善と悪の代表者
タイタンには、善と悪の勢力が存在し、人間もまた同様に善悪どちらかの陣営に身を置き、それぞれで活躍している。
善の代表者
ゲレス・ヤズトロモ
ダークウッドの森、ストーンブリッジ近くの塔に住む、善の魔法使い。
柳谷のサラモリス、その司祭の息子として生まれた。ヨーレ大魔法学校にて、師匠の大魔術師・『月を追う者』ヴァ―ミスラックスの元で魔法を学ぶ。
マジックアイテムを作り出し、それを売る副業を営んでおり、その収入で好物の砂糖菓子をいたるところから注文している。やや怒りっぽい所もあるが、善の大義にその身を捧げており、志を同じくする英雄や冒険者たちには協力を惜しまない。
ストーンブリッジのドワーフ達は良き友人。ダークウッドの森のエルフたちも、彼の魔法に敬意を表し、彼の事を好いている。
反対に、近くの地下都市の闇エルフたちは、彼の事を無害かつ取るに足らない愚か者と捕えている。ヤズトロモはそのおかげで、闇エルフや悪の勢力に目を光らせる事ができた。
師匠の名を付けた喋るカラス・ヴァ―ミスラックスを使い魔とし、多くの鳥や動物が彼の目となり伝令となり、アランシア中の情報を仕入れている。
アラコール・ニカデマス
ポート・ブラックサンドの街中、「歌う橋」の橋の下の小屋に住む、善の魔法使い。
ファングの大商人を父に持ち、ヤズトロモと同じくヨーレ大魔法学校のヴァ―ミスラックスの元で魔法を学んだ。
学校卒業後には、アランシア各地に繰り出して数々の冒険行に赴いた。しかし一度、「死の呪文」により死にかけ、その後のべつまくなしに依頼される事に疲れ、ポート・ブラックサンドに引退生活に入ってしまう。
ただしこれは、惚れ薬や害獣駆除などのくだらない依頼を避けるための防衛策でもあり、重要な案件に関しては協力を惜しまない。ヤズトロモとは同期の友人であり、鳥の伝令などで連絡を密に行っている。
癒し手
本名ペン・ティ・コーラ。氷指山脈の、ある洞窟に住む善の魔法使い。仮面を用いた治療・治癒専門の魔法を用いるため、癒し手の名前で通っている。
故郷はアランシアの南、アランティス地方。彼の父は、アランティスの『大司祭の代書人の監視長のような立場』の人間、との事。
ヤズトロモとニカデマスとともに、ヴァ―ミスラックスから魔法を学んだ。卒業後には南の地へと旅し、大地の女神の信者に。その後、仮面を用いた治療・治癒を専門とする魔法を学び、それを専門とするようになる。
しかしある時、ニカデマスがかけられた「死の呪文」の呪いを解いた事から、逆に呪われてしまった。動くと痛みが走り、身体は醜くなってしまったため、彼は洞窟にこもるように。
現在も彼は存命で、治療の助けが必要な者以外とは、人と会わないようにしている。
聖人コレタス
カーカバードのザメン地方にて、信仰する女神スロッフの教えを説く事で、人々を善の方向へと導いている盲目の聖人。
視力は失われているが、その代わりに治療の力を授かっており、その力で病人の病気を吸い取り、治す事が可能。また、樫の木の槍に祝福を与え、強力な武器とする事もできる。
かつては無知だが勇気のある若者で、マンパンの大魔王を倒すためにその砦に乗り込んでいた。仲間になるふりをして、隙を見て大魔王を殺す寸前までいったが、大魔王を守護していたデーモンの放ったファイアーボールを顔面に受け、その両目を潰されてしまう。
その後、盲目のままで逃げ回り、黒エルフの魔女・フェネストラの治療を受けて助かる。
更にその後で、スロッフの信者となり、戦う事以外で大魔王に抵抗し続けている。
魔女フェネストラ
カーカバードのバク平原、イルクララ湖近くのスナタの森に住む、黒エルフの魔法使い。
黒エルフながら仲間たちに背を向け、自らの力を善の為に役立てている。
以前、それなりに力のあった魔術師の父を、大魔王が召喚した七匹の大蛇の一匹、水の蛇に殺されてしまった。そのため、水の蛇に復讐するために、集められるだけの情報を集めている。
現在、七匹の大蛇の一匹、陽の蛇を、苦手な水を用いて罠をしかけ、水晶玉に閉じ込めている。
見知らぬ者に対しては用心深く、訪問者を招き入れる事もめったにない。そのため、彼女を味方にするなら誠意を見せないとならない。
草原のディタインタ
別名シャム。バク平原に時折姿を現す、女性の魔術師。贈り物をもらう事が好きである。
背の高い中年女性だが、変身の呪文を用いて醜いノームのような姿に変身し、平原を徒歩で旅している。この変身は自身の正体を隠す以外にも、出会った者が『外見だけを見て判断するか否か』を見極めるためのものでもある。
変身した姿で出会った相手が、敵か味方かと迷うのに対し、味方と思うなら何かよこせと要求する。
相手が、このあつかましい要求を蹴って攻撃するような者ならば、即座に強力な魔法で反撃する。
ただし、贈り物をくれるような気前の良い者には、変身を解き、正体を現す。そして善なる使命で旅する者には、有用な情報やアイテムをお礼にと贈ってくれる。
大魔王の配下である「眠れぬラム」を足止めするためには、彼女の助けが必至である。
悪の代表者
オルドラン・ザゴール
「火吹山の魔法使い」に登場。
火吹山の地下迷宮に住まう悪の魔法使い。
アランシアのフラットランドに住んでいた悪の大魔法使い、ヴォルゲラ・ダークストームより教えを受けた、三人の生徒のうちの一人。学べるだけ学んだ後、残る二人とともに師匠を殺して独立。デーモンが夢を通じて見せた導きにより火吹山を知り、オークとアンデッドの軍を引き連れて進撃した。
迷宮を占拠していたドワーフたちを殺し、ドワーフがため込んだ財宝を手にして、自身が火吹山の君主として君臨している。
バルサス・ダイア
「バルサスの要塞」に登場。
