概要
善側はエルフ・ドワーフ・人間。その他、小人(ピクシー)、小鬼(スプライト)などの小さな種族が挙げられる。
悪側は、オーク・ゴブリン・トロール・オーガー・蛇人(カアス)・トカゲ兵・闇エルフといったものが挙げられる。
巨人は、その多くが野蛮かつ愚鈍だが、一部は太古の知識を蓄え、天候を操作できるものもいる。
エルフ
植物と自然の女神、ガラナによって創造された。美男美女で長命な種族。
魔法と弓の技に長けており、一部を除きほぼ全てが善に与している。自然を愛し、長命ゆえに物事を静観し、性急に物事を決める事を好まない。
森エルフ、山エルフは善に与するが、悪に身を捧げた闇エルフは全ての種族を憎悪し、隷属せんと企んでいる。黒エルフは闇エルフについて行けなかった一派の末裔で、世俗にまみれて生活。
他にも、氷原エルフ、海エルフ、密林エルフ、砂漠エルフ、野生エルフと言った亜種が存在する。
- 森エルフ(ウッドエルフ)
もっともありふれたエルフ。大きな森には必ず存在する。自然を愛し、地下にこもるドワーフをあまり好いてないが、善のため勇敢に戦う点は敬服している。
人間に対しては、野蛮な者は排除するが、理知的で礼儀正しければ協力を惜しまない。得意な武器は弓。接近戦ではショートソードを巧みに使う。強力な魔法で隠された、森の隠れ里に住んでいる。一部の森エルフには「夢の世界を行き来する」力を有しており、十分な魔力を有したら、魔王子イシュトラすらも魔界に退散させる事が出来る。
- 山エルフ(マウンテンエルフ)
山地に住む狩猟生活をするエルフ。森エルフに似ているが、背は低めであまり痩せていない。弓と狩猟刀を持ち、動物を必要最低限狩って糧食としている。樹上に小屋を作り住み、内気で平和を愛し、あまり他種族と関わりたがらない。
- 闇エルフ(ダークエルフ)
太古の戦争で、邪悪に染まったエルフ。地下においやられ、そこで邪悪な文明を作り出した。黒い肌と緑の目を持ち、やはり弓が得意。善の勢力や地上の種族、なにより森エルフを憎悪し、地上で発見した存在全てを略奪し殺戮する。
彼らの首都たる地下都市「ティランデュイル・ケルサス」は、支配者階級のケリスリオン家、襲撃・略奪のキャムカーネイヤー家、採掘・金属精錬のミリスグロス家、食料関係のテサラス家の、四つの貴族が支配している。
- 黒エルフ(ブラックエルフ)
もとは闇エルフの一派だったが、闇エルフに付いて行けず離反した者たちの末裔。他のエルフ種と離れた場所で、都市部などで世俗に塗れ生活している。中には放浪者めいた隊商を組んだり、荒れ地でかつかつの生活をしていたりする。他のエルフには敵対的だが、それ以外は中立。しかし余所者を好まず、金目当てで攻撃する事も。弓の他、槍やシミターも得意。
- 氷原エルフ(アイスエルフ)
寒冷地に住む青白い肌のエルフ。氷と雪からほぼすべてのものを作り出せる。山エルフから分岐し進化したとされているが、あまり見かける事はなく、絶滅したと思われている。
- 海エルフ(シーエルフ)
人魚や海トロールなどと同じく、海に住むエルフ。海中の種族の中でも希少種。体色を変化させ、隠れる事が出来る。得意な武器は貝殻のダガーやスピア、海蛇の毒を塗ったクロスボウなど。陸のエルフとも交流があり、100年に一度の会合にも参加する(その際、用意された巨大な水槽に滞在する)。
- 密林エルフ(ジャングルエルフ)
南方の密林地帯のエルフ。森エルフに比べ逞しい身体つきで、腰布以外身に付けていない。ターザンのように蔓や蔦で木々を飛び回り、石のダガーや吹き矢を用いる。同地域の好戦的な種族を嫌う(首狩り族など)。オフィディオタウルスという動物の調教を最初に行ったエルフ族だと自負している。
- 砂漠エルフ(デザートエルフ)
別名、荒地エルフ(ウィルダーランドエルフ)。砂漠や荒野に住み、砂漠の過酷な環境を生き抜く服や装備を纏う。弓と剣が好みの武器。邪悪な蛇人カアスや野蛮な黒エルフなどと良く戦っている。砂漠の怪物を使い魔とし、ハマカイなどと親密な関係を築いている。
- 半エルフ(ハーフエルフ)
人間とエルフとの間にできた子孫。エルフからは機敏さ・知性・優雅さを、人間からはカリスマ性や親しみを受け継ぐ。時にはそれが邪悪につながる事もあるが、一般的には都市部などで医師や商人、墓荒らしなどの職につく。時には世俗を拒絶し同族で引きこもる事もある。
- 野生エルフ(ワイルドエルフ)
荒野で生活していくうち、オークに匹敵する野蛮な種族になってしまったエルフ。蛮族のように派手に飾り立て、弓を嫌い、肉食に。人間や他エルフをはじめとした他種族を憎悪し、問答無用に攻撃する。
ドワーフ
大地の女神、スロッフによって創造された種族。背は低いが頑強で、戦士として優秀。また、ほぼ全てが職人気質であり、金属加工や細工などの技術を有している。ドワーフの精錬した金属、およびドワーフが鍛え作り上げた武器は、頑丈かつ出来が良い事で有名。
宝石や黄金を採掘し、それらを溜め込む事を生業としている。強い酒、煙草、そして英雄譚を好み、どの地でも他種族の英雄や冒険者と肩を並べ(時には自身が英雄や冒険者として)悪と戦い、英雄譚の材料となっている。好みの武器は、戦斧に戦鎚。
アランシアのファングセインは、ドワーフの聖都。他の居住地には、人間と一緒に生活しているが、ダークウッドの森近くのストーンブリッジは、住民のほぼ全てがドワーフである。
ただし、人間がそうであるように、ドワーフにも悪に転向している者はそれなりに存在する。代表的なものは、ストーンブリッジと敵対している町、マイルウォーター出身のドワーフ達。この町はストーンブリッジ同様にドワーフのみが生活しているが、この町のドワーフ達は他種族はもちろん、他の地のドワーフも敵視し排斥する、好戦的で破壊的な性向を有している。
- 混沌ドワーフ
ドワーフの亜種。魔王子イシュトラから、悪魔の知識……炎と金属の精錬・加工技術を授かっている。その知識と技術を用い、様々な新しい武器や兵器を開発、破壊と殺戮の為に用いようと試みている。このような性質上、邪悪かつ好戦的・破壊的志向を有し、邪悪な混沌側の存在に仕えている事が多い。
その外観にも、普通のドワーフとは若干の違いを有している。アランシアの邪術師ルドウィカスの配下「九星座」の中にも、この混沌ドワーフが在籍している。「魔蠍獅(マンティコア)」の称号を持つコルカザールがそれで、下顎から上向きに二本の牙が突き出て、上唇にかぶさっている。その髭は筒状に巻いており、幾重にも垂らしている。
人間
策略の神ロガーンに創造された、最初の知的種族。
取り立てて特殊な能力を有さず、善悪中立と、あらゆる陣営に存在する。
アランシア、クール、旧世界のあらゆる場所で生活しており、環境に適応して様々な方法で生活している。
蛮人、蛮族(バーバリアン)
環境に適応するためより好戦的・攻撃的になり、力のみを礼賛する文化を築き上げた者たち。
背の高い筋肉質の人間たちであり、黒か茶色のたてがみのような髪と、褐色の肌を有する。
防具の装着を軽視し、毛皮や獣の皮を纏う事を好む。戦いにおいては、巨大な両手剣や戦斧を用いる。
部族ごとに集まっており、タイタンの三大陸全てに等しく存在し目撃されている。部族が住むのは木でできた小屋で、巧みに隠された小規模の定住地にて、4~24名ほどの戦士と、同数の女子供、老人、奴隷が住む。
定住地は他部族への襲撃や狩猟、荒野への遠征、文明人が住む市街地へ交易人(商品は毛皮や象牙など)を送るための基地にもなる。
部族を率いるのは、部族最強の族長。族長は、部族内で最高齢で経験者でもある賢者から助言を受けている。
また、鍛冶師も重要人物。彼らの手により、大剣や大斧などが鍛えられ作り出されるのだ。
他には、神々と繋がり、信託を与えるシャーマンも重要である。彼らは時折、獣人のように熊や狼に変身する事もある。
いくつかのバーバリアンの部族では、狂暴な獣を調教する能力を有している。
アランシアの月岩山地の部族では、グリフィンを卵から孵化させ、乗騎として育てている。
北方アランシア、フロストウィンド部族では、寒冷地帯に適応した長毛のペガサスを飼育・調教しており、空から攻撃する彼らは『スカイライダー』として知られる。
バーバリアンは時折、これら獣の子供も取引している。
また、喉を焼く強い蒸留酒「アクアビット」も有名。氷のように透き通っており、キャラウエイシードで味付けされる。これを角杯、または牙の盃で振る舞うのが普通。これを一定量飲んだら、体力の回復のみならず、高揚して攻撃力も高まる。
他にも、乾燥肉に治癒の薬草を振りかけた保存食も有しており、バーバリアンの冒険者はこれらの酒と干し肉をよく持ち歩いている。
総じてバーバリアンは優れた聴力と視力を有し、まずは拳で語り合ってから質問する傾向がある。魔術や魔法の類は激しく嫌うものの、戦闘や狩猟の幸運を祈り、簡単な魔除けやお守りを身に付ける事はよくある。部族のシャーマンを通じ、先祖の霊を崇拝するとともに、自分たちの信じる自然の力……吹雪や嵐や火山など、それらに繋がる神々にも敬意を払う。他に、鍛冶の神や動物の神々なども好む。
狩猟や旅、冒険の際には、それぞれで選択した神々のトーテムやシンボルを持ち歩いている。
バーバリアンの中からは、有名な冒険者が輩出し、名高い者たちの数々の冒険譚がタイタンには伝わっている。
- 山男、山賤(ワイルド・ヒル・マン)
アランシア東部、月岩山地に住む野蛮な人間の一種。ケイブマン(穴居人)やネアンデルタール(原始人)に近いが、それらよりかは賢い。
一説によると、元は文明社会に住んでいたが、野生の原始的な生活に自ら進んで回帰した者たちらしい。
毛皮やなめした革を身に付け、石の棍棒や石斧、粗雑な弓を持ち、それらで攻撃する。
冒険者たちが出会う時は、大抵が何らかの獲物を追っている時。そのため、出会ったらすぐに攻撃するか、あるいは警戒するかのどちらかである。
猪や鹿、鴨や兎などの動物を狩り、焚火で丸焼きにして食べる。
ほとんどは小さな部族で集まり、草の小屋や洞窟の中に住む。
しかし、猛獣や好戦的な蛮族からの自衛のために集まっているだけで、指導者や組織だった社会構造は有していない。
- 猿人
毛に覆われた人型種族。獣の皮の腰巻のみを身に付け、骨の棍棒を武器に持つ。
