メイン
主人公。特異な力を持つとされる『夜と昼を別つ双子』の1人。現代文明から隔絶された山奥の集落『東村』に住む狩人の少年。
影森家の襲撃によって下界に逃れる事を余儀なくされ、同時に環境の変化や村の真相といった様々な事象に驚かされ続けた結果、「驚く事」に慣れてしまった。
村を脱出する際に、村の守り神であったツガイ『左右様』と契約し、以降は2人を従えている。
ユルの双子の妹であり、同じく『夜と昼を別つ双子』の1人。右目に眼帯をしている。本作の実質的なメインヒロイン。
長年座敷牢に囚われていると思われていたが、そちらは東村がユルを逃がさないために作った偽物であり、本物は10年以上前に両親と共に下界に逃れていた。
自身の力を狙う東村からの刺客に狙われ続けた結果、少々やさぐれてしまったが、根は兄様大好きなブラコン。
あらゆるものを解放出来る『解』の力を既に得ている。
東村及びその関係者
- ヤマハ
東村を束ねる長。村一番の長生きで、何歳なのかは自分でも忘れてしまったとの事。東村の結界に干渉出来るのか、第1話ではアサに破られた村の結界を再び閉じる場面が見られた。
- ダンジ
東村に住む少年でユルの友人。第17話でイワンの襲撃をユルへ知らせに村を出たが、その際正体は『ザシキワラシ』の「男児」の化身と判明した。
- キリ
ヤマハの命令でアサに化けていた『ザシキワラシ』の「女児」の化身。名前の由来は東村の山に咲く桐の花から取られている。
- キョウカ
ダンジの母親。しかし実際は『ザシキワラシ』と契約したツガイ使いで、ヤマハの側近。『解』と『封』の力に固執する東村のあり方には染まっておらず、むしろ快く思っていない。
ユルとアサが生まれるずっと前に夫と子供2人を亡くしており、『ザシキワラシ』の2人の事は我が子同然に思っている。
- ミネ
ユルとアサの父親。ユルに狩りを教えた師でもある。『解』と『封』の力を狙う刺客に襲われた幼いユルに対し、「殺意を向けてくる者に対して躊躇しない」という考え方を教えた。
10年前にアサを連れてナギサと共に東村を脱出するが、ナギサの故郷の沖縄へ向かう飛行機の中で忽然と姿を消してしまう。
- ナギサ
ユルとアサの母親。元は偶然東村へ迷い込んでしまった下界の人間であり、本名は“金城(きんじょう)ナギサ”。沖縄出身であり、沖縄の方言で『夜』を意味するユルの名を名付けた。
10年前にロウエイを脅して東村の結界の抜け方を聞き出し、アサを連れてミネと共に東村を脱出するが、自身の故郷の沖縄へ向かう飛行機の中で忽然と姿を消してしまう。
- 田寺リュウ(たでら -)
東村に出入りする行商人だが、その正体は村と外界の連絡役である『番小者』の男性。通称“デラ”。以前ツガイと契約していた事があるため、ツガイが見える。
影森の襲撃に際してユルに『左右様』と契約させ下界に逃れた後はユルの保護者となる。基本的に飄々として捉えどころがなく、時にはギャンブルで有り金をスる事も少なくないなど、割と駄目人間だったりする。しかしユルの保護者である事への責任感は強く、作中ではユルを保護したのを契機に東村と袂を分かつ事を決心している。
かつては傭兵として働いており、戦闘力は高く特に銃火器の扱いに長けている(第1話では拳銃1丁で武装した影森家の兵隊達を制圧している)。現在の主武器はライフル。なお傭兵時代に前述のツガイと契約していたが、戦地でデラを庇い命を落としたとの事。
- 段野ハナ(だんの -)
デラの後輩で、彼と組んで『番小者』を務めている女性。目上の相手には「~っス」という体育会系の口調になる。子供嫌いを度々明言してはいるが、ユルやケンに対する面倒見は良く当の2人からは慕われている。また、「子供は嫌いだけど子供の人生踏ん付けて利用する大人は死んでほしい」とデラに話す場面も見受けられた。ユルを引き取るに当たり、周囲からの疑念を避けるためにデラとの形式上の結婚を余儀なくされる。しかしケンの初対面時にデラの隠し子かと不機嫌になるなど、憎からず思ってはいる様子。見かけこそ小柄な女性だが、実際は筋トレマニアのゴリゴリの武闘派であり、メリケンサックをメイン武器としている。
