概要
薄刃家とは、わたしの幸せな結婚に登場する家系の名前である。
「人心に干渉する力」を受け継ぐ家系。
過去に輩出した能力者には、相手の思考を読む、記憶操作といった類だけでなく、
相手の自我を消す、幻覚を見せて錯乱させるなど、
使い方によっては国をも滅ぼしかねない危険な能力を持つ者もいた。
薄刃家の人々自身、それを理解していたため、
能力を悪用する者が現れないよう「薄刃」の姓を隠し、
他家にその血が広まらないよう制限を設けていた。
それ故、澄美が斎森家に嫁いだことはかなりの異例だった。
上記にもあるような秘密主義のせいか、他の異能者の間では、
薄刃の名前は有名でも存在自体が曖昧な家という認識の者が多く、
半ば架空の存在となっている様子。
小説版2巻以降のネタバレを含みます。閲覧にはご注意ください!
※小説版2巻にて、薄刃家の人間の存在が明らかになった。
表向きは薄刃を名乗らず「鶴木(つるき)」を名乗っている。
(澄美も表向きは「鶴木澄美」を名乗っていたことが小説版2巻で判明している)
更に異能が関わらない表向きの家業として「鶴木貿易」という貿易会社を経営している。
現当主は鶴木新の父親(美世から見て母方のおじにあたる)
薄刃家の異能者は他の異能者と違い異形相手ではなく人間相手に効果を発揮するため、異形を見る必要が無い。そのため、見鬼の才の無い異能者が生まれることは普通のことである。
(夢見の異能者である美世に見鬼の才が無い理由でもある)
薄刃家の異能は「異形を倒す力」ではなく「異能者を倒す力」なのである。
上記のことからも薄刃家の存在意義は、他の異能者が異能を悪用しようとすることを防ぐ
「異能者への抑止力」としての役割が大きかった。
薄刃家の異能は、使い方によっては国を滅ぼしかねない大変危険なものもあった。
それ故、能力が表沙汰にならないように薄刃家には厳しい掟が存在し、掟を破った者への処罰は非常に重いとのこと。
(判明している限り)
- 本当の名字を名乗ってはいけない。
- 外で異能を使ってはいけない。
- 結婚相手は親族の中でしか認められない。
- 特に親しい友人、恋人を作ってはいけない。
- 許可なく高額なものを買ってはいけない。
- 家の外で酒を飲むことは禁止。
- 夢見の異能者が現れたらなら彼女を一族全員で守り、支えるべし
(過去、夢見の異能者が現れた際は一族の中から選ばれた異能者がつきっきりで世話をし、命を懸けて守る役を担った歴史がある)
…等々。
新曰く、上記の掟はごく一部でまだまだたくさんの掟があるとのこと。
薄刃家の人々
本名は薄刃義浪。澄美の実父であり美世の母方の祖父に当たる。
事実上の薄刃家の当主。(息子である新の父には異能が無いため)
元々澄美を斎森家に嫁がせるつもりは無く薄刃の分家・甘水家の青年、甘水直との縁談を考えていた。ところが、ある時期から会社の経営が傾き縁談どころでは無くなってしまった。
どこからかそれを知った斎森家の先代当主(真一の父で美世の父方の祖父)から資金援助の申出と引き換えに澄美と真一との縁談を打診される。
上記の掟に反することや、斎森家が没落しかけていたこと、その衰勢した家からの資金援助に疑問を抱いたことから義浪は縁談に反対だったが澄美が家を守るためと強引に縁談を承諾、斎森家へ嫁いでいった経緯がある。
上記の経緯からか、作中でも薄刃家と斎森家が親戚付き合い等の家同士の交流をしていたような様子も無く(真一の考えや生前の澄美への態度から、斎森家の方針として敢えて薄刃家との交流を避けていた節がある。またアニメ版第11話では義浪曰く結婚してから澄美と連絡が取れなくなった旨を証言しており、澄美または帝が意図的に連絡を絶った可能性がある)澄美とは絶縁状態だった。
薄刃家の異能を渡したくない余り(澄美の封印もあり)美世には異能が無いと思い込み手を引いた。
(美世が斎森家で酷い仕打ちを受けている間、薄刃家からの助けが無かったのもその為)
美世を守れなかったことを後悔し、再会した美世に謝罪した。
美世を最初から己の家族として受け入れており、祖父として美世に家族の定義について自身の考えを語ったり、娘・澄美への思いや美世に会えた事を「本当に幸せだ」と喜んでいた。
本名は薄刃新。
澄美から見て甥であり美世の母方の従兄に当たる。
幻を操る異能を持つ。
美世に異能があることや、薄刃家の歴史などを教えた人物。
美世の実母。精神感応(テレパシー)の異能を持つ。物語開始時点で既に故人。
(甘水の回想や美世が見た夢の中で判断できる限り)甘水直とは幼少の頃から親しくしていた様子。
実家の会社の経営が傾き、斎森家から資金援助の申出を受け、家を守る為
父・義浪の反対を押し切って真一と結婚、その後娘の美世を授かった。
美世に夢見の異能があることを知り、その能力が悪用されないよう異能を封じた。
夫の真一に美世の今後を託すが、その願いが聞き入れられる事は無かった。
亡くなった後も、時々美世の夢の中に現れる。
薄刃家の分家・甘水家の出身。
人間の五感を操作する異能を持つ。
新興宗教・「異能心教」の祖師として国家の転覆を狙っている。
かつては澄美の婚約者候補だった。
国家転覆の準備をしている最中に、澄美が数年前に亡くなっていたことを知った。そのため一時期は絶望していたが、澄美の娘・美世が生きていることを知り、今度は美世を自分の思想に引き込もうと画策している。
小説版2巻にて、尭人の証言から真一と澄美の縁談の真相が明らかになった。
帝は、精神感応の異能を持つ澄美の存在を知ると、夢見の異能者が現れることをひどく恐れた(夢見の異能者は精神感応の異能持ちの母親からしか生まれないため)使い方次第では夢見の異能は帝の天啓をも凌ぐことがあるため、夢見の異能者によって帝室の権威が揺らぐ可能性があったからである。
そこで夢見の異能者の誕生を阻止するため、帝は密かに手を回し薄刃家の家業が傾くように仕向けた。更に薄刃家とは無関係で没落しかけていた斎森家に資金援助の金を出し、澄美を真一に嫁がせるように斎森家の先代を唆した。
このような策を仕組んだのも、薄刃家の結婚相手は親族のみという掟があったため他家の血筋が入れば夢見の異能者は生まれないだろうという思惑があったからではないかと思われる。
澄美は薄刃家を守るため縁談を承諾し(作中の澄美の過去の描写から判断する限り、澄美は薄刃家の没落に帝が関わっていることを察している様子がある)斎森家に嫁ぎ美世を生んだ。だが、美世に夢見の異能があると知ると、悪意ある人々や帝室関係者に狙われる可能性を危惧し、密かに美世の異能を封じた。真一には美世の異能のことを明かしたが、愛してもいない妻の言葉など信じられないと思ったのか聞き入れられることはなかった。更に美世に見鬼の才が無かったことから美世には異能が無いと思い込み(薄刃の異能者に見鬼の才がないのは普通のことだが、真一はそれすら知らなかった様子)長年にわたり美世が虐げられる遠因を作ることになった。