黄泉のツガイ
よみのつがい
概要
『月刊少年ガンガン』2022年1月号から連載開始した荒川弘の漫画作品。『鋼の錬金術師』から実に11年ぶりのガンガン連載とあって注目を集める。また、『ガンガンONLINE』でも連載されている。
単行本は2024年5月時点で7巻まで発売中。
あらすじ
山奥の小さな村落で暮らす少年のユルは、野鳥を狩り、大自然の中で静かに暮らしていた。
しかしユルの双子の妹のアサは、何故か村の奥にある牢の中で「おつとめ」を果たしているという。
それはまるで幽閉されているかのように…。
穏やかな村に浮かぶ不自然な謎、この村に隠された秘密とは一体…!?(公式ページより引用)
登場人物
『黄泉のツガイの登場人物』を参照。
世界観・用語
- 東村(ひがしむら)
現代日本から隔離された自然が豊かな山奥の村。元は関ヶ原の戦いで勝利した東陣営の1つで、村人はその子孫の集まり。結界が張られており、特定の場所で特定の複雑な手順を踏まないと入り込めない。ユルのサポート兼保護者となった田寺家のデラやハナの様に村の外にも血族がいる。
表向きは住民が穏やかに暮らすのどかな村だが、後述する『解』と『封』の力を手に入れて天下を掌握するという歪んだ野望に取り憑かれており、そのためにアサを「お務め」と称して座敷牢に閉じ込め、力を手に入れさせるために山賊に扮した刺客を放って幾度となくユルの命を狙ったり、アサが両親と共に逃げた後もアサの偽者を用意してユルを村に縛り付けたりと、前述の野望の達成のためなら手段を選ばない。なお子供である内は双子の秘密について何も知らされず、大人になったら村の一員であると認められ秘密を教えるというやり方を用いて、特別感を与えて村民同士の結束を強めている。
村のやり方に反発する者は「出稼ぎ」と称して下界に出され、東村関係者から仕事のおこぼれを貰い生きていく事となる。村に戻ればユルに村の秘密を話してしまう、もしくは下界で影森家に始末されてしまうため、そのまま戻って来ない場合が殆どである。
- 影森家(かげもりけ)
東村の分家の1つだが、考え方の違いから離反し敵対している。物語開始以前に東村から逃走し、どこにも安全な場所が無かったミネ・ナギサ・アサの3人を保護し、アサは現在はここに身を置いている。
広大な敷地を所有し、部隊や戦闘ヘリを動かせる程の地位と財力を持っており、膨大な数のツガイ使いを抱えている(その反面、ツガイが多過ぎるために外部からツガイに侵入されても気付きにくいというリスクもある)。当主ゴンゾウの次男アスマは作中で影森家について、「使用人も含め異端だ異常だ普通じゃない者だと世の中から拒絶された者の集まり」だと話している。
- ツガイ
「対なるもの」。幽霊・妖怪・化け物・UMA・異形等々様々な呼び名で呼称される存在。
通常はツガイは一般人には見えないが、ツガイ側から干渉して特定の人間に姿を見せる事が可能で、稀に勘所があって見える者もいる。概ね人ならざる姿をしていて持っている知性も個体差が大きいが、いずれも確かな意思と心を持った生き物である。
普段は核とも言える本尊の姿となっているが、人間と契約する事で自由に動ける様になる。その契約はツガイ自体、または本尊に血液を付着させる事で成立し、そうしてツガイの主となった者は「ツガイ使い」と呼ばれ、他のツガイも視認出来る。
主が死亡した場合は野良のツガイとなり、そのまま次の主と契約せず数百年以上が経過すると消滅してしまうとの事。そのためツガイは基本的に主を守る事を最優先する。
- 「夜と昼を分つ双子」
ユルとアサにまつわる言い伝え。「運命の双子」とも呼ばれる。『東の村で夜と昼が等しい日に生まれた男女の双子は、世のあらゆるものを強制的に解く事ができる『解』と、世のあらゆるものを強制的に閉じる事ができる『封』と呼ばれる力を手に入れる』と言われている。
力の覚醒には一度死んだ後、黄泉での契約を経て蘇る必要があるが、この「黄泉返り」に失敗してしまう場合もある。
彼等が生まれると世が割れると言われており、約400年前にも生まれた際には国が東西に分かれる大戦が、更にそれよりも昔には南北に分かれ戦う時代になっていたとの事である(どちらも裏でツガイ使いらが関わっていた)。
- 西ノ村(にしのむら)
『解』と『封』の力を狙う、謎多きツガイ使いの集団。どうやら元は関ヶ原の戦いで敗北した西陣営に加わっていた勢力の子孫らしく、400年後の現代において今度は勝利を収めるべく暗躍している。かなり用心深く、口封じのための殺害など情報漏洩の阻止を徹底して行っている。