樹上に住み、巨木の枝の土台に木の枝を用いて小屋を作る。蔦をロープ代わりにしてぶら下がり、食料を求めて移動する。
雑食性で、森林内の縄張りで見つけたものは小動物から果実など何でも食べる。
俊敏で、細い木の枝でもぶら下がって移動が可能。慣れない相手に対して有利に戦える。
ねぐらの小屋には、たいていは骨と腐りかけの果実がある。また、価値は無い安ぴかものも見つかるが、これは単に輝くものに惹かれただけである。
- 首狩り族
ジャングル奥地などに住む、原始的な小部族。
犠牲者の頭部を切り落とし、茹でて四分の一ほどの大きさに縮めて装飾品にする風習を持つため、この名が付いた。この首は、彼らにとっては戦士としての武勇を示すものである。
同時に食人の部族でもあり、食料が必要な時には、密林小人など自分たちより弱い部族を襲う。
身に付けるのは、腰布と戦化粧、髪の鳥の羽のみ。棍棒と、火打石の穂先の槍を持つ。
村には3~18人の戦士が常駐し、祈祷師が治めている。
祈祷師は信奉する神々と部族の者たちとをつなぐ役割を持ち、その立場を示すために儀式用の仮面をかぶり、粗削りな宝石を身に付けている。
- 穴居人(ケイブマン)
岩の多い地域に住む原始的な野蛮人。内部で繋がった洞窟に住み、集落を成している。
動物の毛皮、特に熊の毛皮をまとい、石の棍棒や火打石の穂先が付いた槍を武器に持つ。
知能は低く、獣の唸り声でしか意思疎通はできない。大きなものは全て、食料か自分たちの敵にしか見えず、出会ったもの全てを攻撃する。二つ以上の部族間で常に争っているのも、些細な事が原因。
洞窟内部は不潔で、腐った食べ物と古い毛皮があるだけで、冒険者に価値のあるものは無いのが普通。
- 原始人(ネアンデルタール)
多くの地域で見かけられる、野蛮な原始的種族。狩猟隊の中、または宗教トーテムや像の周りに小屋を建てた集落の中で遭遇する。
不潔でやせこけた人間のような外見で、髪はぼさぼさ、粗削りの槍とナイフ、荒っぽいつくりの装飾具で着飾っている事もある。
神々を含め、山から太陽まで、自分たちが理解できないあらゆるもの全てを信仰する。
部族の中にはシャーマンもいる可能性があり、骨やガラガラ、鳥の羽などで身を包み、不気味なボディペイントをしているが、特殊な能力は何もない。
知能は低いため、オークやゴブリン、邪悪な人間などに付き従っている事もある。一介の冒険者であっても、部族内で本物の魔術を披露したら、神として扱われる可能性大である。
- 密林小人
辺境の密林地域に住む、小さな未開人たち。
身長は1m程度。腰布のみを身に付け、肌は茶褐色。
果実と根菜の他、毒の吹き矢で狩る小動物も捕まえて食べる。この吹き矢の毒は、人間を殺せるほどの強い毒ではないが、意識を失わせる程度の威力はある。
もしも人間の冒険者が攻撃したら、この吹き矢で意識を失わせ、その間に黄金や装飾品……彼らにとって大好きなものを奪い取り、そのままジャングルに姿を消す。
下生えの奥深くに隠された村に住み、族長とシャーマンが治めている。
- 女戦士(アマゾン)
クールの外れに住む、狂暴な女戦士の一族。
槍に剣か小剣、長弓を持ち、皮鎧と小さな盾を備え、馬や飛べない巨鳥フォロラコス、あるいは剣歯虎などを乗騎にして、奴隷や戦利品を求め襲撃する。
略奪品は、隠された小路を通り、要塞化した村に持ち帰る。村には3~18人の住民が住み、彼女たちを率いるのは「奴隷見張り」と呼ばれる年かさのアマゾンである。
「奴隷見張り」のほとんどは、かなりの力を持つ魔女や女妖術師で、村を魔法や魔法以外の罠で守り、よそ者に覗かれるのを防いでいる。
彼女たちは、謎めいた女王を恐れ敬い、献身と貢物(奴隷から選んだ男)を捧げる。
男児を含む不要とされた奴隷たちは、奴隷商人に売り払われ、女児のみがアマゾンとして育てられる。また、女性の奴隷で十分な戦闘能力を持つ者も、忠誠を試す厳しい試練を経て、アマゾンになる事もある。
女王の居場所は厳重に伏せられており、北方の王国では賞金がかけられているが、探しに行った賞金稼ぎで生きて帰った者はいない。
- クラッタマン
カーカバードのバドゥ・バク平原に住む野蛮な半遊牧民。
元は人間だったのが、カーカバードの混沌の汚染を受け、野蛮な未開人になったらしい。襲撃や略奪に熱心で、バク地方全域に悪名を轟かせている。
長身でやせこけ、逞しい腕と醜い顔を持つ。
知性や金よりも力を重視し、ぼろぼろの毛皮を鎧代わりにまとい、棘付き棍棒を好みの武器として携えている。
村は枝や石の雑多なもので作られた惨めなもので、中心部には共用の区画があり、猪の丸焼きや茶のようなシチューなど、食事が用意されている。
村を率いるのは一人のチャンピオン。冒険者や旅人は、村に招かれ食べ物や飲み物を振る舞われるが、これはチャンピオンと戦わせ、どちらが強いかを決めるためである。
冒険者がそのままクラッタマンのチャンピオンになり、村を率いた例もある。
が、この野蛮人たちはあまりに愚かなので長続きはしない。彼らは唸り声ばかりでまともに会話が成り立たず、未知の存在に対しては過度に迷信深く臆病である。
- 原住民(ネイティブ)
タイタン12の海と四つの大海の中でも、特に暖かい地域の熱帯諸島に暮らす、固有の人間種族。密林の小さな開拓地で、魚や獣を狩り、作物や動物の飼育で生計を立てている。
一説には、海底に沈んだアトランティスの民の末裔ではないかともいわれている。それぞれの場所で数を増やし、様々な異なる文化を作り出し適応していった。
絶望の島と、その近くの傷痕島に住む「キアラブー部族」は、ホブゴブリンやもっと性質の悪い者たちと戦争を続けている。腰布と自然の接触毒を塗った槍で武装、小さな装身具や装飾品を巡って商談し、値切ったりするのを好む。
率いているのは、呪術師アルカンディ。銀の線細工と鳥の羽飾りで装飾された儀式用の杖を持つ。
どくろ島の密林に住む「ウサイ部族」は、『賢き女王』ズィティーアが統治。
狩ったガゼルと、育てている熱帯の果物ノークを食料としている。
しかし、普段は暗黒神クエズカリのヴードゥー司祭と戦っている事の方が多い。戦いに際しては、ポーラランという十字型のブーメランを開発し用いている。
ウサイ族は好戦的で疑り深い原住民だが、高潔であり、よそ者に対し信用されたくば戦士の試練……密林の獣と戦ったり、煮えたぎる泥沼の上を丸太橋で渡るなど……を受ける事を要求する。
- 山岳部族
アランシアの山男より文明化されている、クール北部の部族。
山がちな高地や平原にすみ、攻撃的かつ信用がならない。互いを襲い奴隷狩りや略奪を行ったり、孤独な隊商を見つけたら奇襲をかける。
攻撃に際しては、遠距離では投槍や長弓、接近戦は短めの槍を用いる。
防具は原始的な皮鎧を好む。彼らが殺した獣の皮、ナンディ熊やサーベルタイガーなどを殺す事が、偉大な戦士の証と信じているのだ。
遭遇する時は1~3人の狩猟隊が多い。子供や老人たちは粗末な小屋の隠れ里に身を潜めている。
- 豹戦士(パンサー・ウォリアー)
アランシア南部のジャングルに住む部族。自分たちのトーテム動物・パンサーに倣い、樹上に生活の場を求めた者たちである。
ジャングル内の木々の天蓋を作る場所に居住地を作り、ロープや蔦や蔓で行き来できる木の葉の屋根の小屋を作り、3~18名で生活している。
狩りの時には、木の上から6名程度の小集団が降りてきては、獲物を攻撃する。虎の牙のような湾曲したダガーを振るい、豹の毛皮を身にまとっている。
豹の神スク・ラチを崇拝。居住地は戦士司祭により率いられる。
司祭は実際に、獣人のように黒豹に変身できるという噂があるが、証明はされていない。しかしパンサー・ウォリアーの居住地周辺には黒豹の群れが潜み、この部族に捕えられた者は即座に、スク・ラチへの生贄として黒豹に差し出される。
一説によると、パンサー・ウォリアーたちははるか昔の、洗練された文明の生き残りではないかとも言われている。この地方で一大文明を築きながら、後の「魔法大戦」やトカゲ兵団の侵攻という災厄にまきこまれ、原始的な現在の状態になってしまった、というのだ。
実際、パンサー・ウォリアーのいる密林には、豹の彫像が置かれた石の神殿の廃墟が存在するが、決定的な証拠は今のところ存在しない。
遊牧民(ノーマッド)
かつて、一つの大陸が三つに分かれた後、各地の遊牧民は平坦な地域と砂漠に広く移り住み、適応していった。
伝説では、「ハーフハンド兄弟」が全てのノーマッドの始祖であり、ノーマッドたちはこの兄弟の末裔であると言う者もいる。
彼らノーマッドは普通の文明人およびバーバリアンとは異なる、独自の文明を有しているが、それぞれの場所で異なっている。共通する点は、定住地を持たず、絶えず彷徨っている事。
馬やラクダなどに騎乗し、乗ったままで弓やテントの修理など、なんでも行える技量を持つ。
槍やサーベル、小弓で武装し、小さな盾と漆塗りの皮鎧を着ている事が多い。遭遇時には、1~6人の狩人や斥候である事が多い。
まれに、彼らのテントや、動物を繋いだ居住地に遭遇する事もある。その際には4~24人の戦士と、同数の非戦闘員が居る。
- 砂漠ノーマッド
砂漠のノーマッドはラクダと馬に乗り、乾燥地や荒地で見かけられる。砂漠外縁部を放浪し、ラクダの皮や貴重品を、街で取引して生計を立てている。旧世界には砂漠は存在しないため、砂漠ノーマッドも存在しない。
:アランシア
- どくろ砂漠
黄色か白のローブを着て、砂の神アッサマーラを信奉する聖人・スーフィに従っている。
彼らはラクダや馬にまたがりながら逆棘付きの銛を用い、ジャイアント・サンドウォームを狩る事で知られている。
サンドウォームの肉は食用に、皮膚はテントや革製品の材料に、歯は象牙のような細工物やダガーになる。
:クール
クールの砂漠のノーマッドは、内陸のいたるところに存在する。
- 北方デッドランド
よそ者に親切で、「賢者戦士(ウォリアー・サバント)」を自称。太陽神ハズディールの道に従っている。
- シセラ砂漠
リザードマンやゴブリンと戦争をしており、混沌第一神「死」こと「死の神クルシュ」の入信者である。
- クール西側、ムルブズ湖畔やザゴウラ
「南の剣士」として知られる強盗と傭兵の犯罪者集団で、ラクダとポニーに乗っている。
- 双子太陽の砂漠
