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盗賊都市

とうぞくとし

ゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第5弾。著者はイアン・リビングストン。
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「盗賊都市」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第5弾「CITY OF THIEVES」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。

作品解説

 平和な町シルバートン。
 そこは最近、夜な夜な恐ろしい殺人犬「ムーン・ドッグ」がうろつき、アンデッドが襲い来るようになっていた。宿屋にやって来た冒険者に対し、市長のオウエン・カラリフが事情を説明する。「闇の王者」こと、ザンバー・ボーンが、オウエンの娘・ミレルを差し出せと迫っていたのだと。
 ザンバー・ボーンを倒すために、ポート・ブラックサンドに隠居生活をしている善き魔術師、アラコール・ニカデマスの元へと赴いてほしいと、オウエンは依頼する。
 しかし、ポート・ブラックサンドは別名「盗賊都市」。海賊にして邪悪なる領主、ヴァレック・アズール卿により支配され、あらゆる犯罪者や盗賊、悪漢、海賊などが集まる、無頼と悪徳の都市である。都市の内部を探索するどころか、ただ出入りするだけでも簡単にはいかない。
 それでも、ザンバー・ボーンのもとに愛娘を差し出させるわけにはいかない。依頼を受けた冒険者=君は、ニカデマスの元を訪ねるために、ポート・ブラックサンドへと赴く。

 ファイティングファンタジー、シリーズ5作目。
 再びタイタンが舞台になった作品。今回の舞台は、「ポート・ブラックサンド」という「都市」である。
 モンスターが徘徊し、邪悪な魔術師が最奥に待つ「地下迷宮」や「城塞」といった、冒険者が出向く、生活圏外の場所ではなく、「社会生活を営む者たちの、生活圏内」という意味での「都市」を舞台としている。
「バルサスの要塞」でも描かれていた、その世界における「生活の場」そのものを、冒険の舞台としているのだ。
 通りがあり、店があり、店舗には店主が存在し経営している。そういう生活圏内に主人公=君が入り込み、店で買い物したり、情報を得たり、酒場で一杯ひっかけたりといった、生活そのものを体験できる作品になっている。
 そして、設定上ポート・ブラックサンドは、犯罪者や悪漢の巣窟でもあるため、油断していたら住民に襲われて金貨や金目の物を奪われ、時には殺されたりもする。
 さらに、この町を支配しているアズール卿と、その手下である衛兵たちにも、睨まれるとろくに歩き回る事もできない。
 単にモンスターを倒したり、迷宮や危険な地での危険な状況をやり過ごし先に進む……という、それまでの物語とは異なり、「町における日常に触れつつ、依頼を遂行していく」という点が、最大の特徴である。
 最終的には、アンデッドであるラスボス「ザンバー・ボーン」の居城に赴き、討ち取る事が目的ではある。が、本作は舞台となるポート・ブラックサンドの方が魅力的であり、ザンバー・ボーンの方は些末とも思えてしまう。

 後に、ブラックサンドそのものを舞台とした「真夜中の盗賊」もリリースされる。

主な登場人物

主人公=君

 剣士。オウエン・カラリフからニカデマスに会うため、ポート・ブラックサンドに赴き、ザンバー・ボーンの倒し方を教えてもらう様に依頼をする。

アラコール・ニカデマス

 善の魔法使い。ポート・ブラックサンドの中央部、「歌う橋」の下の小屋に住む。
 本作が初登場となる。この場所に引っ越してきた理由は、疲れ果て、これ以上の冒険はしたくないためで、難儀に陥った人々の声を聞きたくないからと話す。
 オウエン・カラリフとは旧友であり、そのよしみで主人公=君に、ザンバー・ボーンの倒し方を教え、そのまま倒させに行かせる。

