概要
ロックマンXシリーズの主人公であるエックスと、彼の無二の親友であるゼロのカップリング。または、ロックマンゼロの登場人物であるオリジナルエックスと、主人公であるゼロのカップリング。
所謂腐向けタグである為、腐向け岩男のタグと併用し棲み分け、検索避けを行うのが望ましい。
エックスはロックマンの後継機であり、生みの親は勿論ライト博士。対するゼロの生みの親は彼のライバルであるDr.ワイリー。
人間のように悩み考えながら道を決める『無限の可能性』を持ち戦いの中で日々強く成長していくエックスと、パワーアップの必要などなく既に完成された強さを持つこの世で最も優雅に舞う武神であるゼロはまさに正反対の特色を持つ。中遠距離からのバスター攻撃を得意とするエックスと、ゼットセイバーによる近距離戦を主体とするゼロと戦い方も対になっている。
人格面においても、人間のように悩む機能を持ち感情豊富なエックスと、冷静沈着で任務に私情を挟まないゼロと正反対。だが、共に強い正義感と平和を乱す悪を憎む心を持つ。
ちなみに身長はエックスが160cmで、ゼロが175cmと15cm差。年齢設定は二人ともそこまで違いはなく、共に16〜18歳程度。
最後のワイリーナンバーズであるゼロは生みの親の狂気により世界を破壊し人類の希望たるエックスを倒す宿命を背負わされているのだが、本人は諸事情によりその使命を忘れてしまっている。同じイレギュラーハンターとして出逢った二人は自分達が生まれる前から続いている親同士の因縁も戦わなければならない宿命も知らず、お互いに唯一無二の親友となった。しかし、本来出逢うべきではなかったと言うような残酷な運命に翻弄されていく事になる。
軌跡(Xシリーズ)
X1、及びリメイク作品であるイレギュラーハンターXの時点では、二人ともシグマが隊長を務めていた第17精鋭部隊に所属していた。
キャラクター解説にて、ゼロはB級ハンターであるエックスの潜在能力を気付いている数少ない人物であり、エックスを気にかけていると書かれている。また、相手がイレギュラーであっても同じレプリロイドを傷付ける事を躊躇う優しさを周りからは『甘さ』と捉えられ上手く関係を築けていないエックスは自身を導いてくれる良き友人であり好敵手のゼロを“唯一”尊敬し、信頼を寄せている模様。
イレギュラーハンターXに収録されている前日譚映像でも、エックスとゼロは殆ど一緒に行動を共にしている。
また、特A級ハンターであるゼロがB級ハンターのエックスを気に掛けている事を周囲は不思議に思っているらしい。
シナリオ面では、オープニングステージでVAVAに敗北し捕らえられたエックスをゼロがバスターで助けてくれた他、終盤にてまたも戦う事となったVAVAのライドアーマーを破壊する為ゼロは自爆を行いエックスを助けている。X2におけるキャラクター解説から、ゼロのこの行動はエックスを守る為のものだったとわかる。
ゼロはエックスの可能性に期待しておりその可能性に自身の命を賭ける価値があると行動に出る程信頼を向けているようで、同時にエックスの可能性を守る為なら自分の身を捧げても構わないと思っているこの行動は、X5でも見られる事になる。
X2では、カウンターハンターに奪われてしまったゼロのパーツをエックスが取り戻して行く事になる。無事に取り返せると復活を果たしたゼロが終盤駆け付けてくれるのだが、一つでも取りこぼすと、洗脳されシグマの新たなパートナーとなったゼロと戦う事になってしまう。
勝利するとゼロは正気に戻り、前作失った親友を取り戻す事ができる。
X2とX3の中間に当たる外伝作『サイバーミッション』では、お互い別々の任務に当たる事になった為大きな絡みは無いものの、エンディングにて事件解決の協力者であったミディを助けられなかった責任を感じ落ち込むエックスにゼロは厳しくも優しい言葉をかけ、前を向くよう導いてくれている。
X3では、ステージ道中のみだがゼロを呼び出し操作を交代する事ができる。勿論ゼロからエックスを呼び出し交代する事も可能で、お互いに呼ばれると「すぐ行く」と返事をしてくれる。
X3とX4の中間に当たる外伝作『ソウルイレイザー』では、二人とも自身の√のエンディングにて別々の任務へ向かったお互いの存在が頭に過り、相手の事を想うという通じ合いを見せている。エックスは『ゼロがいる限りどんな事にも立ち向かって行ける』、ゼロは『エックスがいる限りこれからもやっていけるだろう』と強い信頼を向け合っており、お互いにどれだけ影響を与え合っているか、お互いの存在をどれだけ支えにしているかという絆の強さをうかがえる。エクゼロ好きには堪らない描写である。
