「甦る妖術使い」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第26弾「CRYPT OF SORCERER」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。
作品解説
アランシアの小さな町、チャリス。シルバートンの町に向かう商人にとって、格好の休息の地。
だが、この三週間の間。昼夜を問わず空には陰鬱な雲が覆って薄暗く、東からやって来た商人たちは、疫病・災害、そして飢饉が、アランシアの西のこの地に迫りつつあることを告げていた。
そして今日。チャリスの宿・ライオン荘では、月岩山地を大鷲に乗って空を飛んでいたエルフの事が噂されていた。
それは、「月岩山地の大地に、異様な裂け目を発見した」というもの。
件のエルフは、大鷲の背中から地上の様子を観察していた。裂け目周囲の植物が変色して枯れ、臭気を溢れ出させている様子を。
その上空を飛び越そうとしたとたん、裂け目から何者かが手を伸ばし、その指先から雷光を放ったというのだ。
雷光を受けた大鷲は即死。落下した森エルフは、なんとか命はとりとめて……チャリスへとたどり着いたのだという。
ある冒険者……君は、この噂を聞き、旧友であるヤズトロモへと伝えんと、ダークウッドの森へと馬を駆る。
ヤズトロモの塔で、かの善き魔法使いと再会するが……ヤズトロモは重い口を開いた。
「妖術使いラザックが蘇ったに違いない」と。
ラザックは、徒弟時代より邪悪の暗き魔法に魅せられており、いつの日かその力を用い、世界全てをひざまずかせる事を夢見ていた。
師匠の元から去り、アランシアの東方の奥でその秘術に磨きをかけ、徒弟から魔法使い、そして呪術使いから妖術使いとなった。40年の間、彼はこれを一人でやり遂げたのだ。
ラザックは、アランシアの全ての貴族や領主たちに、自分の配下になるよう通達した。
当然ながら、最初はこれは無視された。が、ラザックはこれに対し、疫病と災害を振りまく事で答えた。
数多くの冒険者や戦士たちが集められ、ラザックを討つために旅立ったが、その全ては死んでいった。……ただ一人、クルという名の戦士を除き。
クルは、月岩山地の失われた湖で、骸骨が握っていた剣を発見し手に入れていた。
プレートアーマーですら簡単に貫き切断し、刃こぼれ一つ起こさないこの魔剣は、かつてラザックが帯びていた魔剣。かつて妖術使いとなる時に、ラザックは全ての武器を捨てなければならなかったが、この剣だけは破壊できなかった。
なので湖に捨てたのだが、いかな運命の偶然かいたずらか、この剣はラザックを倒す戦士の手に渡ったわけだ。
クルはこのラザックの魔剣で、ラザックを殺した。しかし同時に、クルもまたラザックの呪いを受ける事になった。意識を保ったままで骸骨となり……ラザックの剣を持ったまま、永遠に存在し続けねばならないのだ。
現在クルは、月岩山地の失われた湖にて。筏に乗りながらラザックの剣を手にしつつ、別の誰かが剣を手にするまで、骸骨となって漂っている……と、言われている。
そしてラザックの亡骸は、石棺に納められて地中深くに埋められ、封印された。もしも110年の間この石棺を暴いたら、ラザックは再び復活する。
そして、今年はラザックが討たれて100年に当たる。おそらく墓泥棒か何かが、ラザックの墓を暴いたのだろう。だが今や、原因はともかく、この状況を何とかしなければならない。
ヤズトロモは問う。「手遅れになる前に、ラザックを倒さねばならぬ。ラザックの剣と、奴の魔法から身を守るための護符やお守りを集めなければなるまい。……お前さん、まさか嫌とは言うまい?」
ためらいつつ、首を縦に振る君。そんな君に、ヤズトロモは力強く受け合った。
「お前を骸骨になどするものか、わしも助けになる友人を集めておく。お前はまず、月岩山地の失われた湖を探し、剣を探すのじゃ。今日はゆっくり休み、明日の早朝に出発じゃ」