オウエン・カラリフ

 ポート・ブラックサンド近くの小さな都市、シルバートンの市長。
 娘のミレルをザンバー・ボーンに狙われている。ある冒険者にポート・ブラックサンドに赴き、そこに住むニカデマスを訪ねるように依頼する。最初に見事な広刃の剣と、金貨三十枚とを、前金として渡す。

J・B・ラギンズ

 ポート・ブラックサンド・カギ通りにて、鍵職人として店を出しているドワーフ。ニカデマスと敵対しているらしく、ニカデマスを探しに来た冒険者が、彼の友人だと答えると犬をけしかけた(逆に、敵だと答えると友好的になった)。職人としての腕は確かで、あらゆる鍵を開けてしまうマスターキーを、金貨10枚で売ってくれる。

パイプ夫人

 ポート・ブラックサンド・時計通りにて、花屋を営む老女。
 様々な草花を育て、販売しているが、珍しい商品は「10枚の金色の花弁を付けた、黄金の花」。この花を犬の血に浸すと、それぞれが金貨に変わる。花はマジックアイテムか、武器、食料二食分と交換してくれる。

ベン・ボリマン

 ポート・ブラックサンド・木靴通りにて、銀細工職人として店を出している人間の太った男。やや強欲だが、銀細工師としての腕は確か。
 店内には、様々な銀細工を納めた戸棚がある。それを開ける鍵は常に持ち歩き、暴漢や強盗などに襲われたら呑み込み、ガス入りの卵を投げつけて自衛する。
 とある冒険者の依頼で、ザンバー・ボーンを倒すために銀の矢を金貨10枚(またはマジックアイテム二個と交換)で作った(金貨が足りない場合、所有している食料全てを代わりに取って行った)。

ジミー・クィックティント

 ポート・ブラックサンド、粉屋通りの路地突き当りにて、入墨の店を営む入墨師。紫の絹衣を着た太った男で、入墨師らしく自分の腕や手足、顔や胸など、体中に色とりどりの入墨を施している。
 ザンバー・ボーンを倒そうとする冒険者の依頼で、金貨十枚で、真ん中にユニコーンを入れた黄色い太陽の入墨をその額に彫った。
 斜視の義兄がおり、隣の店で質屋を営んでいる。

蛇女王(サーペント・クイーン)

 ポート・ブラックサンドで、アズール卿の庇護下にある奇妙な存在。頭部が長く伸びる蛇で、胴体は人間の女性。とある商人が旅の途中、砂漠にて発見し保護した。本人の言い分によると、カアスの魔術の儀式により頭部を変えられたとの事。哀れではあるが傲慢で短気であり、アズール卿の従者を含む何人もの人間を、毒牙でかみ殺してきた。彼女を元に戻すなら、アズール卿は大金を支払うだろうが、挑戦者はいまだ出てこない。
 鍛冶屋通りの、白いレンガの家に住む。その扉には、蛇の頭部が刻まれている。
 彼女は友好的とは言えず、見知らぬ者はもちろん、世話係のアズール卿の部下たちですら信用していない。来訪者が用事もなく、適当な嘘でごまかそうとすると、不機嫌になり攻撃してくる。ただし、贈り物は好み、花や銀製品などを送られた場合、機嫌を直す事もある。

サワベリー

ファットノーズ

 ポート・ブラックサンドの衛兵であるトロールの二人組。衛兵の制服を着こんでいる。
 ニカデマスと会うためやってきた冒険者に、だますような質問をした後に、「部外者は逮捕するが、捕まりたくなければ金を払え」と迫る。
 特にサワベリーは、住民たちに対して似たような事を行ってきたためか、彼らから非常に嫌われていた。そのため住民たちは、件の冒険者がサワベリーと戦い殺したら、お礼だと言って町から脱出するのを手伝ってくれた。