しかしその想いを言葉にしていないのも事実であり(エックスはともかく、ゼロは「言葉には出さなくても」と書かれている)、非常にもどかしくも感じるポイントだったりする。
X4では、エックス√のエンディングにゼロが登場する。同じイレギュラーハンターだった相手に『本気のお前と戦う為』という理由で市街地にスカイラグーンを落とされ、信頼を置いた部下がシグマからのスパイで、人類を守る志を共にしている筈のレプリフォースと戦争を行った事でエックスの心は酷く疲労しており、ゼロに「俺がイレギュラー化したら君が処理してくれ」と頼んでいる。ゼロはその言葉を躱し通信を切ったものの、エックスは「約束だよ、ゼロ」と呟いた。
ゼロ√ではエックスは登場しなかったが、自身が元々はイレギュラーだと知ってしまったゼロは大いに悩む事になり、失われている記憶を取り戻した時親友との宿命の対決が始まるであろう事が示唆されている。
X5では、元々ロックマンXシリーズの完結作となる作品だった事から、エックスとゼロ二人の関係性とお互いに向ける感情を中心に物語が展開されている。
特に、エックスのゼロを想う感情の籠った言動の数々は、今まで積み重ねられてきた出来事も相まって中々に重い。
危険を伴うシャトル作戦のパイロットとなったゼロに、エックスは「パイロットを代わる」と申し出ており、それを断り地球を守るようエックスに託すゼロに「もう戻ってこないような言い方はやめてくれ」と口にしている。作戦中も、周りが作戦の成功を祈る中、エックスのみゼロが無事に戻ってきてくれる事ばかりを気にしている様子であった。
地上に撒かれたシグマウイルスを浴びパワーアップするゼロをエックスは心配していたようで、零空間に赴いたゼロを連れて帰り精密検査を受けてもらう為、エックス√とゼロ√どちらもエックス側からゼロに向け戦いを仕掛けている。
エックス√では、「ゼロ...君にいなくなってもらいたくないんだ...」と口にしており、エックスにとってX1でゼロを失った経験が未だに根深く胸に突き刺さっている事が窺える。ゼロは「お前は俺と戦えない。それがお前の優しさであり甘さでもある」と口にしたが、エックスは既に「どんな事をしても君を連れて帰る」と、ゼロを守る為にゼロを傷付ける覚悟を決めており、自身からゼロへ戦いを仕掛けた。
X2で洗脳されたゼロと戦う事になってしまったエックスを思えば、もう二度と失わない為に自らゼロと戦う事を決意した覚悟の重さがわかる。
なお、零空間にゼロがいるとの情報はない為プレイヤー視点では知らないまま突入するのだが、エックスはゼロが零空間にいると確信して突入していた模様。シャトル作戦決行後「ゼロを感じる」と口にしていたエックスは、零空間でもゼロの存在を感じ取っていたのかもしれない。
ゼロ√では、ライフセーバーと共に登場しゼロのイレギュラー化を疑うライフセーバーを諌めている。しかしゼロの危険性“だけ”は認めており、狼狽えるゼロに「ここから先は俺が戦うよ。ゼロは疲れてるだろ?帰って精密検査を受けるんだ!」と強く説得してくる。
しかしゼロ側も、エックスがウイルスでイレギュラー化する危険を考え、「危険な任務は俺だけでじゅうぶん」と譲らず、お互いに相手を失いたくないばかりに無理やり帰らせる為撃破しようと戦う事となった。
エックスの「これ以上の戦いは君に任せられない。帰らないと言うのならムリにでも帰らせる!」という啖呵にゼロは「...そこまでして...」と戸惑いを見せており、ゼロと戦う覚悟を決めているエックスと対照的にゼロはエックスに刃を向ける事に忌避感がある模様。
また、X1での自爆といいシャトル作戦時パイロットを譲らなかった発言といい、エックスの可能性に未来を託しているからこそそれを守る為自らを犠牲にしがちなゼロの行動は、エックスのゼロを心配させてほしい気持ちを受け止めてくれない悪癖と言えてしまうかもしれない。
どちらの√でも戦闘後二人して倒れてしまっており、二人まとめて亡き者としようとしたシグマに攻撃を受けそうになるが、ゼロがエックスを庇いシグマを一時的に退けさせた。この際シグマは「...クククッ...よくやったよ、エックス...」と口にしており、エックスがゼロを失いたくない気持ちから戦いを仕掛ける事を予見し利用しようとしたのではないかと思われる。
エックス√でもゼロ√でもお互いに最後ソウルボディを使い相討ちに連れ込んでいるのだが、エックスが勝ったと油断してしまいゼロの最後の攻撃を受けてしまったと読み取れるエックス√と違い、ゼロ√のソウルボディで攻撃してきたエックスからは『どんな事をしてでもゼロを連れて帰る』という執念を感じられるのは筆者の気の所為だろうか?