クール中央、混沌の荒地と巨人山脈の麓の間にある「双子太陽の砂漠」には、黒いローブと双子の太陽の入れ墨をしたノーマッドが存在する。大ムカデ「サンドクローラー」を使役し、奴隷やよそ者を狩るためネットと吹き矢を用いる。彼らの聖人はデルヴィッシュと呼ばれ、荒野に隠された神殿を守護している。
- 平坦地ノーマッド
平坦地のノーマッドたちは、草の多いステップ地帯に住んでいる。
雄馬の神フハンニアの信奉者であると同時に、下位神も信奉。それぞれの氏族にはシャーマンが一人はおり、予兆の解釈と聖霊への嘆願が彼らの役割である。
:旧世界
レンドルランド中央平原に住み、戦藩王(バトル=ハン)に導かれている。しかし彼らは王に貢ぐより、アナランドなどを襲撃する事の方に関心を寄せている。
:アランシア
アランシアでは、平坦地のノーマッドたちはあまり組織立っておらず、小さな戦闘氏族を形成し、あちこちを放浪している。
また、かつての文明が残した神殿で礼拝を行い、銅と青銅の棒杖を通貨に使用している。
:クール
かつてはケイベッシュ帝国を建国し、クール全土にまで広がったが、邪悪に対する戦争でバラバラに分裂してしまった。現在のクールのノーマッドは、辺境地に閉じ込められている(小さなカザン王国、ラガシュ近くの地域、古戦場など)。
巨人(ジャイアント)
主神タイタンによって創造された種族。巨大な体躯で、通常は人間の五倍程度。嵐巨人を除けば概して野蛮で粗野で短気であり、自分の巨大さを忘れ、進行方向にあるもの全てを考えなしに踏みつぶしたりする事がよくある。
- 洞窟巨人(ケイブジャイアント)
巨人内で最小の、3m程度の身長で、なおかつ猫背。洞窟や地下迷宮に住み、周囲の生物を捕え食べる。暗闇を見透かすが、いきなり光にさらされると視力を失う。石の棍棒を持ち、投擲用の岩入りの袋を持つ。あまり賢くない。
- 海巨人(シージャイアント)
巨人の中で最大級、10m以上の身長を有する。水かきをもち、大きな船を嫌ってひっくり返したりする。空中と水中どちらでも呼吸は可能。イルカや人魚と親しくすることもあり、住居の巨大海底洞窟は沈没船からの宝で飾っている。
- 嵐巨人(ストームジャイアント)
巨人の中で最も賢い。高山の頂上、雲上の巨大な石の城などに居を構える学者で、太古からの知識の守り人。身長8m。天候操作する事も可能。これで軍隊や艦隊に影響を与えるだけでなく、洪水や干ばつに苦しむ地域を助ける事もある。大鷲やエアエレメンタルなどと同居している事もあり。図書室や観測室は、太古の知識や遺物が詰まっている。
- 丘巨人(ヒルジャイアント)
最も一般的な巨人。身長7m。粗雑で野蛮、動物の毛皮を着ている。木の棍棒の他、大きな岩を持ち歩き、遊びで人間など「小さな」生き物の村に投げつけることも。洞窟に熊と一緒に住み、隅に人間を含む肉の塊を吊るし、保存食の倉庫にしている事もある。
- 森巨人(フォレストジャイアント)
身長は最大5m。毛皮や布を着て、木の棍棒や石斧、投げるための岩を持ち歩く。森に住み、森の木々の世話を行い、森エルフと親しくなることも。若木を育てはするが、薪のため大木を平気で切り倒す。侵入者には岩を投げつけ、棍棒でとどめを刺す。人間の肉も嫌いではないが、鹿や猪の肉の方を好む。
- 霜巨人(フロストジャイアント)
身長最大6m。氷原など、積雪寒冷地帯に住む。青白い肌と白髭、白髪。白熊の毛皮を着ている。孤独を愛し、雪狼を引き連れ生活。狩りにも雪狼を最大6頭連れている。狩った獲物全てを食うが、数に勝るトア・スオだけは近づかない。黄金を集め洞窟に溜めるのが好きで、人間の旅人や隊商を発見したら、金貨目当てで襲う。
- 沼巨人(マーシュジャイアント)
身長6m。やせ形で、脇腹の膜と手の水かきで、沼を泳ぎ移動する。普段は沼に潜み、沼地の小さな人型種族を見つけては食べている。筏で移動する人間を発見したら、筏ごとひっくり返し、溺れさせてから食べてしまう。
- 山巨人(マウンテンジャイアント)
嵐巨人のように山岳の最高峰でのみ見つかる。身長8m。しかし嵐巨人と異なり野蛮かつ好戦的。石斧や棍棒、時には木を抜きそのまま振るったり、大岩を投げつけたりする。大鷲をペットや狩猟用に飼い、縄張りへの侵入者を攻撃させる。欲深く孤立しており、黄金や財宝を高地にある洞窟にため込んでいる。
鳥男(バードマン)
口に嘴、背中に鳥の翼を持つ鳥人間。猛禽のごとき鉤爪を手足に持ち、身体は羽毛で覆われている。自在に空を飛び、鳥の囀りのような言語で会話するが、人間の言葉を用いる事も可能。
高山地帯にある集落や洞窟で生活している。その形態に違わず、鳥のように自在に空を飛び、携えた剣や槍を用い戦う。
外界の情報や自身の敵と戦うための手助けと引き換えに、冒険者を助けてくれることがある。しかし人間同様に、利己的で邪悪な者も存在するので注意が必要。気に入りの処刑方法は、獲物の手足を掴んで空高く運び、そのまま地面に落とすというやり方。
アランシアおよび旧世界のカーカバード全域で見られる。
アランシア北部の月岩山地のバードマンは、極めて原始的な部族であり、金属製品に惹かれており、その所有が部族内のステータスとなる。そのため、大勢で隊商や冒険者パーティなどを空中から襲撃する事も多い。が、本来は臆病な生き物なので、抵抗されるとより簡単な獲物を求め去ってしまう。
カーカバード、ザンズヌ連峰のバードマンはより文明化されており、徒歩では容易に赴けない山肌に居を構え、巨大な入り組んだ町を作っている。
マンパンの大魔王の台頭で分裂し、大魔王に付いた派閥は『王たちの冠』の盗難に成功した。
反大魔王側の派閥は追い立てられ、現在は山間部奥地に引きこもっている。そこからゲリラ活動をしつつ、大魔王とその軍勢と戦っている。そのため、大魔王と敵対する者には協力を惜しまない。
半獣半人の種族
- ケンタウロス(セントール)
上半身は人間、下半身は四本足の馬の種族。
弓に槍、盾を持ち、時には全身鎧に身を包む事もある(馬部分も含め)。タイタン中の開けた草原に住み、食料を求め狩猟隊を編成し彷徨う。草も肉も食らうが、後者を好む傾向にある。
知性は人間と同じで、会話も可能。しかし、多くの部族は人間を襲い食らう事も厭わない。
人間の蛮族に似た、力を信奉するような文化を築いている。また、ケンタウロスの信仰では、元々は普通の馬だったのが、罪を犯したために雄馬の神フハンニアより罰が下り、人間の身体を持つ呪いを受けているのだと言う。この呪いから解放される希望を語る物語を話したり、語ったりする事を好む。
幼いケンタウロスは、親によく似ているが、小さく悪戯好きである。
- フェリノール
アランシア、東部平原に住む種族。ケンタウロス同様に、上半身は人間、下半身はライオンの四本足と胴体を有する。
腰から上の人間の部分は金茶色の肌で、手入れのされていない豊かな髪が、たてがみのように伸びている。
腰から下は、しなやかで力強いライオンのそれで、やはり金茶色をしている。
ライオン同様に温暖な草原を渡り歩き、鹿やレイヨウを狩る。狩猟の際には弓や投げ槍を用い、その腕も高い。ショートソードも携えており、背負った矢筒に鞘を縛り付けて持ち歩く。
小さな家族集団を作り、草原の一部を縄張りにして生活する。男女両方とも狩りに参加するが、世話が必要な幼子を持つ女性は免除される。
家族はそれぞれ大きな部族に率いられ、最強の男が統治。各季節に模擬戦やトーナメントを行い、この最強の男を決定する。
決定した場合、選ばれた男は次の季節にどこで狩りを行うかを決め、最初の獲物を獅子の神クラウに捧げる。彼らの信仰では、自分たちはクラウの子供だが、罪を犯し罰せられてこの姿になっているとの事。
フェリノールの子供は大人とほぼ同じ姿だが、下半身にうっすら焦げ茶色の斑点を持つ。また、フェリノールは独自の言語の他、ライオン語も会話に用いる。
- ゾロア
蟻と人間が合わさったような種族。上半身は人間で、下半身はケンタウロス同様に大アリのそれである。体高は約2m。全身が濃いめの赤茶色。
人間部分は耳が無く、額から触覚が生えている。また、目は銀色で暗視能力も有する。
嗅覚も鋭く、叩音や鼻音から成る奇妙な言語で会話し、時には家畜として飼育している大アリとも会話する。
地下に巨大な共同体を作り生活。地上からは、頂上に開口部がある剥き出しの小丘に見える。常に巣の周りには戦士ゾロアが巡回し、労働者ゾロアを警護している。
労働者ゾロアは全共同体の食料を製造し、戦士よりもいくばくか小柄で体色も薄く、知能も劣る。
戦士ゾロアは短槍やジャベリン、スリングで武装。時には彫刻された骨製の角笛を用い、危機に陥った時に警告する。
共同体内部には小部屋が多くあり、いくつかは食料や装備の倉庫、他は居住空間になっている。
労働者ゾロアは共同寝室、戦士は個室が用意されているが、ほとんどの部屋は幼虫の養育室に用いられている。
膨れ上がった巨大な女王が卵を産み、そこから生まれた幼虫は、大人を小さくしたような姿。女王お付きの、十数体の養育係の乳母ゾロアにより、女王および幼虫は世話される。
幼虫は無力なため、自衛が可能になるまでは、乳母ゾロアが食料を与え育てる。一つの共同体には最大で200体のゾロアがいるが、半数が幼虫、残りの三分の二は労働者、残りが戦士ゾロアとなる。
人獣(ライカンスロープ)
いわゆる狼男のような、獣に変身する種族。タイタンにも存在する。
人獣に噛まれることで、犠牲者は噛まれた人獣に変身する奇病に感染。一時間後には高熱を発し、無力化する。この時点でベラドンナの小枝を見つけ噛む事ができれば、完治は可能(ただし毒草ゆえに、体力を減らさねばならないが)。
できなければ発熱はさらにひどくなり、噛まれた人獣とそっくりの姿になり、以後は人獣と化して残る生涯を過ごさねばならない。
人獣は二重生活を送る。日中は通常通りだが、日没後には自らの意志で変身が可能に。また、満月の夜は、月が昇ると自動的に変身してしまう。変身すると力は増すが、知性は下がり、血に飢えた獣と化してしまう。このためあまり社交的ではなく、種によっては人間よりも自然の中で、自分が変身する獣の同族と生活する者も多い。
主に以下の四種、人狼(ワーウルフ)、人熊(ワーベア)、人虎(ワータイガー)、人鼠(ワーラット)があるが、遠方の地には「人狐(ワーフォックス)」「人鮫(ワーシャーク)」といった変わり種が居るらしい。