ザンバー・ボーン

 ポート・ブラックサンド近くの塔に住む、強力な力を有するアンデッド。
 別名「闇の王者」。アンデッドとしての種は「リッチロード(死霊の王)」。ほぼ骨のみの身体に死肉がへばりついている姿をしている。
 シルバートンをムーンドッグ(死の犬)をけしかけ、住民を殺させて、生贄に市長の娘を差し出せと迫っていた。
 塔には僕としてスピリット・ストーカーや吸血鬼、ミイラなどのアンデッドを従えているほか、幻影の魔術などで侵入者を困惑させる。日中は超自然の存在ゆえに、戦い倒すには夜間しかない。また、倒す際にも蓮の花と黒真珠と魔女の髪の毛(この中の二つだけで良いという話もある)を混合したものが必要だと言う。

ヴァレック・アズール卿

 ポート・ブラックサンドを恐怖と力で治める領主。
 30年近く支配しているが、その外見を晒す事はほぼ無く、わずかに公衆の前に現れる時も、黒いローブで身を包み、その姿を見た者はほぼゼロに近い。
 トロールなども含めた衛兵隊と、通行証によるシステム、それに恐怖政治などで支配し、皮肉ながらも支配に成功している。

ポート・ブラックサンドのガイド

 当然ながら、ポート・ブラックサンドは都市であり、数多くの通りが存在し、そこに様々な種族の者が、店舗を出している。

正門

 数ある町の出入口。しかしそこには、多くの衛兵が用もなく入ってくる者たちを追い払うため、常に任務に就いている。
 通行証をどこかで手に入れそれを見せるか、賄賂を払うか、あるいは口八丁でなんとか丸め込み入れてもらうかしない事には、警戒され、拘束される。反撃しても、並の冒険者程度ではすぐに捕まってしまい、近くの牢に入れられる。
 牢に入れられた場合、そこから衛兵を挑発したり、同房の囚人からアドバイスを貰ったりするなど、出るための策を講じる必要がある。

鍵通り

 正門から入ってすぐ左にあり、そのまま西へと延びている通り。入ってすぐ、ドワーフの鍵職人、J・B・ラギンズの鍵屋がある。ここでは、ニカデマスを憎むラギンズから、マスターキーを金貨十枚で買える。
 通りを突きあたると、右に直角に折れ、北に進める。が、この付近は要注意。よそ者や手ごろな獲物と見られると、周囲から密かに弓で狙い、警告(弓で狙っているから、金貨を道に置き立ち去れと書いたメモを渡す)する。
 警告に従い金貨を置くと、金は失うが命は助かる。しかし拒むと周囲から弓を受け、針刺しのような状態にされる。
 ただし、近くには癒しの技を使う者もいる。矢を受け瀕死の状態になったら、通りに面した小屋から少女が顔を出し、手招きしてくる。その招きに応えて中に入ると、揺り椅子に座った老人がそこには居る。彼は痛みを与える事無く矢を抜き、矢傷も治療してくれる(しかしその治療費として、所有している貴重なマジックアイテムを所望されるが)。
 この薄黒い家々が密集している中、北に進むと一軒だけ、鮮やかな赤に塗られた家が目に付く。
「ようこそ」の板に誘われ中に入ると、そこは小さな装飾品の店。入ってすぐに、二個のガラス鉢が乗ったテーブル以外、何もない事に気づく。鉢にはサソリのブローチが入れられている、売り物であるために手を出してはならない。
 店内は奥に二階に続く階段があり、そこを上がると店主が腰を下ろしている。
 店主は直立した翼の無いドラゴン、もしくはトカゲのように見えるが、悪名高きトカゲ兵ではなく、トカゲ人(リザーディン)である。もしもサソリのブローチをこの店主の許しなく付けていたら、すぐに襲いかかってくる。
 そうでないなら、店主は穏やかに語り掛けてくる。階下に降り、幸運か健康のどちらかの作用を有するサソリのブローチを、一つ金貨6枚で売ってくれる。金のサソリは幸運を、銀のサソリは健康(傷を負っても、わずかだがすぐに回復する)をもたらしてくれる。

