運命の森とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第3弾「THE FOREST OF DOOM」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。
作品解説
ダークウッドの森。そこは様々な怪物が蠢く危険な場所。
この森の近くにある、ドワーフたちの町「ストーンブリッジ」から、魔法のハンマーが盗まれてしまった。失われたハンマーは、このダークウッドの森のいずこかに隠されている。ハンマーはストーンブリッジを狙い攻め込んでくる、邪悪なトロール族との戦いに必要不可欠。
ハンマーを取り戻す使命を引き受けた主人公=君は、危険なダークウッドの森へと足を踏み入れる。
シリーズ三作目。
アランシアの善の魔法使い「ゲレス・ヤズトロモ」の初登場作。また、地下迷宮、城砦と続き、今回の舞台は「森林」というオープンフィールドである。
主人公=読者は、この依頼を死ぬ寸前のドワーフから受け、最初に用意された金貨でヤズトロモからマジックアイテムを購入し、森の内部の危険に立ち向かうようになっている。
まだ一作目の舞台だった地下迷宮を、野外に移しただけという感が強いが、それでも野外ゆえの様々なイベントが存在し、新たな冒険物語の方向性を模索しようとしているのが実感できる。
主な登場人物・モンスター
主人公(君)
人間の剣士で、前作と異なり魔法は使えない。他の作品同様、プレイヤーキャラゆえに無色透明な描写で、とりたてて特徴は見られない。
ダークウッドの森近くで、瀕死の状態のビックレッグを見つけ介抱した事から、この冒険行に参加する事となる。
ビッグレッグ
冒険の発端となるドワーフ。
ハンマーが失われた事をヤズトロモに知らせ、マジックアイテムを購入し使命に当たろうとした、しかし途中でトロールの不意打ちを食らい、矢を受けて死にかける。死の寸前に主人公に助けられ、使命を託して死ぬ。
ジリブラン
ダークウッドの森の北端にある、ドワーフの町「ストーンブリッジ」を治める王。
伝説のハンマーの所持者であるが、盗まれたために途方に暮れていた。
ゲレス・ヤズトロモ
ダークウッドの森の南端、そこに建つ塔に住んでいる魔法使い。
初登場は機嫌が悪かったが、主人公からハンマーの事を聞き、マジックアイテムを売ってくれる。
噂話で、ハンマーが二匹のゴブリンに拾われ、黒檀の柄とブロンズの頭が外れてしまい、それぞれ持ち去ったという情報をくれた。
喋るカラス
ヤズトロモの塔から出てすぐに、標識に止まっていたカラス。金貨一枚と引き換えにアドバイスをくれる。元は人間だったらしく、元に戻るためには金貨30枚をヤズトロモに支払わねばならないとの事。
ヤズトロモのカラスの使い魔「ヴァ―ミスラックス」との関連は不明。
トランブル
ストーンブリッジと敵対関係にあるドワーフの町、マイルウォーターのドワーフ。
鷹匠で、ストーンブリッジからハンマーを鷹に盗ませた張本人。その鷹がダークウッドの森に落ち、ハンマーも失ってしまったため、途方に暮れていた。
兜とチェインメイル、斧と盾を装備し、透明で苦い健康薬の瓶を所持している。
アラゴン
「魔法の達人」と看板を掲げた小屋に住み、中に入って来た者に横柄に対応する男。内部には自身で集めた様々な品物があり、魔法で石にされたくなくば、勝手に入り込んだ罰として何か差し出して消えろと言い放つ。しかし……。
クイン
筋肉隆々の大男で、森の中の自宅で、力比べする事を生業にしている。その姿に違わぬ怪力の持ち主で、腕相撲に勝てばアイテムをくれる。
シェイプチェンジャー(変化、変身怪獣)
表紙に描かれているモンスター。爬虫類に似たヒューマノイドで、鱗のある緑の肌、背中に棘の突起が並び、長い尻尾に続く。顔はトカゲに似る。
大まかに身体を変形させ、細かい場所は催眠術や幻覚を用いる事で、様々な姿に変身する。
主に変身するのは、ゴブリンやピクシー、老いた人間など。そういった無力そうな存在に化ける事で、獲物(主に人間など)が油断し近づいたら、いきなり変身を解き攻撃を仕掛ける。
トカゲ兵とは無関係。
女盗賊と盗賊団
五人の盗賊団。女盗賊がリーダーで、残り四人の男たちを従えている。全員武器として剣と斧を両手に持ち、凶悪な表情を浮かべて立ちはだかり、通行料としてアイテム五個の支払いを要求。断ると戦いを挑んでくる。
黒ローブの男
ウサギ罠に引っかかり、足を取られた男。顔を覆い、両目だけをのぞかせている。
助ける選択をすると、感謝し、森の中で隠者として生活している弟を探していると告げて去って行く。しかし……。
犬を連れた狩人
数匹の猟犬を連れ、馬にまたがり覆面を被った狩人。選択次第で、あるモンスターからの負傷に役立つアイテムをくれる。
捕らわれた蛮人
四肢を地面に打ち込んだ杭に縛り付けられ、放置された男。腰布以外何も身に付けておらず、ムチの傷痕とともに、日に焼かれたため赤い火ぶくれを起こしている。この状況を放置できず、親切心を起こして助けると……。
地名・アイテム
魔法のハンマー
ジリブラン王が所有している、本作のキーアイテム。
柄が黒檀、頭部はブロンズ製の戦鎚(ウォーハンマー)で、敵に投げつけると必ず命中し、再び手元に戻ってくる。武器としても強力であるが、同時にストーンブリッジのシンボルでもあり、混沌側や敵対している丘トロールたちは、これを手に入れてストーンブリッジの士気を下げようとしている。
後に、「恐怖の神殿」にも登場する。
ダークウッドの森
本作の舞台。
うっそうと木々が生い茂り、内部には様々なモンスターが徘徊する危険な地。そのため、普通の人間はよほどの事が無ければ近づこうともしない。
作中には、キノコを栽培している地下大洞窟が登場する。そこでは、魔界のデーモンたちが好む珍味として、人間界でのみ自生するキノコが多く栽培されている。
キノコの世話および警備を担うのは、キノコそのものから作ったクローン。クローンを監督するのは、下位のデーモン(本作では火炎デーモン。初版では「火の魔王」と訳された)である。
選択次第では、この洞窟へと出くわす事がある。
また、後付の設定だが、この森の地下には広大な闇エルフの地下都市が広がっており、夜な夜な襲撃部隊が地上へ略奪に赴いている。
ストーンブリッジ
ダークウッドの森の北端に位置する、ドワーフのみが生活する町。
ジリブラン王に統治され、人間など他の種族も快く受け入れてくれる。住民のドワーフ達は、ヤズトロモとも面識がある。
マイルウォーター(ミレウォーター)
ストーンブリッジと敵対している、ドワーフの居住地。ストーンブリッジに対し嫉妬しており、トランブルは今回ここの王の命を受けてハンマーを盗み出した。