シリーズ26弾。
スティーブ・ジャクソン(英)の決定版が「モンスター誕生」ならば、イアン・リビングストンの決定版が、本作である。
「モンスター誕生」は、設定もストーリーも良く練られた、傑作ではある。しかし、主人公がモンスターという点を別にしても、オーソドックスな点からはかけ離れてしまっていたのも事実である。
が、本作は「人間の冒険者」が、「善なる仲間たちの助けを借り」「邪悪なる存在を討ち、平和を取り戻す」……という、オーソドックスな内容であり、ストーリー性もまたジャクソン(英)同様に強く、そしてジャクソン(英)以上に一本線のものとしてまとめられている。
また、「モンスター誕生」では、過剰なほどに「背景」に情報量が詰め込まれており、その全てに攻略と事態の解決に至るヒントが隠されていたが、本作にはそれが無く、既存の作品のように抑えられている。
何より、「状況」と「すべき目的」とが最初に提示されており、謎めいた状況下から冒険をはじめ、徐々に自体が明らかになる「モンスター誕生」とは、これもまた対照的なつくりになっている。
そのストーリーの作りは、
「月岩山地の失われた湖に赴き、クルから魔剣を受け取る」
「魔剣を手にして、ヤズトロモの元へ戻る。その際に、猟人シムなどと出会い、仲間に」
「シムと、ドワーフのボーリーらとともに、吠える洞窟に潜む魔獣ガーガンティスの元へ赴き、その角を入手する」
「裂け目へと赴き、ラザックと対決し、これを倒す」
……と、大体四部作になっている。大きな分岐などもなく、ほぼ同じ展開、同じストーリーを進むようになっており、「小説」としての側面の方が大きい。
この点は言うなれば「雪の魔女の洞窟」のような、キャンペーンシナリオをリメイクしたようなものとも言える。
本作は、リビングストンがこれまでにファイティングファンタジーにて培ってきたものの、一つの到達点となった作品と言える
主な登場人物
主人公=君
本作の主人公。過去の事は記述されていないが、ヤズトロモとは既知。そのため、「運命の森」や「恐怖の神殿」などを経ているとも解釈できる。
ゲレス・ヤズトロモ
善き魔法使い。本作では、主人公=君のサポートとして徹している。ラザックを完全に倒す方法を探し出す他、ラザックの魔剣の呪いの解除、ブロドンやボーリーといった仲間を集めて、ラザックとの戦いに備えていた。
一度、ラザックの差し向けたデーモンスポーンに手も足も出せず、あわやのところで主人公に助けられる。
シム
口髭を蓄えた人間の若者。長身で、濃い緑色の上着に身を包んでいる。弓矢の名手であり、ある場所で主人公に遭遇。「正義の志士か、混沌の従者か」と尋ね、前者と答えた場合に家鴨と焼きキノコの夕餉と、寝床とを提供してくれる。主人公から事情を聴き、協力を申し出る。弓のみならず、剣の腕前やサバイバル技術にも優れている。(劇中では「シャム」と記載)。
ボーリー
ヤズトロモの知人である、小柄なドワーフ。発明家であり、熱気球を発明し、主人公とシムとともにガーガンティスの潜む「吠える洞窟」の探索に協力した。戦士としての技量も高いが、本業は鍛冶屋らしい。そのため、ブラックサンドの武器の物価の値上がりなどにも詳しい。
ブロドン
ヤズトロモの知人である、人間の老人。長いひげを持ち、顔つきは風雨にさらされたそれになっている。
ダークウッドの森を越えた、北西の地点へと何時間か進んだ先の森にある「呪われた墓場」の存在を知っており、その案内をするためにヤズトロモを訪ねる予定だった。しかしダークウッドの森の中で熊に襲われ、到着が遅れていた。
ジェラ
ハーフエルフの美女。ゴブリンの仕掛けた罠に引っかかり、足の方から木の枝に吊り下げられて放置されていた。ゼンギスの魔法使い・コバックスの見習い。コバックスより命じられて薬草探しをしていたが、治療の粉が入った缶以外の持ち物は奪われてしまった。
缶の粉は、非常に優れた治癒力を有し、飲む事で体力を回復できる。