市場通り

 正門から入ってすぐ、目前にある通り。その名が示すように、北に真っすぐ延び、マーケット広場に続いている。
 この通りをまず進むと、左手にマンオークの店主が経営する薬草店が目に入る。
 この店では、薬草から作った混合治療薬を金貨四枚で、同じく混合煙草がパイプ込みで金貨一枚で購入できる。治療薬は負傷した傷の治りが早くなるが、その効き目は一定ではない。煙草は、店主に言わせれば「軽い」との事だが、普通に吸ったら呼吸困難になるほどひどい代物なので、愛煙家といえどもおすすめはしない。
 通りの奥、右側には「ぶち犬亭」という安酒場がある。人間以外の客も多いが、店主はよそ者を嫌い、見知らぬ客が来たらカウンターに短剣を突き刺し、出て行けと言うのが普通。これに文句を言うと、奥からトロールの用心棒が出てきて、一戦交えねばならなくなる。
 その先には、富裕層らしき者の家が、やや引っ込んだところに建っている。正面には樫の木の扉と狼をつないだ犬小屋があり、内部は二階建て。室内には金貨や値打ちものなどをためこんでいるが、ここの家人は泥棒を簡単には逃さない術を持つ。
 家の主の太っちょは、ファイア・インプを使い魔とする魔術師であるため、侵入者にそれをけしかけてくる。使い魔を殺したとて、稲妻を放って攻撃してくるため、泥棒という悪行の報いを嫌と言うほど味わう事となる!

時計通り

 正門からはいってすぐ、東に延びる通り。やや狭く、そのまま進むと排水溝がある。ここでは浮浪者や精神を病んだ者などが居る事もあり、単に話しかけただけでも狼狽し襲ってくることも多い。しかし時に、有用なアイテムをなぜか所有している事もある。
 時計通りはそのまま、北へ折れ曲がる(そのまま東に進むと、宮殿通りと交差する)。
 この辺りは、戸口の高さは4mほどに。その中には扉が空きっぱなし、内部も汚く散らかっている家もある。噂によると、ここの家人はオーガーで、食料が盗まれて見当たらないと愚痴をこぼしてばかりだという。親切心を起こして食料を分けてやっても、礼一つ言わない無礼な奴との事だ。
 北に進むと、直角に左に曲がり、市場通りと交差する。
 ただし、この角の周辺には、ただの水を薬効のある水と嘘を言って売りつける少年や、三人組のドワーフの辻強盗が縄張りにしているという話もあるので、通り抜けるだけでも注意が必要である。特にドワーフ三人組は、こちらが手ごわい敵だと知るとすぐに逃げるが、それを深追いしてはならない。見知らぬ横町の上から不意にネットを被され、身動きが取れない状態で金貨を全て奪ってしまうからだ。
 そのまま進み、市場通りとの交差点近くの左側には、美しい商品のある二つの店がある。
 一つは、パイプ夫人が経営する花屋。この老婦人は珍しい草花を育てており、特に最近は黄金の花弁を付けた花を咲かせたとの事。犬の血に花弁を浸せば、本物の金貨十枚になるらしい。これは食料二食分か、武器、マジックアイテムとの交換で手に入る。
 もう一つは、宝石店。店主は左目に眼帯をした、禿の大男。その口元は宝石の美しさと対照的に、黒い乱杭歯がのぞく醜いもの。
 彼はショーケースに並ぶ、宝石のはまった指輪を売ってくれるし、入手した宝石を鑑定し、買ってもくれる。売ってくれる指輪はマジックアイテムで、「不可視」「火」「氷」の力を有する。店主の鑑定はそれなりの値が付き、金貨も支払ってくれるが、これにケチを付けると激昂するので注意が必要。交渉決裂、もしくは強盗目的で襲い掛かったら、店主は携えた戦斧で自衛する。

