綾瀬川次郎
あやせがわじろう
「オレは野球だったんだ!」
プロフィール
所属 | 足立バンビーズ(リトル)→足立フェニックス(リトル) |
---|---|
ポジション | 投手 |
投打 | 右投げ右打ち |
背番号 | 11(バンビ)・1(U12)→24(フェニ) |
身長 | 169cm(U12時) |
家族構成 | 父、母、姉3人(ミカ・まゆ)※長姉は不明 |
CV | 根本圭子(ボイコミ) |
※以下、単行本未読の方には多大なネタバレを含みます
概要
漫画『ダイヤモンドの功罪』の主人公。
同作者の読み切り作品『ゴーストライト』でも主役を務め、同じく『可視光線』『サインミス』にも登場する。『ゴーストバッター』では名前のみ登場。
本項では連載版について記述。
人物
小学生離れした身長とスポーツセンスの持ち主。
本人は前々からスポーツを習いたがっていたが、経済的な事情で小学校高学年になってから希望が叶った模様。
野球を始めるまでに複数の習い事を体験したが、すぐに経験者たちより上達するため悪気無く彼らを傷つけてしまい、綾瀬川自身もそれを非常に気に病んでいる。
少年野球チーム『足立バンビーズ』への入団後も、並外れた野球の才能が開花。
関わる人々の歯車を狂わせる、小学生にしてオム・ファタール的な存在。
身長はU12選考会の時点で169cmを超えており、その後も順調に伸び続けている。
身長に比べ恰幅はさほどでもないが、長身・長い腕・大きな手は、真木コーチをして「ピッチャーやるために生まれてきたような体」と言わしめるほど。
作中での衆目を集めている様子から、際立って華のある整った容貌だと思われる。顔立ちは母や姉と瓜二つ。全身の色素が薄く、そのせいか日差しに弱い。
普段の性格は明るくおっとりしていて、人当たりも良く、年下の子たちの面倒見もいい。
懐いた相手には良くも悪くもかなり素直で、少々危うい一面も見せる。
石灰がかかった蟻を気にするほど分け隔てない優しさは本来なら長所なのだが、溢れんばかりの才能とは上手く噛み合っていない。母曰く、競争には向かない性格。
父親が単身赴任中なので、現在は母・姉三人との五人暮らし。あるいは長女が同居していない場合には四人暮らし。
家族仲は良好で、姉のことは「ミカ姉」「まゆ」と呼んでいる。次女は社会人。14歳上の長姉は末弟と家ではあまり顔を合わせないらしく、父と揃って未登場。
次女・三女とも野球への関心は薄いが、弟のインタビュー記事には目を通す。
母も野球知識を押しつけられるせいかうんざり気味だが、息子を応援する気持ちは強く、悩める彼の心に寄り添って「次郎には好きなことやってほしい」と力づけることも。
彼の才能の大きさや影響力までは把握しきれないものの、同世代と楽しく野球するのが望みなのは理解している。
プレースタイル
投手としてのタイプは未確定。持ち球はストレート、カーブ、スライダー。スプリットは実戦ではまだ使用していない。(単行本3巻時点)
作中では「雰囲気がある」「チームの中心にいるべき存在感」などと様々に形容され、独特の求心力を持つ存在として描かれる。
しかし綾瀬川の突出した才能は抜群の身体能力ばかりではなく、極めて鋭い観察眼や類い稀な再現性の高さが反復練習を不要とし、彼を天才たらしめる要因となっている。
後に日本代表監督の並木には、その才能の真髄はフィジカルではなく高度な情報処理能力にあると見抜かれる。
打者の手前でストンと縦に落ちるフォークの一種。通常のフォークに比べ変化(落ち幅)は少ないが、球速のある球種を指す。途中まではストレートと同じ軌道になるので、決め球として非常に効果的。
初心者同然の綾瀬川は、前述の異能を活かし、動画を見て学んだだけで物にしている。
U12日本代表時
- 制球力
選考会のブルペン投球では、ストライクゾーンの対角線上に高め低めと投げ分けている。
並木監督との一打席勝負では、「投げたいところに絶対投げられる」という主張どおりの優れた制球力を見せつけ、雛桃吾のリードも相まって三球三振でアウトを取る。
その度胸、球威、制球力を評して、監督に「別格」と思わせた。
- カーブ