黒い塔、「混沌の要塞」に住まう悪の君主。逞しい身体つきをしており、見た目はまるで戦士。実際、戦士としても剣の腕前は一級品である。美しく、魔術も用いるルクレチアを妻にめとっている。
ザゴールの同門で、ヴォルゲラをザゴールらとともに殺害した。後に自身の祖父が建て、父のクラゲン・ダイアが支配していた「混沌の要塞」を、父親を刺殺する事で強奪。オークやゴブリンをはじめとする混沌の種族を集め、最強の軍を組織。
この邪悪の軍勢を率いて柳谷とサラモリスへ戦争を仕掛け、そこの民を虐殺する事で悪の神々への貢物にしようと企んでいる。
ザラダン・マー
「モンスター誕生」に登場。
空を行く巨大なガレー船、「ガレーキープ」に乗り、強大かつ巨大な軍勢を率いてアランシアを、世界を支配しようと企む悪の魔法使い。
ザゴールとバルサスの同門であり、三人まとめて「悪魔の三人」と後に呼ばれるようになる。出生ははっきりしないが、幼少時には三人の魔女「ドリーの三姉妹」に育てられた。その時に、生物をモンスターに変化させる魔法「マランハ」を学び身に付ける。
ヴォルゲラに師事し、彼を惨殺した後に独立。後に、イエローストーン鉱山で金鉱を掘り当てて財力と権力を入手。邪悪の種族を集めて軍団を組織する。
エルフの『魔法の煙』の噂を聞きつけ、それを入手するが、解析に失敗。エルフの森を発見し、そこから『煙』の秘密を探ろうとするが、これも失敗。しかしガレーキープを発見した後、奪取してそこに司令部を置き、空からエルフの森を探索しようと企む。
アランシアのエルフやドワーフ、各地方の軍や勢力と敵対しているのみならず、バルサスの軍勢とも敵対している。
ラザック
「甦る妖術使い」に登場。
アンデッドを率いて世界征服を企んでいた妖術師(または邪術師)。現在は討たれ、石棺に死体を密封され安置されているはずだが、周囲に不穏な動きが起こっている。
かつては大魔術師に師事。師匠は秩序と善に与していたが、ある時の授業で知った黒魔術に心惹かれ、独自に学ぶように。後に師匠の元から勝手に離れて、邪悪と混沌の魔法を極めていく。
フラットランドの周辺に侵攻し始めたが、かつて自分が所有していた魔剣を、クルという戦士に発見され、それを用いられ殺された。が、殺される寸前。クルが骸骨のまま、永遠に生き延びる呪いをかけた。現在もクルの骸骨は、剣を見つけた湖で、剣とともに彷徨っているという。
マルボルダス
「恐怖の神殿」に登場。名前の意味はエルフ語で「闇の子供」の意味。
本名はエーレン・ティンタセル。闇エルフ語で「嵐の子」を意味する。
闇エルフに拾われ育てられた、人間の魔術師。成人するにあたり、最後の試練として「隠された数種の竜の飾り」を手に入れようとしている。
かつては雪の中に捨てられていた人間の赤子だったが、闇エルフに拾われ、天からの贈り物とされて育てられる事に。
闇エルフの邪悪な教えを学び、優秀な魔術師として成長。9歳の時に試練として、地上に出て森エルフの隠された町を発見し、闇の魔力による炎で壊滅させた。その時から森エルフたちの間で「マルボルダス」と呼ばれ、恐れられている。
シャリーラ
「雪の魔女の洞窟」に登場。
氷指山脈の水晶洞窟と呼ばれる地下迷宮に座する、女性の魔術師。氷デーモンから啓示を受け、アランシアを雪で覆い尽くす事で、自分が支配しようと企んでいる。ゴブリンやオークのみならず、エルフやドワーフなども捕えて、逆らうと締まる首輪を付けさせて無理やり奴隷にしている。
かつては、南の暖かい土地で生まれ育った女性。その地では、女性は魔術師になり魔術を学ぶ必要があった。その訓練の一環で、寒冷地に送られ過ごす試練を受けていた時に、氷デーモンに出会い宗旨替えをしてしまった。
デーモンにより性格も捻じ曲げられた現在、吸血鬼と化して命と魂を啜り、氷の魔術に関し研究し続けている。
マンパンの大魔王
「ソーサリー」四部作に登場。
カーカバードの北端、ザメン高地に要塞を築き、優れた統率力と指導力を与える「王たちの冠」をアナランドから盗んで、旧世界、ひいてはタイタンの全世界を支配しようと企んでいる。
出身や魔術の師匠などは一切が不明。20代後半の時にザメン高地に赴き、オークやゴブリン、トロールなどを集めて、マンパンの要塞を建造し始めた。現地のバードマンの一派と衝突し、争いながらも要塞は完成。以後、デーモンの召喚や盟約などで、力を蓄えていた。
後にこの地に住む七頭の大蛇・ヒドラと遭遇し、苦戦しつつも辛勝。この怪物の力に感嘆した大魔王は、七つの首を切り落とし、死人使いの技を用いて、七匹の翼ある蛇として復活させた。そして、それぞれに旧世界の神々の名前と対応する力を授け、自らの使い魔として仕えさせている。
以降、これらの使い魔は『七匹の大蛇』と呼ばれ、大魔王とともに悪名を轟かせている。
ヴァレック・アズール卿
ポート・ブラックサンドを恐怖と力で治める領主。
30年近く支配しているが、その外見を晒す事はほぼ無く、わずかに公衆の前に現れる時も、黒いローブで身を包み、その姿を見た者はほぼゼロに近い。
かつてはクールのアリオン市の、高貴な両親のもとに生まれた少年だったが、邪教集団の儀式に紛れ込み、成り行き上入信。その後に商船に乗り込み、襲撃してきた海賊に気に入られて給仕になる。
その後、十数年後に海賊団の長として現れる。いたるところを暴れ回り、数百人の手下とガレー船団を所有、富と権力も有するように。そして、かつてカーセポリスの名で知られていた廃墟都市の上に作られた、貧相な港町に注目。当時支配していた年老いた貴族、ヴァレンティス男爵からそれを奪い取り、支配してしまった。
支配した後、都市を犯罪者や悪漢、邪悪なものどもの退避所として受け入れ、それらを力と恐怖、そして許可証システムなどの手練手管で支配。結果、かつて貧相だった港町は、巨大な都市へと成長。繁栄と彼の支配は現在も続き、悪名を轟かせている。
