※本編7章Chapter6までのネタバレを含みます
概要
ディアソムニアの副寮長であるリリアは、かつては茨の谷の領主に仕えていた近衛兵であり砦を守らせたら右に出る者は居ない「走る城壁」と呼ばれていたらしい…というまことしやかな話がある。周囲やプレイヤーの知る限りではその飄々とした態度とは裏腹に全体的に能力が高い実力者といった印象は与えられていたが、それを裏付ける真実が本編第7章にて明らかになった。
シルバー達が入り込んだリリアの夢の世界で出逢った存在。
リリアはある大きな仕事の真っ最中であったが、シルバー達が懇願して彼と当時の仲間達に同行した。
人物
300年程前において茨の国の近衛部隊を率いていた。部下にはセベクの祖父バウルも居る。
茨の国の当主であり、マレウスの母であるマレノア、左大将であるレヴァーンと飛行術もおぼつかなかった子供の頃からの付き合いで、特にレヴァーンとは親友だった。
性格は現代のと打って変わって一人称が「俺」で口調も荒く、人間であるシルバー達にも素っ気ない態度をとり「ガキは嫌い」とまで言い放っていた。
しかしそのシルバー達にもぶっきらぼうな接し方をしながらも気遣いを見せており、現代にも通じる面倒見の良さが垣間見える。
ちなみに信じられないだろうが本人曰く舌が繊細……らしい。
それを聞いたとき、シルバーとセベクは耳を疑っていた。
容姿
メッシュが入った髪色は同じだがロン毛であり、メッシュは現代よりも濃い色をしている。また、兜を被っていると解りにくいがポニーテールにしている。
面は蝙蝠の意匠。
童顔は現代と変わらないが目付きが鋭い。
本編での動向
第7章
Chapter3
「黙れ、人間。余計なことは一切喋るな。」
この姿では初登場。シルバーのユニーク魔法によってセベクの夢から渡ってきた一同の前に姿を現した。
Chapter4
シルバーたちのことを自身に入学を勧めるナイトレイブンカレッジからの使いだと勘違いし、茨の国から出ていくように勧告したが、シルバーのゴリ押しと自分が付けている面を落とされたことによって自分の隊に同行することを許す。
その後は茨の国で不当に採掘行為を行っている『銀の梟』に要求書を届けるため、そしてその根城を追い払うためにシルバーたちと行動するようになる。
本来なら外交は貴族の仕事だが、妖精は人間に比べて数が少なく、『銀の梟』が現れてからは常に労力不足であるため、リリアがこの仕事をやっているのだという。
しかし、たどり着いた『銀の梟』の本拠地はもぬけの殻でリリアたちは罠にはめられてしまった。
その時、伝令からマレノアがいる野ばら城がヘンリクと夜明けの騎士に包囲されていると知らせが入り——。
Chapter5
シルバーとセベクの機転により砦の包囲を抜けられたリリアたち。急いで野ばら城まで引き返し、マレノアとまだ卵の状態のマレウスに謁見する。
しかし、マレノアや卵と共に退却することを提案をしたリリアに対し、マレノアが放った言葉は——。
「その時は、お前が孵せ。」
マレノアは野ばら城に残って人間と戦い、注意を引き付けるのでそのうちにリリアは卵と共に黒鱗城まで逃げろ。という"勅命"を下す。そしてマレノア自身に「なにか」あったらその卵はリリアが孵せ、と命ずる。
ドラゴンの卵は親からの愛情、つまり真実の愛でしか孵らない。だから自分にはできない、と抵抗するリリアだったがお前は私のことも父親であるレヴァーンのことも愛していた、それなのに私たちの子供を愛さないわけがない、と返すマレノア。それでも引き下がらないリリアだったが、無理やり城の地下水路まで追い出されてしまう。
地上で激しい戦闘が繰り広げられている間に水路を進むリリアたち。途中で夜明けの騎士と邂逅してしまい、その弾みでリリアは瓦礫の下に挟まれてしまうが、夜明けの騎士はなぜかリリアを助け、そのまま立ち去ってしまった。
その後、突如シルバーが闇に飲み込まれてしまい、セベクたちがシルバーを捜索する中、リリアとバウルは先を急ぐことになる。
Chapter6
『銀の梟』に追いつかれてしまったリリアとバウル。
敵の足止めをするためにバウルと別れ先を急いでいたが、敵の急襲に遭ってしまい大怪我を負ってしまう。とどめを刺されそうになり危機一髪の状態だったが、闇から脱出したシルバーが追いつきなんとか首の皮一枚繋がり事なきを得る。その後は今までの疲労で気を失い、シルバーにおぶられることに。
「あ、あああ……ああああ……!!!」
ついに黒鱗城にたどり着いた一行。しかし、そこでリリアが感じたのはマレノアの魔力の消滅、つまりマレノアの”死”だった。絶望に打ちひしがれるリリアだったが、そこに茨の国の元老院が現れる。リリアが逃げたせいでマレノアが死んでしまったと責める元老院。その結果、リリアは右大将の役目を返上し、都に踏み入ることを許されなくなってしまった。
「ここに守るべきものなどない」と妬けになってしまい、リリアが持つ絶望に引き寄せられた闇に飲み込まれてしまうリリア。場面は夢の時代から10年後の回想シーンへと移る。
リリアはマレフィシアに呼び出され、こっそり都の門をくぐる。そこで待っていたのは10年たっても孵らない卵、マレウスだった。
このまま卵が孵らないとマレウスの命も危ないため、リリアはドラゴンの卵を孵す方法を世界中に探し始めることになる。当時はまだ種族間の偏見も残っており妖精族だからと迫害を受けることもあったが、リリアは懸命にドラゴンの卵を孵す方法を探した。
しかし、リリアが旅に出てから約200年後、急激にマレウスの容態が変化し近寄るもの全てを拒絶するようになってしまう。
そんな中、リリアにだけマレウスの泣き声が聞こえた。
「その意気だ! もっと泣け!」
「赤ん坊ってのは、それでいい! いいぞ! 思いっきりやれ!」
だが、リリアはあることに気づく。
「マレウス、お前……寂しくて泣いてんのか?」
200年も一人で卵の中にいたマレウス、その寂しさを晴らしてあげるためにリリアはマレウスへ近づく。
すると、周囲の魔力が急速に卵に集まり始め、マレウスに吸い取られていく。魔力でも寿命でも欲しいならいくらでも持って行けと言うリリア。
すると・・・
「ギャァーーーアアアァァ!」
「ああ、やっと会えた。」
ついに卵から孵ったマレウス。200年もの間待ち望んでいた光景に感激し、リリアは思わず泣いてしまう。
本来、マレウスのユニーク魔法によって幸せな夢しか見ないはずのリリア。それでもリリアの夢で辛いことばかり起きていたのは、"マレウスが孵った瞬間"こそがリリアが一番幸せだった瞬間なのだろう。
しかし、幸せな時間はそう長く続かない。リリアを褒める元老院だったが、それが現実ではなく都合よく歪められたものでここが夢のなかだと気付いてしまう。すると完全に夢から醒めたリリアの前に、オーバーブロットしたマレウスが現れ——。