概要
霧の民(アーリョ)とは、上橋菜穂子による小説『獣の奏者』及びそれを元にしたテレビアニメ「獣の奏者エリン」に登場する流浪の人々の通称である。
主人公エリンの母ソヨンは、霧の民の生まれであり、エリンにもその特徴は遺伝されている。
作中には、ソヨンの母(エリンの祖母)や許嫁などが霧の民として登場する。
特徴
背が高く、緑の目を持つ(アニメ版では髪も緑色である)。
灰色の衣と頭巾をまとい、定住せずに旅をして暮らす。医術に優れ、秘薬を売ることから、リョザ神王国の定住民からは、奇妙な術や秘法を使う人々だと考えられている。
正式名称と出自
当人たちは自らを戒律ノ民(アォー・ロゥ)と名乗る。戒め(アォー)を守る者(ロゥ)の意。
神々の山脈の彼方で祖先が起こした事件を悔いて、掟を守る流浪の民となった。
闘蛇と王獣の軍隊が闘うことで起こる、人も獣も死に絶えるような災いを繰り返さぬために、闘蛇や王獣を操る<操者ノ技>を、戒律とともに子孫に伝え、二度と<操者ノ技>が使われないようにする。また知らずに規範を犯そうとする者に対する監視や警告なども行う。
一族を離れることは不可能ではないが、知識を漏らさず、一族の監視を受けながら生きることとなる。闘蛇衆の男と結婚したソヨンも、おそらくこの状態にあった。
エリンもまた王獣の言葉を奏でることに成功したことで、監視対象となった。
リョザ神王国の民が彼らを「霧の民(アーリョ)」と呼ぶのは、聞き違いによるもの。霧の中から現れ消える不思議な人々という印象から、霧(アー)の民(リョ)と認識されている。
『探求編』『完結編』では、彼らと出自を同じくする<残った人々(カレンタ・ロゥ)>の存在があきらかになる。
祖先である<緑ノ目ノ民>のうち、流浪の一族となったのが霧の民(戒律ノ民)であり、山脈の谷間に留まったのが<残った人々>である。