クル
ラザックの魔剣を最初に手に入れた冒険者(劇中では「クール」と記載)。
百年以上前に、ラザックを討つために立ち上がった志士たちの一人。月岩山地の失われた湖にて、筏で渡っていたところ。偶然にも湖面から突き出た骸骨の腕、そしてそれが握っていた剣を発見する。
その剣を用いてラザックを討つが、ラザックの呪いを受けて自身も意識を保ったままで骸骨と化してしまった。劇中でも骸骨の姿で、剣を携え、失われた湖に筏で漂っている。
ウンゴス
ラザックの石棺の間の直前、謁見の間の玉座に座する骸骨。「骸骨の君主」「知識の主」と自称し、「ラザックの石棺の守護者」でもある。
種としては、強力かつ高位のアンデッドである「リッチ・ロード」であり、ザンバー・ボーンやダラマスと同類である(すなわち、普通に戦い倒す事はほぼ不可能)。
ラザックの石棺の間に入ろうとする者に対し、数々の質問をする事でラザックの敵か否かを判断する。そして敵と判断した場合、問答無用で相手を石にしてしまう。この判断は、質問に正しく答えられなかった場合と、石棺の間に入るための方法を知らない場合も含まれる。
ウンゴス本人も、ラザックが復活し、アランシアにゾンビをはじめとするアンデッドの軍団を作る事を切望している節がある。また、主人公の「ポート・ブラックサンドで武器を購入し、ラザックに協力するために謁見したい」という言葉を聞き、ラザックとアズール卿との同盟についても、検討するような事を言っていた。
ラザックの事を「我が主」と言っていたが、なぜラザックに従っているのか、また、ラザックの石棺を守護する理由などは、劇中では明らかになっていない。
ラザック
本作のラスボスにして事件の元凶。
作中の百年前、高名な秩序側の魔術師(ヤズトロモの師匠であるヴァ―ミスラックスに匹敵するほどの傑物だったらしい)の徒弟で、魔術を学ぶのに熱心な若者だった。
が、その師匠が授業の一環で述べた黒魔術や闇の力、邪悪と混沌の魔術に惹かれ、独自に学び研究。自分が支配者になれる事を確信する。
ある夜に、自ら師匠の元を抜け出し、東のフラットランド、その彼方の荒地を旅しつつ、40年をかけて妖術使いとなった。続き、さっそく行動に移る。
貴族や王族、領主に、自分を支配者と認めよと書簡を送り、従わざる場合は害虫の群れを用いた疫病と災害とでそれに答えた。そして次の満月の夜までにラザックを認めねば、もっとひどい状況を起こすと告げる。
数多くの戦士を差し向けられるも、全員返り討ちに。しかし、かつての自分が帯びていた魔剣を手にしていた、クルに討たれてしまった。
が、クルには骸骨になり永遠に生きる呪いを与えたものの、自身の遺体は石棺に封印されていた。しかし本作で、何らかの理由で復活し、劇中に至る事となる。
強力な幻影の魔術で、初めて相対する者はその姿をごまかされてしまう(親しい友人の姿をしているらしい)。また、「邪悪の護符」を帯びた者には、即座に命令を聞かせる事も可能。
幻影を破ると、復活した真の姿が露わになる。大きすぎる頭部を持つ人間だが、背中は歪んで曲がり、片手は長く伸びて地面をひきずり、もう片手はしなびて縮こまっている。
その顔は、右目は膨らみ、左半面にはねじ曲がった笑みが浮かび、禿頭には頭蓋に血管が脈打っている(ちなみに、生前の姿、黒魔術に惹かれる前の姿や、魔剣を帯びていたころの姿は、劇中には出てこないため不明)。
ウンゴスの間からやってきた主人公に対し、様々な魔術を用いて攻撃する。そのどれもが、一撃必殺の強力なもの。それらを無効化しても、ラザック自身が相手に触れる事で生命力を吸い取り、自分に忠実なアンデッドにしてしまう事が可能。
ラザックを完全に倒すためには、ラザックの魔法を全て無効化し、ラザック自身の魔剣を用いて攻撃し、最後に魔獣ガーガンティスの角で突き刺す事以外は無い。が、魔法の無効化が困難なのはもちろん、魔剣は手にしたら骸骨と化して永遠に生きる呪いがかけられてしまい、ガーガンティスに至っては出会うどころか倒す事も困難。故に、ラザックを倒す事は事実上ほぼ不可能になっている。