シャトル作戦が失敗した覚醒ゼロ√では、全てを思い出し自身の宿命に従おうとするゼロにエックスは戸惑いながらも不思議と受け入れられ、「受けて立つよ、逃げやしない」と戦う覚悟を即座に決めている。戦闘前会話では「君を倒して本当のゼロを取り戻す!」と口にしており、エックスにとってゼロは自分と戦う宿命を持って生まれた存在としても、大切な親友である事に代わりはないようだ(ちなみに、シャトル作戦が失敗し避難しなければならなくなった際エックスはゼロを一旦置いて行かねばならない事に激しく動揺し、シグナスから冷静になるよう宥められている)。
また、覚醒ゼロ√では戦闘後倒れた二人に攻撃をしてきたシグマからエックスを庇うゼロの姿が微妙に異なっており、エックス√、ゼロ√では庇いながらバスターで反撃を行っていたが、覚醒ゼロ√では反撃を行う暇も無く慌ててエックスの前に身を投げ出し、シグマの攻撃に直撃してしまっている。悩み探し続けていた自身の本来の使命より、その真逆と言える『大切な親友であるエックスには生きていてほしい』という想いが勝った瞬間である。
この際、ゼロはエックスに「...エ、エックス...生きてくれ!...オ、オレの分まで...生きろ!エックス...」と口にしたが、エックスはパワーも出ずエネルギーも無く何も見えない朦朧とする意識の中ゼロへ「ゼ...ゼロ...い...い...いかない...で」「...ち...ちか...くに...いて」「...お...れ...ま...まも...る...ゼ...ロ...」と想いを向けていた。
エックスがゼロを守りたいと思っていた事が初めてはっきりと言葉にされたのは覚醒ゼロ√であり、この言葉から、エックス√とゼロ√でゼロを連れ戻す為に戦いを仕掛けたエックスの感情の根底には『ゼロに遠くに行かないでほしい、傍にいてほしい、だから俺が守る』という想いがある事がわかる。
その想いもおそらくは、X1で自分を守る為に自爆させてしまい失った事と、X2で自分がパーツを取り戻せなかったばかりに洗脳されてしまった経験がある故だろう。しかしゼロは気絶してしまっていた為、エックスの想いは届いていなかった......。
エックスでシグマを倒した場合、シグマにゼロを道連れにすると言われ「やめろ!これ以上ゼロに手を出すなっ!」と悲痛な叫びを上げている。「人が傷付くのは耐えられないだろう?お前に与える苦しみは耐えても、特にゼロを傷付けられたら苦しいだろ?」「お前の最も大切なゼロをもらうぞ」と言われる程、エックスの心はゼロで占められている模様。事実、X1の時点で既にエックスが唯一尊敬と信頼を向けている相手はゼロであり、サイバーミッション等でも悩みがちな自身を支えに導いてきてくれた存在なのである。
しかしX5は三つ全てのエンディングで、エックスはゼロをまたも失ってしまう事になり、うち一つはゼロの存在そのものすら忘れさせられてしまうバッドエンドを迎えてしまう。
ゼロ√のEDでは、ゼロは自分が全ての争いの原因であり自分が消えなければダメな事を悟ってしまい、共にいられない事をエックスに謝罪している。エックスが自分の傍にいてほしいと想っている気持ちはゼロに伝わっていたようではあるが、宿命がそれを許してはくれないとゼロは理解していた模様。
また、ゼロを操作しライト博士にエックスのアーマーパーツを貰う際、「これからもエックスを支えてやってほしい」という博士からの頼みにゼロは無言を返しており、X4のエンディングにおいて自身のイレギュラーだった過去に悩んでいた様子もあった事から、既に近いうちにエックスの傍にはいられなくなる、いてはならない事を悟っていたのかもしれない。
しかし続編となるX6では、無事再会する事ができる。この際のエックスの心から嬉しいと言うような満面の笑みとボイスは必見。実は作品全体で見た時ここまで輝いた笑顔を浮かべるエックスはこのシーンくらいだったりする。
だが、ロックマンゼロへと続くゼロEDでは......。
冒頭からエックスはゼロの夢を見ており、彼に「目を覚ませ」「今はお前しかいないんだ」と起こされる形で戦いが始まる。ちなみにこの夢がナイトメア現象だったのか、ゼロ本人の意思が伝わった故のものだったかは明かされていない。
