特徴
ボールの握り方から一見フォークボールの仲間と思われがちだが、フォークボールが「ボールになるべく回転を与えない」変化球であるのに対し、「空力的に球の軌道に影響を与えない回転を掛けて投げる」変化球であり、性質的には縦のスライダーに非常に近い球種である。
フォームが直球と似ていることから初動をストレートと勘違いしやすく、そこに大きく落差が付くことでバッターの空振りを誘うことが出来る。
優れた変化球ではあるものの、ピッチャーへの負担も大きく、肘や肩を故障しやすいと言われている。
歴史
1985年にマイク・スコットが初めてMLBの実戦で投げ、1986・1987年にはシーズン18勝、1989年には20勝を達成、サイ・ヤング賞、シリーズMVPなどのタイトルを獲得。日本では桑田真澄がスコットの投球を参考にして1987年から使い始め、江川卓の「ラビットボール」に対抗する形で「サンダーボール」と命名し活用した。
「ここで空振りを獲る、ここは内野ゴロを打たせる、と思い通りに出来て楽しかった」と後に桑田は語る。
2023年のWBCにおいて、ダルビッシュ有から「スプリットはMLB選手に有効である」という情報が共有され、決勝戦でも多くの日本人ピッチャーがスプリットでアメリカの大打者たちを空振りさせている。
色々な握り方
一般的には、フォークよりも浅くボールを挟む握り方が良く知られている。前出の桑田は、挟み方を深くしたり浅くしたりすることで落差を調整し、空振りや内野ゴロを思うように自在に打たせていた。
シュートの形からさらに指を広げて持つ方法もあり、ストライクゾーンの内外角低めから逃げるように落ちる性質がある。
上原浩治の持ち方も独自のもので、シュートの形からボールを上から見て左方向に90°捻り、縫い目に指を引っ掛ける。この持ち方だといわゆるワンシーム回転となって縫い目の効果が無くなり、揚力(マグナス力)が発生しにくくなって落ちる球になる。さらにこの持ち方には「直球を投げる時と非常に見分けがつきにくい」という大きなメリットがある。
うまく使うには
球辞苑第一回に日本のSFF使い手第一号として出演した桑田は、
「アウトローへのストレートをしっかり投げ切れることがSFFを活用する第一条件」と説明。続いて、
「アウトローの真っ直ぐでストライクを取れるからこそ、そこから落ちる球に手を出してもらえる。いいバッターはアウトローでストライクが取れなければ落ちる球なんか見向きもしてくれないです」
と解説。あくまでもストレートとのコンビネーションが重要であると説いた。
一方MLBでは高めの直球と組み合わせた上原浩治が大活躍。2013年レッドソックスワールドシリーズ制覇時の胴上げ投手となった。
主な使い手
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余談
パワプロなどの野球ゲームではSFFと略されているので、ゲームで野球の知識を覚えた人からしたらこちらのほうが愛着あるかもしれない。