主なモンスター
ガーガンティス
本作において、ラザック、ウンゴスの次に強力かつ危険なモンスター。
その姿はピット・フィーンド(穴悪魔。ティラノサウルスに酷似したモンスター)とフレッシュゴーレムをかけ合わせたもの……と、古い文献にはある。
実際には、そのどちらとも関係はなく、穴悪魔に匹敵する狂暴性と巨体、フレッシュゴーレムの不格好でずんぐりした外見を有している。やや人型をした恐竜やドラゴンにも似ているとも言える。
胴体と長い尾は、チェインメイルに匹敵する分厚い皮膚と鱗で覆われ、力強い腕には鉤爪のある四本指。頭部には牙を備えた巨大な口と、額に一本角を持つ。
白い角は優しく螺旋を描き、ユニコーンのそれに似ているが、遙かに巨大(剣ほどの長さがある)。
生息地は、地下深く。汚物に溢れた穴にて、そこに接近してきた生き物全てを食らっている。
フラットランドの西部にある「吠える洞窟」にて、一体が住んでいると言われており(本作に出てくるのはこの個体)、他に存在するかは不明。
戦いにおいては、生来の巨体と鉤爪、牙を用い攻撃する。そして一撃でも傷を負うと、生来の防御機能を使用する。
負傷すると即座に、周囲の敵全てに強力な精神波を放つのだ。これを防ぐには、こちらも強力なマジックアイテムや護符などで対抗するしかない。もしその手段が無ければ、ガーガンティスの周囲に居る者たち全ては、正気を失い互いを攻撃し始める。これに生き残れたとしても、ガーガンティス自身が止めを刺し、そして食らうのだ。
精神波をなんとかしたとしても、ガーガンティスと普通に戦い倒すのは、奇跡に近い困難を伴う。が、もしも倒した場合、その角を入手する事が可能。
角にはラザックのような、強力なアンデッドの妖術使いを永遠に滅ぼす力を持つが、それ以外にも多くの不思議な力を有しているらしい。しかしガーガンティス自体が希少のみならず、角を手に入れた者やその現物はほぼ存在しないに等しいため、タイタンの賢者や研究者は誰も研究しておらず、出来る事は推測する事のみである。
氷幽霊(アイス・ゴースト)
吠える洞窟で遭遇するアンデッド。いわゆる亡霊の一種だが、この洞窟内に囚われている存在でもある。ぼんやりと光る、白い浮遊体であり、苦痛に顔を歪ませ、叫びとともに襲い掛かってくる。大抵は、襲い掛かっても、その攻撃をかわし続けたらそのまま飛び去ってしまう。が、そのためには氷幽霊の攻撃を回避しつづける必要がある(サイコロ二個振って、出た目が技術点と同じかそれ以下の数値を出す判定を、三度行い成功させねばならない)。
魔力のある武器でなければ、戦うどころか傷つける事もできない。もし一度でも触れられたら、その犠牲者は死んだように蒼白になり、気を失ってしまう。
この時に、冷気を吸い取る魔法の小石があれば、命をつなぎとめる事ができる(体力点から二点引かねばならないが)。そうでなければ、そのまま体温低下で死ぬ。
仮に生きながらえても、再び触れられると、その時点で即座に死ぬ。そして犠牲者の死体は蒸発、自身も新たな氷幽霊となり、自分の仲間をはじめとする、手近な生きている者たちへと襲い掛かる。
カメレオナイト
丘陵地に住む、カメレオンの獣人。カメレオンの頭部と尻尾、皮膚を有する。
カメレオンのように長く伸ばす舌、巻きつく尻尾の他、その皮膚の色彩を変化させる能力を有する。それを用い、周囲に紛れ込んで獲物を待ち伏せ不意を突く事を得意とする。大体三体程度の小さな群れで攻撃するが、武器は稚拙な棍棒や短剣程度しか使えない。
このカメレオナイトの血液は、他種族が自身の皮膚に塗りつける事で、一度だけ皮膚の色彩変化能力を使う事が可能。ただし、血液を塗った際には、半分の確率で副作用が発生する。
