概要
1958年の映画『蠅男の恐怖』のリメイク作品である。
1986年にデヴィッド・クローネンバーグの手によって『ザ・フライ』としてリメイクされ、大ヒットを記録。
1989年には、続編『ザ・フライ2 二世誕生』が公開。前作で特殊メイクを担当したクリス・ウェイラスがメガホンを取り、『蠅男の逆襲』を基にリメイクした。
あらすじ
『ザ・フライ』
一人の男性科学者、セス・ブランドルは、遺伝子(DNA)を電子記号化して写真・ファックスのごとく生物を電送するマシーンを開発した。最初は猿をつかった実験に成功する。
その一方では、恋人となった雑誌記者、ヴェロニカ・クエイフが次第に自分から離れ、元彼である雑誌編集者、ステイシス・ボランズのところへいくのはないかという不安を覚える。そしてヤケを起こし、自らマシーンに入って人体実験を開始。
結果は見事に成功した。しかし電送開始するカプセルに入る際、彼は一匹のハエを巻き込んでしまっていた……。
その後、セスの体に異変が起きた。食欲旺盛になり、全く縁のなかった機械体操をことごとくこなし、腕相撲で相手の腕をへし折るほどの怪力を有するようになったのだ。
さすがにセス自身も自分の異変に気が付き、マシーンのコンピューターから電送記録を改める。
結果、セスは自分がハエと一緒に電送された事が明らかに。
さらにコンピューターが独自の判断で、人間であるセスと昆虫のハエを、電送中に融合してしまったことが判明した。
気が付いた時には遅かった。彼の指爪が剥がれていき、セスは、自分が徐々に巨大なハエに変化する兆候を見せつつある事を実感していた……。
『ザ・フライⅡ』
自分が人間に戻るため、恋人のヴェロニカを『素体』として、電送機での融合を試みたセスだったが、失敗に終わる。ヴェロニカに懇願し、ショットガンで頭を撃ち抜いでもらい、死亡するセス。
やがてヴェロニカも、セスの子供を出産し、直後に死亡。しかし物語は終わりではなかった。
セスの研究のスポンサーとなっていた企業により、研究は引き継がれ、電送機の研究所が建設された。
さらに二人の子供であるジュニア、マーティン・ブランドルもまた、ハエの遺伝子を引き継いだミュータントだった…。
研究所の所長、アントン・バートックが父親代わりになり、研究所内ですくすくと成長するマーティン。わずか5年の短期間で、彼は成人になるまで成長していた。そしてその成長とともに、超人的な頭脳をも有するように。
マーティンはその優秀な頭脳を用い、父親の電送機の研究を引き継ぐことに。そこから、恋仲となった女性研究員ベス・ローガンの協力を得る。
当初は生物の電送は出来なかった電送機だが(実験用の犬を電送したら、全身が歪んだ怪物めいた姿で電送されていた)、ベスの協力で改良され、解決する。
そして、物質転送の研究をさらに進め、自分が人間になる方法を突き止めた。
それは、「人間一人を材料にして、研究所の電送マシーンに巻き込む」というもの。
その原理は「マーティンの体内のDNA内に含まれる『ハエの部位』を、巻き込んだ相手に移し、マーティン自身には、相手の『人間のDNA』を移植する」というもの。
これを実行する事で、結果的には「ハエの要素が融合した相手」と「ハエの要素を無くした、完全な人間のマーティン」ができあがる。
しかしその方法では、『ハエの要素が融合した相手』は生存できない。そのため、マーティンは実行を断念する。
しかし、ミュータントとして生まれたマーティンもまた、肉体が変化し始めてしまう。
その中で、父のように慕っていたバートックが、マーティンを研究対象としてしか見ていなかった事を知ってしまう。絶望に駆られたマーティンはベスとともに逃亡を図るが、逃亡中にその身体が、ハエの繭状に変化してしまった。
仕方なくベスが知らせた事で、研究所に戻される繭化したマーティン。
だが、繭は胎動し、中から完全なハエ男と化したマーティンが羽化。自身を騙していたバートックや研究所の所員たちへ、復讐を開始する……。