ゲーム概要
2002年12月20日にオービットのCLOVERブランドより発売されたアダルトゲームである。対応OSは日本語版Microsoft Windows 95/98/Me/2000/XP。CD-ROM2枚。
CLOVERブランドのデビュー作であり、お披露目作との意味を込め、当時のオービット社内にいた原画氏を総動員していた。2002年12月20日に『さよらなエトランジュ』と同時に発売された。
当時すでに主流だったビジュアルノベル形式のゲームではなく、全25ステージのシミュレーションRPGとなっている。会話や18禁シーンは戦闘パートの挟まれる形であり、フラグ立てのための好感度上げは戦闘パートの最中に起きる。
また本編とは別にチュートリアル編があるが、これは発売前にパソコン雑誌等で配布された体験版とほぼ同じ内容だった。
ゲームシステム
1ユニットはキャラクター1人、もしくはクリーチャー1体の戦闘級SLG。フィールドはヘクス(六角形)マップで、敵味方交互移動のターン制。各ユニットには属性(光・闇・生・死・地・水・火・風・無)、移動タイプ(地、空、水)、レベル、HP・MPなどのパラメーターがある。
戦闘パート
戦闘パートに移ると事前準備画面になり、出撃条件と勝利条件が提示され、それに沿ってパーティを編成する。
ユニットは召喚師と非召喚師である「マスターカード」と、召喚師が召喚する「クリーチャーカード」がある。マスターカードは特に制限が無ければ最大6人出撃可能。マスターカードには各人アイテムカードを3つまで装備可能で、さらに召喚師はクリーチャーカードを3枚まで装備可能。マスターカードには、それぞれ3つずつアイテムカードを装備させることが可能。装備したクリーチャーカードは自ターンに召喚もしくは帰還が可能。召喚クリーチャーは次のターンから行動可能となる。
ユニットの移動は任意であり、その場で動かずに「待機」させるのも可能。この場合、減少したHPとMPが若干回復する。
攻撃は移動後に行える。攻撃は必殺技と呼称され、隣接ヘクスで行われる近接攻撃。そして射程攻撃、範囲攻撃などがあるが、攻撃手段は各ユニット毎に違うので注意が必要である。また、攻撃後に敵を倒しきれなかった場合、敵が反撃できる必殺技を持っていれば敵の反撃がある。攻撃や反撃を問わず必殺技を使用するとMPが減少し、MPが0になると必殺技が使用不能になってしまう。
敵を倒すと経験値が得られ、マスターは経験ゲージが満杯(100)になるとレベルが上がる。この時、HPやMPが減少していても完全に回復する。
召喚クリーチャーの特徴
召喚クリーチャーの場合、敵を倒すと経験値は得られるが、経験ゲージが99になるとそれ以上は経験値切り捨てとなる。しかし、召喚したマスターユニットへ帰還させることにより、クリーチャーが得た経験値をマスターへ加算することが出来る。帰還後に再召喚すれば、クリーチャーのHP・MPは再び全快状態で復帰できる。
召喚クリーチャーの制限と欠点
召喚クリーチャーが帰還しないまま倒された場合、そのクリーチャーはステージが終わるまで再召喚は出来なくなる。
要注意な点として、クリーチャーを召喚した状態で召喚していた召喚師が倒されてしまうと、残されたクリーチャーはコントロールを失ってバーサーク(凶暴化)し、ランダムに移動して無差別攻撃を開始してしまう。このため、味方は召喚師が倒されぬ様に注意する必要がある。逆に敵の召喚師を倒すことでバーサークした敵の召喚クリーチャーで同士討ちさせる戦術もある。
ストーリー
5,000年の昔、この世を破滅の危機から救ったとされる召喚師の末裔が『草原の国』に住んでいた。しかし、その地では剣や弓が尊ばれ、魔法や召喚術は蔑視されており、末裔である少年は肩身の狭い思いをして過ごしながらも、ある日、故郷に訪れた吟遊詩人から「伝説の召喚師を目指すならば、伝説の召喚カードを全て集めて神に会うことを叶えなさい。さすれば、あなたは生きながらにして伝説となる」との話を聞いて、故郷から旅立つ決意を固める。
