概要
ガトートカチャ(घटोत्कच, Ghaṭotkaca)とは、インドの叙述詩『マハーバーラタ』に登場するパーンダヴァ五兄弟の次男であり、風神ヴァーユの血を引く英雄ビーマと、彼に一目惚れした羅刹女(ラークシャサ)ヒディムバーとの間に産まれた子である。
彼自身はパーンダヴァを敬愛しており、外見は禿頭に多眼、大きな口、尖った耳という異形であったが、正しい心を持つ怪力のラークシャサであった。
幼い頃は両親と暮らしていたのだが、異形である自身は人と共には暮らせないと、困ったときには呼んで欲しいと言って去って行った。
パーンダヴァが森の中で疲れ果ててしまったときには、ビーマが呼びかけるとすかさず他のラークシャサたちを引き連れて現われ、パドリカーシュラマまで空を飛び運んだという。
またクルクシェートラの戦いにおいては、ラークシャサ王アラムブサや、ドゥルヨーダナと戦ったが、パーンダヴァのアルジュナを勝者にしたいという思惑を持っていたクリシュナの采配により、敵対者カルナの持つインドラ神から授けられた無敵の槍を無効化するための布石として命を失った。
ジャワ島での伝承
インドネシアではガトゥコチョと呼ばれており、インドでの端役としての扱いとは違って、単独でもとても人気がある英雄の一柱である。
特にジャワ島の影絵芝居ワヤン・クリでは、非常に多くの挿話が創られて演目となっている。
パンダワの英雄ビモと、暗闇を見通し変幻自在の声を操るラクササ一族の女アリムビの子で、幼少時にもかかわらず、天界の妖精スプロボを追い回していた、ラクササ王プラブ・コロプルチョノを退治し、トゥラジュトゥサリの王プラブ・ボモノロカスロが嫉妬して攻めてきたが退けたなどの大活躍する様々なエピソードが知られている。
なお原典と同じくカルノ(カルナ)の持つ一回限りの神の武器クント・ウィジョヨンダヌで貫かれ命を落とした。
しかし、ただでは死なずに、カルノの乗る戦車を粉々に破壊したという戦果も上げている。