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王たちの冠

おうたちのかんむり

ゲームブック「ソーサリー」シリーズの第4巻。作者はスティーブ・ジャクソン(英)。
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作品概要編集

王たちの冠とは、名作ゲームブックシリーズ「ソーサリー」の第4巻である。

原題は「THE CROWN OF KINGS」


今までに三度翻訳されており、それぞれ邦題は

「王たちの冠」(創元推理文庫・1985年・訳者:高田恵子)

「諸王の冠」(創土社・2005年・訳者:浅羽莢子)

「王の冠」(SBクリエイティブ・2023年・訳者:羽田紗久椰-はだ さくや-)


主人公がバドゥ・バク平原からイルクララ湖を渡った後、ザンズヌ連峰のザメン高地に入り、そこに建つマンパン砦に潜入。砦内部を進んで行き、大魔王と直接対峙し、「王たちの冠」を取り戻すまでを描いた作品。

前作、「七匹の大蛇」で、討ちもらした大蛇がいるかいないかで、砦内部の住民の反応が違ってくる。討ちもらしが居れば、砦に入った主人公を待ち受けているが、全てを倒していたら、主人公の存在を知らないために有利に事を運べる場合もある。


魔法の選択肢に関しては、キャラの成長を考慮して偽の呪文は登場しなくなる(効果の薄い呪文は登場するが)。

ただし、敵陣の真っただ中に単独で入り込んでいる状況下のため、うまく立ち回らない限りはすぐにゲームオーバーになる事も珍しくはない。


本作では、最後にマンパンの大魔王と相対し、対決する事になる。しかし、戦いそのもののみならず、王たちの冠を取り戻し、いかに脱出するかという点も重要である。


主な登場人物編集

主人公(あなた)編集

本作における主人公。職業は魔法使いと戦士の2つの中から選べるが、魔法使いのほうが実質的な難易度は低い。

クリア条件は、魔法使いの場合はある呪文が重要になってくるが、戦士の場合は呪文代わりのアイテムを入手しておく必要がある。


女神リーブラ編集

主人公が信仰する正義の女神。1巻につき一度だけ援助をしてもらえる。前作までに主人公が信仰を捨てていた場合は、当然本作でも彼女からの援助を受けられなくなる。

また、マンパン砦の中にまでは加護が及ばない。一応、砦に入る直前に御告げが下るので、それまで使っていなかったら体力回復に使う事になるだろう。


聖人コレタス編集

ザメン高地にて、布教活動をしている盲目の聖者。女神スロッフの教えを説いている。

かつては無謀だが勇敢な若き冒険者で、マンパンの大魔王を単独で討つべく砦内に仲間を装い入り込み、あと一歩のところまで肉薄する。しかしばれてしまい火の玉を顔面に受け、視力を失う。以後、スロッフに帰依。自身に授かった病気を治す力と、信仰の力とで、大魔王に対抗している。

シーサチュロス編集

女性のみの種族。下半身は山羊のような蹄を持つ足で、頭部には山羊の角がある。ザメン高地に住み、やや好戦的。樫の樹の槍を武器に持つ。

ナッガマンテ編集

非常に醜いオーガで、マンパン砦の拷問官。拷問に関しては芸術的な技量を有し、拷問室も整理整頓している。

得意な武器は鞭。いわく「鞭を振るう事で、ブユの牙を抜く事が出来る」。

自身の仕事にプライドを有しており、その点をくすぐられると情報を漏らす事も。スローベンドアの1つの秘密を知っている。

ヴァルギニア編集

マンパン砦の徴税官。浅黒い肌の太った男。自室に入ってきた者には金貨を支払わせようとする。ペット兼ボディガードとして、黒豹のハシを飼っている。スローベンドアの1つの秘密を知っている。