中立の代表者
タイタンには、善と悪のみならず、中立の勢力も存在する。
数は少ないが、はっきりした目的を持つ『善』の勢力。
数は多いが、無秩序な『悪と混沌』の勢力。
そして、その中間にある『中立』の勢力。
これには、どちらの側にも与さず、世の問題から遠ざかりたい者たちと、もう一つ。
「善と悪を互いに相殺させ、二つの勢力を均等に保とう」とする者たちの、二通りが存在する。
前者はただ、我関せずなだけで、神々も仲間も無く、哲学もほとんどない。ただ世の中に背を向けたいだけで、影響力はほとんどない。
しかし後者は、世の中は善悪の天秤が均等かつ平等でなければ、存在しえないという思想を有している。そのため、善側が悪側に苦戦していれば、善側に味方して悪側の勢力を削ぐ事もある。当然、悪側が滅ぼされそうになると、善側へ攻撃し戦力を減らそうとする。
時には、不利な側が反撃し勝たせる事で平衝を取り戻させるため、有利な方に味方し、さらに後押しするような事もする。
この思想の中心は、策略の神、そして運と偶然の神でもあり、人間の創造者である神、ロガーンから来ている。
謎かけ盗賊(リドリング・リーバー)
「謎かけ盗賊(TRPGシナリオ)」「奈落の帝王」などに登場。
ロガーンの従者であり名代。アランシア南部の密林など、各地にアジトを有しているといわれている。巨大な飛行船に乗り、善悪を均等化するべく世界中を回っている。
だぶだぶの服を着こみ、道化師を思わせる姿の男だが、それが本性かどうかは定かではない。変装の名人で、どんな種族や性別の者にも変装する事が可能。行った先々に謎々、もしくは謎々めいた詩を残すのを好み、人々を惑わせる(謎かけ盗賊の名は、ここからきている)。人間離れした幸運に恵まれており、世界に混乱と均等とをもたらすためには、無限の力を持っているようにも見える。
カラメール市の領主、ブルーストーン男爵を殺害し、追ってきた冒険者たちを利用して善悪の概念そのものを破壊しようと試みる。
その後、カラメールが奈落の帝王ことバイソスとその軍勢に狙われた時。それに対抗する冒険者の窮地を救い、手助けをした。
喉斬り道化師(ジャギュレイティング・ジャグラー)
「凶兆の九星座」に登場。(プレイヤー)
謎かけ盗賊同様に、世界の善悪の均等化のため、善悪両方に味方する冒険者。本人は「(善悪両方の)支配者をこけにする」という哲学で十分だとうそぶいている。
道化服に身を包み、愛用の剣『舌』、同じく短剣『皮肉』を持つ。
本業は道化師。しかし同時に、剣士と盗賊、暗殺の技も有しており、盗みと殺しの依頼も受ける。また、ロガーンより魔法の力『魔芸』も授かっており、魔術師の呪文よろしく使いこなす。善側からは情に流されず、大義のため冷徹な判断力を持つ密偵として、悪側からは野心を持たず金に忠実な内通者として、双方から依頼を受け、報酬と引き換えにそれらの仕事を請け負っている。
冒険者、一般人など、様々な者たち。
「雪の魔女の洞窟」
- 赤速(あかはや)
「雪の魔女の洞窟」に登場した、森エルフの冒険者。
雪の魔女シャリーラの洞窟にて、首輪をはめられ奴隷にされていた。とある冒険者に助け出され、以後脱出してからストーンブリッジに向かうまでパーティを組む。そっくりな容姿の兄、秦皮(とねりこ)がいる。
- 秦皮(とねりこ)
「雪の魔女の洞窟」に登場。森エルフ。
赤速の兄で、赤速とよく似た容姿をしている。森で矢柄を削っている最中に、シャリーラの「死の呪文」に呪われた冒険者と出会い、その時に弟がシャリーラに捕らわれ奴隷にされていた事を知る。
癒し手を探していた冒険者を、癒し手の住居である洞窟まで案内した。
- スタブ・アックスクリーバー(斧断ち)
「雪の魔女の洞窟」に登場。ストーンブリッジのドワーフ。
赤速とともに、シャリーラの洞窟で首輪をはめられ奴隷にされていた。助けてくれた冒険者と赤速とでパーティを組み、ストーンブリッジに戻る。その際、ドワーフの友人モーリがトロールに殺されているのを発見し、仇討にとトロールの集団に戦いを挑んだ。
「運命の森」
- ビッグレッグ
「運命の森」に登場。ストーンブリッジのドワーフ。
王の持つ伝説のハンマーを奪われたため、その行方を追っていたが、襲われ矢を受けてしまう。死ぬ寸前、ある冒険者にハンマーの奪還を依頼する。
- トランブル
「運命の森」に登場。マイルウォーターのドワーフ。鷹匠で、鷹を用いてハンマーを奪った張本人だが、ダークウッドの森の中に落としてしまい途方に暮れていた。好戦的かつ排他的な性格で、斧と盾とを持つ。
- クイン
「運命の森」に登場する男。筋肉隆々で、森の中の自宅で、力比べする事を生業にしている。その姿に違わぬ怪力の持ち主で、腕相撲に勝てばアイテムをくれる。
- アラゴン
「運命の森」に登場。「魔法の達人」と看板を掲げた小屋に住み、中に入って来た者に横柄に対応する男。内部には自身で集めた様々な品物があり、魔法で石にされたくなくば、勝手に入り込んだ罰として何か差し出して消えろと言い放つ。しかし……。
「甦る妖術使い」
- ボーリー
「甦る妖術使い」に登場。ストーンブリッジのドワーフで、ヤズトロモの知り合い。発明家であり、熱気球を作ってシム、およびラザックに挑戦する冒険者に協力した。
- シム
「甦る妖術使い」に登場。
混沌を狩る猟人を名乗る、口ひげを蓄えた人間の若者。エルフに勝るとも劣らぬ弓の達人で、ラザックを倒すために旅する冒険者と出会い、その冒険行に参加する。
「盗賊都市」
- オウエン・カラリフ
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンド近くの小さな都市、シルバートンの市長。