マーケット広場

 ブラックサンドの、ほぼ中心部に位置する広場。
 ここではほぼ毎日、広場の周りに屋台が出店しており、物売りや楽士、芸人たちがそれぞれ仕事にはげんでいる。
 食べ物の屋台で売られているのは、果物、野菜、肉、熱いスープ、コーン、ナッツ類など。どれもが金貨一枚ほどで買える。
 竪琴など、楽士の奏でる音楽も聴ける。中には金貨三枚ほどを支払う事で、幸運をもたらす演奏を聴けることもあるかもしれない。
 力自慢なら、筋骨隆々の芸人が行っている、砲丸でのキャッチボールに挑戦するのもいい。互いに、重たい砲丸を投げ合い、落とした方が相手に金貨五枚を支払うというゲームだ。
 食べ物以外の屋台を冷やかすのもいい。手裏剣などの小さな武器や、ロープやランタン、肉屋の鉤などが売られている店もある。
 また、派手な色彩のテントには、占い師のマダム・スターが透視術師……未来を予言する占いをしている。望むならば、金貨二枚で水晶玉占いをしてもらう事が可能。
 また、中央部にはさらし台が設けられている。そこには罪人がさらされ、群衆はその罪人に対して腐った食べ物を投げつけぶつける事を楽しんでいる。時にスリが、手ぶらな者に「これを投げな」と食べ物を手渡し、その隙に金貨や品物を盗み取る事もある。
 広場の周辺には、空き家もあり、いきなりの雨の雨宿りに入り込む者もいるかもしれない。しかし、入った途端、そこが大きな毒蛇の住処という事が判明し、戦わざるを得ない事もあるので注意。
 広場の北側には、ナマズ川が東西を横断している。向かって右側には、中橋に続く川通りが、左側には、歌う橋に続く橋通りが延びている。

歌う橋

 マーケット広場、橋通りからナマズ川にかかっている木製の橋。橋の欄干からは柱が延び、人間や動物など、様々な生き物の頭蓋骨が突き刺さっている。風が吹くたび、この骸骨が鳴り、まるで助けを求めているかのように聞こえる(まさに、「歌う橋」)。
 川を流れる水はゴミが流れ薄汚く、臭気もひどい。
 橋の近く、ほとんど人目につかない場所には、橋の下に続く小さな階段がある。そこを下って行くと、橋の基部にはめ込まれた形で建つ、木の小屋の入り口扉の前に続く。窓にはカーテンが下がり、扉の表面には「立ち入り禁止」の文字が書かれているため、歓迎されない事を覚悟のうえでノックすると……そこにはニカデマスその人が現れる。
 ただの好奇心で訪ねた者には、相応の罰が下る……イモリに姿を変えられ、ナマズ川に捨てられるなど。しかし重要な依頼で訪ねた者は、快く小屋の中に招かれ、話を聞いてくれる。
 ニカデマス自身は老いているため、冒険に同行などはしないだろうが、アランシアの、タイタンの悪を滅する使命を帯びた冒険者に対しては、助言や助力は惜しまない。ただし、老いている故にその助言に些細な間違いが混じる可能性もまた、考慮せねばならない。

