概要
物語開始時点では既に故人。
旧姓は「薄刃澄美(うすば すみ)」。
政略結婚により斎森家に嫁ぎ、娘・美世を生んだ数年後に病没している。
彼女の所持品もほとんどが香乃子によって処分されている。
美世もほとんど顔を憶えていないが、久堂家に嫁いだあたりから彼女が見る夢の中に時折現れるようになる。
人物
美世と容姿のよく似た、癖のない長い黒髪の清楚な雰囲気の美人。
目元にほくろのある美世と違い、口元にほくろがある。
夫である真一とは結婚の経緯に加え、彼が当時交際していた斎森香乃子を押しのける形で嫁入りしたため愛情が芽生えることはなかったものの、妻としての義務は果たし、娘の美世の幸せを願い死の間際まで愛情を注いで育てた。
生前は桜柄の着物をよく着ていたようで、美世はすずしま屋で見た似た柄の着物を見て澄美を思い出していた。
アニメ版では、結婚前から身体が弱かったらしい描写がある。
関連タグ
わたしの幸せな結婚 斎森美世 鶴木義浪 甘水直 斎森家 薄刃家
薄刃澄美←表記ゆれ
素性(小説版2巻以降のネタバレを含みます)
澄美の実家は薄刃家。
弱いながらも精神感応の異能を持っていた。
鶴木新は父方の甥、新の父親は澄美の兄か弟にあたる。
新によると、夢見の力を持つ異能者は力の強弱問わず精神感応の異能を持つ母親からしか生まれないため、澄美は幼い頃から過度な期待をかけられて育った。
美世の祖父で澄美の父親である鶴木義浪は夢見の異能者が生まれる確率を少しでも上げようと一族の遠縁にあたる男と結婚させようとしたという。
しかし、実家が経営している貿易会社「鶴木貿易」の経営が傾き、縁談どころではなくなってしまった。その時に斎森家からの資金援助が提案されたが、薄刃の血筋を渡したくない一族は縁談に反対した。だが、澄美は「家を守る為」と周囲の反対を押し切って強引に縁談を承諾、斎森家に嫁いでいった。
その後、娘の美世が生まれたが、夢見の異能があることが判明する。澄美は夢見の異能を悪意ある人々に利用されないよう、澄美の手によって異能を封じた。
娘の異能のことは真一にも明かし、美世のことを託そうとしたものの、愛してもいない妻と眉唾物の異能の話など信用できない彼には聞き入れてはもらえず、自身の死後に美世が10数年にわたり厳しい環境で育つことを阻止することはできなかった。
だが、夢見の力を封じたこと自体は正しく、仮に封じていなければ美世は久堂清霞と縁づくことはなく、また本編以上に狡猾で手段を選ばないような連中や帝に目を付けられていたであろうことが予想できる。
作中の時間軸から数年前の時点で、甘水直は美世が斎森家に虐げられていたことを既に把握していた。諸事情から甘水が美世を助けることは無かったが、彼としては適当な理由を付けて美世を斎森家から連れ出すか、更には手段を選ばない方法として美世を連れ出した後は一族全員を滅亡させることも出来た。つまり、場合によっては斎森家の人々だけでなく一族に連なる親類縁者にも何らかの累が及んでいた可能性があったと言える。
美世の異能の封印について、どこまで澄美が意図していたかは不明だが、結果だけ言えば美世だけでなく斎森家の人々も守ったとも言える。
死後は斎森家の墓地(オクツキ)に葬られている。
美世は清霞との婚礼直前に、母の墓参りを清霞と義浪と共に行っている。(小説版7巻)
薄刃家時代の澄美について(以下、小説版4巻以降のネタバレ含みます)
異能心教の祖師・甘水直の元婚約者候補であり、もともとは薄刃家の分家である甘水家に嫁ぐ予定だった。
甘水とは斎森家に嫁ぐ前から交流があったらしく、美世の見た夢の中では10代頃の様子が映し出され、二人が想いあっていると思われる様子が描かれている。(小説版4巻)
ある時、美世が見た夢の中では若かりし頃の甘水と澄美が、薄刃家が落ちぶれていく様を不安げに語らっている様子が分かる。
(この時、澄美は薄刃家が没落していく原因が帝の一族にあることを薄々察している節がある)
甘水から自分が何とかすると励まされている。
(その方法があまりにも乱暴な方法だったことから)澄美は甘水を「乱暴はいけない」と窘めている様子も見られた。(小説版5巻)
無実の罪で投獄された清霞を救うため、美世は薄刃家を訪れる。その際、義浪から澄美と甘水の過去を聞かされる。
澄美の性格は明るく、やや世話焼きなところのある娘だったという。幼い頃から手がつけられないほどの乱暴者で、更に強力な異能に目覚めたことで誰の手にも負えなくなった甘水に対し、澄美は恐れ知らずにも彼に近寄って世話を焼いた。初めは鬱陶しがっていた甘水も、親身になって心配し、時には厳しく叱る澄美に心を開き、依存していった。澄美と甘水は、まるで姫君と臣下のごとき主従か、飼い主と忠犬かと思うような関係になっていたという。
甘水がすっかり大人しくなった頃、薄刃家の家業である鶴木貿易の経営が傾いてしまう。帝から情報を吹き込まれた斎森家が薄刃家に対し、資金援助と引き換えに澄美と真一の縁談を打診してきた。薄刃家の人々は縁談に反対、斎森家の援助を受けずに家業を立て直そうと奔走したが悉く失敗、為す術も無くなり、遂に澄美は周囲の反対を押し切って薄刃家を守る為と斎森家に嫁いだ。
澄美の縁談に甘水は納得せず、すべてを蹴散らして離反した。
以来、薄刃家にも対異特務小隊にも甘水の足取りは長年掴めずにいた。(小説版7巻)