娘のミレルをザンバー・ボーンに狙われている。ある冒険者にポート・ブラックサンドに赴き、そこに住むニカデマスを訪ねるように依頼する。最初に見事な広刃の剣と、金貨三十枚とを、前金として渡す。
- J・B・ラギンズ
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンド・カギ通りにて、鍵職人として店を出しているドワーフ。ニカデマスと敵対しているらしく、ニカデマスを探しに来た冒険者が、彼の友人だと答えると犬をけしかけた(逆に、敵だと答えると友好的になった)。職人としての腕は確かで、あらゆる鍵を開けてしまうマスターキーを、金貨10枚で売ってくれる。
- パイプ夫人
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンド・時計通りにて、花屋を営む老女。
様々な草花を育て、販売しているが、珍しい商品は「10枚の金色の花弁を付けた、黄金の花」。この花を犬の血に浸すと、それぞれが金貨に変わる。花はマジックアイテムか、武器、食料二食分と交換してくれる。
- ベン・ボリマン
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンド・木靴通りにて、銀細工職人として店を出している人間の太った男。やや強欲だが、銀細工師としての腕は確か。
店内には、様々な銀細工を納めた戸棚がある。それを開ける鍵は常に持ち歩き、暴漢や強盗などに襲われたら呑み込み、ガス入りの卵を投げつけて自衛する。
とある冒険者の依頼で、ザンバー・ボーンを倒すために銀の矢を金貨10枚(またはマジックアイテム二個と交換)で作った(金貨が足りない場合、所有している食料全てを代わりに取って行った)。
- ジミー・クィックティント
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンド、粉屋通りの路地突き当りにて、入墨の店を営む入墨師。紫の絹衣を着た太った男で、入墨師らしく自分の腕や手足、顔や胸など、体中に色とりどりの入墨を施している。
ザンバー・ボーンを倒そうとする冒険者の依頼で、金貨十枚で、真ん中にユニコーンを入れた黄色い太陽の入墨をその額に彫った。
斜視の義兄がおり、隣の店で質屋を営んでいる。
- サワベリー
- ファットノーズ
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンドの衛兵であるトロールの二人組。衛兵の制服を着こんでいる。
ニカデマスと会うためやってきた冒険者に、だますような質問をした後に、「部外者は逮捕するが、捕まりたくなければ金を払え」と迫る。
特にサワベリーは、住民たちに対して似たような事を行ってきたためか、彼らから非常に嫌われていた。そのため住民たちは、件の冒険者がサワベリーと戦い殺したら、お礼だと言って町から脱出するのを手伝ってくれた。
- ザンバー・ボーン
「盗賊都市」に登場。
ポート・ブラックサンド近くの塔に住む、強力な力を有するアンデッド。
別名「闇の王者」。アンデッドとしての種は「リッチロード(死霊の王)」。ほぼ骨のみの身体に死肉がへばりついている姿をしている。
シルバートンをムーンドッグ(死の犬)をけしかけ、住民を殺させて、生贄に市長の娘を差し出せと迫っていた。
塔には僕としてスピリット・ストーカーや吸血鬼、ミイラなどのアンデッドを従えているほか、幻影の魔術などで侵入者を困惑させる。日中は超自然の存在ゆえに、戦い倒すには夜間しかない。また、倒す際にも蓮の花と黒真珠と魔女の髪の毛(この中の二つだけで良いという話もある)を混合したものが必要だと言う。
「モンスター誕生」
- ヨワのスワインベアド
「モンスター誕生」に登場。ドワーフの罪人。
冒頭で、目覚めたマランハのモンスターに発見され、剣を振るったが瞬殺された。
サラモリスの乾燥地帯での重罪である『放火』をしたらしく、その贖罪のために、ザラダン・マーに奪取されたエルフの『煙』の捜索に加わっていた。
- グログナス・グロートゥース(グロッグ)
「モンスター誕生」に登場。マンオーク。
コーブン村にて、犬を盗んで食べようとしたところを見つかり、人間たちから袋叩きにされていた。
ドリーの三姉妹から探索の依頼を受けたモンスターに助けられ、その旅に同行する。
占い師の魔女、ロシーナ・ドリーと知り合い。魔法の「煙」の一つを手に入れており、そのフラスコが入ったザックを隠していた。
- ダーガ・ウィーズルタング
「モンスター誕生」に登場。
よじれ樫の森に住む白髪の若きエルフ。冒険心に満ちた若者であり、森から抜けて様々な種族と友人になりたいと思っている。
従姉妹は、魔法の『煙』を三つ所有する美しきエルフの女性、エルリア・フォールスホープ。そして曽祖父は、エルフの『煙』の秘密を、酒場で酒に酔って人間たちに暴露してしまった、エルフの間では恥さらしとも言える、リーハ・フォールスホープである。
ザラダン軍が森近くに訓練場を作った際、オフィタディオタウルスを世話するサイ男と偶然出会い、親しくなった。
後に、『煙』の事を知ったザラダンが、彼に近づくためにこのサイ男に魔法で変装。そして、ダーガ自身も知らぬ間にザラダンから、『魔法生物支配』の呪文をかけられてしまった。その結果、本人の意識しないうちに『煙』を盗み出して、ザラダンに渡してしまう。
人間などには、ホワイトリーフを名乗る。その話す言葉には、真実と虚偽が混ざっている。しかし、魔女「ドリーの三姉妹」の持つアイテム「真実の指輪」の前では、真実を口にする(その際には、「ふむ」と言ってから話し始める)。