- 人狼(ワーウルフ)
最も一般的な人獣。二種類の変身形態(二足歩行で手を持つ狼人間形態と、完全な狼形態)を持つが、満月の夜には自動的に完全な狼に変身する。北方の大半の地域で遭遇する。
- 人熊(ワーベア)
人獣で最強クラス。日中は人間よりも熊と過ごす事を好み、自然の中で熊とともに生活している事が多い。洞窟など、自分のねぐらには本物の熊数頭と生活しており、自分に従わせている。人間時に遭遇した場合、大柄で動きが鈍く、めったに怒らない。しかし怒らせたら危険である。
- 人虎(ワータイガー)
北方より熱帯地域に多い。やはり普段は自然の中で、本物の虎を引き連れ、虎とともに過ごしている。
他の獣人と異なり、圧倒的に女性が多いが、獰猛さは全く劣らない。
- 人鼠(ワーラット)
他の人獣と異なり社交的で、都市の下水道のような場所に、小さな共同体を作って過ごしている。暗い中で常時生活しているため、日中でも常時変身が可能。嗅覚も鋭く、下水道内の悪臭の中でも獲物を嗅ぎ分けられる。
下記のネズミ男とは無関係。
オーク
悪の種族の代表格。タイタンのどこにでも存在し、あらゆる冒険者が最も頻繁に遭遇し、戦い、討ち取るべき種族でもある。
他者の苦痛を喜び、不潔かつおぞましい場所で生活しているのが普通。スタミナがあり、弱い者いじめを好むため、しばしば悪の軍勢(デーモンや悪の魔法使いなど)に参加し、兵士として善の勢力やその軍勢へと戦いを挑む。しかし根は臆病かつ自分勝手な生き物なので、不利になるとすぐに逃げだす。
ひどい酒「グアーシュ」を作る事で有名。それ以前に鉄や石なども消化できる第二の胃を持つため、手でつかめ噛めるものならば、鉱物や泥など、何でも自分の食料にしてしまう(同族の死体も同様。ただし、アンデッドは口に合わないため食べない)。
神話では、ドワーフの創造主である大地の女神スロッフに仕える、下位神(または半神)「ハシャク」が創造したとされている。
また、「オークは、人間と豚または猪を合成して作った」「豚や猪を元に創造された」という説は、後述する無関係の別種族「タスカー(牙人)」と混同したために出た誤解である。
- ブラッドオーク
オークの変異種で、角と背中にトゲを持ち、鋭い牙が口に生えそろっている。名前の由来は、武器が無くとも噛みつきなどで、血みどろの戦いを行う事から。
- ピグミー・オーク
強盗と暗殺のために品種改良された、小柄なオーク。ゴブリンよりも小柄だが、その分敏捷性は優れており、邪悪な主に暗殺団や盗賊として雇われている事が多い。
- 沼オーク
別名湿地オーク。その名の通り沼地に住み、槍と粗末な矢で常に武装している。魚と沼地のキノコを常食。沼地の蛇は珍味として食す。同じ湿地帯に生息している、トカゲ兵の兵団に加わる事も多い。
- 人(マン)オーク
オークと人間の混血種。人間と似ているが醜く、人間とオーク両方から嫌われ迫害されている。そのために両者が居ない場所で寂しく生きている者が多い。
- ブラックハート
オークとダークエルフの交配種。かつて英雄ブレンダン・ブラッドアックスに絶滅させられたと思われていたが、生き残りが存在する。オークの醜い顔とがっしりした体格、ダークエルフの背丈に弓の腕前を有している。普段は狩人として丘陵や森林の居住地に住むが、悪の軍勢に加わり、ブレンダンの子孫と戦いたいと願っている。
ゴブリン
オーク同様に、悪の種族の代表格。こちらもタイタンの各所に存在し、嫌というほどに遭遇し、戦わざるをえない種族である。
オーク同様に、他者や他種族の苦痛を喜ぶ。荒野で原始的な生活を送る者もいるが、やはりオークと同じく悪と混沌の軍勢に加わり戦っている者も多い。
通常のゴブリンは、大半が農業や狩猟、それにクズ拾いなどをして生活しているが、気晴らしに他種族の村や社会などを襲撃したり、旅人を襲撃したりする。また、あらゆる罠や機械仕掛けも好きで、それらを用い悪質な罠をしかける事も多い。そのため、ゴブリンの住居の洞窟には、多数の罠が仕掛けられ、ベテランの冒険者ですら二の足を踏む。
軍隊に属しているゴブリンたちは、オークに比べると華奢で小柄なため、軽歩兵的な役割を振られる。その他、ブービートラップや破壊工作兵など、技術者として働く事もある。
オークと混同される事も少なくないが、オークと異なり石や泥は食べない(食べるのは新鮮な肉や野菜。共食いもしない)、決して愚かではない(知的ではないがずる賢い)、木や石を崇拝しない(ただし、信心深くはあり、自身の神やトーテムは崇拝する)。
- 沼ゴブリン
沼地に住むゴブリンの一種。細身で鱗の皮膚と、手足に水かきを持つ。陸のゴブリンとは仲が悪いが、人間を嫌う事に変わりはない。
- ホブゴブリン
ゴブリンとオークの混血種と思しき種族。人間と同じくらいの背と体格で、ゴブリン同様に他者や他種族の苦痛を好む。特にエルフを苦しめる事を好み、優雅で美しいもの全てに憎悪を抱いている。
人里離れた場所で原始的な生活を送っている者もいるが、多くは邪悪や混沌の軍勢に参加している。
- トア・スオ
寒冷地に住む、ホブゴブリンの亜種である蛮族。全身を白い毛で覆われ、雪の悪魔とも呼ばれている。北方の厳しい地で生きるため、常に獲物を欲しており、雪狼を引き連れて襲えるものにはなんにでも襲い掛かる。フロストジャイアントに対してすら、臆せずに数の暴力で挑戦し、倒してしまう事も少なくない。
ホブゴブリン語に似た、唸るような独自の言語を喋る。ホブゴブリンでも、この言葉を理解するのは20体のうち一体程度。
- ガーク
ゴブリン族最大の種族。ゴブリンと巨人の交配種で、ホブゴブリン以上の体躯を持ち、一見すると大柄なゴブリンに見える。知能は低めだがオーガーやトロールに匹敵する力と戦闘力を有し、かっとなると見境が無くなる。きらきら光るものに目が無く、安ピカものを集めていたりする。
- 穴小人(トログロダイト)
ゴブリンと同じか、さらに小柄な、洞窟に住む小型の種族。完全な闇の中でも、コウモリのように反響する音で周囲に何があるかを察知できる。ゴブリン同様に罠を仕掛けるのが得意。また、小型の弓を扱うのがうまく、余所者には矢を放ち攻撃する。
トロール
大型の醜い人型種族。オークと血縁関係にあり、いたるところに存在する。常に自分たちの好む、邪悪な行為に手を染めている。醜く愚かで乱暴、そして破壊的志向を有している。
神話では、ハシャクによりオークより前に作られたが、あまりに愚かなためタイタンの暗部に捨てられたと伝わっている。
妙なユーモアのセンスがあるものの、洗練されておらず、内容はくどく、表現は粗野である。
- ケイブ(洞窟)トロール
トロールの中で最も原始的。社交性が無く、日中は洞窟や地下迷宮に潜む。棍棒やナイフを使うが、素手で鉤爪でも十分威力がある。人肉を食らい、光るアイテムを好み収集する。
- シー(海)トロール
海だけでなく内陸の湖にも生息する。鱗の肌と手足の水かき、首筋のエラ、それら以外はケイブトロールと同じ。魚が主食だが、船を転覆させ人間も食らう。地上では呼吸できず、数分しか生きられない。人魚に嫌われており、縄張りに近づくと攻撃される。
- (一般)トロール
いわゆる普通のトロール。かつては荒野で生活していたが、現在はほとんどが文明化し、町で生活したり、邪悪の軍勢に参加していたりする。粗野で気難しく、他種族がひどい傷を負うようなおふざけを好む。武器の好みは戦斧にウォーハンマー。
- ヒル(丘)トロール
ドワーフと有史以前から争っているトロールの種族。好戦的で、旅人や丘陵の居住者の脅威。毛皮や皮の服を着て、槍や戦斧を好んで使う。丘の高地に村を作り、そこから谷へ、そしてドワーフや人間の居住地へ襲撃する。
- ハーフ(半)トロール
人間とトロールの混成種。人間より大柄かつ、トロールにしては平均以上の知性を有する。肉体を活かした兵士や護衛などの職に就くが、権力のある地位に就ける者もいる。
- 双頭トロール
大柄で、混沌の力の影響で双頭になり、その肉体は尻尾や角や棘などの変異がある。知性はケイブトロールと同等の愚かさで、互いの頭同士で言い争う。その分強さは二倍で、与えるダメージも二倍。常に一体で、地下迷宮や荒野の洞窟に潜み、戦斧や石斧で獲物に襲い掛かる。
- ドラガー
オークとトロールの交配種。2m近くの大柄な種族で、ぼさぼさのたてがみめいた長髪を持ち、誇らしげにお下げにして編み込んだりして装飾している。戦いの時にはトゲ付き鎧を着て前線に出るが、普段は鉱山で採掘に従事している。
オーガー(鬼)
トロールに並ぶ、重量級の混沌側種族。平均的な身長は2m程度だが、あまりに無秩序な種族ゆえに、さらに1m程度大きい個体、または小さい個体がいても珍しくない。凶悪かつ残忍。大抵の人間では歯が立たないほど強い。
神話では、ハシャクがタイタンに隠したオークたちの一部だったが、隠したその場所は混沌の力が通常より強く、その力を受け変異し成長。その結果生まれたものだとされている。そのせいか、形状と精神が同じオークは多数いるが、オーガーは全てが異なっている。
また、弓やスリングといった(低能揃いのオークにとっては)複雑な武器や道具の訓練を受ければ、巧みに使いこなす事が可能。
- ハーフ(半)オーガー
人オーク同様、オーガーと人間との混成種。剛力だが醜い外見のため、人間からは嫌われ排斥されている。しかしカーレなど無法都市では剣闘士や傭兵、拷問人など、その力と技術とを活かした職に就いている者も多い。
- シー(海)オーガー
海トロール同様に、海や水中に棲むオーガー。鱗の皮膚と手足のヒレ、水かきのついた力強い手足を持ち、目玉は飛び出している。魚の他、食べられる物は全て食べる。好物は海エルフ。
トカゲ兵(リザードマン)、トカゲ王(リザードキング)
トカゲの頭と尻尾、鱗を持つ人間型種族。頭部に角が二本、背中には棘状突起が並んでいる。アランシアの熱帯地方・湿地帯に、広大な帝国、およびその首都『シルアー・チャ』を築いている。
支配者階級である優良種・トカゲ王(リザードキング)の絶対王政と中央集権体制により治められ、大抵は出来の良い鎧と武器で武装している。知性や練度も高く、自分たちこそがタイタンにおける優良種であり、支配者階級であると信じ込んでいる。また、種族ごと魔王子イシュトラのしもべであるため、人間をはじめとした他の種族は奴隷か殲滅するべき敵としかみなさない。オークやゴブリンなどを率い、タイタンにおける混沌の軍勢の一角を担っている。
