概要
ファイナルファンタジー10の主人公・ティーダの出身地である大都市。
ブリッツボールの強豪チーム「ザナルカンド・エイブス」「ザナルカンド・ダグルス」を擁する。
高層ビルが立ち並ぶ近未来的な佇まいの都市であり、スタジアムはブリッツボールの試合を見に来る観客たちで溢れかえるほど。
ある時試合中に突然襲ってきた怪物・『シン』に飲み込まれたティーダが、ザナルカンドが滅びた別世界・スピラに飛ばされてしまう……というのが物語の始まりである。
スピラにも同名の都市がかつて存在しており、現在はその名を関する「ザナルカンド遺跡」が残されている。ここはユウナたち召喚士一行の旅の最終地点とされており、ティーダはザナルカンドに帰る方法を探すために旅に同行することになる。
真実
旅の果て、ティーダは衝撃的な真実を知ることになる。
彼はスピラという異世界に飛ばされたのではなく、単にザナルカンドの外に放り出されたに過ぎなかった。
ザナルカンドとは1000年前にスピラに存在した機械都市であり、別の都市・ベベルとの対立の末発生した「機械戦争」に敗れて滅亡したのである。
ザナルカンドは機械技術も高い水準であったが、外敵との戦いには召喚獣や魔法を用いていた。このため戦争には多くの召喚士が動員されたが、資源のほとんどを機械と軍事に活用していたベベルには抗しきれず壊滅。
当時のザナルカンドの統治者・召喚士エボンは生き残った住民たちを全て祈り子に変え、ガガゼト山に秘匿。
彼らの見る夢を用いて、ありし日のザナルカンドをスピラの「どこでもない場所」に召喚したのである。
「夢のザナルカンド」と呼ばれるこの召喚術は「ザナルカンドを永遠のものとする」という願いの表れであり、ストーリー冒頭で描写されたあの街並み自体が巨大極まる召喚獣だったのである。
エボンは「夢のザナルカンド」を召喚し続けるためにエボン=ジュと化し、さらに重力魔法を用いて幻光虫を大量に集め、自らを守る鎧、すなわち『シン』と呼ばれるようになる怪物を構築した……というのが過去の顛末である。
「夢のザナルカンド」は当時の住民たちが夢見た理想のザナルカンドの投影であり、その状態を維持するよう調整されている。そのため、時間経過による変化や世代交代はあれど、外部との交流はない。
その意味では「死の螺旋」にとらわれ、1000年に渡り同じところをぐるぐると輪廻し続けるスピラと同じく「閉じた世界」である。
そして、ティーダを始めとする住人たちもまた「夢のザナルカンド」の構成要素、つまり祈り子たちの見る夢そのもの(正確には『シン』の中でエボンが見ている夢が祈り子たちと幻光虫を介して投影されたもの)であり、召喚獣=幻光体の一種である。
そのため、召喚され続ける限り実体ある存在としてあり続けるが、エボン=ジュが倒れ召喚が途切れれば、彼らは「夢のザナルカンド」もろとも消え失せることになる。
しかし長い時の果て、エボン=ジュは「夢のザナルカンドを召喚し続けること」を目的とするようになる。『シン』が暴れていたのは、その目的に沿ってスピラと「夢のザナルカンド」の均衡を維持するため、スピラにおける文明的な発展を阻害するのが目的である。
最終的にエボン=ジュが倒されたことで召喚は途切れ、全ての祈り子が消えると共に「夢のザナルカンド」もまた、『シン』の脅威と共に消え去ることになった。