表沙汰に出来ない死体を処理する(先祖代々から受け継がれている山に埋葬する)役目を担っている事から、東村関係者からは“墓掘り”の通称で呼ばれている。
契約ツガイは犬と猫の姿をしている『前虎後狼』。
- 田寺ロウエイ
田寺家の先代で、デラとケンの父親。名前だけが知られていて、物語開始以前から行方不明となっていた。キョウカを『ザシキワラシ』の2人と契約させた張本人でもある。波久礼ヒカルの漫画『プリきゅん☆マミたん』のガチファンで、ヒロインのイラストがプリントされた萌えTを着用している。
前述にもある通り長らく所在や動向は不明だったが、第34話にてハナ達や西ノ村陣営の前に姿を現し、ツガイも無しにツガイ使いを圧倒する強さの一端を垣間見せた。
- ヤマ
表向きは『祈祷師』として村に出入りしている下界の住人。恰幅の良い男性で、若干女言葉の混ざったオネエ口調で話す。前述の通り村では『祈祷師』で通っているが、実際は『祈祷』という名目の予防接種を定期的に村の子供達に行っている。
実は『解』と『封』の力を手にしようとする村の過激派の1人でユルに刺客を送り込んでいた張本人だったが、イワンに東村侵入の足がかりとされた挙げ句用済みになった後は斬り殺された。
ツガイ使いでもあり、小人の様な姿の非戦闘型のツガイ“レディー”と“ジェントルマン”を連れていたが、殺害時に破壊されてしまう。
- 山賊の男(仮称)
『解』と『封』の力を狙う『山賊』陣営の1人。本名は不明。坊主頭で眼鏡の男。イワンや新郷から逃れられたり、西ノ村陣営の奇襲を受けても『山賊』の中で唯一生き残れるなど、妙に悪運が強い(当人の能力の高さも恐らくはあるのだろうが)。
契約ツガイは他人の体を乗っ取って操れる『マメガラス』。
- 社長
『山賊』を束ねるスーツ姿の老人。本名は不明。『解』と『封』の力を手に入れようと目論む過激派の筆頭。東村のトップの座を虎視眈々と狙っている野心家で、村の長のヤマハの存在を疎ましく思っている模様。
醍醐の襲撃により右腕を失う重傷を負ってしまい、当面は動く事が出来なくなった(契約ツガイ達にも万一に備えて本尊に戻っておくよう命令している)。
契約ツガイは火と水を操れる『災神』。
影森家
三つ編みにフードを着た小柄な少女。契約ツガイは上下一対の巨大な歯の姿をしている。ツガイ名は『ジョー・ウィリアムフレデリック・ガブリエルⅠ世』と『カーク・ダグラス・ウオルドグレイヴ・ガブリエルⅡ世』
- 影森ジン(かげもり -)
影森家の三男。メガネとスーツのインテリヤクザめいた風貌の男性。掃除屋(始末屋)をしている。
契約ツガイはチョウチンアンコウの姿をした『掃除屋(スカベンジャー)』。
- 黒谷ハルオ(くろや -)
ジンの部下の1人でツンツン頭の青年。契約ツガイは兎と亀の姿をしている。
赤ん坊の頃に影森家が経営する乳児院の前に捨てられていたらしく、同じ身の上のアキオ・ナツキ・フユキとは義理の姉弟で、彼は次男。
- 黒谷アキオ
ジンの部下の1人でスキンヘッドの男性。契約ツガイは非常に巨大な姿の単眼の怪物『ヤマノカミ』。黒谷四姉弟の三男。
実は『解』と『封』の力を狙う連中と繋がっていた内通者。先天性の無痛症を持ち、それにより他人の痛みも分からず、幼い頃は喧嘩で相手を半殺しにする少なくなかった。親に捨てられたという境遇も重なって影森家に拾われた後も埋まらない心の穴を抱えていたが、ある日自分と同じ無痛症の人々が集まるコミュニティで母親と思われる人物を見付けたのをきっかけに、第三勢力の西ノ村陣営に取り込まれる事となる。
- 影森ゴンゾウ