- キンメル・ボーン
「モンスター誕生」に登場。
ザラダン・マー軍の司令室が置かれている空飛ぶガレー船、ガレーキープの船医。
ザンバー・ボーンの兄弟であり、アンデッド(リッチロード)。その姿は普通の骸骨そのもので、医務室で骨格模型のふりをしてぶら下がっている。
狂気の医師で、診察に来た者に病気だと言って睡眠薬を飲ませ、眠っている隙に解剖し、脈打つ内臓を摘出する事などを行っている。
普通に戦っても、一時的にばらばらには出来るが、即座に再生するために倒す事はできない。
「サソリ沼の迷路」
- プームチャッカー
「サソリ沼の迷路」に登場。中立の人間の商人。
強力な魔法の品と呪文を金を出してしこたま買い集め、それらを商品にしている。自身を魔法使いと思わせているが、その理由は、扱っている商品と、周囲への影響力を鑑みての事。
交易にて、サソリ沼を迂回する時間と手間を節約すべく、沼の地図を欲している。良くも悪くも商売の利益を第一に考えている。
ゴブリンのメイドを雇っている。また、剣の腕も低くはない。
- セレイター
「サソリ沼の迷路」に登場する善の魔法使い。小屋に住み、植物系の魔法が得意。近所の評判もいい。善なる魔法の触媒となる植物、「アンセリカ」の果実を欲している。人が良いためか、会話しているといつの間にか隠し事も伝えてしまう。
- グリムズレイド
「サソリ沼の迷路」に登場する悪の魔法使い。塔に住む。知識と魔法の珍しい品のコレクター。沼に住む魔法使いの集団「あるじ」の護符を欲する。他者を信用せず、金払いもケチる。
置いてあるゴブリンの像を即座に動かし、自身のために戦わせる事が可能。また、デーモンを即座に呼び出す事もできる。
強力なマジックアイテムを多数所有しており、自身も魔法の剣を所有し、使う事がある。
- 「あるじ」たち
「サソリ沼の迷路」に登場する魔法使いの集団。善・悪・中立の三つに別れ、動植物を司り、自然に関連ある魔法を用いる。それぞれが司る動植物を模した護符を持ち、それが魔力の源。庭園・鳥が善、狼・蛙が中立、蜘蛛が悪。
「仮面の破壊者」
- モルガーナ
「仮面の破壊者」に登場。クールの北に潜む悪の魔女。事象を司る12の魔法の仮面を作り、それを12のゴーレムに被せ、世界征服を企んだ。
- アイフォー・ティーニン
「仮面の破壊者」に登場する、アリオン市の領主の友人である魔法使い。領主とは対等の立場であり、魔法を用いて統治のサポートを行う。モルガーナの陰謀を暴き、討伐するように領主に進言する。
- へヴァー
「仮面の破壊者」に登場。アリオン市の北に存在する、枯葉の谷の領主。自身の城の宴に、ドワーフや鳥男や巨人などを呼び、ともに杯を交わす豪放磊落な男。どのような悪の存在も怯えさせるという、悪魔ヤッチャーの角から作った『へヴァーの角笛』の持ち主。
「死のワナの地下迷宮」「迷宮探検競技」
- スロム
「死のワナの地下迷宮」に登場するバーバリアン。「決死行」に参加した参加者の一人で、隻眼。斧を武器に持つ。牡牛のように力強く、戦いやサバイバルに関しては有能で頼りになる。半面、書物などは軽んじている。兄のクロムも同じく参加したが、兄弟ともども迷宮の罠により没する。
- 「決死行」の参加者
「死のワナの地下迷宮」に登場した、6人の挑戦者。人間の冒険者(プレイヤー)の他は、以下の五人。
:クロムとスロムのバーバリアン兄弟(戦斧を武器に持つ)
:女戦士(金髪で、妖精のような容姿。猫を思わせる緑色の目をしている。十字帯を締め、数本の短剣を持つ)。
:騎士(プレートアーマーで身を包み、剣と盾を装備)
:忍者(黒装束で、暗殺具や刀剣を装備)
「迷宮探検競技」に登場した挑戦者5人は、カーナス卿の名代である人間の奴隷戦士(プレイヤー)の他は、以下の4人。
:カオスチャンピオン(全身をスパイク付のプレートアーマーで固め、メイスで武装)。
:ドワーフの貴族
:エルフの王子
:東洋の戦士(侍。鎧に身を固め、刀を装備)
- サカムビット・チャラヴァスク公
「死のワナの地下迷宮」「迷宮探検競技」に登場。
アランシア北部チャンマイ地方の交易都市、ファングを治める男爵。先代の統治者で父親のアルカット・チャラヴァスクが亡くなった時、21歳で男爵を襲名し、現在まで統治している。
やや暴力を好むものの、ファングを長く平和に統治しており、ファング市民にはかなりの好感を持って迎えられている。
個人的趣味として、『死のワナの地下迷宮』の建造がある。この建造した地下迷宮内部には、様々な罠やモンスターが配置されており、これに挑戦し突破した者には、金貨10,000枚やチャンマイ地域の永久統治権を賞金として与えるイベント「決死行」を開催している。このイベントはファングを大いに盛り上げ、祭りとなって財政を潤している。
が、ある時に、一人の冒険者に突破された。評判は若干落ちたものの、後に改良した新たな迷宮を作り、同様のイベント「勇者の試練」を開催している。
- カーナス・チャラヴァスク
「迷宮探検競技」に登場。
サカムビットの一つ年下の弟。ファングから遠く離れた、南アランシアのブラッド島に居を構えている。
幼少時からファングで兄とともに生活していたが、父親が兄であるサカムビットの方ばかりに気を向け、自身には無関心だった事から、兄に対し敵愾心を抱くように。
父親が死んだ後、ファングの富と権力を狙い、サカムビットを暗殺しようとするも、すぐにそれがばれてしまい、恥辱にまみれ逃げ出した。
現在、悪名高い海賊、髑髏のバーテラ船長と結託。バーテラが各地でさらってきた奴隷をブラッド島の「死の闘技場」で戦わせ、最後まで生き残った者を迷宮探検競技に参加させ突破させる事で、兄の鼻を明かそうと企んでいる。