カートゥーム編集

マンパン砦の衛兵隊長。種族は人間。マンパン砦最奥のスローベンドアの鍵と、その管理を任されている。とある女性を想っている様子。

ピーウィット・クルー、および『シンのサマリタン』編集

ザンズヌ連峰に住む、バードマンの一派。反大魔王の派閥の者たちで、あえてマンパン砦内部に入り込み、内部からかく乱している。

スログ編集

マンパン砦の炊事長。醜いホブゴブリンの女性で、手下の奉仕種族ミニオンに指示を出し、兵士たちに供する食事を作っている。その台所に保管されている食料は、容易に口にしたら大変な事になる。

ジャビニー編集

乞食の老婆。盲目で、砦中庭で物乞いをしている。かつては治療師として、マンパンで儲けようとして大魔王の下に付いていたが、ある仕事に失敗し視力を奪われた。しかし治癒力は健在。

サイトマスター編集

アナランドの大塁壁で、見張りに立っていたはずのサイトマスターたち。なぜかこのマンパン砦で再会する。スパイとして潜り込んだらしいが……。

レッド・アイ(赤目)編集

マンパン砦内の中庭で、数名でたむろしている。入り込んできた主人公に絡んでくるが、彼らの故郷から来たと答えると、態度を軟化する。ただしその際には、ちょっとした引っかけを行う。

さらし台に囚われた男編集

何らかの罪を犯し、中庭内のさらし台に囚われていた男。今までマンパンの兵士たちに散々いろいろ言われたらしく、主人公にも辛辣な態度を取っていた。さらし台には錠前が付き、外せば解放できるが……。

ジャン編集

ミニマイト。シャムタンティで引き離されたが、自力で主人公の後を追っていた。翼を切られてしまっている。ある重要な秘密を知っており、それが解決への道筋となる。

衛兵編集

マンパン砦内の衛兵。人間ではなく、また、オークやゴブリンなどとも異なる、黒い体毛の種族である。

ファーレン・ホワイデ編集

大魔王に拉致された科学者。マンパン砦の最奥にある部屋にて、無理やり研究させられている。

塔の魔術師編集

砦近くの、反抗者を幽閉する塔に務める魔術師。非常に強力な魔術を用い、主人公を翻弄した。

登場モンスター編集

マカリティック(粘液獣)編集

粘液獣

熊ほどの体格を持つモンスター。顔には象のような鼻が伸び、全身は糞尿が塗りたくられてどろどろになっている。耳が遠く、口からは囁くような声しか出ない。しかしその吐息を吸うと……。

スパイシー・ワン編集

暗い部屋に潜む、ヤマアラシのような正体不明の怪物。全身のトゲを発射し、敵を刺し殺す。しかし知能は低いらしい。

ミュータント・ゴブリン編集

ゴブリンだが、突然変異で歪んだ肉体を有している。中には空を飛んだり蛇のような胴体を持ったりと、普通のゴブリンには無い能力を有している個体も。

熊のような生物編集

中庭のスローベンドアから内部に入ろうとした際、主人公が見ている前でドアを開け、内部に入っていった生物。タールの様に真っ黒で、一見すると熊のような姿をしているらしい。ドアに口づける事で開けて、先に進んでいたが……。

禿げた衛兵編集

一撃君

砦の二番目と三番目のスローベンドアの間に位置する、一室に詰めていた小柄な生き物。

つるっぱげで、部屋で居眠りしていた。目覚めて主人公の姿を認めると、棍棒を持って高圧的に脅しにかかった。

しかし大声で話しかけられただけで腰が低くなり、言われて食事を運んでくるほどに気が弱い。戦闘になると、一撃で死んでしまうほどに虚弱。

神々の頭を持つヒドラ編集

七つの頭部を持つ巨大なヒドラだが、その頭部は神々のそれを模している。普通に戦っても、ダメージを与えられないが……。

眠れぬラム編集

マンパン砦最奥の、最後のスローベンドアのある広間に置かれた羊の巨大な彫像。

侵入者を認めると、台座から降りて突進してくる。巨体であるが素早く、これを回避することは困難。武器も呪文も通用せず、これと戦うにはあるアイテムが必要(ただし、倒せはしない)。