利き腕と逆方向(右投手の綾瀬川の場合は左)に、曲がりながら落ちる変化球。右打者にとっては外角方向へ逃げていく変化になる。
選考会のブルペン投球で披露。この時点で綾瀬川は、カーブ系の変化球を複数投げ分けられる(おそらくパワーカーブとスローカーブ)ことが窺える。
枚方ベアーズ戦
野球歴半年足らずで世代別日本代表のエースとなるが、人生初登板のベアーズ戦でもプレッシャーは微塵も感じられない。序盤は水を得た魚のような生き生きとした投球をする。
瞬く間に替わった初回、ベアーズ主将に「テンポが速い」と言われているが、単行本3巻にてこの試合には綾瀬川なりの思惑があったことが明かされる。
変化球を温存した一巡目は毎回10球以内に抑え、「打者から一つずつアウトを取る」という監督の指示どおり、効率よく打者を仕留めている。
6イニング完投での試合終了後も、投球数は球数制限以内の82球である。
- ストレート
球威はシニア全国大会で頂上決戦をするエースに匹敵。
この球威とは球速ではなく、文字どおり『球の威力』を指す。スピードのみが速い球では打たれると大きく飛ぶので、綾瀬川の球は回転力があるため打たれにくいことがわかる。
利き腕と逆方向(右投手の綾瀬川の場合は左)にスライドする変化球。カーブ同様右打者にとっては外角方向へ逃げていく変化になるが、カーブよりも球速があり、カーブのように弧を描くのではなく通常は打者の手前で横滑りに曲がる。
桃吾のサインで投げた最初のスライダーは、「ほぼ真横に曲がるえぐい軌道」とベアーズベンチをどよめかせている。この時の打者が「完全に見逃し」と言っていることからも、綾瀬川のスライダーの精度の高さが窺える。
- 投球の組み立て
基本的にリードは捕手任せなようだが、自ら打者との駆け引きを仕掛ける時もある。
ベアーズ4番打者の今村には、セットポジションからのカーブや、クイックモーションを試して三振に打ち取る。
セットポジションとは、主に走者がいる時に牽制球を投げるために使われる姿勢。クイックモーション(反則投球のクイックピッチとは異なる)は、その名のとおり盗塁阻止のため素早い動作で投球すること。
綾瀬川の場合、どちらも打者のタイミングを外すべく試みた投球だと思われる。
- 守備力
6回のセーフティバント処理を見る限り、フィールディング能力にも長けており、9人目の野手としても十二分の働きをする。
- 打撃
今のところ未知数。
- 戦略眼と戦術眼
初登板のベアーズ戦ですでに自然と試合全体を俯瞰的に捉えている。
そもそも並木監督が語る「戦術を考える頭」を小学生でそなえていることが驚異であり、未熟ながらも試合を制御しようと実戦の最中に試行錯誤しているのは驚嘆に値する。
弱点と言えるのは精神面。周囲の人々を傷つけてきた過去のせいで、対戦相手に誤った気遣いを見せてしまう。
天野倉奈津緒との対話で自省したが、勝敗よりも他者の反応を気にかける癖は依然残り、今後も課題となりそうである。
地元に戻ったU12のチームメイトとの対戦にも強い忌避感があることが明らかにされている。
野球以外の競技
- テニス
敗者に泣かれる回想があるだけなので、具体的な力量は不明。
- 体操
おそらく小4でU-15ジュニアナショナル強化指定選手に推薦されており、小5以前に世代別トップクラスの能力を有していたことが示唆されている。
綾瀬川が持つ柔軟性の高さは、2巻おまけイラストでその一端を窺える。
- 水泳
スクール体験の時点で、コーチ陣にクラブの代表として春季ジュニアオリンピック出場チームへの加入を検討されている。
また自由形のタイムが26.00秒〜27.00秒だと思われる描写から、11歳で水泳資格級AA(学童全国・国際大会出場レベル)の泳力を有することが示唆されている。
人間関係
天才の苦悩や孤独が描かれるのはスポーツ漫画の定番と言えるが、野球漫画の主人公でありながら才能とは裏腹な綾瀬川の性格が、従来の他作品に比べ本作を異色の群像劇に仕立てている。
競争心の無さや「みんなで楽しく」野球をしたいという思いは、周囲の無理解や摩擦を生み、巡り巡って自身の辛酸へとつながっていく。
その残酷なほどに眩い才能が周りに与える影響は、まさに『ダイヤモンドの功罪』のタイトルどおり、時に『功』や『罪』になっている。