カツ・ワンソー
かつわんそー
◆忍◆ ニンジャ名鑑#100 【カツ・ワンソー】 ◆殺◆
最古のニンジャ。チャドーの祖。その名は古事記の中でも秘密めかして語られている。
ニンジャ神話によるとデウカリオンの大洪水と同時期に生まれたとも。
アメリカ大陸が未開の地であった頃、日本には既に奥ゆかしい平安文明が存在していた。
概要
ニンジャスレイヤーの世界における超人的存在、「ニンジャ」の中でも伝説的なニンジャの一人。
その素性は全てのニンジャの祖たる存在、歴史上ただ一人の「ヌンジャ」である。
モータルにとっての上位存在がニンジャであるのと同じように、ニンジャにとってのニンジャ(=上位存在)と例えられる、世界最初のニンジャ。
そのカラテのワザマエは実際すさまじいものであり「ワンソーの前に敵なし」とまで言われたという。
主人公であるニンジャスレイヤーことフジキド・ケンジが扱う暗殺拳「チャドー」や、市井にも普及するカラテトレーニングなどを編み出した創始者でもあり、後世に与えた影響は実際非常に大きい。
性格は「様々な要素が渾然一体となった存在」と言及されており、
時に風のごとく後進にインストラクションを与え、また時に林のごとく奥ゆかしく自らの非を認めてケジメ(指詰め。忍殺世界では典型的な自戒の方法である)をし、
あるいは時に火のごとく怒り狂って敵を殺戮し、そして時に山のごとく動ぜず威厳溢れた姿でザゼンをしていたと語られる。
作中でニンジャである者は、ニンジャではない一般的な人類、いわゆる「モータル」のことを見下している事が多いのだが、
始祖たるカツ・ワンソー自身はモータルを特段嫌っているわけではなかったようだ。むしろ彼らをニンジャに鍛え上げることを楽しみにしており、そうでないモータルもボンサイめいて慈しんだとされるなど、超然的な視点から慈愛を向けていたことがうかがえる。
ただ、その圧倒的なカラテがもたらす存在の格はこの世にある者としてはあまりにも大きすぎるものだったといい、伝承では彼が地を歩むだけで文明が滅びるというシャレにならない事象が発生していたと伝えられる。
そんなワンソーからの直々のインストラクション(修行)について来られるモータルはあまりにも少なく、次々と脱落者を出したため、
ワンソーは一段階存在の格を落とした代行者として、自身の力の側面を抽出した「カツ・ワンソーの使徒」を作り出したという。
そして彼自身は人里を遠く離れた異郷や秘境、あるいは地底に庵を構え、そこから「使徒」や新たなニンジャの誕生を見守っていた。
また、神秘的な異界の探索のため、長きにわたり現世から消えることもあったという。
活動
作中での時間軸よりも遥かに昔、日本の地に現われたワンソーは「フー・ニンジャ」「リン・ニンジャ」「カ・ニンジャ」「ザン・ニンジャ」「シ・ニンジャ」の5人を最初に作り出し、彼らを介して多くのアーチニンジャを生み出した。
しかし、最後の使徒であるハトリ・ニンジャにムーホンを起こされ、ワンソーとハトリはそれぞれが軍を結成し、世界各地で激突。これこそが「ニンジャ大戦」である。
最終決戦の舞台となったフジサン麓における「バトル・オブ・ムーホン」においてハトリ・ニンジャ、ハガネ・ニンジャの両雄と死闘を繰り広げる。
この時のハガネ・ニンジャは、かつてワンソーがケジメした指を素材に鍛えた妖刀「ベッピン」を得物として振るっており、
ワンソーは最期にはこの剣でトドメを刺され、死亡した。
しかし、その遺体は絶命の瞬間にソクシンブツめいたミイラへと変貌。ワンソーのニンジャソウルは辛くも逃亡に成功し、「コトダマ空間」(霊界)内部の黄金立方体「キンカク・テンプル」へと逃げ込んでいる。
また、ムーホンの勝利を経てもなお、ワンソーの存在の大きさは絶対的なものであり、敵対者たちからは二度とワンソーが現れないよう様々な手を打たれ、逆に信奉者たちからは再臨を目指しての暗躍が始まっている。