「御館様」と呼ばれている影森家の当主。小柄な好々爺といった雰囲気の老人だが、敵や裏切り者には一切容赦をしないという裏社会を生きる者としての冷酷さも併せ持つ。その反面子供には優しく、ユルやアサやガブちゃんを慮る姿が何度か見られる。
契約ツガイは黒と白の人魂に似た『百鬼夜行』だが、それ以外にも数え切れない程の膨大なツガイと契約している(詳細は後述)。
- 影森アスマ
影森家次男。穏やかな口調の青年。作中では不穏な動きを度々見せていたが、実際は影森の乗っ取りを企む伯父・新郷ハヤトを倒すために暗躍していた。
実母のイオリが伯父のハヤトを始めとする親戚連中から存在を否定されるのを見て育ってきた影響か、「この世に不要なものはない」という独自の考えを持つ(それ故に、世を乱す『解』と『封』やそれらを生み出す東村の存在を否定するゴンゾウに唯一反論している)。
契約ツガイは白と黒の巨大な鳥を思わせる『金烏玉兎』。
影森家長男。恰幅の良い青年。“波久礼(はぐれ)ヒカル”のペンネームで漫画家として活躍している。
長兄なので次期当主と目されているが、彼自身はマトモな倫理観を持つ一般人寄りの存在なので、継ぐ事を嫌がっている。
契約ツガイは白と黒の毛玉の様な姿をした『黒白(こくびゃく)』。
- 黒谷フユキ
ゴンゾウの側近の1人。黒谷四姉弟の長男。長髪の男性。契約ツガイは二本腕と帳面の姿をした『閻魔帳(ブラックリスト)』。
- 黒谷ナツキ
ゴンゾウの側近の1人。黒谷四姉弟の長女。眼鏡をかけた女性。早く結婚して影森家の仕事を辞めたいと思っており、暇があれば婚活サイトを見ている模様。契約ツガイはなまはげに酷似した『なもみはぎ』。
- 桜沢(さくらざわ)
影森家の医者。マスクを着けた女性。かなりクールかつドライな性格。ツガイ使いらしいが詳細は不明。
- 羽村ケンイチ(はむら -)
元はユルとアサを狙って影森家を襲撃した内の1人。坊主頭のガラの悪い男性。ギャンブルでこさえた借金の返済のために今回の襲撃に加わったが、ただのバイトで黒幕と接点は無かったため、襲撃後にゴンゾウによって影森に雇われる事となった。しかし第31話で再登場した際には、(ゴンゾウに「お前はコツコツ真面目に働け」と言われたにも拘わらず)借金を返すために借金をしてギャンブルに臨んでは無一文になるという愚行を変わらず繰り返しており、懲りてはいない様子を窺わせた。アキオに殺害された庭師の穴埋めとして、現在は庭師として働いている。
『陰陽』という名のツガイと契約していたが、現在はアサの『解』によって契約を解かれてしまっている。
- 立川マコト(たちかわ -)
元はユルとアサを狙って影森家を襲撃した内の1人。ポニーテールの女性。難病を患う母親の治療費を稼ぐために襲撃に加わったが、ただのバイトで黒幕と接点は無かったため、襲撃後にゴンゾウによって影森に雇われる事となった。母親の治療費はゴンゾウが全額立て替えてくれたため、現在はその治療費の返済と家族の生活費を稼ぐために働いている(有事の際以外はヒカルの漫画のアシスタントを務めている)。
契約ツガイは狐と狸の姿をした『狐狸変化』。
西ノ村
- 御陵(みささぎ)
西ノ村を率いるリーダー格の男。普段は小さな中華料理店を営んでいる。
- 与謝野イワン(よさの -)
神郷と手を組むツガイ使いの青年。契約ツガイは大小の刀の姿をした『マガツヒ』。「金さえ払ってくれれば何でも斬る」と自負しており、これまでツガイ、人間問わず多くを斬り捨ててきた模様。「もらった金の分の働きはした」と判断すると情報録を防ぐために雇い主でも斬り捨てる軽薄さを持つ。祈祷師と会敵した際にチカンと間違えられたため、ユルやデラからは「夜道のチカン」と呼ばれておりその事をかなり気にしている。
- 峰山アンナ(みねやま -)
ウェーブのロングヘアーに眼鏡を掛けた女子高生。普段は普通の学生として学校や塾に通っており(ちなみに受験生)、そちらの方が忙しいあまり西ノ村関連の用事が疎かになりがちな模様。イワンを「様」付けで呼び好意を抱いているが、かなり歪んだ形であるため当のイワンからは鬱陶しがられている。