爬虫類種族であるため、冷血変温動物の弱点……寒い場所が苦手。そのため、北部や寒冷部などでは見かけない。
巨大なトカゲを初めとした爬虫類を飼育・調教して乗用にするほか、恐竜も飼育している。
時折、双頭の個体が生まれるが、それはエリートとして扱われ、将軍や司令官など高い地位に就く。トカゲ兵団の司祭は必ず双頭である。
反対に、奇形などの変異トカゲ兵にはほぼ権利は与えられず、最下層の奴隷または生贄扱いされている。そのため、しばしば軍の突撃兵として起用される。
トカゲ兵を率いる優等種が、トカゲ王。統率が取れず原始的な種族だったトカゲ兵たちをまとめあげ、その支配者階級として君臨している。
通常のトカゲ兵よりも強靭で背が高く、知能も高い。また、戦闘能力も通常のトカゲ兵より高く、魔法の炎の剣を愛用する事が多い。
下位の存在であるトカゲ兵とは距離を置いており、種族の純潔を保つため彼らとの交配は死をもって罰せられる。
- 砂トカゲ兵(デザート・リザードマン)
砂漠や荒地に住むトカゲ兵の亜種。北方の種は緑で角や棘があり、南方は青い鱗で、トカゲ王にどこか似ている。湿地帯のトカゲ兵と異なり、遊牧民のように交易の隊商を形成し、あちこち放浪している。
- 密林トカゲ兵(ピグミー・リザードマン)
南部の密林に住む、小柄なトカゲ兵。体格以外は通常のトカゲ兵と同じだが、洗練されておらず、氏族に分かれて、それぞれで統治している。頑健なので奴隷として価値が高く、他種族に捕えられ奴隷として売られる事が多い。
- カラコルム
トカゲ兵ではないが、トカゲ兵に似た大柄な爬虫類の種族。双頭で、互いにぺちゃくちゃ喋る。野心を全く持たず、住処と仕事、十分な食料(死んだ蛇)に異性、娯楽として捕虜の拷問、それらを保障してくれれば、主人に不満を持たずどこまでも仕える(すなわち、金や賄賂には興味を示さないため、懐柔できない)。ネズミが大嫌いで、見つけたら恐怖で動けなくなってしまう。
- トカゲ人(リザーディアン)
トカゲ兵と似ているが、彼らのように邪悪ではない。人間に近い体格の、直立したトカゲのような姿。少しだけドラゴンにも似ている。大きな街の路地裏などで孤独に暮らし、魔法のブローチなどを売る小さな店を営む。服は着ないが大抵はマントを羽織っている。好戦的ではないが、襲われたら口から火を吐き自衛する。
蛇人(カアス)
砂漠に住む伝説的な爬虫類の種族。蛇の尾を持つ禿げた人型の種族と伝えられてきたが、正確には『蛇頭の人間』である。
トカゲ兵同様に、自分たちが最高で、自分たち以外の存在は隷属か死のどちらかが相応しいと考えている。また、種族ごと魔王子シスのしもべであり、創造したのもシス自身である。シスとイシュトラが敵対しているのと同様、イシュトラのしもべであるトカゲ兵とも敵対している。
他にも、砂漠エルフとも抗争を繰り広げている。
高い知性を有し、魔法のみならず、毒物・天体観測・蛇と人間の合成といった事を研究しており、そのレベルも高い。実際、新たな天体を観測で発見したり、蛇衛兵や蛇女王といった人と蛇の合成体も作り出したりしている。
首都は、アランシアのどくろ砂漠の中央に位置する、三つの要塞都市。
- 蛇衛兵(サーペント・ガード)
人間の上半身に、蛇の頭部と下半身を持つ蛇人間。体中を蛇同様に鱗で覆われているが、上半身は鎧で固めている事が多い。カアスが行う人間型種族と蛇との合成実験の成功例と考えられており、剣や戦斧、槍などを与えられ、カアスの都市部や領地外縁の警備任務にあたっている。
- 蛇女王(サーペント・クイーン)
ポート・ブラックサンドで、アズール卿の庇護下にある奇妙な存在。頭部が長く伸びる蛇で、胴体は人間の女性。とある商人が旅の途中、砂漠にて発見し保護した。本人の言い分によると、カアスの魔術の儀式により頭部を変えられたとの事。哀れではあるが傲慢で短気であり、アズール卿の従者を含む何人もの人間を、毒牙でかみ殺してきた。彼女を元に戻すなら、アズール卿は大金を支払うだろうが、挑戦者はいまだ出てこない。
半両生類種族・水辺や沼地に住む者たち
- ココモコア
沼地に住む種族。人間やエルフを襲い、その肉を食らう野蛮な種族である。沼ゴブリンとは憎悪し合い、常に争い戦い続けている。
身長は1m強。平べったく幅広い頭部には、大きな黄色い目。鱗のある皮膚と水かきと鉤爪のある手足を有し、水中にもぐって目のみを水面から出して泳ぐことができる。
名前の由来は、この種族が「戦いの時に発する『鬨の声』」から呼ばれている。小さな家族集団で住む家はイグサを編んで作られ、周囲に溶け込み見つかりにくい。沼に住む巨大クモを訓練して番兵にしている事もある。
狩りの時は、集団で行動。投網で獲物の動きを封じ、別の者が竹槍で突き刺し止めを刺す。獲物は煮込まれ食されるが、それがエルフの時にはお祭り騒ぎに。財宝や金銭は持たないが、宝石は見た目の輝きから所有している。
- 沼跳び(マーシュ・ホッパー)
ココモコアの近縁種である人型種族。身長1m半程度で、大きな頭部には悲しげにも見える大きな目がある。長めの手に比べ脚部は短めで、水かきのある足に続く。俊敏で、その名の通り沼地をぴょんぴょんと跳んで移動する。
沼地を熟知しており、道に迷った旅人や冒険者などを見つけると、道案内を申し出るかのように現れる。
しかし、その申し出に乗って付いていくと、沼地に生息する別のモンスター……スライム・サッカーやヒドラなど、大きく危険なモンスターの元へと導かれるはめになる。マーシュ・ホッパーは、これらのモンスターの食べ残しを狙っているのだ。
普段は小さな家族で、大きな敵に見つからないように原始的な生活をしつつ、魚やカエル、小動物などを見つけて口にしている。が、己の狡猾さを利用して、時には豪勢な食事にありつく事もある。
- スリック
沼地の他、河川や湿った洞窟などに住む、カエルのような頭部を持つぬめった肌の人型種族。
手足の先には水かきがあり、後脚で立ち、両手も人間同様の働きをする。口からはカエル同様に舌を伸ばす事が出来るため、それを用いて小動物を捕獲できる。
部族ごとにまとまって、原始的な生活をしている。部族はそれぞれ、特徴のある体色・模様のものが存在している。緑と黄、茶と黒など、その組み合わせは様々。
常に部族同士で反目し合い、どうでもいい理由で争い合っている。そのため、種族ではまとまっていない。内紛で衰退した部族は、ココモコアや沼ゴブリン、大ヒルのような沼の怪物に襲われ、ひどく苦しんでいる。
部族の長は、内紛に巻き込まれた人間の冒険者から奪った宝石や金、装飾品などを用い、自分の衣装をそれらで飾っている事が多い。
- カエル人
スリックに似た、カエルと人とが合わさったような半両生類人型種族。
背は高く大柄、イボだらけの皮膚に、膨らんだ胴体にカエルのような頭部を持つ。水かきのある手足は細いが力は強く、沼地を渡り泳ぐのに適している。口は洞窟のように開き、天辺に半球形の目玉が乗っている。
人語を用い会話が可能。しかし仲間同士ではカエルの鳴き声のようにケロケロという独自の言語で会話する。これは住処の沼に侵入者がやって来た時、警告音ともなる。
侵入者に対しては、常に大人数で対抗し、鉄の刃が付いた三叉槍で攻撃する。しかし、相手が手ごわい存在だったり、大人数だったりすると、自分の領域の底なし沼に誘い出す。そうなると、ロープの備え、もしくは仲間の助けが無ければ、沼に落ちそのまま溺れてしまう。
一般には原始的で野蛮な種族と思われているが、実はかなりの賢さを有する。
有名なカエル人の集落は、アランシア、ディードル川の「ブ・フォン・フェン」。広い薬草園をそこに持ち、多くの珍しい薬草を育てている。
しかし彼らは、自分たちの沼地と薬草園は神聖なものと考えており、他の種族は絶対不可侵。この掟を破った者には、同族であっても死を以て罰せられる。
- クラバット
西クールの湿地帯、サソリ沼および腐蛆病川(ファウルブルード・リバー)にて見られる。
やはりカエルと人間が合わさったような人型種族で、身長はわずかに人間より高い程度。
手足は細長く、水かき付の広がった指の手と、筋肉質の足。広く平らな頭部には、天辺に膨らんだ眼が付き、口からは長く伸びる舌を納めている。そのため、中央アランシアのスリックの類縁と思われている。
原始的かつ単純な生活をしており、小さな集団を作り、魚や沼地の小動物を狩り、時には沼オークや沼巨人などの襲撃から自衛している。攻撃は、棍棒など粗末な武器を用いるが、舌を伸ばして相手の動きを止める事もする。
また、カエルの神ファーラックを信仰し、まれに大ガマガエルをペット兼護衛で連れている事も。
古代におけるクララシュ王国では、このクラバットの死体をゾンビにして、祖先の墓所に閉じ込めて守護者とする事が流行していた。
- クリーフル
クールの群島、およびクール南東部・八幡国の水グモ沼地などで見かけられる、半両生類の人型種族。
四肢はひょろ長く、水かきを有する。イボだらけの身体で、カエルのような頭部と、首元からは肉質の喉嚢が垂れ下がっている。頭部の天辺にはエメラルドグリーンの両目が付き、誇らしげにも見える。
喉嚢から耳をつんざく鳴き声を発し、意思疎通を行っている。
素手で戦うために、群島の人間などには野蛮と思われ狩られているが、実は穏やかかつ平和的な種族。同じく平和を好むデミゴッド「座る預言者」の信者で、他に手段が無い場合以外、暴力は用いない。
しかし近年には、人間同士の戦争に加勢させられたりもしている。
人魚、水辺や水中に住む者たち
- 人魚(マーフォーク)
タイタンの海にも、人魚は存在する。海の神ハイダナにより創造された種族であり、下半身が魚で、首の側面のエラで水中呼吸するほか、空気中でも呼吸は可能。
海中においても、他の種族……海トロールや海オーガーなどとの戦いに忙しく、海上の世界にを気にかける余裕は持っていない。特に男性(マーマン)は戦士がほとんどで誇り高く、人間と接触すると侮辱するような態度を取る。普通は槍やトライデントを持ち、盾を持つ者もいる。イルカとともに海中の領土内を偵察するため泳いでいる事が多い。