- 「しわくちゃ」ザラガン
ファングの宮廷魔術師。
幼少期のカーナスの教育係。学識はあるが、教師としては退屈なことこの上なく、カーナスも彼からは退屈な事しか学ばなかった。
カーナスはこの退屈な教師の言葉を聞き流しながら、兄が行っている事……他国の訪問、宮廷で市民からの苦情や意見の聞き取り、狩猟や剣や槍の稽古、馬上試合の観覧や参加など、自分がやりたい事全てを行っている事を羨み続け、それが将来の憎悪を培う事の一因にもなった。
- レクサス
「迷宮探検競技」に登場。ファングの迷宮探検競技の、ある年の競技監督を務める。緋色のローブに、長いひげを生やした魔術師。元はブラックサンドに居を構えていたようだが、サカムビットに雇用された。
参加者の最後の難関として立ちはだかり、指輪の数の確認とともに、使い魔のファイア・インプを差し向ける。このファイア・インプは、レクサスが完成させた呪文の作用で、戦い倒された後に火炎デーモンとして復活する事が可能。
- 毒のアイビー
「死のワナの地下迷宮」に登場。大柄なトロールの女性で、非常に醜い。
迷宮内で働く、作業員の一人。迷宮内のある場所にて、上階へ進むために用いる、ロープ付の籠を引っ張り上げる役割を果たしている。
自分のいる部屋に籠を引っ張り上げたら、籠を利用した挑戦者に対して代価を支払えと迫る。銀のゴブレットなど、途中で手に入れたアイテムを支払えば、そのまま乱暴に部屋から追い出され、競技を続けられる。しかし支払いを渋ると襲い掛かってくる。
ポート・ブラックサンドに衛兵として勤めているサワベリーは、自分の弟。そのため、顔立ちが非常によく似ている。また、姉として弟の成功を誇りに思い、室内に肖像画を飾っている。その事を指摘し質問すると、上機嫌になり弟自慢を行うのみならず、隙だらけになる。
- ノイ
「迷宮探検競技」に登場。サカムビットの迷宮内の現場監督の一人。
太った禿頭の男で、長衣を着た東洋人。両の瞳は乳白色で、盲目である。しかし聴力が鋭く、剣の腕も優れている。
力と知恵と戦闘技術の三つで、迷宮の挑戦者をテストする。部下の穴居人との綱引きで力を、多くある櫃の数を当てる事で知恵を、そして自身と竹棒を用いての剣技の模擬戦闘で戦闘技術を、それぞれ判定する。
待機中は、座禅をするかのように、部屋の床に座り込んでいる。その際には自分の周囲に小さめの立方体を浮遊させており、挑戦者がいきなり襲い掛かって来た時には、その立方体で打ちのめす。
「悪霊の洞窟」
- アストラガル
「悪霊の洞窟」に登場。ゴラク王国の宮廷魔術師で、現在摂政として王国を治めるライダーマーク卿の知人。かつてオルガズを封印し、ゴラク王城最下層に安置した『真の盾』が盗まれた事を知る。オルガズに対抗できる存在……初代ゴラク王の『偉大なるタンクレッド』の正当な子孫の青年(ゴラク城厨房で働く、ウサギ皮剥ぎ職人の第三見習い)を発見し、その証である『光り輝く剣』と、猫神の血を引く雌猫『自慢たらたらのタバシャ』を授ける。
- オルガズ
「悪霊の洞窟」に登場。かつてはゴラク王国初代王『偉大なるタンクレッド』の弟だったが、ゴラク城地下のガッドン地下王国に潜んでいた悪霊に魅入られ、強大な悪霊そのものに変化してしまった。7体の強力な悪魔『クッダム』をしもべに持つ。
兄と激しく戦い、全てのクッダムとともに地下深くに放逐され、その力を強力なマジックアイテムである『真の盾』に封じられた。以降、ガッドンの騎士たちとゴラク城の騎士たちにより見張られていた。
しかし在る時に、ゴラク城の裏切り者により封印を破壊された。その機に部下に命じ、『真の盾』を盗み出させ、手元に置き少しずつ破壊し始める。唯一対抗できるのは、タンクレッドの正当な子孫と、その者が持つ「光り輝く剣」のみ。
「深海の悪魔」
- シラノ
「深海の悪魔」に登場。
水没した海底都市アトランティスの、海底の廃墟内にある聖堂の遺跡に住む剣魚人。
剣魚人であるため、その頭部は鼻先の長い魚で、身体は人間である。水中であるにもかかわらず、仕立ての良い服を着ており、腰からは細身の剣を下げている。
礼儀正しい剣士であるが、やや自信家で、海洋においては『最も偉大なる剣士』であると自負。実際それだけの実力はあり、希望者に対しては、わずかな報酬と引き換えに剣術指南を行う。本人曰く、「(自分は)腕の良い剣士であると同時に、腕の良い教師」。彼に剣を学んだら、その模擬戦闘の勝敗に関係なく、剣の実力は格段に上がる。
剣の他には、ヒーリングポーションも携えており、希望すれば無償で譲ってくれる。
魔法のエラを付けた、地上人の冒険者が迷い込んできたため、その者に対しても剣術指南を申し出た。
「海賊船バンシー号」
- 殺し屋アブダル
「海賊船バンシー号」に登場。
クールの内海にて、名の知られた海賊団のリーダー。内海を荒らしまわってきたために、ライバルであるバンシー号の船長とともに非常に恐れられている。これまでに数々の財宝やお宝を奪い取ってきたものの、バンシー号の船長同様に賭け事が好きなため、賭けてはすってしまっていた。
ある時に、どちらが最高の海賊かを決めるため、バンシー号の船長と腕試しを行う。
「ソーサリー」一巻「魔法使いの丘」
- 殺し屋フランカー
「ソーサリー」一巻「魔法使いの丘」、二巻「城塞都市カーレ」に登場。
シャムタンティ内の、クリスタンティ近辺に現れる、殺し屋兼泥棒。
『王たちの冠』奪取の任を受けた冒険者と遭遇し、切りかかるが返り討ちにされ命乞いをする。
カーレ内でも件の冒険者と再会し、助けてくれた礼として、ちょっとした手助けや助言をくれたりもする。
- グランドレイガー
「ソーサリー」一巻「魔法使いの丘」に登場。