ろうそく通り

 歌う橋を渡った後の、四辻から東側、右へと延びる通り。
 入ってすぐ右手には、二軒の家に挟まれた狭い路地があり、その行き止まりには、不気味な家がある。
 戸口に描かれているのは、六つの頭蓋骨。一つは黒、残り五つは白。聞いた話では、内部にはろうそくがあちこちに灯された暗い部屋で、黒いローブを着た不気味な男が待ち受けている。そして、六つの頭蓋骨に一つずつ、白い錠剤を乗せ……ゲームを仕掛けてくるというのだ。一個は致死量の猛毒、残りは無害。もし生き延びたら金貨二十枚を得るが、死んだら持ち物そっくり奪われる。
 この危険なゲームを辞退するも、受けて生き延びても、この周辺には他にも不気味な住民がいる。通りを歩いていると、喧嘩らしい言い争いとともに、植木鉢が二階の窓から落ちてすぐ近くに落ちたという者もいる。
 何事かと家に入ると、そこはおもちゃでいっぱいの部屋。しかし、「頭部に釘を刺された動物のぬいぐるみ」「火事で燃えているようにみせかけた人形の家」など、不気味な玩具しかない。
 それらで遊ぶ子供も不気味である。正確には子供ではなく、幼女の服を着た二人の老婆だが。入った者が言うには、彼女たちは手にナイフを持ち、木彫りのアヒルを傷つけようとしている最中。自分に気づいたら、おもちゃをねだったという。
 適当なものを与えると、それを巡ってまた喧嘩。世話をする者の姿は見えず、食卓にはスープが用意されているのみ。スープは一口啜ったら、ひどくまずいものの……薬効があり、体力が回復したとの事。
 この不気味な家のすぐ近くには、石塀で囲まれた広場がある。塀の上まで階段が続いているため、ここを昇り中をのぞくと、そこは「スポーツ広場」で、小型の種族ベイが、お気に入りのスポーツ「ベイズ・ボール」を行っているのが見えるはずだ。
 通りすがりの者でも、飛び入りで参加したければしてもいい(このスポーツは、飛び入りの参加者も許されている)。もしも勝てば、勝者としてがらくたが詰め込まれた箱を貰えるだろう。大抵は金貨が数枚の他、フルートやらチョークやら眼帯やらといった取るに足らないものばかりだが、中には魔女の呪文に惑わされないポーションのような、冒険者にとって役立つものが混じっているかもしれない。
 

港通り

 歌う橋を渡った後の、四辻から西側、左へと延びる通り。
 この通りは、ブラックサンドの西端、海老波止場にまで通じている。
 海老波止場の、ナマズ川を臨む角には、「ブラック・ロブスター(黒海老)亭」という大きな居酒屋兼宿屋が建っている。ここは波止場に面しているためか、船乗り、もしくは海賊たちにとって御用達の店であり、内部には荒くれ者の客たちと、そういう客をさばくのに慣れた店員たちとで溢れかえっている。
 海賊船が停留している際には、見張りも陸の上で浮かれ、さぼる事もよくある。そんな時に抜け目のない冒険者や盗賊が船に入り込み、中の海賊たちの持ち物をかすめ取る……などといった事は、日常茶飯事である。
 港通りから海老波止場を北上すると、木靴通りと交差する。更に北に進むと、右側に古ぼけた小さなボロ家が並び、中年や老年の女たち……猟師の妻たちが陽気にお喋りしつつ、漁網の繕いや採った魚を洗ったりしている様子がよく見かけられる。彼女たちはこの界隈での情報源で、うまく聞き出せば役立つ情報を得る事ができるかもしれない。

木靴通り

 海老波止場から東に抜ける、小さな通り。
 この通りの左側には、金髪で斜視のエルフが営むろうそく屋がある。彼自身がろうそく職人であり、色付きろうそくは一本につき金貨一枚。奥の部屋には、紫色の幻想的な炎を見せる、魔法のろうそくを見る事が出来る。が、これに見入ると前後不覚に陥り、その隙にエルフに持ち物や金貨をかすめ取られる。
 さらに進んだ場所には、「ベン・ボリマン 銀細工師」の看板が掲げられているのを見る事が出来る。中に入れば、そこに白いエプロン姿の、太った人間の職人……ベン・ボリマンその人が作業しているのが見られるはずだ。
 ザンバー・ボーンを倒す依頼を受けた冒険者は、彼に銀の矢の製作を依頼したところ、金貨10枚、またはマジックアイテム二個を要求された(払いきれない場合、食料を皆取られてしまった)。金額は変動するだろうが、一部のアンデッド用の武器として銀の短剣や銀の槍の穂先なども、注文すれば製作は可能だろう。
 木靴通りをこのまま東に進むと、四辻に突き当たる。北は塔通り、東は鍛冶屋通りになっている。