少年、ヴァイン・トライデントは幼馴染みのステラや旅先で出会った仲間たちを一行に加えながら、伝説の召喚カードを集める旅を続ける内、この世界の成り立ちと謎を解きながら、やがて世界崩壊の危機に立ち向かって行く。
登場キャラクター
キャラクターデザインの原案はドレンチェリー(現・天宮ぽらん)だが、原画は6名の絵師が分担して描いている。
メインキャラクターのヒロインたちは皆、ヴァインとの18禁シーンがある。
メインキャラクター
- ヴァイン=トライデント
CV:海原エレナ、原画:ドレンチェリー
吟遊詩人の言葉に従い旅立つ、主人公の少年。伝説の召喚師トライデント一族の末裔。外の世界に憧れている。伝説の召喚カード、光の「アテナ」を所有する。
半ズボンのショタキャラ。つんつん頭。一見気弱だが、世界一の召喚師を目指すなど芯は強い。召喚師である両親は彼の出生時に他界しており、隣家であるステラの両親に育てられた。
初期必殺技は「ライトニングアロー」。2ヘクス届く射程技なので使いやすい。
ショタキャラなので18禁シーンでは大半のヒロインから押し倒されている。
専用カードである光の女神アテナは光属性で能力補正が高く、攻撃力が高い。ただし範囲攻撃が自身の周囲のみの「アテナの光」のみで戦術的にやや使いづらい。
- ステラ=アリスタ
CV:岩田由貴、原画:ドレンチェリー
本作のメインヒロインで、ヴァインのお隣さんで幼馴染みの少女。お転婆。勝ち気な性格で村一番の喧嘩上手。苛められているヴァインを助けることが多く、自分が「ヴァインのお姉さん」だと自負しており、説教癖がある。
非召喚師で初期必殺技は「おてんばキック」。修得する必殺技が全て近接攻撃のみ、出撃不可のステージが入るのでレベル上げが厳しい。おまけに途中で完全に離脱する。しかしステラのエンディングを見るためには出撃させてイベントを起こす必要があり、攻略難易度は髙い。
- アネット=ヴァロア
CV:北都南、原画:CARNELIAN
『森林の国』に住むエルフの少女。伝説の召喚カード、風の「グナー」を使う召喚師。エルフの森に現れたヴァインたちと行動を共にする。健気な性格でヴァインを慕う。初期必殺技は射程1の「エアプレッシャー」。
Lvを上げていくと後半で長射程技や範囲攻撃技を覚える大器晩成型だが、風属性は総じて攻撃力が低いためレベル上げでは苦労が伴う。
専用カードである風の女神グナーは、攻撃力は低いものの5ヘクスに届く貫通攻撃「シャープウインド」と範囲攻撃「ソニックストリーム」が使いやすい。
- イブリン=ヘイワース
CV:YUMIKO、原画:雨音響
『空の国』にある大図書館に勤める女性司書。伝説の召喚カード、火の「ベリサマ」を使う召喚師。
頭脳明晰・容姿端麗な眼鏡っ娘。『空の国』を訪れたヴァイン一行が成り行きで手を貸し、一行に加わる。知識豊富で皆の相談役としても頼られている。
初期必殺技は射程2の「マジックミサイル」。早い段階で範囲攻撃技を覚えるので主力メンバーとして活躍できる。
専用カードである火の女神ベリサマは元の攻撃力が高い上に射程3の範囲攻撃「ファイヤーボール」と効果範囲が広い「エクスプロージョン」と、使い勝手が良すぎ。
- ユン=ミン
CV:海原エレナ、原画:雨音響
『砂漠の国』でヴァイン一行が出会う、自称「発明家」の少女。お団子頭の中華風な出で立ちで、語尾に「アル」をつける。伝説の召喚カード、死の「リビティーナ」を使う召喚師。
古代に存在した「自立思考で行動する人形」を再現すべく、伝説の召喚カードを求めている。初期必殺技は「巨大スパナ」。
その容姿で多くのパトロンを得て発明に挑んでいるが、発明品である自動人形は失敗作が多く、野良モンスターと化してしまった物も。
専用カードである死の女神リビティーナは攻撃力が高めだが、4ヘクスの貫通攻撃「黄泉への行軍」以外は使いにくい。
- ドロテア=アルストロメロス
CV:浅野麻理亜、原画:萌木原ふみたけ
『海の国』の皇女で人魚族。政治家として一流だが女癖が悪い。ステラを気に入り、自分のハーレムに入れるべく、彼の地を訪れたヴァイン一行に立ちふさがる。伝説の召喚カード、水の「アナヒタ」を使う召喚師。
彼女自身も伝説の召喚カードを集めており、度々ヴァイン達と敵対するが、アマネの真意を知った後はヴァインと共闘。仲間となってベリルとの最終決戦へと挑む。
