壁修理の溶接工事中に発生した。

被害

爆心地には深さ43m、幅124mのクレーターが形成された。それほどの爆発なので当然周囲は吹っ飛び、甚大な損害が出ている。

2度目の爆発はイスラエル北部でも確認され、240㎞離れたキプロスでも観測された。

元々レバノンはCOVID-19(いわゆる新型コロナ)により食料不足に悩まされていたが、運の悪いことに穀物倉庫までも吹き飛んでしまったため更なる食糧難が発生している。さらにベイルート市内の大半の病院も被災したため、爆発事故と新型コロナのWパンチで医療崩壊を招いてしまった。

爆発による損失は30億ドル(約3200億円)、経済への打撃は150億ドルになる可能性がある。

犠牲者数は判明している限りを記載。変動があった場合編集して下さい。

  • 確認日時:2020/8/17
  • 犠牲者:220人以上
  • 負傷者:6000人以上
  • 行方不明者:110人
  • 住居損失者:30万人以上

爆心地至近に停泊していた食用油タンカーAmadeo IIは爆発の衝撃で岸壁に打ち上げられた上で全焼、爆心地北東に2隻並んで停泊していた家畜運搬船Abou Karim I、Abou Karim IIIは全焼し、岸壁側のAbou Karim Iは後日転覆。爆心地の東側対岸に停泊していたクルーズ船Orient Queenは火災は抑えたものの岸壁に打ち付けられたダメージで浸水し転覆した

爆心地北側に停泊していた穀物運搬船Mero Star、 Raouf Hは大きな被害を受けたものの火災及び浸水は免れた

国際連合レバノン暫定駐留軍に参加中のバングラデシュ海軍ミサイルコルベットBijoyも中破相当の被害を受け、代替艦に任務を引き継いで離脱した

あの人は?

レバノンにあるカルロス・ゴーンの自宅は爆心地から5㎞で、自宅は窓ガラスが割れる程度の被害で済んだ。

事故の瞬間も山あいの別荘地に居り、難を逃れた(当初は自宅が半壊したという報道もあったが誤報だった)。

なおゴーンが来てからのレバノンはこの爆発を含めて不況や不運続きで「疫病神ではないか」という印象が付いてしまっているらしい。

レバノン政府への批判

爆発の原因は硝酸アンモニウムを6年間不適切に放置していたことも一端であるため、長年貧富の格差や政治不信で不満がたまっていた者達の怒りも爆発、大規模なデモが起こった。

これを受けレバノン政府は内閣総辞職することになった。

以後レバノンは暫定政権となったが事故調査が思うように進まなかったり、元政権関係者が捜査関係に圧力をかけたりといった事が起こりデモが激化。

更に武器等が出回っていたことも関係しデモが起こる度に戦闘も起こるという旧内戦(あちらは民族や宗教が原因だが)に近い状況下となってしまった。

2021年になってもデモは収まらずデモ隊への銃撃で何の関係もない一般人が自宅への流れ弾で死亡する事故も起きている。

その後

2022年になっても爆発のあった付近は復興が進んでおらず、壊れたサイロが崩落したり、そのサイロに残った小麦やトウモロコシが暑さで発火し、火災が発生するといった事が起こっている。

また事故の調査も未だに進んでいない。

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