塔通り

 木靴通りから入り、北に進むと、「ブタガエル(ピッグ・フロッグ)亭」という居酒屋がある。この近くで襲われた薬剤師の老人が、助けてくれたとある冒険者にサイダーをこの店でおごり、自身の塗り薬も勧めてくれたらしい。塗り薬の効果は抜群で、白いクリーム状をしているという。
 居酒屋から先に進むと、急角度で東に折れ、高い二つの塔が橋で結ばれている箇所に突き当たる。橋から更に東に進むと、鍛冶屋通りが何北に走る四辻に差し掛かる。

鍛冶屋通り

 木靴通りから入ると、狭い石畳の道が東に延びている。ここには変わった老人が出ると言う噂がある。鼻に毛の生えたイボがあり、携えた袋から薄汚い瓶を取り出すと、金貨二枚で売りつけようとする。
 本人曰く、「元気回復の妙薬」。しかし怪しみつつ購入して飲むと、確かな回復効果があったという。
 しばらく進むと、マンホールが目に留まる。マンホールの下は下水道が走っており、聞いた話によると、魔女が自分のシチューの材料にするために、下水道内の大ネズミを探しに中へ入っていく様子をよく目撃する、との事。
 実際、この下水道内に入ると、不潔な中で巨大ネズミや巨大ムカデなどと遭遇する確率は極めて高い。
 マンホールを後にして東に進むと、通りは北へと折れる。やがて砂岩作りの家々の中、白く塗られたレンガ作りの家が一軒のみあるのが見える。
 この家の扉には、蛇の頭の彫刻が施されている。内部に入る事はやや勧められない。なぜならここが、かの有名な「蛇女王」の住まいだからだ。無用の者が入り込んだら、怒った彼女の毒牙のひと噛みを受け、そのまま死んでしまう。現に彼女の世話係をしているアズール卿の部下たちは、彼女の機嫌を損ねて何人も殺されている。
 もっとも、蛇の頭部を有するとはいえ、彼女も贈り物が好きな女性。アズール卿からの贈り物を届けに来たと言って、花などを(持っていたら)贈れば、チップをくれる可能性もある。
 この先には、塔通りとの四辻があり、さらに先に進むと、大きな木造の納屋がある。納屋には煙突があり、そこでは鍛冶屋が馬蹄を打っている。
 この鍛冶屋は、サイドビジネスとして甲冑作りをしており、もし望むなら、金貨二十枚と引き換えに、出来の良い甲冑を入手できる。彼はこの悪徳の町においては、珍しいくらいに善人だという。
 鍛冶屋の先には、高い柵に囲まれた、公園の入り口がある。入場料は金貨一枚で、回転木戸のスロットに金貨を入れる事で中に入れる。
 公園内部の庭園は広大というわけではないが、奥行きは60mほど。花や植え込みはとりたてて珍しいものではないものの、この悪徳の町にはやや珍しい、穏やかな気分にさせてくれる。
 庭園は縁に沿う小路と、中央に続く小路とがある。そして中央には大きな陶製の鉢があり、ハスの花が咲いているのを見る事が出来る。その周辺には植木が植えられ、動物の姿に刈り込まれている。
 庭園内に庭師の姿は無く、いたずらで、或いはそれ以外の目的で、このハスの花を摘もうとした者には、番人が襲い掛かる。周囲の動物の形に刈り込まれた植木が、そのまま動き出し、襲い掛かるのだ! 火炎を放つマジックアイテムがあれば、相手は植物故に容易に倒せるが、そうでないなら剣を抜き切りかかるか、あるいはハスを諦め逃げるしかない。