西ノ村陣営では後述するツガイの力で死体処理を担当しており、初登場時はツガイの力を用いてイワンが殺害した無数の『山賊』の死体の処理を行っている。
契約ツガイは死体を丸める能力とそれを圧縮する能力を持つ『魂(タマ)コロガシ』。
- 椥辻(なぎつじ)
外見年齢20代程の青年。作中では自身のツガイの能力を用いてアキオを口封じに始末しようとしたり、東村関係者の集会の場に罠を仕掛けて一網打尽にしようとしている。
契約ツガイはツガイの本尊に種を寄生させて爆発させられる、粘菌に似たツガイ。
- 醍醐(だいご)
口髭を蓄えた筋骨隆々の男。戦闘系のツガイと素手で渡り合える程の身体能力を持つ。血の気の多い戦闘馬鹿かつ、「使えない」と判断すれば敵味方関係無く切り捨てられる冷酷さの持ち主だが、大の犬好きという一面もあったりする。
契約ツガイは相手の攻撃を吸収・放出出来る『サドマゾ』。
- 小野(おの)
アキオの実母。かつて赤ん坊のアキオを影森に潜り込ませるために、影森家が経営する乳児院の前に捨てた(アキオには「生まれてすぐの子供を旦那に取り上げられ、後になって旦那が息子を扱いきれなくなって捨てた」と話している)が、偶然を装って無痛症の人間が集まるコミュニティを通し、アキオと再会を果たす。
表向きはアキオを大切にする素振りを見せているが、アキオを利用する目的で捨てた事からも分かる様に、本心では息子への愛情など欠片も存在していない。
その他
- 中神(なかがみ)
ヒカルの担当編集を務める女性。
- 田寺ケン
13歳。ロウエイの息子で、デラとは異母兄弟の関係。エチオピア人の母を持ち、母を亡くした事をきっかけに父を探し始めた。1人で生きていくために強さを求めた結果、とある危険なツガイを解放してしまうが、ユル・デラ・左右様達が倒した事で何とか事無きを得た。以降は段野家で居候の身となる。
ツガイの存在こそ知ってはいたものの、それ以外は戦闘力も持たず感覚も一般人のものと同等という普通の少年であるため、ユルを始めとする東村関係者達の物騒さに振り回される事もしばしば。
- ナギサの母親
沖縄で暮らしている、ユルとアサの祖母にあたる女性。初登場時は蜘蛛の姿のツガイに乗っ取られている姿が確認でき、情報を引き出す目的なのか定期的にアサに毎回一言一句同じ内容の電話をかけてきている。
- 新郷ハヤト(しんごう -)
アスマの母方の伯父で、スーツを着たヤクザ風の男。『封』の力や影森家を手に入れようと暗躍する。アスマの母にして自身の妹のイオリを他の新郷家の面々と共に「一族のお荷物」「いらない女」だと散々蔑んでおきながら、彼女がゴンゾウに見初められた後は影森との姻戚を最大限に利用し今の財を築いた。しかしそれでもイオリへの態度は一切改めなかったため、アスマからは憎悪と殺意を向けられている。第26話にて好機を見付けたアスマによって拘束されるも、ちょうど現れたイワンに口封じのために殺害された。
契約ツガイは黒と白の獣の様な姿をした『風神雷神』。
- 新郷イオリ
アスマの母でハヤトの妹。本人曰く幼い頃から要領が悪く、勉強も運動も出来なかった事で家族から冷遇され居ないものとして扱われていた。
ある日自殺しようと訪れた山中で『金烏玉兎』の本尊を見付け、その前で手首を切った事で契約が成立した。朝霧と夜桜という理解者を得た一方で、ツガイが見えない新郷家の面々からは異常者扱いされ、2人の姿を見せたら見せたで「化け物に取り憑かれている」と見なされ、ますます一族内で孤立してしまった。そうして限界まで追い詰められ、入水自殺をしようとしていた所を偶然ゴンゾウに見付けられ話を聞いて貰えた事で、影森家に受け入れられる。しかし希死念慮からは解放されなかったらしく、最期は自死を選んだ。
ツガイ
- 左右様(さゆうさま)