女性(マーメイド)は少し異なり、未婚の者は海上の海岸などに出て、日光浴をしつつ歌を歌い、人間の男性を誘惑する。その歌は甘美で、人間は抗いがたい。
もし運試しをして、『凶』の場合は抵抗に成功。しかし『吉』の場合は魅了され、止める者が周囲にいない場合、彼女とともに水底に行く事に。
時が経つうちにその者はマーマンと化し、そうなるとマーメイドは他の男を求め、また同じ事を繰り返す。
- 半魚人(フィッシュマン)
元は、旧世界霊峰山脈(モーリステシア)の邪悪な魔術師が、実験により人間と魚類を合成し、結果生まれたもの……とされている種族。
人間と魚の混血種。魚のような頭部を持ち、細長い手足が胴体を支え、全身は魚の鱗に覆われている。エラと肺の両方を持つため、水中と空気中の両方で呼吸は可能。しかし常に湿気を必要としているため、乾燥したら死んでしまう。
内陸の河川や湖、沼地、地底湖のある洞窟など、日光が当たらず大量の水がある場所、またはその近くで、単独で住んでいる事が普通。年に一度、産卵のために古い湖に集まり、月に向かって吠える。
知能は低めだが、過去の敵から奪ったり盗んだりした槍を武器にしたり、それを投げつけたりする事を覚えている。
常に空腹で、ほとんどの生き物に戦いを仕掛ける。また、光るものに引き付けられるため、金貨や宝石などを奪い取り、水中の自分の住処を飾っている事もある。
- 剣魚人
タイタンの海洋に生息する人型種族。魚の頭部を持つ人間の姿をしており、上質の服に装身具を(どこからか調達し、しかも手入れをして)身にまとっている。
鋭利な細身の剣を常に携え、その技も優れている。彼らに剣を学びたいと申し出れば、誰にでも教えてくれる。また、剣とともに、様々な海棲植物や貝などから作ったヒーリングポーションも携帯し、傷ついていたらそれを提供してもくれる。
単独で遭遇する事が多く、沈没船や水没した都市、または陸地に隣接した波打ち際付近などで剣術指南の希望者を待っている。そして金貨数枚か装身具などを授業料として、剣を教えてくれる。
短時間ならば水から離れる事も可能。また、まれに目立たないサンゴ礁で、子供とともにひっそりと生活しているのが見つかった事もある。
目立つ事を避けているのは、頻繁に海トロールを初めとした海中の好戦的種族に誘拐されてきたため。
誘拐された後には、海トロール・海オーガー対海エルフ・マーフォークの終わらぬ戦争で、傭兵として戦う人生を強いられるはめになる。
- セイレーン
人間に似た、美しい長髪の女性の種族。海岸や沿岸部の他、淡水の湖や河川でも見られる。
希少な金属で作られたハープやリュートといった楽器を常に携え、それを奏でてマーメイド同様に魔法の歌を歌う。この美しい歌声と旋律を初めて耳にした者は、耳を塞ぐか仲間に止めてもらわぬ限り、恍惚となって己の意思を失ってしまう。そしてセイレーンが腰掛ける水辺の岩にあらゆる手段を用いて向かってしまうのだ。
近づいてきた者に対し、セイレーンはダガーを突き刺し、己が信奉する邪神への生贄とする。彼女たちは、嫉妬の女神タニットの他、妖術の女神シェッカ、ビヒモスのような海のデミゴッドの信徒とされ、イカに似たモンスター、テンタラスなどを従えている事が多い。
自分の住居の鍵付き小箱に、財宝をしまい込んでいるが、最も価値のあるお宝は、携えている楽器である。これを奪い取り大きな都市に持って行けば、それなりの金額で売れる。
セイレーンは人間そっくりで、マーメイドと異なり両足もある。そのため、起源は不明で、人間との関連性は論争の的となっている。しかし人間の中には、セイレーンの子孫を名乗る者も少なからず存在している。
- エルキエム
クール南西部で発見された、奇妙かつ邪悪な半魚類の人型種族。
半魚人と外見は似ているが、頭部はやや人間に近く、大きな目と鋭い牙を備えた口を持つ。
胴体は青緑の鱗に覆われ、背中には二列に骨の突起が並び、手足には爪とともにしっかりとした水かきがある。スリット状の鼻孔と首のエラで、水陸両方での呼吸が可能。
通常は単独で狩りをするが、人口の多い場所では罠を張る事を望む。罠は「釣り竿のようなものを、人気の無い静かな水辺に残す」というもので、それを手にした獲物は釣り竿の革紐に絡まれ、エルキエムに釣り竿ごと水中に引っ張り込まれる。獲物を溺死させた後、エルキエムはゆっくりと貪り食らい、また罠を仕掛ける。
妖精・小人の類
- 妖精(スプライト)
身長40センチくらいで、背に翼をもつ。いわゆる「妖精」。翼で空を飛ぶことはもちろん、眠りや幻覚などの、実害の無いレベルの呪文も使える。自然の中に住み、エルフは信用するが、人間を含むそれ以外の大きな種族は信頼せず、普通は避けようとする。
- 小人(ピクシー)
身長50センチくらいの、いわゆる「小人」。田園地帯の小さな村などで、大きな種族にかかわりを持たぬよう平和的に暮らしている。人間などは嫌っていないが、真に友好的と信頼するまでは非常に警戒する。スプライトと遭遇したら、翼と魔力のやっかみから即座に攻撃する(これを利用し、両者をわざと戦わせ、それを見世物にする質の悪い者もいる)
- フェアリー
エルフと同時期に創造された種族。スプライトやピクシーに似ている。定命の存在には見えない。女王に率いられ、自分の大きさを人間と同じくらいに変えられる。悪戯好きで、自分たちの宴会に迷い込んだ者に、金貨と引き換えに体力回復したり、ちょっとした報復をしたりする。
- ブラックフェアリー
堕落し、邪悪を好むようになったフェアリー。身長1m程度で体色は黒い。フェアリーの持つ魔力をほぼ失い、旅人を罠にかけて持ち物を奪い弄ぶ事を生業としている。
- スプリガン
妖精族の一種であるが、グロテスクかつ醜悪な外観と、ボロボロの羽を持つ。数名の小集団を作り、単独で旅する旅人や孤独に過ごす老女や老魔女、孤立した農家などを襲うこそ泥として生きている。普段はスプライトと同じくらいの3~40センチ程度の身長だが、飛行能力と引き換えに人間と同程度に大きくなる事が可能。
しかし根は臆病な小心者なので、相手が強いと知ったら即座に逃げてしまう。この盗賊まがいの生活のため、定住せずに放浪し、夜には野営して「魔法のランプ」を周囲に並べ警戒する。
- 森人(ウッドリング)
森の深部に住む小人の種族。ピクシーやスプライトの近隣種。身長1m程度で、無口で気難しい。大きな他種族の事を乱暴で面倒と考え、めったに付き合わない。木々に巧みに隠れるため、人間に見つける事はほぼ不可能。不意打ちも同様。森の中で誤って猟師の罠にかかった人間を助け、消えた……という逸話があるが、それが実話と信じる者はほぼいない。
- エルヴィン
身長50センチくらいの、エルフやウッドリングの近隣種。翼も無しに魔力で飛び回り、光をいきなり点滅させたりして、自然の中を自由気ままに生きている。遭遇した相手に勝手にジョークを理解してるものと決めつけ、いたずらをしかけ、物を盗んだりする。相手がジョークを理解してないと知ると攻撃するが、真の魔法に興味を持っている。派手で美しい呪文を目の当たりにしたら、それが自分への攻撃であっても見惚れる事がある。
- レプラコーン
身長1mの小柄な妖精の一種。エルヴィン同様にジョークの延長で、魔力で飛び回ったり、幻影を駆使したりして翻弄し、悪戯をしかける事を好む。反撃されたら魔法の粉で相手を麻痺させ、その間に犠牲者が所有してる品全てを盗む。犠牲者が、ジョークやユーモアの分かる奴だと示せば、友好的になり、時には手助けをする事もある(盗んだものは返さないが)。
- ミニマイト
フェアリーやスプライトの血縁種と思しき種族。小柄で痩せた身体つきで、虫のような羽を持つ。木や草花の陰に隠れ、旅人や隊商などに勝手に仲間としてまとわりつき、食料や酒を所望する。
素早く飛び回るため、物理的に追い払う事はまず不可能。また、強力なアンチマジックの霊気を身にまとっているため、ほとんどの魔法は自動的に無効化されてしまう。
太古の時代においては、偉大な魔術師種族として旧世界各地で名が知れていた。しかしある時、混沌の勢力を倒すために一致団結し、開発した呪文を行使して善のエネルギーを解放した。
その結果、混沌の勢力は全滅したものの、この行為は『世界の善悪のバランスを崩す事』と同じと気づく。そのために、『短期間しか同族と一緒にいられない=一致団結できない』という呪いを自らかける事になった。
ゆえにミニマイトは、常に単体で、放浪しつつ生活する種族となっている(アンチマジックの霊気も、この呪いの一環である)。
- ベイ
ゴブリンのように小柄な種族。あまり美しくはないが、とりたてて邪悪ではない。「信奉する神々の小さな偶像を、棍棒で打って海に飛ばす」という宗教的儀礼を有する。後にこの儀礼は、「ベイズボール」という野球に似たゲームと化して有名になる。名前の由来は「湾岸(ベイ)でよく見られる」ことから。
- ハーフリング
小型の人型種族。ウッドリングの親類だが、彼らと異なり外交的で人間に好感を持っている。ドワーフより小柄で、髭は剃っているが、もじゃもじゃの毛を手足の甲に生やしている。また、通常は靴を履かない。
人間の居住地に、人間やドワーフなどと共生しているが、中には洞窟や地下迷宮に住む者もいる。偵察や追跡、盗みの技に長けているため、冒険者になる者も少なくない。トロールには、このハーフリングの耳を大量に食らう競技があるという。
- ノーム
ドワーフと遠縁の、小型の人型種族。
人里離れた場所で、人間を含む他者や他種族と関わる事を避け、孤独に生きる事を好む。
無礼な人間などにちょっかいを出されると、機嫌が悪くなり、手斧か魔法で攻撃する。
どのノームも、目立たない魔法を使う事が可能。使用する時も、多くは自衛のためである(透明になったり、相手の剣や武器をぐにゃりとさせたりなど)。それでも邪魔し続けるなら、稲妻などを放ち、関わるなと警告する事もある。
エルフの記録によると、ドワーフの聖都ファングセイン生誕500年記念祭にて。
招待されたエルフたちは、魔法を披露。一部のドワーフたちがそれに魅せられた。
そのドワーフたちは魔法をもっと知りたがり、ファングセインを出て探索の旅に出発。結果、わずかな魔法の知識と力を得て、森に住むようになり、ノームにゆっくりと変化していった、との事。
ノームの魔法の知識や力は、エルフには遠く及ばない。が、それでも魔力を持っている事は確かで、ノームなりに森の世話を行っている。