シャムタンティ内の、ビリタンティ村にて、自分の名前を付けた酒場を経営している。
愛用の斧を紛失している。もしもそれを見つけ届けてくれた場合、近場にある水晶の滝の通行証のみならず、友人であるカーレの実力者、『ヴィック(VIK)』の事を教えてくれる。
- ジャン
「ソーサリー」1巻「魔法使いの丘」、4巻「王たちの冠」に登場するミニマイト。
種族特有の「アンチマジックの霊気」のため、近くにいられると大抵の魔法が使えなくなる。
シャムタンティの丘に住み、「王たちの冠」を奪い返す任務を帯びたアナランドの冒険者と遭遇。その者にまとわりつく。そのため件の冒険者は、魔法の呪文が使えずに苦労した。
途中で森の魔女、もしくはスヴェンの祈祷師により追い払われたが、後にカーレからバドゥ・バク平原を横断し、件の冒険者を追っていた。イルクララ湖近くに住むフェネストラは、彼の知り合いらしい。
後にマンパン砦の、重罪人を投獄する牢屋にて、冒険者と再会。その際にはクラッタマンに捕まり、羽を切り落とされていた。
魔法を用いて脱出しようとするかの冒険者に対し、謎多きある呪文に関する助言をする。
「ソーサリー」二巻「城砦都市カーレ」
- ヴィック
「ソーサリー」二巻「城砦都市カーレ」に登場。
カーレにおける実力者で、非常に顔の広い人物。海賊や殺人鬼、レッド・アイのごろつき集団など、危険な連中に対しても彼の名を口にするだけで危機を回避する事ができる。
「ソーサリー」三巻「七匹の大蛇」
- セスター
「ソーサリー」三巻、「七匹の大蛇」に登場。
バクランド、バドゥ・バク平原を旅している、幌馬車の隊商を率いる黒エルフ。
「王たちの冠」の奪取任務を帯びた冒険者と遭遇する。商売人相手、または礼儀正しく接する相手ならば、それなりに誠意を見せる。しかし、下手に重要な任務を帯びている事を教えられたり、無礼を働く相手などに対しては、身ぐるみ剥いで平原に磔にしたまま放置してしまう。
金を払えば、ワートルスープとグロイスター、薬草茶の食事を供してくれる。また、娯楽に飢えているのか、ジョークを用いて笑わせてくれたら態度を軟化する。
商品を収めた幌馬車には、種々雑多な品物が詰め込まれており、値段もそれなりに手頃。王侯貴族の献上品になるような宝石や宝飾品の他、呪文書や食料、呪文に使用する道具などを売買できる。
「ソーサリー」四巻「王たちの冠」
- ナッガマンテ
「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場する、マンパン砦の拷問官。
片目のオーガーで、その醜さは「ミルクすら酸っぱくなり、トロールですら気分が悪くなる」ほど。しかし仕事に関しては有能かつ芸術的(病的かつ堕落した芸術だが)。
タイタンの拷問係の間では有名で、「ナッガマンテの血錆付き親指ねじり器」「オーガーの絞め金具」を誓いの言葉にしているほど。
また、著作「ナッガマンテの拷問の書」は、文章はひどいものの、タイタンの拷問係にとっては長く聖典として読み継がれてきた。
得意の武器はムチ。数m先のブヨの牙を、ムチを振るい抜く事が出来る。
記憶に残る拷問は、マンパンに赴任してすぐ、金目のものを盗んだ蛮族クラッタマンに対し行ったもの。太い針を突き刺し骨を削り、瞼の裏にガラス粉を刷り込み、アキレス腱を切った(針を刺した時点で口を割ったが、楽しむためあえて無視していた)。
自身の仕事にプライドを持ち、拷問室は常に整頓している。その点を敬意とともに賛美した相手には、プライドをくすぐられ、ついぞ情報を漏らしてしまう。特に、スローベン・ドアの一つの秘密を知っており、マンパン砦攻略のためには彼から秘密を聞き出す必要がある。
- ヴァルギニア
「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場する、マンパン砦の宝物管理責任者にして徴税官。
浅黒い肌の太った男で、マンパン砦における金貨や宝物などの貴重品を管理する責任者。そしてよそ者から徴税する徴税官も兼ねている。
とにかく金や金目の物にしか興味が無く、部外者がマンパン砦に入り込んできても、まずは金貨を支払えと迫る。そして支払いをしない限り、話し合いをしようとはしない。
その頭の中には、金貨および宝飾品などの貴重品をいかにして巻き上げるかという考えしかない。「王たちの冠」奪取にやってきたアナランドの冒険者に対しても、金を払わねば交渉すらしない態度だった。金を払えば話合いに応じ、その直前にお茶やスープなどを勧めてくるが……。
また、「ハシ」という名の黒豹を飼っており、ペット兼ボディガードとして隣にはべらせている。ハシに対しては愛情を注いでいる様子で、戦いをけしかけるも返り討ちにされて殺された時には、涙を流し悲しんでいた。
四つあるスローベン・ドアのうちの一つの開け方を知っており、マンパン砦攻略のためには彼からその秘密を聞き出す必要がある。しかし素直に教えるような人物ではないので、いささか計略が必要でもある。
- カートゥーム
「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場する、マンパン砦の衛兵隊長。
マンパン砦内においては珍しく、種族は人間である。その見た目は、「王たちの冠」奪取に来たアナランド人曰く、『カーカバードの東方から来たのでは』と感じていた。
マンパンにおける衛兵(人間とは異なる、黒く体毛が多めの種族がメイン)たちの隊長であり、マンパン砦最奥のスローベン・ドアとその鍵を管理している。また、ゴブリン・ミュータントたちに関しても管理しているらしい。
とある女性を想っており、その肖像画をある場所に飾っている。
- ピーウィット・クルー、および『シンのサマリタン』