移動タイプが「水」のため、陸上マップでは移動に難がある。初期必殺技は射程2の「スプラッシュ」。
専用カードである水の女神アナヒタは射程2の範囲攻撃「ブリザード」と射程1だが高火力範囲攻撃の「ポロロッカ」と使いやすい。ただし通常のマップでは水属性クリーチャー特有の移動制限が厳しい。
- ニナ=フロム
CV:木村あやか、原画:萌木原ふみたけ
ドロテアに仕える女侍従長で、幼い人魚族。庶民の出だが、ドロテアに見初められて王宮へ上がったため、周囲の嫉妬によって卑屈な性格になった。謝り癖がある。非召喚師だが、攻略難度はドロテアと並んで低い。初期必殺技は「尾ひれアタック」。
- カレン=メイフィールド
CV:須本綾奈、原画:ゆきうさぎ
『山頂の国』に住む賢者。ふわふわもこもこ好き。伝説の召喚カード、生の「パナケイア」を使う召喚師。
「神にも匹敵する知識を持つ賢者」の知恵を借りるため、『山頂の国』を訪れたヴァイン一行が出会う巫女姿をした少女。「眠り姫」の別名を持っており、殆ど眠っているが、それは秘匿しているベリルの欠片の膨大な魔力を制御するためのものである。アマネにベリルを奪われた後、ヴァイン一行に加わる。
初期必殺技の「ヒーリング」は数少ない回復魔法で重宝する。反面、その特性上攻撃されると反撃できない。下手に前線に出ると反撃できないまま袋叩きにされてしまう。
裏設定で滅亡した種族であるドワーフ族との関連が暗示されている。
専用カードである生の女神パナケイアは攻撃技が近接攻撃「ライトスフィア」しかなく火力に難がある。反面、範囲回復技「ライフフィールド」と単体回復技「ホープフルシード」が召喚クリーチャーにも効果があるため、敵の攻撃が激しい際には回復役として欠かせなくなる。
- シンシア
CV:乃嶋架菜、原画:たすく
『密林の国』に住む獣人族の少女。自警団の長も務める。伝説の召喚カード、地の「ガイア」を使う召喚師。
相棒のサガといつも一緒におり、弟の形見であるオカリナ風の笛を首に下げている。ヴァイン一行と邂逅した際は、盗賊団によって弟を失った直後で正気を失っていたが、盗賊団討伐後はヴァイン一行に加わる。
ユニットがサーベルタイガー型の巨獣「サガ」とまとめて1体という扱いで、森や荒地での移動力に優れる。
専用カードである地の女神ガイアは射程2の範囲攻撃「山津波」と効果範囲が広い「大地の怒り」と使いやすい範囲攻撃技を併せ持ち、火力要員として優秀。
- アマネ=ルヴィル
CV:南雲涼、原画:ドレンチェリー
黒髪の美女。腹部を露出した赤いドレスを着込んでいる。伝説の召喚カード、闇の「ハーデス」を使う召喚師。
旅の途中でヴァインと知り合う。謎めいた雰囲気を持ち、ある目的のために物語の裏で暗躍している。最終的には敵対するが、悪に徹せられないところがある。必殺技は「ダークネス」。
18禁シーンはあるが、ヒロインではないために好感度は設定されていない。
- 家庭教師
CV:須本綾奈、原画:ゆきうさぎ
白いドレスを身にまとった金髪碧眼の魅惑的なお姉さん。ヴァインに召喚術を教授する先生。一流の召喚師であり、凄まじいまでの魔力を持っている。初期必殺技は「愛の鞭」。
体験版および、製品版チュートリアルにしか登場せず、ストーリー本編と絡むことが無いキャラであるが、ヴァインは彼女の教えによって「アテナ」の召喚に成功している。
サブキャラクター
- コンラッド=ヴァロア
CV:五反田正人、原画:CARNELIAN
アネットの兄。エルフの騎士で非召喚師。アネットを心配してヴァインの旅に同行する。初期必殺技は「連続突き」。ユニット単体としては弱いわけではないが、長射程攻撃や範囲攻撃を持たない上、召喚師ではないため経験値を稼ぐのに苦労する。
彼の18禁シーンやエンディングがあるわけでは無いが、彼のイベントを発生させる事がアネットのエンディングを見る条件に含まれているため、ある程度レベルを上げる必要がある。
主題歌
「この手の中の未来」
作詞:文左衛門
作曲:上松範康
編曲:藤田淳平
Vo:NICK
主人公であるヴァインの決意や心情を謳った歌詞。