さらにはその名前そのものがある種のパワーワードであるらしく、ハトリに付き従った一人であるニンジャ六騎士の一人ドラゴン・ニンジャはワンソーの名を呼ぶことを避けていた。
かくしてワンソーは討ち取られたわけだが、そのソウルの一部は己を殺した妖刀ベッピンへと宿り、突き刺したニンジャからソウルを奪う力を発現させた。
ベッピンの持ち主たるハガネ・ニンジャはその力に狂ってか戦友のハトリの殺害、ニンジャの頻繁な処刑などの暴君めいた所業を繰り返すようになり、
最終的には放逐され、零落した怪物の類へと落ちぶれて死んだ。
そして第二部においては「運命者」たるニンジャ、マスター・クレインとマスター・トータスによって、
妖刀ベッピンとハガネ・ニンジャのソウルを宿すダークニンジャを依り代としての復活が試みられていた。
ダークニンジャことフジオ・タカクラは探求の中でこの事実を知り、自身がニンジャとして歩まざるを得なかった呪われた人生は全てワンソーに端を発することを理解。
キンカク・テンプルに眠るワンソーに刃を突き立てるべく、独自に動き出すことになる。
終盤、ロード・オブ・ザイバツに敗れ致命傷を負ったダークニンジャにより、復活の儀式であるハラキリ・リチュアルを強行する。
彼へのディセンションによりカツ・ワンソーがいよいよ復活するかと思われたが、
ダークニンジャの目的は副次的に流れ込むエネルギーと、何より儀式を反故にして彼らの目論見を挫くことにあった。
「運命者」の二体はこの時点ですでに破壊されていたために彼の暴挙を止めるものはおらず、
ダークニンジャは無事にハラキリを中断してワンソー復活を阻止。
流れ込んだエネルギーによって傷を癒やし、超常の力をも得た彼は更に混沌を増す最終決戦に飛び込んでいった。
第3部ではオヒガンから「凝視」と呼ばれる現象を引き起こしていることが判明。
これに晒されたニンジャは常に意識的か無意識かを問わず、圧倒的な恐怖と戦いながら己を律せねばならなくなる。
失敗すればいかなるニンジャであろうと問答無用に発狂が待ち受け(モータルで言うところのニンジャ・リアリティ・ショックに近い現象である)、それを回避しても身体的パフォーマンスの低下は避けられない。
主人公がマスラダ・カイにバトンタッチした第四部では、彼が使徒とは別に生み出した8人の分身「カツ・ワンソーの影」と呼ばれる存在がキーパーソンとなっている。
劇中ではゾーイ、サツガイ、アヴァリスの3人が登場している他、
ニンジャ大戦においてワンソーの軍勢に加わったリアルニンジャの集団「ダークカラテエンパイア」が本格的な活動を始めている。
このように、ワンソー自身は既にこの世の人ではないにもかかわらず、いかに祖でありヌンジャたる存在とはいえ、現代のニンジャ情勢にあらゆる方面で影響を及ぼし続けている。
余談
彼と対峙した東軍のハトリ(服部)・ニンジャやその配下たちは日本語的なネーミングが実際分かりやすい傾向にあるが、
「カツ・ワンソー」の名が何を意味するのかは未だ明らかではなく、読者の間でも複数の考察・推論が存在している。
ヌンジャと「8」には何らかの関わりがあるようだ。
例えば彼の分身である「ワンソーの影」は8人であり、扱う武器や技が「ハッポー(八方)スリケン」「ハッポーブンシン」など、8が意識的に取り入れられている。
また、第一部のラスボスラオモト・カンが7つのニンジャソウルを宿し、
「いずれは8つ目のソウルを宿してニンジャを超えたニンジャに至ってみせる」と嘯いていた事も何らかの伏線と見られている。
実はリアルニンジャであるとは一切語られていない。
そもそもワンソーが最初のニンジャであることは事実として定着しているが、ならばワンソーはどうやってニンジャになったのかは不明のままである。
ヘッズたちの間では「ニンジャではない別の超常存在からインストラクションを受けたのではないか」という考察もある。