主はユル。東の村の守護神で、屈強な巨漢の『右』と、筋肉質な女丈夫の『左』の2人組。元々が岩であるため、非常に強靭な肉体を持つ。2人揃って好戦的だが、特に左が好む傾向にある。
ツガイや『夜と昼を別つ双子』には詳しいが、ユルと契約するまでの400年間東村から離れた事は無かったため、ユルと同じく現代文明には疎い。
『右』は『解』の、『左』は『封』の力を相殺する力を持っている。そのため本来は『解』と『封』を制御するために第三者が持つべき存在であり、ユルが主人になっている事を危惧されている。
- ガブリエル
主はガブちゃん。巨大な口と歯を持つ、上顎と下顎のツガイ。個体名は“ジョー・ウィリアムフレデリック・ガブリエルⅠ世”と“カーク・ダグラス・ウオルドグレイヴ・ガブリエルⅡ世”。なおツガイ名は不明。
並のツガイなら容易く食いちぎるだけでなく、手榴弾の直撃すら耐えうる歯を持つ。
神様の一柱として崇められているツガイ。主は自身の石碑がある近隣の民家に住む老婆。首に傷跡がある馬と、それに乗る女性の姿。
女性の方は温厚で子供が大好き。左右様とは旧知の仲で、下界に降りたばかりの彼等と再会した。
- 前虎後狼(ぜんここうろう)
主は段野ハナ。犬と猫の姿をしており、犬の方の名前は“二狼”、猫の方の名前は“虎徹”。一族に代々受け継がれているため、下界の道具(スマホなど)を難なく使いこなす。何故か2匹ともユルに対して当たりが強い。
追跡能力に優れており、二狼が匂いを元に対象を追いかけ、虎徹がその情報を知らせる。
- 掃除屋(スカベンジャー)
主は影森ジン。チョウチンアンコウ型のツガイ。あらゆる物を呑み込める大きな方が“愛ちゃん”、呑み込んだ物を自在に吐き出す小さい方が“誠くん”。
愛ちゃんは触覚の部分を人間を始めとする生物に擬態させる事ができ、それを疑似餌として獲物を誘き寄せられる。対する誠くんは見かけこそ小さいが、無尽蔵と言えるレベルで物質を体内に保管する事が可能で、ジンは有事に備えて常日頃から戦闘に使えそうな物を食べさせている。
- 兎と亀(仮称)
主は黒谷ハルオ。対象を重力で押し潰す亀の“カメちゃん”と、俊敏な機動力で相手を翻弄する兎の“ウサちゃん”から成るツガイ(ツガイ名は不明)。見かけこそ愛らしいが、左右様を完全に封殺出来る程の実力を持つ。
カメちゃんは言葉を話せないがウサちゃんの方は話せ、その口調から性別はメスである模様。主のハルオを始めとして身内への情は深く、第29話では他の影森家のツガイを身を挺して庇っている。
- 閻魔帳(ブラックリスト)
主は黒谷フユキ。三本指の腕“エンブレイス”が触れたツガイから歴代の主人の情報を抜き取り、顔の付いたつぎはぎの帳面“ウィスパー”にそれを記載する能力を持つ。ただしウィスパーは非常にお喋りなため、静止しないと個人情報を垂れ流しにする。
- 黒白(こくびゃく)
主は影森ヒカル。白と黒の毛玉の様なツガイ。白い“ホワイト”が物体の状態を消去し、黒い“ベタ”が状態を上書きする事で物体の書き換えを行う事が可能。唾を吐く様な仕草をするが、ヒカル曰く彼等なりの親愛の表現らしい。
なお書き換える時のクオリティは主の観察眼と想像力に左右されるので、漫画家のヒカルとの相性は抜群である。
- 陰陽(いんよう)
羽村ケンイチが連れていたツガイだが、現在はアサを仮の主人とする。個体名は無かったが、襲撃後に羽村によって“おはぎ”と“だいふく”という名前を付けられる。
太極図を半分に分けた模様を持つツガイで、合体する事で巨大化し、物体を取り込む能力を持つ。
- 狐狸変化(こりへんげ)
主は立川マコト。変身能力を持つ狐の“赤井さん”と、●玉を投網の様に変形させる狸の“みどりさん”の連携により、人さらいを得意としていた。
- えっさほいさ
小さな力士の様な姿のツガイ。主は影森家の使用人の男。個体名は“えっさ”と“ほいさ”。「えっさ」「ほいさ」としか喋れない模様。作中では屋敷の雑務を手伝う場面が何度か見受けられる。
