「殺す゛、べきだった」
「あ、はっ、ははは、はぁああッ!!」
「俺は殺しも、戦争も得意だ」
概要
本作の主人公。ハイセルク帝国出身。農村生まれの三男(末っ子)。年齢は20→21歳。
デュエイ分隊に所属する軽装歩兵。濁ったような瞳を宿す異様な雰囲気を持つ青年。
異世界人「高倉頼蔵」の前世の記憶を持つ。
兵役半年目で白兵戦のプロと言われる程の技術を体得。《強撃》《鬼火》取得後は更に強化。
第二幕ではAランク冒険者4人以上のパーティで進む迷宮の深層に単身で辿り着き、後にパーティ一時加入で制覇。約二年でハイセルク帝国が誇る最高戦力の騎士にまで上り詰める。
その闘争の才能に愛されながらも、人殺しへの葛藤と苦悩を抱えながら生きている。
弔う時は手を合わせるのがお決まり。
スキル・防具・眼・心臓・異界等、「鬼」と縁がある。
通り名は《冥府の誘い火》。
経歴
【第一幕】
20才で徴兵され、兵役に就く。半年後にマイヤード攻略戦で《強撃》と《鬼火》のスキルが覚醒し「ハイセルクの鬼火使い」として怒涛の勢いで戦果を挙げていく。しかし四か国同盟軍との戦で仲間達を失い、復讐心から単騎で野営地を襲撃。指揮系統を破壊し「三英傑」のアヤネを捕虜に成功。その功績から騎士爵を賜りジェラルド将軍の元に配属され、アヤネの護衛の任に就く。
四カ国同盟が起こした大暴走に立ち向かい、守護長から戦時大隊長の座に就きダンデューグ城で奮闘するも大鬼王に目を潰され、アヤネの治療で魔眼を移植される。ところが戦闘中に瓦礫に押し潰されて意識を失い、大暴走が終息した後に目覚める。再び仲間を失い、故郷や祖国までもが滅んだ現実に絶望する。
【第二幕】
群島諸国に渡り一年間自堕落的な生活を送っていたが魔眼の後遺症に悩まされ、治療薬の資金を稼ぐべく内乱に参加。ダリマルクス家側につき、《鬼火》で友兵を巻き込む形で勝利に貢献するものの処罰を恐れ、逃げるように旅立つ。船で迷宮都市に渡り、癒しの三秘宝・真紅草を手に入れるべく冒険者ギルドに登録せず単身で迷宮に挑むが深層前に限界に達し、冒険者パーティ「三魔撃」に加わり制覇した。
式典で一世紀前に滅んだグンドール家の動乱に巻き込まれ、死んだ恩人の為に報復を決意。傘下を駆逐し、続けて冒険者と兵員達の共闘で都市を破壊した腐骨龍の討伐にも成功した。戦後、死んだと思っていたかつての部下が現れ、再建国を目指すハイセルクへの帰還要請を承諾する。
【第三幕】
部下と共にハイセルクに帰還し、実兄ヘイズと故郷で再会。それはリベリトア商連邦の奸計で、精鋭部隊に囲まれて罠に陥り致命傷を負う。兄の手によって心臓を剣で貫かれ、命を失いかけるも鬼の面の協力で復活。代償に兄を含む大量の死人を供物に捧げる事となる。
目の治療の為に同盟国マイヤード公国へ向かい、大暴走で共闘した戦友達との再会を喜び合う。魔眼が癒えた後、レフン鉱山の地滑りが発生し派遣されたアヤネの護衛として同行。二度の地滑りで罠と気づき、アヤネの命を狙う「三英傑」の一人、マコトが率いる騎士団と対峙する。
人物
性格
冷静で善良。一定の懐に入れば割と社交的でユーモアのある軽口も好む。
前世の道徳観を捨てきれず戦争に順応する自身に嫌悪し、他者への施しを偽善と自嘲する。
根が真面目で責務を全うする愚直さを抱えるが故に、殺しへの葛藤に苛まれ続けている。
兄のヘイズ曰く頑固な一面もあるとの事。