しかし、エルフはノームの善意は理解しているが、自分たちの方が立場が上だと見下した態度をとるため、ノームにはあまり好かれていない。
その他の種族
- ハマカイ
古代から細々と生き残っている、衰退しつつある長命の種族。老いた老人の身体にハゲワシのような頭部を持ち、ローブを着ている。全ての個体が魔術師で賢者。世俗と関わらず、古代の魔法や知識にのみ興味を持ち研究している。そのため、普段は耄碌した愚か者に思えるが、古代の知識に関する事をかぎつけたら、狡猾で抜け目ない知恵者と化す。塔など住居兼研究所には、賢者には貴重だが野蛮な冒険者には無価値な、書物や魔法の品々で溢れかえり、それを守る魔法の罠が仕掛けられている。
- 頭脳殺し
長衣を着た大柄な人間の胴体に、タコの頭を有している。見た者の胃がひっくり返りそうな、緑に紫がかかったおぞましい体色。その目には強力な催眠能力を持ち、人間を含む動物をそれで虜にして、タコの触手を巻き付けて精神力を貪り食らう。
- フレイヤー
上記頭脳殺しに似ているが、無関係な種族。人間の胴体を持つが、腕が無く、蛸のような頭部を有している。蛸のように無数の触手を有しており、それを腕代わりにする。皮膚も安定していない。おぞましい外観であり、それ故に他種族に嫌われて引っ込み思案な種族だが、美味な料理を作るスキルを有している。触手に毒針を持つが、戦いはあまり強くない。
- 円盤人
身体が巨大な円盤状の種族で、円盤の四隅に四つの手首、円盤の片面に大きな顔を持つという異様な姿をしている。円盤の身体を側転するように、手首でぐるぐる回転させながら移動。その勢いで投げつける手裏剣が得意。悪の魔法使いなどに、番兵として雇われていたりする。
- ミク
某ボカロではなく、幻術の達人種族。本性は青白い痩せた人型だが、非常に見事な幻術で、あらゆるものに変身する。幻術の変身はリアル過ぎて、変身後の特性すらも再現する(ミクが化けた毒蛇に噛まれたら、毒が回るなど)。金属製品の変身と、金属を使用する事はできない。極めて悪戯好きで攻撃的。出会った者をいたぶるタチだが、黄金に目が無く、金貨で買収したら解放してくれる。
- 殺生怪(ライフスティーラー)
背中に翼を生やした人型種族。痩せた体型に細長い手足を有するが、人間より遙かに強力。瞳は乳白色で生気をまるで感じさせないが、知性も高く、しかも狡猾。人間を含む様々な獲物を襲い、新鮮な肉をいかにして手に入れるかを常に考えている。
非常に珍しい種族であり、山岳地帯の高地にある洞窟に住む。そして、その翼で驚くほど優雅に空を飛び、空から獲物を襲うのだ。
民話や伝説では、この種族は嵐の神スークの信者であり戦士で、雲上の神殿に住むともされている。非常にまれな状況だが、襲撃が不首尾に終わり、残された彼らの死体からは、口をすぼめて息を吹きかけるドクロ……スークのシンボルを象った首飾りが見つかったとも言われている。
この種族は人を食うため邪悪とされているが、彼らが信奉しているとされるスークは、荒々しくとも善側の神であるがゆえ、学者や賢者、神官や僧侶、スークの人間の信者たちも含め、議論の的になっている。
- 斥候人(スカウト)
「付人」とも呼ばれる奇妙な種族。やせこけた人型種族で、ゴブリンやグレムリンなどに似ているため、近縁種とされている。
地下迷宮などに少数で住み、その迷宮の主から、迷宮内の情報や噂を収集する事を良く命じられている。好戦的ではなくむしろ臆病で、強気な相手に脅されると、大抵は逃げ惑う。
しかし、口から強風を吹き出す能力を有している、これを用いれば、冒険者や盗賊集団なども簡単に吹き飛ばせる。ただし十分な風を起こすには、二人以上が必要。
物々交換と贈り物の文化を有しており、特に単独で困難に陥った者とのやりとりを好む。
自分たちの縄張りを通る者に対し、わずかな宝石細工や金貨と引き換えに、この地下迷宮の構造や罠、潜んでいる恐ろしい住人についてなど、情報や噂を教えてくれる。時には体調が完全回復する固形食糧をくれる事もある。
種族の起源については不明。風を吹き出す事から風の神パンガラとの関係性を見出す学者もいれば、『旅人への親切』という種族的志向が、旅人たちの守護神フールクラと関係ある証拠だという学者もいる。
- サイ男
大きくたくましい人型種族。人間とサイを掛け合わせた姿をしている。
サイのような大きな頭部には、毛が固まった角があり、皮膚は分厚く下手な皮鎧よりも頑丈。珍しい種族なので、自然の中ではあまり見かけないが、大抵は粗雑な槍や短剣を持って獲物を狩っている。
むしろ、護衛や兵士として、邪悪な魔術師や将軍などに雇用され仕えている事の方が多い。その時には、主人より支給された上等の武器を携え、鎧や仕着せなどを着ている。
不愛想で不器用であるため、特に優秀な兵士というわけではないが、その頑丈さは戦闘において役に立つ。
- サイトマスター
旧世界、アナランドにて見られる珍しい種族。
若木のように細長い体躯に、大きな目、瞳孔は縦長で猫を思わせる。この目には驚異的な視力が宿っており、はるか遠くを鮮明に見るのみならず、いかなる幻術にも惑わされない。また、奇襲を彼らに仕掛けることは不可能。この力の源は、かつて人間だった彼らが、混沌の影響を受けて変異したものと考えられている。
多くのサイトマスターは戦士として修業を積み、アナランドの大塁壁にて外界からの侵略者を監視する歩哨となる。
しかし、任務の退屈さと職場の環境の悪さから、一部は反逆者となってしまっている。他国の邪悪な存在が、そういった反逆者の彼らを金で雇い、己の目的の手駒とする事も少なくない。
- レッド・アイ
ひょろっとした人型種族。エルフや人間の遠い親戚にあたる。
半ば文明化した地域で、仲間同士で小さな共同体を作り生活。ちんぴらの如く、近隣住民に嫌がらせや悪戯をする事で楽しんでいる。傲慢で反社会的な行動には、争いをはじめる口実を作る事も含まれている。
常に瞼をきつく閉じており、目を開くと視線とともにエネルギーの矢を放つ能力を有している。そのため、視線を向けたもの全てを焼いてしまわぬように、目を閉じ続ける必要がある。
視力自体も強力で、瞼越しにものの輪郭がだいたいわかってしまうほど。
この視線の狙いはあまり正確ではないが、繰り返し行う事で自動的に命中させられるようになる。この視線が二度命中したら、その者は死んでしまう。
この能力のため、彼らは常に恐れられ、排斥されている。ゆえに一か所にとどまる事は許されず、放浪の旅を余儀なくされている。そのため、人間および定住している他の種族、その社会に対して、憎悪は増しているのが現状。
- 牙人(タスカー)
猪に酷似した顔を持つ、人型種族。猪のごとき牙が口元から突き出ているため、この名で呼ばれる。気難しく、混沌側の性質を有する種族ゆえに、戦争を好む領主や、暗き神々の神官・僧侶などに仕えている事が多い。その場合、棘付きシミターや鋸刃の小剣を持ち、皮鎧で身を固めている。野生の個体は、大体が孤独に過ごし、洞窟や森に住み、粗末な石の棍棒を用いる。
神話の伝説によると猪の神グラッシュが、友人であるハシャクの真似をして、土から作った種族だという。そしてグラッシュもまた、ハシャクが作ったウークことオーク同様、タイタンの各地に彼らを隠した。その際に混沌の神々によりその影響を受け、現在のようになったとの事。
この説を裏付けるように、棘や角が頭部から生えている事がよくある。また、彼らは土でできた稚拙なグラッシュの像を所有している事が多い。
時に「猪面(豚面)のオーク」と呼ばれる事もあるが、オークとは何の関係もなく、肉体的にも関連性は無い。また、タスカーの存在により「オークは豚と人間とを合成する事で産み出された」という誤解も生んだ。
- ストライダー
やせこけ、背が曲がった人間のような姿をしている人型種族。手足も長く、ざんばらの髪に腰布をまとっている。
青銅平原などの温暖な地帯に住み、長い手足を用いて、背の高い草の間を目立たず移動する事が可能。鉄や木の棒の両端に曲刃を付けた武器を巧みに操って戦い、自衛する。
この接近戦の優れた技量から、アランシア全域で暗殺者として雇用されている事が多い。実際、見かけるストライダーはそのほとんどが傭兵。
彼らの居住地や女子供を見た者はいないが、迷信深い種族であり、特にアンデッドを非常に恐れている。そのため、全てのストライダーは何らかの護符や魔除けを身に付けている。
- ンヤダク
古のドワーフの伝説に伝わっている、地下に一大帝国を築いていた邪悪な人型種族。
筋肉質の人間程度の体格だが、地下生活に適応し腰は曲がり前かがみになっている。頭部は細長く、狼を連想させる。目は貧弱な明かりでも暗視が効き、口の端からは牙が、身体は手入れされていない短毛に覆われている。寄せ集めた屑鎧と粗末な棍棒を持っているのが普通。
過去にドワーフは数世紀にわたり、地下の支配権をかけてこの種族と戦い続けていた。暗黒の魔術も手伝い、恐るべき戦士として数多くの戦でドワーフを劣勢に追い込んできたが、奉仕種族のスコーンに裏切られ、ドワーフに敗れる。
以降、現在ではきわめてわずかにしか残っておらず、過去に築いていた高い文明や技術のほとんども忘却。洗練されていたかつての言語や意思疎通すらも退化。自身の先祖が記した書物すら読む事はできない。繁殖もほぼ無く、急速に滅びつつある。
- スコーン
ドワーフとほぼ同じくらいの身長の、地下に住む人型種族。かつてはンヤダクの奉仕種族として、隷属させられてきた。
ンヤダクとドワーフとの戦争においても酷使されたため、ンヤダクを裏切り離反。ドワーフと協力してンヤダクを掃討した。ドワーフは広大な地下の領地を彼らに与え、現在に至るまで両者は互いに友好関係を保ち続けている。
長年の地下生活と採掘のため、猫背になっている。体中が無毛で、額は突き出て、顔立ちはホブゴブリンやオークに非常によく似ているが、血縁関係はないと思われている。
奥目で、鋭い視力を持ち、漆黒の闇の中でもほぼ見通す事が可能。口の端からは上向きに牙が突き出て、ネズミなど小動物を食べるのに役立つ。通常は腰布にサンダルだけの姿で、短剣とともにツルハシとランタンを携えており、縄張りである地下洞窟や迷宮で土木作業に勤しんでいる。
- ガッドン