ナイトメア現象により出没するゼロナイトメアがゼロの姿に酷似している事で、一連の事件は『ゼロの亡霊による仕業』と扱う者まで出てきており、皆を守る為戦い散った親友を侮辱された事にエックスは激しい怒りを見せ、エイリアからは落ち着くよう宥められている。
8ボスの各ステージに配置されたアナザールートにてゼロナイトメアと対峙した際は、顔を合わせた瞬間から強い敵意を向け、ゼロのフリをして言葉を交わそうとするゼロナイトメアを「ニセモノ」と呼び一切相手にしていない。X5にて覚醒ゼロと対峙した際にも言えるが、エックスにとって『本当のゼロ』とは、今まで自身を支え導き、これからも共にいたい、自分が守りたいと想う最も大切な親友であり、姿が似ていようが本来の姿だろうが自身のゼロではないとなるときっぱり拒絶している。
ゼロナイトメアを倒すと本物のゼロが現れ、感動の再会を迎える。ゼロもエックスと会えて嬉しそうな反応をしてくれている。
勿論再会せずにゲームを進める事も可能。その場合のエンディングでは一連の事件をエックス一人が解決して行く様をゼロは近くから見守ってくれていたようで、「もう一人でじゅうぶんかもな...」とエックスの成長を喜んでくれている。IFの世界とはいえオリジナルエックスが一人で戦い続けた結果感情を失った事を思うと、そんな事はないのだが......。
再会した後ゼロをメインにゲームを進めた場合のエンディングでは、ゼロは自身に眠る危険なプログラムを消す為謎の科学者に頼み自身を一時的(約102年)封印し、その間世界をエックス一人に託している。エックスはもう一人でじゅうぶん戦えると共にいてもそう判断を下せたからこそなのだろう。
またこの時、ゼロは「自分自身が平和を乱す存在となる事が怖い」と口にしており、エックスがもう一人で戦える程身も心も強くなり世界を託せると信頼できた事と、全ての元凶たる自身が消える覚悟を決めたのに意図せず復活してしまった負い目が噛み合ってしまったのだと思われる。シグマの「お前がいる限り必ず復活してやる」という言葉も彼を後押ししてしまったのかもしれない。
再会シーンでゼロは「ダメージが完全に回復するまで身を隠していた」とエックスに語ったが、後のライト博士との会話では「気が付いたらダメージが回復していた」旨を語っており、エックスへの言葉は彼を心配させない為のフェイクと思われる。ゼロはエックスに心配をかけさせたくない、というX5から続く悪癖を考えると、自身が平和を乱す存在になる事への恐怖や自身を封印する事をエックスに一切相談していない可能性がある。
しかし、プログラムを除去し自身の危険性が無くなればエックスと共にいたいと考えている事はうかがえ、何もエックスの前から永久に消えるつもりでは無かった事が唯一の救いか。自身と再会した時のエックスの嬉しそうな反応を見たからこそ、X5での自身が消えなくてはダメだという覚悟を改められたのかもしれない。
だが、エックスはもうゼロが導き支えてくれなくても一人で戦える強さを身に付けたとしても、その上でゼロに傍にいてほしいと思っているのである。「俺が守る」という言葉が何よりの証で、導かれるのではなく隣に立って支え合いたいと想っているのだろう。
再会した後エックスをメインにゲームを進めた場合のエンディングでは、X7へと続くベストエンドとなる。自身の親友のDNAを利用したゲイトに「絶対に許さない」と怒りを向けてはいたが、エイリアの研究者時代の同僚でもあったゲイトを「仲間がいなくなる寂しさは知ってるから」と助けている。明らかにゼロ向けた言葉なので、流石にゼロもバツが悪そうにしていたものの、このエックスの言葉があるからこそ、ゲイトを助けていないゼロEDのようにはならなかったのかもしれない。
ちなみに、エックスは任務中や悪を前にすると口調が険しくなるのだが、唯一ゼロに対してはどんな時でもとても柔らかな口調となる。これはどの作品でも見れるもので、X5でゼロと敵対した時も柔らかな口調のままである。特に、序盤ゼロの不在により悩んでいる暇がない上ゼロを侮辱された怒りを露わにしているX6は口調の違いが顕著。
X7では、戦うだけでは今までと変わらず失うだけで何も解決しないと悩み、平和的解決を求め戦場から退いたエックスの分まで、ゼロが一人ハンターとして任務を行なっている。