ジブ・ジブ編集

キャベツ程度の毛玉に、太短い両足が付いているような小さな怪物。刃も爪も持たない非力な存在だが、恐ろしい咆哮を放つ事が出来る。この咆哮で外敵を恐れさせ近づかせない事が、唯一の防御手段である。

マンパン砦編集

本作の舞台で、ザンズヌ連峰のザメン高地に設立された城砦。マンパンの大魔王を名乗る者をリーダーに、様々な種族が集まり、軍団を形成している。多くはゴブリン、オーク、黒エルフ、バードマン。その他に、人間と異なる黒い体毛の独自の種族が衛兵として参加している。

最初はテントの集まりだったが、大魔王が近辺の種族を集めて配下に置く事で、砦を建設させた。これに反対するバードマンなどの種族もいたものの、自身に味方するバードマンやその他種族を差し向けてこれに対抗。砦そのものが完成した後には、最奥に大魔王は潜み、そこから命令を下している。

最奥に進むには、スローベンドアと呼ばれる四つの扉を突破する必要がある。また、通常は魔法で不可視にしているが、近くには反抗した者を幽閉するための塔があり、強力な呪文を用いる魔術師に管理させている。

スローベンドア編集

砦内部に存在する、四つの巨大な扉。それぞれ強力な魔法がかけられており、異なる方法で開き、突破しなければならない。開け方を間違えると、記憶の抹消や炎熱での焼死など、悲惨な結果に陥る。スローベンとは、この扉を作った魔術師の名前。

闇の間編集

砦内部の、暗闇に満ちた部屋。内部にはあちこちに刃物が据え付けられており、ここを突破しないと砦の奥には進めない。明かりが無いまま入ったら刃物で負傷するが、途中の商店で売られている魔法の蝋燭を、照明として用いつつ入る事はできる。

奥の院編集

砦内部の、暗い通路を手探りで進んだ先に在る小さな部屋。ベッドと机がある他、何もない飾り気のない部屋であり、一見すると召使か従者の部屋かと思わせる(しかし、私物の類が全くない)。この部屋に入り込み調べると、部屋が存在する真なる理由が明らかになる。

うめきの橋編集

ザメン高地の、マンパン砦に続く崖に渡されている。一見すると、古いが頑丈そうな造りの橋だが、一歩を踏み出すとうめくような声が聞こえてくる。それを無視し途中まで進むと、橋はそのまま消えうせ、渡っていた者は転落死を免れない。

実は、大魔王が侵入者を排除するために魔法を施した、実体のない幻の橋。実際は隣に普通の橋が架かっているが、魔法でその存在を隠し、幻術で偽の橋を生じている。

この幻の魔法を破るためには、コレタスの協力が必要。


その他編集

聖なる樫の木の槍編集

シーサチュロス族が使っている槍に、聖人コレタスが祝福を授けたもの。非金属製のために磁石の罠に引っかからず、サイトマスターのような優れた視力を持つ相手でも、見極められることなく攻撃し、確実に止めを刺す強力な武器である。

震え病編集

シーサチュロス族の一部の者がかかった病気。死体からも感染するため、洞窟内で病死した者の死体と一晩過ごすと、確実に感染してしまう。この病気にかかると、体力が一向に回復しなくなる。治すためには、聖人や治癒師の病を治す能力が必要。

魔法の蝋燭編集

マンパン砦内部の、とある商店で売られているアイテム。自動点火式で、使用時に取り出し念じる事で火が付く。普通の白い蝋燭と、ファイアーフォックスの乾燥血液を用いた、赤い「血の蝋燭」の2種類がある。血の蝋燭の方が長持ちするが……。

ミュータント・ミートボール編集

スローベンの魔術師が作り出したミートボール。口当たりは良いが、練り込まれた魔法の香辛料は、食べた者の身体に突然変異を起こす。ラベルが外れ、蟻(アント)のミートボールと勘違いした者が口にすると……。


関連リンク編集

ゲームブック タイタン(ファイティングファンタジー)


ソーサリーシリーズ

魔法使いの丘城砦都市カーレ七匹の大蛇→王たちの冠

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