粉屋通り

 鍛冶屋通りを進んだ先は、粉屋通りとぶつかるところで終わる。この通りは、北はブラックサンドの北側の壁であり、壁に沿って東西に延びている。
 ここでは、手押し車に果物を積んだ、果物売りの少年と出会う事がある。この少年から果物を購入した者いわく、「プラムひとかご、赤リンゴ一袋、どちらも金貨一枚。プラムは汁気たっぷりで美味だが、赤リンゴの方は酸っぱく、食べていくうちに胃が痙攣してひどい目にあう」。
 通りの西側に進んでいくと、左手に狭い路地がある。この路地を進むと、突き当りに入墨師のジミー・クイックティントの店を発見する。
 ジミーは体中が入墨だらけの太った男で、どのような絵柄の入墨も彫ってくれる。ザンバー・ボーンを倒す依頼を受けた冒険者は、額に黄色い太陽を、その真ん中にユニコーンの入った入墨を注文し、金貨十枚の値でそれを彫ってくれた。
 また、この店の隣りには、ジミーの義兄である斜視の男が経営する質屋がある。金貨が足りない場合、こちらに赴けば、要らない持ち物を即座に金貨と交換してくれる。
 この近くには、ガチョウ通りがある。この周辺の住民は、衛兵、特にトロールの衛兵であるサワベリーに良い感情を有しておらず、とある冒険者がサワベリーを殺した際、喝采したのみならず、彼をかくまい、街から脱出する手助けさえ行った。

ザンバー・ボーンの塔

 ポート・ブラックサンドから離れた場所に存在する、かのアンデッドの居城。
 周囲の自然は悪の力を受けたためか、歪み、陰鬱な雰囲気を醸し出している。この周辺には死の犬を初めとした数々のモンスターが徘徊するため、通り抜けるだけでも注意が必要。
 塔に辿り着くと、鍵のかかった木の扉が待ち受ける。マスターキーなど、開ける手段を持たない者には、呼び鈴の紐を引くか、無理やり開ける他はない。
 もしも呼び鈴を用いると、ザンバー・ボーンのしもべたるスピリット・ストーカーが迎える。一夜の宿を頼むと、塔二階の寝室に通されるが、ここで眠ると毒ガスで命を落とし、アンデッドにされる。なので、すぐに行動を起こすが吉。
 なんとか自力で扉を開くと、一階に飾られている盾を失敬できる。塔の方はともかく、ユニコーンの紋章付きの盾は戦いに役に立つ。
 塔三階は、踊り場に扉が一つあるのみ。その扉を開けると、詰め込まれた価値のない骨董品とともに女吸血鬼と対峙する事となる。
 四階踊り場も、扉があるのみ。ここも得られるものは無いので、先に進む方が得策である。
 五階踊り場には、白と黒の扉と、更に階上へと進む階段がある。
 六階に上ると、そこには動く鎧と、ゾンビが閉じ込められた部屋。それぞれはそれほど脅威でもない。
 そして更に階上に進むと、そこは屋上に。死鷹と、閉じ込められたあるもの以外は、ここも得られるものはない。

 恐ろしいアンデッドは、五階の扉の中に存在する。白の扉の部屋には、棺とともに、恐ろしいミイラが納められている。ただしこちらは、普通に倒す事も可能だが、火のついたランタンや、炎を出すアイテムなどがあれば容易に倒せる。この棺の中には、重要なアイテムが隠されているかもしれない。
 黒の扉の部屋は、身の毛もよだつもので飾られているのをまず見る。が、幻覚を破る強力な魔法かマジックアイテムが無いかぎり、ザンバー・ボーンの姿を見つける事すらできない。その手段がないと、気が付いたその時点で殺され、アンデッドと化し、しもべとされてしまう。
「闇の王者」ザンバー・ボーンを完全に殺すためには、ニカデマスから聞き出した手段を確実に行っていく必要がある。

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