- 田寺家のツガイ(仮称)
田寺家の当代に代々受け継がれているツガイ(ツガイ名は不明)であるが、先代のロウエイが息子のデラに正式な引き継ぎを行わないまま姿を消してしまったので、主はロウエイのままとなっている。外見はごく普通の民家にしか見えないが、結界の一種である『マヨイガ』を作り出せる能力を持つ。デラはこのツガイを、ねぐら兼武器庫として使用していた。
この結界は東村と同じく出入りするためのルートが存在し、一度でも間違えれば死ぬまでさ迷い続ける羽目になる。なおそのルートは、当代の田寺しか知らない。
- 手長足長(てながあしなが)
伸縮自在の手と足を持つツガイ。手足は人体を容易く貫通し、肉体は拳銃程度ではビクともしないほど頑丈と強力なツガイだが、食人を行う上に主の言う事を全く聞かない。
1200年程前に悪さばかりしていたところを、当時の『封』の使い手と旅の坊主、そして左右様によって磐梯山に封印された。その為、左右様に対して非常に恨みを抱いているが、同時に『封』の使い手を恐れている。
主は与謝野イワン。刀の姿をしており、大刀の“大凶”と小刀の“小凶”から成るツガイ。柄の部分の模様が目玉となっている。小凶の方はかなり口が悪く、主のイワンの事を「サル」呼ばわりしている。更にイワン曰く「小凶はどのツガイとも相性が悪い」との事で、ツガイとあらば容赦無く殺してしまう。対する大凶はかなり無口な様で、少し喋っただけでイワンに驚かれている。
あらゆる物を両断する切れ味を持ち、使い手が剣の達人であればまさしく鬼に金棒となる。また物理攻撃以外にも斬った空間を入れ換える能力を持ち、作中では遠く離れた下界と東村とを一瞬で移動している(この能力は小凶を鞘に収める事で発動出来る模様)。それ以外にも大凶と小凶を通して対象とイワンとのエネルギーを置き換えられる『精気移転』なる能力を持つが、奪った対象の精気が莫大な物であればイワンの体にかかる負担がそれだけ大きくなるため、イワン自身も「あまり使いたくない」と話している。
- 宇宙人に似たツガイ(仮称)
見た目はまんま宇宙人の姿をした男女のツガイ。名前は人間の発音出来ない呼び方であるため、ツガイ名は不明。
元は能登の方に大昔からひっそりと奉られていたが、やがて人々から忘れられそのまま朽ちていきそうになっていた所、偶然すぐ近くに転落してきた野良犬(犬種はパグ)の返り血を浴び、契約が成立してしまった。
しかしその様な経緯であっても主の事は溺愛しており(ユルがアサに契約解除してもらう提案をしたが即断っている)、前述の通り犬であるが故に放っておくといじめられたり保健所へ連れて行かれてしまうため、普段は盗んだ服とカツラとサングラスなどを着用して人間のふりをし、『ペットと飼い主』の体で何とか凌いでいる。
主はキョウカ。男児の“ダンジ”と女児の“キリ”から成るツガイ。変身能力を持ち、普通の人間の子供に化ける事も出来る。また影から触手(?)を出して自在に操る事も可能で、作中ではそれを用いて互いと連絡を取り合ったり盗聴を行ったりしている。
ダンジの方はキョウカの命で陰ながらユルの護衛を行い、キリの方はヤマハの命でアサに化けて座敷牢の中に常駐する傍ら、有事の際はヤマハを守る様に命令されていた。
- 金烏玉兎(きんうぎょくと)
主は影森アスマ。真っ白な女性に似た姿の“朝霧”と、髑髏の頭部を持つ烏に似た“夜桜”から成るツガイ。
朝霧は体が蝶で構成されている様で、体の一部を切り離して動かす事で遠くの光景を見聞き出来る。夜桜は蛾で構成されており、朝霧と同じ事が出来るかは不明。作中では全く気配を感じさせる事なく、ユルの背後を取っている。なお朝霧は夜が苦手で昼間しか動けず、逆に夜桜は昼が苦手で夜の間だけ動ける。