「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場する、バードマンの一派。
マンパンに台頭した大魔王により、近場……ザンズヌ連峰に住むバードマンたちは脅かされ、一部は大魔王に取り入ってしまった。そのため、反大魔王派はマンパン周辺各地に散り、ゲリラとして戦っている。それが「シンのサマリタン」と呼ばれる一派。
ピーウィット・クルーをリーダーとしている彼らは、大魔王を何とか倒して、ザンズヌ連峰に平和を取り戻したいと考えている。そのため、あえて大魔王軍に入り、大魔王派を装い内部から工作する者もいる(これが功を奏し、大魔王の忠実な部下なのに疑われ処刑という事態が発生。このために大魔王派のバードマンの内部では不満が生じ、忠誠心が揺らいでいる)。
大魔王と戦う者や敵対する者には、協力を惜しまない。ただし、大魔王派、反大魔王派の区別がつきにくいため、身分を明かし味方にするのは極めて困難。
見分け方の一つの方法として、父母への尊敬の違いがある。シンのサマリタンは必ず母親を尊敬しているが、大魔王派のバードマンはその限りではない(彼らにとっては、父親から学んだ戦いや狩りの仕方のみに敬意を覚えており、母親の事など思い出したくもないらしい)。
彼らを味方にできたら、手渡された呼び子を吹く事で呼び出し、空を運んでもらう事が可能になる。ただし、彼らにとっても正体がばれる危険性があるため、おいそれとは呼び出せないが。
- ジャビニー
「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場。
人間の老婆で、盲目の物乞い。初見時はぼろ布のように見られた。
元は治癒師で、落ちぶれた現在でも治癒能力は健在。相手の額に掌を付ける事で、病魔を吸い取り治療するのみならず、相手の心も多少は読み取ることができる。
かつては、旧世界・カーカバードの南の海岸地帯、ダドゥー・ヤドゥーに住む治癒師から治癒の術を学んでいた。師匠は彼女に、アナランドの方に向かって、そこの人々のため治癒の力を振るってほしいと考えていたが、彼女自身はそれに反発。実入りが良いと思われるマンパンへと赴き、大魔王軍に参加。その治癒能力で兵士らを治療し、マンパンで贅沢三昧な毎日を過ごしていた。
しかしある時に大魔王から、ある命令を下される。彼自身が連れて来たモンスター「マカリティック」の聴力の低さと声の小ささとを、治療し改善しろというのだ。不可能とも言えるこの仕事に失敗し、彼女は視力を奪われ、以降は物乞いをしてマンパン砦の隅で惨めに生かされる事に。特にサイトマスターたちからは、日頃いたぶられ、物乞いで得た僅かな金も取られ、恨みを抱いている。
「王たちの冠」奪取の任務を受けたアナランドの冒険者と接触し、病気を治したり、「シンのサマリタン」の事や、(自身をいたぶる)サイトマスターがアナランドを裏切っていた事などを伝え、ティンパン川の聖なる水を渡してくれたりした。
- ファーレン・ホワイデ
「ソーサリー」4巻「王たちの冠」に登場。
旧世界、北カーカバードのザンズム連峰西・ラドルストーンの学者で、専門は造兵学。閃光粉末(火薬のようなもので、これを矢に装備すれば、飛距離が大幅にアップする)を発明したが、これを大魔王に着目され、バードマンにより誘拐された。以後、マンパン砦の最深部の部屋で無理やり研究させられ続けている。
「王たちの冠」奪取の任を受けたアナランド人と遭遇。当初は扉の陰から不意打ちを食らわそうとしたが、良心の呵責から未遂に。大魔王がマンパン砦ではなく、別の場所に常駐している事を知らせ、合言葉で開く隠し扉の場所を伝える。
その他
- スラッシュベアード
『願いの井戸』に登場。ドワーフで、自分の身体が隠れてしまうほどに長く伸ばした髭が特徴。その髭の中には、小鳥を何羽も飼っている。
井戸の底から続く、小規模の地下迷宮の最初の部屋に住んでおり、訊ねて来た冒険者たちに友好的に接し、手にした袋から小さな木の実を取り出して勧めてくれる(しかしこの木の実は、いくつか傷んでいるが、本人は気付いていない様子)。
- シャグラッド
『シャグラッドの危険な迷宮』に登場。エルフの老婆。痩せて色黒で、顔中にしわが刻まれている。
十年ほど前に、財宝が眠る小規模の迷宮の話を聞き、迷宮が存在する辺り一帯の土地を買い取った。老齢ゆえに冒険に出られないため、迷宮への挑戦者を募り、見つけた宝物の一割と引き換えに迷宮の出入口を教えてくれる。
- プーキー
『シャグラッドの危険な迷宮』に登場。ドワーフの料理人であり、食堂経営者。
迷宮内の一室に食堂を開き、二人の兄弟……グランティーとハンギーとともに経営している。
供するのは、プーキー特製シチューの他は、ヴィトルにワートルスープ、グロイスターに薬草茶、ボンバの実、アードウルフ・ジョイント(アードウルフのもも肉のバーベキュー)にオーク・エール。
- ルドウィカス
『凶兆の九星座』に登場。人間の邪術師。
ファングに面するコク川の下流、死魁城に居を構えている。そこでゴブリンなどの混沌種族の兵士たちおよび、「九星座」と呼称する9名の部下を従えている。様々な方法で『死』を欺き(生き延び)、そうする事で己もまた『死』を気取っている。
『ステロペスの眼』という魔力を有した宝石を所有し、それを盗む依頼を受けた「喉斬り道化師」により殺害されるが……。
- 「紫の瞳」メーヴ
『凶兆の九星座』に登場。人間の魔術師。
ダークウッドの森、ヤズトロモの塔からそう離れていない場所に立つ城に住む、妖艶な美女の魔術師。
ルドウィカスの持つ『ステロペスの眼』を一目見て気に入り、大金と引き換えに『喉斬り道化師』に盗み出すように依頼する。