概要
パリ郊外のモンフェルメイユで宿屋を営む、やせぎすの小悪党の男。
テナルディエは苗字であり、下の名前は作中最後まで明かされていない。
過去にワーテルローの戦いで酒保商人兼かっぱらいをやっており、「戦利品」を売り捌いた金で宿屋を開いた。この時にたまたまマリユスの父の命を救ったことがある。
宿屋の経営は順調とは言い難く、日を追うごとに借金がかさむばかりだったが、元々その性分から真面目に働こうとせず、どうやったら効率よく他人から金をむしり取れるかばかりを考えていた。
ファンティーヌから預かっている娘コゼットに対しても虐待同然にタダ働きさせた挙句、彼女の私物を質屋に入れてしまい、その上で養育費と称してファンティーヌに金をせびり続けていた。
だがコゼットを預かって5年経ったクリスマス・イヴの日、謎の男が現れて自身の借金と同額の金でコゼットを引き取ってしまったのを契機に、とうとう商売が立ち行かなくなってしまう。
宿屋を畳んだ後は一家でパリのボロ家に移り住み、「ジョンドレット」の名で悪事を働きながら乞食まがいの生活を送るようになる。
ある日娘を伴って彼のもとを訪ねた慈善家「ルブラン氏」を、暴力で脅しつけて大金をせびり取ろうと画策するも、その男の正体は彼が良く知る人物であり……。