皆が戦場に立たないエックスにそれぞれ言葉をかける中、唯一ゼロはその件に言及を行なっていないのだが、キャラクター解説にてエックスの復活を信じていると書かれており、何も言わずに見守りせめて彼がどんな選択をしても支えてあげられるようにしているのだと思われる。
ちなみに、ボスの一人であるソルジャー・ストンコングとの戦闘前会話にて、ゼロ自身も戦いが全てだとは思っていないと口にしており、エックスの考えに影響を受け彼の辛さを理解しようとしているのだと思われる。
エックスが戦場復帰を真っ先に告げた相手はゼロであり、ゼロは「お前の好きにすれば良い」と受け止めている。一見ドライな返しだが、ゼロがエックスの復活を信じ待っていた事を考えると、エックスの選択を受け入れ自身もサポートする意が含まれているのだろう。また、早く戦いを終わらせに行こうと覚悟を決めているエックスを「いつもとお前らしくなってきたな」とゼロは少し嬉しそうな反応を見せている。
全体的な絡みこそ少なめではあるが、エックスとゼロがお互いに信頼し合っているからこその会話ばかりであり、ゼロはエックスを信じているからこそ一人戦場に立ち、エックスはゼロを信じているからこそ戦場を退く決断を行え、ゼロが自分を信じ言葉少なくとも支えてくれているとわかっているからこそ、未だに悩みながらも戦場に立つ決意が出来たのであろう。
今作のゼロは一貫してエックスとアクセルを気に掛けており、特にエックスに対する姿勢は献身的な伴侶のそれである。
しかし、ゼロEDでは感情を失ったかのように無表情で「イレギュラーを排除せよ」と繰り返すエックスにバスターを向けられる夢を見て戸惑うゼロが見られる。おそらく過去から分岐し今と異なる未来に関連した夢なのだろうが、未だエックスとゼロを取り巻く宿命はゼロを解放してはくれない不穏さを纏っている。このEDに対して『ゼロが内心全ての元凶である自分は幸せになってはいけない、エックスの傍にいるべきではないと心の何処かで思っている不安の現れではないか』という考察も存在する。
また、今作のエックスは戦いを『自らの意思を相手に強要する手段』と嫌悪しているが、過去(X5)にエックスはそれこそ、ゼロにいなくなってほしくない想いから彼に戦いを仕掛け無理やりにでも連れて帰ろうとした事があり、自身も自らの意思を相手に強要しようとした経験があるからこその悩みなのかもしれない。
総じて
X5、X6での段階においては、『お互いに相手を何より大切に想い、自分が犠牲になってでも守ろうとするが、だからこそその想いはすれ違い、離れ離れとなってしまう』関係性と言える。
エックスはゼロを守る為なら戦い傷付ける覚悟すら決め、自らと共にいてもらおうとするのに対し、ゼロはエックスを守る為なら自分が傷付く事を躊躇わず、自分が死んでもエックスには絶対に生きていてもらおうとしており、同じ想いを抱きながらもこの対比故にすれ違ってしまうのが、エクゼロの関係性において辛い部分であり、好まれる部分でもある。
ゼロがエックスを守る為自ら傷付く事を躊躇わないのは、ひとえにエックスの強さを信頼しているからこそ、自身の全てを捧げても構わないと考えているのだろう。決してエックスが弱いから守ろうとするのではなく、誰よりもエックスの強さを信じているのである。
だがエックスは、今まで自分を支え導いてきてくれたゼロとこれからも共にいたいと願っており、守られるばかりでなく自分が守りたいと想い行動にも移している。
X5の覚醒ゼロ√におけるEDでエックスのゼロに関する記憶を全て消したのは生みの親であるライト博士であるが、もしかしたらライト博士は、守りたかったゼロを失った事実にエックスが耐えられず戦えなくなるのではないかと危惧したのではないだろうか。
だが、X6で二人の離別が世界観の根底にあるロックマンゼロへ続くEDはあるものの、X7へ続いて以降の二人は離別していない。それまでゼロに導かれ守られ失った経験があるからこそ「俺が守る」と決意したエックスのX5から再会できたX6にて、エクゼロの関係はそれまでと大きく変わり、明るい未来へ向かっているのだと期待したい。
X7でのゼロの献身的な姿勢も、エックスのゼロにいなくなってほしくない気持ちが伝わり、自分を消す事でエックスを守るより、彼の傍にいて支える道を選んだのかもしれない。