軽いものでは、ひどい熱を起こし体力が奪われるが、これは後に回復が可能。しかし悲惨なものとしては、片腕が完全に動かなくなる。これは回復不可能であり、当然ながら両手用武器や盾を使う事ができなくなってしまう。
アイテム、舞台、その他
ラザックの魔剣
魔力の籠った、呪われた剣。
剣としての威力は最高レベルで、分厚いプレートメイルも叩き切る事が可能。その鋭い刃は、なまくらになったり、刃こぼれしたりする事もない。
ラザックを討つため、クルは月岩山地の「失われた湖」を筏で渡っている最中。湖面から突き出た骸骨の腕にこの剣が握られていたのを発見し、自身の剣とした。
もともとは、ラザック自身が身に付けていたものであり、同時にタイタン世界において、唯一ラザックを傷つける事が可能な武器である。
ラザックが、いつこの剣を手に入れたのか、あるいは自分で作ったのか、誰かに作ってもらったのか、入手や鋳造などの記録や記載は残っておらず、一切が不明。
唯一明らかになっているのは、ラザック自身が妖術使いとなるために、デーモンと契約を結ばねばならなくなった時。最後の契約を行う際に、「入信の一部として、奉納する儀式用ナイフ以外の武器・武具全てを捨てねばならない」という条件があり、ラザックはそれに従った。が、この剣だけは壊す手立てがなく、仕方なく湖に捨てたというのだ。
それを、ラザックを討つために、クルが入手した。
しかし、この魔剣には呪いがかかっている。ラザックは討たれたその瞬間に、クルの身体から肉や皮膚を削ぎ落させ、骸骨の姿にさせたのだ。その状態になっても、意識は保っているクルは、そのままもとの湖に戻り、骸骨の姿となって新たに剣を手にする者を求め、漂っている、という。
もしもクルからこの剣を受け取れば、クルの魂は解放され、ようやく安らかな眠りに付ける。だが、新たに剣を手にした者に、呪いは移る。新たな使用者がラザックを倒したとしても、その者が新たな骸骨と化して、永遠に生きねばならないのだ!
失われし湖
月岩山地に存在する湖。かつてこの湖で、クルはラザックの魔剣を手に入れた。
現在もまた、ラザックの呪いを受けたクルが、ラザックの魔剣を手にしつつ、筏で漂っている。
呪われた墓場
ダークウッドの森から北西の位置に存在する、森の中の空き地に存在する墓場。長期間放置された墓石が並び、壊れて苔に覆われ、雑草や芝生が生い茂っている。
多くの墓石が並ぶ中、ラザックの父親・タマルが葬られている墓が存在する。タマルが百歳を超えて亡くなった事が、墓石には刻まれている。
また、呪われたとある指輪をはめていたら、その影響で墓からスケルトンが復活し、襲い掛かってくることがある。
骨の谷間
月岩山地の、とある山の麓に存在する。一面に動物や人間、その他様々な生き物の大きな骨で埋め尽くされた場所で、骨が積まれていくつもの小山を作っている。
そこには黒いフード付きマントを付けた小男が住んでいる。彼は「骨の守り人」として知られ、この骨をえり分け磨き上げたのち、魔力の印を彫り込んで魔法の指輪を作り出している。よそ者に対しては骨を投げて威嚇するが、敵意がない事を納得させれば話し合いに応じてくれる。
吠える洞窟
西の平原に存在する、ガーガンティスが潜んでいると思しき洞窟。
内部には、ラザックの労働者たるゾンビ(認識票代わりに、数字の入墨が掘られている)が拡張作業を行い、ドラガーがその監督として駐留している。
また、この洞窟内には「鉄食い」の他に、「氷幽霊」といったモンスターも存在する。
ワルソー・ブック
とある場所で、洞窟トロールが有していた。
トロールの好物である「ワルソー(疣猪)・ビール」の醸造所が出版している本で、トロールに関する様々な記録が記されている。
ボーリー曰く、ワルソー・ビールは「いったいどうすりゃ、こんなドブ水が飲めるんだ?」という代物らしい。
中に記されている内容も、読んだボーリーにとっては、考え付く悪態をつかせる代物だった様子。判明しているのは、「トロールによるホビット(ハーフリング)の耳大食い競争のアランシア記録」。