夜桜は新郷に警戒されないために知能が低い振りをしていたが、実際は穏やかな気性の持ち主で物腰も柔らか。現在の主のアスマの事はもちろん、前の主のイオリの事も心から大切に思っている。
- マメガラス
主は東村の山賊の男。“ガニマタ”と“ウチマタ”という名の小鳥に似たツガイ。人間に寄生して操る能力を持ち、ガニマタが対象の意識を奪い、ウチマタが体を乗っ取ってコントロール出来る。
- 百鬼夜行(ひゃっきやこう)
主は影森ゴンゾウ。個体名は不明。黒と白の人魂の様な姿をしたツガイ。ツガイ同士の仲を取り持つ能力を持ち、ゴンゾウはこのツガイを所持する事によりツガイの相性など気にせず無制限に契約出来るので、アサの『解』で野良ツガイ量産→ゴンゾウが契約→フユキの『閻魔帳』で情報開示という最強コンボが成立する。
- ヤマノカミ
主は黒谷アキオ。白と黒の一つ目の巨大な化け物の様な姿をしており、白い方が“山風”、黒い方が“谷風”。特殊な能力は存在しないのか、作中では巨体を活かしたシンプルな力技のみを披露していた。
ガブちゃんとの戦いの最中にアキオの意向で契約を解除され本尊の姿へと戻った後は、西ノ村陣営に情報漏洩の阻止を兼ねた鉄砲玉として利用された挙げ句、爆発四散してしまった。
- なもみはぎ
主は黒谷ナツキ。なまはげに酷似したツガイで、個体名は“ジジ丸”と“ババ丸”。パワー系のツガイらしく、初登場時はガブリエルを吹っ飛ばす程の膂力を見せた。
主は新郷ハヤト。黒と白の獣の様な姿をしている。伝承に残る風神と雷神と同じ様に、風と雷を操れる。その性質故に金烏玉兎にとっては相性最悪のツガイであり(蝶と蛾に分裂しても風と雷で吹き飛ばされるか焼かれるかしてしまうため)、アスマも新郷に表向きは従わざるを得なかった。第26話にて、情報漏洩を防ぐ目的でイワンに本尊ごと破壊された。
- 魂(タマ)コロガシ
主は峰山アンナ。個体名は“タロウ”と“ヒメ”。死体を丸める能力とそれを野球ボール大にまで圧縮する能力を持つ、フンコロガシに似た姿のツガイ。更に能力はそれだけに留まらず、オスが死体で作った肉団子にメスが卵を産む事で、肉団子となった人間の個性を基にした新世代のツガイを産む事も可能。
- 粘菌のツガイ(仮称)
主は椥辻。ツガイ名及び個体名は不明。本体から分離させた粘菌を他のツガイの本尊に寄生させ、任意で爆発させる能力を持つ。また、寄生させた粘菌を通してその場の音声を拾い盗聴する事も可能。
- ゴッコイタチ
その名の通りイタチに似た姿をしたツガイ。影森家の庭師を務めていた川井サノスケと契約していたが、川井がアキオに殺害されてしまったため、えっさほいさの主と新たに契約した。
- 災神(さいじん)
主は社長。仮面を着けた巨体のツガイで、個体名は“雫”と“篝”。雫は水、篝は火を自在に操れ、雫の方は水の壁・水の槍・ウォーターカッターなどの多彩な技を披露していた。主への忠誠心は強いらしく、社長が重傷を負わされた際は激昂している。
醍醐との戦いで双方共に重傷を負い、社長の命令もありしばらくは本尊に戻って回復に努める事になった。
主は醍醐。個体名は黒い渦を思わせる異形の姿をした“ドM”と、一見すると小さく愛らしい姿の“ドS”。両者共その名が示す通りの性格の持ち主で、ドMは攻撃されればされる程興奮し、ドSは常に相手への罵詈雑言を欠かさない(しかしドSの方は打たれ弱く、自身が攻撃された途端パニックに陥る)。恐らくだが、名称からして魂コロガシによって産み出された新世代のツガイの1体と思われる。
ドMが相手の攻撃を吸収し、ドSがその攻撃をコピーしてそのままの威力で放てるという攻防一体のカウンター能力を持ち、相手側は強力な技を出せば出す程窮地に追い込まれる事となる。弱点はその能力の性質上自分達からは攻撃出来ず、またドSを攻撃してもカウンターは発動しないため、ドMから引き離されてしまえば一方的に攻撃されっぱなしになる事が挙げられる(作中では醍醐がドMを攻撃する事で反撃していた)。