過去の諍いから冒険者を嫌っている(後に改善)。喫煙も飲酒(第二幕では禁酒)もする。
良くも悪くも中途半端な全体主義者。前世の経験から出自は農民でも最低限の礼儀作法を弁えている。ただし記憶故に知識は徐々に曖昧となり、現世の生活観に感化されている。
恋愛面
女性に性的な関心を抱く描写はなく、おそらくは恋愛未経験と思われる。
しかし全くモテないという訳ではなく、第二幕ではメリルとリージィに明確な好意を向けられている。他にも恩人のリタ、元同郷のアヤネ、複雑な因果のリーティア等それなりに女性達と縁はある。ちなみに最も付き合いが長いのは鬼の面(雌)だったりする。
能力
火、水、風属性魔法の適正持ち。火と風は高い適正を持つが水は最低限。
魔力量は具体的な数値は不明だが「爆発的」。第二幕では魔力量が増幅していると思われる。
火魔法は《鬼火》の副次効果で蒼炎が特徴。アンデッド種に有効に加えて威力は上がり、火・熱耐性は破格級。作中では攻撃魔法は火魔法のみで、風魔法は戦闘補助に使用している。
前世の恩恵で水泳は可能(異世界で泳げる人間は少ない)。兵役の現場経験で割と雑事をこなす。
武器は主に斧槍。状況によって剣を扱う。
取得スキル
《強撃》《鬼火》
魔法
火魔法→「火球」「火槍」「トーチ」
風魔法→「リリース」「バースト」
魔眼「大鬼王」
能力は動作の遅延。魔力を通すと瞳孔が細くなる。
第二幕では後遺症により極力控えていたが、第三幕の治療後は容易に発動するようになった。
鬼の面「國焼の大鬼・灰塵童子」
魔眼を持つウォルムを依り代に一時的に雌型の「鬼」として復活する。
条件は大量の供物の消費。使用スキルはウォルムと同じ。
鬼の心臓
鬼の細胞で修復された心臓。
現時点での能力は不明。
容姿+装備
容姿
普通。その意外性から一部の仲間や初見の敵兵達から恐怖を抱かれる事が多く、作中では「悪魔」「化け物」「人畜無害だと信じていた隣人が、連続殺人犯のサイコパス野郎だった」と例えられる程ギャップが酷い。
第一幕では威圧しなければ村人Aに見られていたが、第二幕では餓狼の如き殺伐とした雰囲気を纏うようになる。
四カ国同盟軍との負傷で片目が濁るが、後に両眼が失明し魔眼が移植される。
元から「濁っているようにしか感じない」と出会う人々に思わせる程、眼に独特な力がある。
目の色は黒→金。
書籍版では濃い茶髪と黒眼の青年で、年齢以上に精悍(老け顔)に描かれている。
漫画版では幼さが残った端正な顔立ちをした青年で、目のクマが濃い。微妙に無精ひげが生えている。
装備
武器 | 斧槍・魔法剣 |
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防具 | 鬼の面・ハイセルク製鎧(第二幕ではミスリル製) |
装飾品 | 魔法鞄 |
前世
前世は高倉頼蔵。享年33歳。
職業はサラリーマン。老け顔。出勤中に心筋梗塞で死亡する。
中途半端な全体主義者。八不知市出身。
余談
十人に一人がスキルを持つ世界で、物理スキルと魔法スキルを両方併せ持った人間はウォルム以外登場していない。
おまけに希少な三属性持ちに加えて魔眼に半適合し、ウォルムの戦闘の才能がどれだけ異常なのかがよくわかる。
奇しくも《強撃》と《鬼火》は鬼の特徴を表しており、本人の肉体も徐々に鬼と化している。