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概要編集

クル王妃クンティーが風神ヴァーユとの間に設けた子で、パーンダヴァ五兄弟の次男。

「ビーマセーナ」「ヴリコーダラ」(狼のような胃を持つ者)とも呼ばれる。

名前の意味は「恐ろしい者」を意味し、非常に大食漢で怪力無双の英雄であったとされ、特に拳闘や棒術(※1)に優れていたが、勿論、弓を扱うことも出来た。クル・クシェートラの戦い以前には幾度もラクシャーサなどの怪物を退治した功績を挙げており、ガトートカチャの母親と出会うきっかけとなった。

大食感なだけあって味覚も優れているようで、料理人に変装したエピソードもある。


少年期に自分に毒を盛ってガンジス河に沈めて殺そうとしたドゥルヨーダナを宿敵としている。クル・クシェートラの戦いでは、本来反則行為である「棍棒で臍から下を狙う(所謂ローブロー)」方法で彼を倒し、それを師匠に咎められているが、クリシュナ「ドゥルヨーダナはこれまでに数多くの不法を犯したのだから、こちらも不法で返すのが道理である」と擁護している。


英雄ではあるものの、如何せん階級制度の厳しい国の英雄であるため、現代の価値観からすれば人間的に問題がある面があり、次のエピソードが残っている。カルナが武芸大会で優れた弓の腕を披露し、アルジュナとの一騎打ちを所望した。カルナはドゥルヨーダナに気に入られて、アンガ王になったので挑戦する資格があった。しかし、カルナの養父が現れた事から、カルナの本来の身分は「ヴァイシャ」(御者または庶民)である事が民衆に知れ渡ってしまい、ビーマは彼を「卑しい御者の息子ごときが我らに勝負を挑むとは恥を知れ」だと嘲笑した。これに対して、宿敵であるドゥルヨーダナからは「身分を貶めるのではなく、彼の実力を評価すべきだ」と非難された。(実を言うとカルナはクンティーの息子なので、本来は紛れもなく王族なのだが、公には御者の息子となっている。詳しくはカルナの頂を参照)

しかしながら、妻を辱めたドゥフシャーサナの体を引き裂いて血を飲み干したと言う逸話が残されていたり、妻を喜ばせる為にヒマラヤの麓に咲く花を探しに行った際に出会った大猿相手に不遜な物言いをした所、実兄であるハヌマーンだと知って非礼を詫びる(※2)一面があるなど、確かに過激な所はあるが、非常に身内思いな人物なのである。


息子にはスタソーマや羅刹女ヒディムバーとの間に設けたガトートカチャがいるが、前者はアシュヴァッターマンの夜襲に遭い、後者はカルナが黄金の鎧と引き換えに手に入れた必殺の槍の一撃で死亡している。


クル・クシェートラの戦いの後は他の兄弟と共に、ヒマラヤ山脈で没した。


(※1)いわゆるロッドではなく、「ガダ」と呼ばれる棍棒を使っていた。また、飛び道具として「タシュトラ」という無数の矢が大量に敵に降り注ぐ武器を持っていた(出典:「マハーバーラタ第四巻」山際素男:編訳/三一書房)

(※2)彼が通せん坊をしていた先が霊界に通じる場所であった為。ハヌマーンはビーマの不遜な物言いを窘めつつも、彼の武勇を認めて力を分け与えている。


創作作品では編集

インドネシアの特撮作品で、ガルーダをモチーフにしたヒーロー。

彼の名前もビーマに由来するものと思われる。


  • アルジュンの大冒険

CV:臼木健士朗

インド制作のアニメーション。アルジュンの友人「ビーム」として登場。


主人公の一人「ビーム」は、20世紀初頭のインドの革命家コムラム・ビームをモチーフにした人物で、ビーマと重ねられており歌や踊りを交えて演出される。


詳細はビーマ(Fate)を参照。


関連タグ編集

マハーバーラタ パーンダヴァ

ユディシュティラ アルジュナ ハヌマーン

ドゥルヨーダナ カルナ ガトートカチャ


ヘラクレス:同じく素手や棍棒で戦い抜いた逸話のある英雄。

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