クールの南西の小国、ゴラク王国の地下に居住地を有する盲目の種族。盲目である以外、人間とほぼ同じ。異なる点は、盲目ゆえに両目が白くなっている事と、視覚を補うために他の五感が研ぎ澄まされている事。元はクール南西部に住む普通の人間だったのが、宗教迫害など何らかの理由で地下に移住。その末裔が彼らだとされている。
独自の特殊な文化を築き上げた種族であり、『ガッドンの戦士』と呼ばれる兵士たちは、暗闇の中では超一流の戦士。ガッドンの一般人も、視力以外の鋭い五感のため、盲目であっても生活に支障はない。
彼らはクールの地を『高地』と呼び、クールの、または地上から地下にやって来た者たちを『高地人』と呼んでいる。
そして、高地、すなわちクールの地上で彼らガッドンたちを見かける事は、現在はほぼ皆無。
- シーサチュロス
カーカバード北、ザメン高地の深山幽谷に住む、女性のみの種族。上半身は人間の女性、下半身は山羊の足で蹄を持つ。頭部からは腰まで伸びたぼさぼさの黒髪と、山羊の曲がった角を生やしている。
よく用いている武器は、硬い木の柄に火打石の穂先を付けた槍で、接近戦のみならず投擲しても使う。
蛮族によくあるように、戦闘能力と暴力を重視する、好戦的かつ獰猛な種族。よそ者が縄張りを通るだけで戦いを挑むのみならず、捕まえて闘技場に放り込み、飢えた狼と戦わせて楽しんだりする。
部族はザメン高地の人気の無い場所に位置する、広大な一続きの洞窟に存在し、最年長かつ最強の長が治める。
よそ者嫌いではあるが、同時に彼女たちは広い世界を旅したいと考えている。が、高山地帯の薄い空気に肉体が対応しているため、この地から離れる事ができない。そのため、遠方地や伝説の戦いや冒険の話を非常に好む。もしも他所から来た冒険者が、己の偉業や冒険譚を語り聞かせば、彼女たちを震撼させ尊敬される事もある。
大魔王とマンパン砦に関しては快く思っておらず、彼らとは敵対している。
- マークロン
風変わりな細身の人型種族。銀の肌に瞳孔の無い目を持ち、尖った耳を持つ。
エルフやフェアリーなどと類似点を有するも、正確な起源は不明。また、文化や宗教も不明。
アランシア南の、点滅海を取り囲む土地で見かけられるほか、カラメールやアルケミスなどの都市国家に、彼らの共同体がある。
主に冒険者としてパーティを組み、2~7人程度で比較的安全な場所を、2~12人で危険な地域を冒険している。大多数は戦士で、チェインメイルと剣を持つ。
また、少なくとも1~2人は魔術師が参加。ゆったりしたローブを着て、スタッフまたはダガーを持っているのが普通。彼らの魔術は極めて強力で、荒野や地下迷宮の探検時には『火炎』『ESP』といった呪文を好んで使う。
マークロンは独自の言語を有し、それで会話をしているが、同時にまともなアランシア語を話せない者もいる。しかし、こういった事以外に、マークロンに関して判明している事はほとんどない。
- ネズミ男
鼠の頭部と尻尾を持つ、人間型の種族。全身も鼠の短毛に覆われている。
人獣の人鼠と酷似しているが、無関係(常時この姿で、人間形態に変身は出来ない)。その起源は、過去に名のある魔術師や錬金術師による、人間と獣を合成する実験の結果と言われているが、詳細は不明。
人語を解し会話も可能だが、その外観から忌み嫌われており、都市部の下水道内、廃墟や地下迷宮に小さな集団を作り生活している。
非力だが器用で、罠や仕掛け、スリングなどが得意。また、優れた嗅覚を持ち、追跡も得意。
ショートソードを持っている事が多いが、接近戦は不得手。遠くから攻撃し、止めに用いるために使う程度。
デーモン
魔王子
タイタンにおける、最大の邪悪な存在にして、デーモンたちの長である三体のデーモン。
『蛇のデーモン』と呼ばれるシス、イシュトラ、マイユールの三名が、魔界の首領にして支配者にあたる。
さらにこの下には、『夜のデーモン』と呼ばれる四名のデーモンがいる。彼らは魔界の司令官にあたる。
彼ら七体のデーモンが、魔界における『呪われし軍勢』の第一席となる。
魔界に住んでおり、現在の魔界の統治者はシスで、カアスに信仰されている。イシュトラはトカゲ兵およびトカゲ王、闇エルフなどにも信仰されている。闇エルフは、イシュトラのみならずマイユールも信仰している。
それぞれの性格は、シスは残忍、イシュトラは獰猛、マイユールは狡猾。
そしてこの三名と夜のデーモンの下には、数々の上級・下級デーモン、アンデッド各種が存在。最下位はデーモン・スポーン(魑魅魍魎)。
蛇のデーモン
- シス
魔王子の一人。現在のタイタンにおける魔界の長である女性のデーモン。すべてのデーモンの中で、最も暴力と嗜虐を好む者。デーモン故にその姿は変幻自在だが、地上に姿を現す時は『濃緑色の肌を持つ4本腕の、身長3mの人間の姿で、蛇の頭部、背中に蝙蝠の翼を持つ』姿で我慢する。
が、魔界での姿は、『身長4mで6本腕の女巨人の胴体、巨大な蛇の身体と胴体を有し、その頭部もまた、おぞましい蛇』という姿。女と毒蛇の中間のような、「シューッ」という音を出す。
その性質は邪悪そのもの。這い出て来た穴を間違えただけで、奴隷が何人も殺されるという事も珍しくはない。それも小さく噛みつき、内部を少しずつ溶かしてゆっくり吸い取っていくという、あえて苦しみを長引かせた殺し方をする(もっとも、急ぐ時などは単に手足をもぎ取り食い荒らすが)。食事の必要はないが、生物や他者が死の際に苦しみ悶える苦痛の感情が何より好物なため、あえて行っている。
非常に注意深く、戦略、外交、陰謀、暗殺などを繰り広げ、魔界における己の地位を保っている。
人間と蛇とを合成させ、蛇人カアスを創造し、タイタンに解き放った。
他にも全長20m以上の大蛇「サスサスサール」など、数多くのペットを飼っており、その一部はタイタンに生存している。
- イシュトラ
魔王子の一人。トカゲ兵および、ダークエルフなどの邪悪な種族の信仰を集めているデーモン。
残酷さではシスにはやや劣るが、獰猛さではシス以上。
その姿は、よく知られているものは「山羊の頭部に、直立したワニのような爬虫類の胴体」の悪魔。しかし魔界での議論や、周囲に強い印象を与えたい時には、周囲に電撃を放つエネルギーの球体に変身する。
また、トカゲ兵がタイタンの地上に出現したての頃には、「炎の剣を有した巨大なトカゲ兵」の姿で降り立ち、トカゲ兵たちの信仰を集めた。
以後、トカゲ兵をタイタンにおいて侵略させ、タイタンにおいてはシス以上の影響力を有している。
とりわけ炎を愛し、炎を奇妙に燃やす事で、タイタンの自分の信者と交流する。
- マイユール
魔王子の一人。三体の中で最もおとなしい(この表現が正しいと言うべきかは疑問だが)。
謀略と陰謀に長けており、嘘や噂など、欺きで目的を果たす事を好む。
大抵は、巨大な蛙の姿だが、無辜な美少年の姿を取る事もある。その際には「この世を昔から眺めていた」ような眼差しをしている。
シスとイシュトラに比べて地上にとどまる事が多く、変装したり、影響力のある人物(国家の指導者や大きな集団の参謀など)の心に住み付いて、可能な限りの破壊や騒乱状態を産み出そうとしている。
伝説の都市『アトランティス』にて戦争が起こり、海底に没した原因を作ったのも、このマイユールである。
夜のデーモン
魔王子の次席に位置する、魔界の司令官にあたる4体のデーモン。
4体のそれぞれの名は、カリン、レレム、シャコール、ヴラドナ。
逞しい巨人の胴体に、ドラゴンに似た双頭と蝙蝠の翼、手足には鉤爪を有する。2つある頭部にはそれぞれ異なる意志と知性を有しているため、4体が集まり議論すると相当ややこしいことになる。
魔王子が支配者なら、夜のデーモンたちはその参謀であり、魔王子に仕える事で魔界統治の一端を担っている。
魔王子同士の内乱を指揮する事も多いが、現在ではシスにレレムとヴラドナの2体が付いている。彼ら2体はシャコールとカリンに対し、シスの軍を率いて己の力を見せつけたが、現在はレレムとヴラドナ同士で争っている(なお、シスは魔界での内乱はほとんど無関心)。
地上に出現する際には、人間の残酷な行為の黒幕といった形で良く登場する。直接手をかける時は、自身の魔族の奴隷に引かせた戦車に乗って登場し、魂を集めるために人間その他生けるものを狩り尽くす。
『呪われし軍勢』
魔界の階級組織。第一席から第七席まで存在する。
魔界においては地位は重要なもので、その地位に相応しい礼儀作法がはっきりと決まっている。正しい礼儀や挨拶が成されなかった場合、相手が下位の存在ならばそいつを真っ二つに引き裂く権利が、相手が同等または上位の存在ならば魔族の決闘を挑む権利が、それぞれに存在する。
混沌の存在であるデーモンたちは、時としてうんざりするほど礼儀作法にうるさいのだ。
- 上位デーモン
奈落における、『呪われし軍勢』の第二席で、地獄の軍勢の指揮官。以下のデーモンたちが、それに該当する。
なお、第一席とは異なり、彼らはそれぞれ一体とは限らない。
上位火炎デーモン 鋼鉄デーモン 無形デーモン 電撃デーモン
錆デーモン 影デーモン 嵐デーモン 疾病デーモン 毒デーモン
- 下位デーモン
奈落における、『呪われし軍勢』の第三席。地獄の軍勢の選抜突撃・殺戮部隊。
彼らもまた、無数の個体が存在する。また、この地位のデーモンは、力ある人間の魔術師や召喚士などに召喚される事も多い。地獄では中堅どころだが、タイタンにおいては最強クラスに近い強さを誇る。
下位火炎デーモン 角デーモン 地獄デーモン 溶岩デーモン
砂デーモン 鏡デーモン 氷デーモン ナンカ
- 上位アンデッド
『呪われし軍勢』第四席。不死攻撃部隊。
死の死者 バンパイア 死鬼(スピリット・ストーカー)
幽鬼(ファントム) 魔奴隷(デーモン・サーバント)
- 下位アンデッド
『呪われし軍勢』第五席。不死防御部隊。
グール スケルトン ゾンビ
- 脳無き者
『呪われし軍勢』より下位の、第六席。『作業者』であり、主な仕事は『タイタン世界にのみ生える、魔族にとって珍味のキノコの栽培。およびその警備』。
クローン、およびクローン戦士
- 形無き者
『呪われし軍勢』より下位の、第七席にして『くず!』。
魔界の粘液より、デーモンが気まぐれに力と形とを与えて実体化させたのみの存在で、地獄の軍勢の一兵卒。
魑魅魍魎(デーモン・スポーン)