解説
現在多くのナビゲーションシステムに用いられているGPS信号を補完もしくは補強し、信号受信環境及び測定誤差の改善を図ることを目的とした、準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System)の初号機の名称である。
当初は官民共同で推進・整備される計画であったが、紆余曲折の上民間企業側は撤退し、実証試験を目的とした初号機は官主体でJAXAにより打ち上げられることとなった。
公式マスコットキャラクターとして「みちびきさん」がおり、公式データサイトQZ-vision内のWebマガジンにも登場し、現在主に公式twitterアカウントで活躍中である。キャラクター及びその二次創作については「みちびきさん」の記事を参照のこと。
準天頂軌道について
高度約32000km~40000km、傾斜角41度の楕円軌道。高度を平均すると静止軌道とほぼ同じ約36000kmになるため衛星の位置は地球の自転とほぼ同期するが、軌道が傾斜していることと楕円軌道であることから、赤道上の円軌道にある静止衛星とは異なり、地表から見た相対的な衛星の位置が8の字の軌跡を描く。そのため、しばしば「8の字軌道」と呼ばれることもある。この軌道に衛星を投入すれば日本の上空に仰角70度以上で位置することができるため、付近に高層建築が多い都市部においても良好な受信環境を得られる反面、一基の衛星では約8時間程度しか可視状態にならないために最低でも三基以上の衛星を運用する必要がある。
準天頂システムの構築計画について
現時点(2011/10)では初号機「みちびき」以降に打ち上げられる準天頂衛星についての正式な発表はない。
しかし2011年の後半にかけて何度か新聞社で報道されている内容を総合すると、少なくとも三機を追加して合計4機で準天頂システムを構築する方向で計画が進められている模様である。また、一部にはさらに3機を追加して日本独自のGPSに相当する測位システムを構築するとの報道もあるが、こちらについては記事によって温度差はまちまちであり今後の動きは不透明である。
2012/03/28には、プレスリリース「準天頂衛星システムの技術実証の進捗状況」によりサクセスクライテリアの達成状況としてフルサクセスを達成・エクストラサクセスについてはクライテリアを一部満足したことが発表された。今後もエクストラサクセス達成を目指して技術実証が継続される。
2017年には後続となる2〜4号機が打ち上げられ、翌年に準天頂衛星システムのサービスが開始された。
2020年には初号機後継機が打ち上げられ、2024年以降、5号機以降を順次打ち上げ、7機体制とする予定。
準天頂システム対応製品
準天頂システムへの対応には、基本的に対応した受信機が新たに必要となる。2011/10/18の公式twitterでの発言により、対応製品のリリースが発表された。(※この記事では「全機種対応」とあるが、後に「nuvi2465のみ非対応」と訂正されているので注意。)
今後も準天頂システムや海外の測位システムに対応した製品の登場が期待される。
また、2012年にはみちびき対応の多機能レーダー探知機としてユピテルよりGWR73sdという製品が発売された。(2015年4月以前に生産終了)
2015年現在では、GPS・準天頂衛星・ロシア測位衛星「グロナス」・中国測位衛星「北斗」などの複数の測位衛星に対応した半導体チップが製造されており、このチップを内部に使用している製品はGPS以外の測位衛星にも対応しているケースが多い。ただ、これらの製品は準天頂衛星の「GPS補完信号」には対応しているが、高い測位精度を持つ「GPS補強信号」には対応していないものが多いので注意が必要である(補強信号の受信には専用回路が必要)。