CV:八木侑紀(公式PV・朗読劇)、佐倉綾音(TVアニメ) / 演:髙石あかり
概要
「同じ斎森の娘として恥ずかしくないのかしら?」
『わたしの幸せな結婚』の登場人物。
主人公・斎森美世の異母妹で、両親と共に姉を出来損ないとして見下し使用人同然にこき使っていたが、彼女から婚約者を奪ったことで後々自らを追い詰めていくことになる。
人物
斎森家当主・斎森真一とその後妻・斎森香乃子の娘として生まれ、美世とは異なる癖のある色素の薄い髪と母親譲りの麗しい可憐な容姿持つ。年齢は19歳の美世の3歳下と語られているため、16歳頃だと思われる。美世とは対照的に見鬼の才を持ち、器量も要領も良く、まさに令嬢といった佇まいと雰囲気をしているが、両親から溺愛されて育ったせいで甘ったれで我が儘な性格、他人の気持ちや立場を思い遣れない無神経な言動が目立つ。落ちぶれてはいるが名家の令嬢として育ったせいか年齢の割に世間知らずな一面もある。
利己的な性格が人一倍強く、母と同じく贅沢好きで着物の柄が派手な物を好む。
香乃子と共に二人がかりで幼少期から美世を虐めているため、美世にとってはトラウマで居合わせた時でさえ怯えるほどだった。常に香乃子と一緒に口を揃えて美世を嘲っていた。
作中ので嫌がらせ(判明している限り)
- 容赦無く熱い茶をぶちまけて文句を言う
- 漫画版・アニメ・実写映画版では顔にかけている
- 美世を貶める内容の暴言を吐く
- 両親から受ける溺愛ぶりを美世に見せびらかして嘲笑う
- 実写版では幸次と婚約後に当時豪華な品である洋装のドレスを纏い、真一から与えられた貧相な出で立ちで久堂家に嫁入りする美世に対し競うが如く見せびらかすなど
- 元々持っていた実母の形見や高価な品々は取り上げられるか壊す
- 装飾品のいくつかは香耶と香乃子が盗ったと読み取れる
- 母と共に薄刃澄美の遺品の形見や着物を美世の目の前で燃やす
父・真一から仕込まれた術を使用することが出来る(小さな紙で式を作り、視覚を共有させる。それ以外の術を使用できるかは不明)が、女性で任務に関わることが無い為異能の訓練をあまり熱心には学んでいない。
※作中の世界における前提として女性の場合は見鬼の才さえあれば良いとされ、術を使えることまではさほど求められないという風潮があるのも理由(小説版7巻より)
久堂清霞曰く香耶の異能はさほど強力なものではないとされ(見鬼の才以外の異能が無いためと思われる)国の任務を果たせるような実力は無いと評されている(ただし、香耶が将来強力な異能を持った子を産むことがあれば再興の可能性はあるとのこと)
斎森家を継ぐために父親の意向で古くからの幼馴染みである辰石幸次と婚約。
その婚約自体が後述するように美世への嫌がらせの一つであるため、幸次に対して好意も尊敬の念もない。そのせいか幸次のことをうっすら見下しており「気が利かない」等と内心悪態をついたり、どこか舐めた態度で接するなど常に蔑ろにしている。
また彼の父親である辰石実とは頼りない幸次への不満や斎森家の話など交わすほどの関係であったが、実にとっては斎森家の人々の情報と美世の状況を知るための手口として利用されたに過ぎなかった。
常に上であることを教育されてきた過去
幼少期より母・香乃子から「あなたは決して、あれ(美世)と同じになってはいけないのよ」と繰り返し半ば呪いのように言い聞かされ、また如何に美世が無能であるか等を母親からわざわざ説明され、戒められた為、常に美世より上であるように求められ育つ。少々の失敗さえも許されない厳しい教育の中でさえ「自分は美世より上にいて当然」と思っており、美世の持っているものは自分も持っていなければいけない、それ以上でなければいけないと考えている(その歪んだ思考故に好意を持っていない幸次との婚約を受け入れていると言える)
以上の経緯で姉である美世に対して態度こそ慇懃だが常に見下したような言動が多い。(これは間違いなく香乃子の感情を植え付けらた影響である。)
作中での動向
幼いころから香乃子と共に母娘揃って美世にひどい仕打ちをするなど、日常的に長きに渡って虐待する。
厄介払いとして美世を久堂家に嫁がせる名目で追い出すのと、美世を傷つけるために幸次と婚約するも、美世にしたひどい仕打ちを許せないでいる幸次とはあまり上手くいっていないことに内心苛立っており、憤りを募らせていた。
※この婚約は美世への優越感と嫌がらせが主な目的であり、香耶は元から幸次に対して好意どころか尊敬の念すら抱いていない。また、上記の経緯から幸次も香耶に対して好意を持つどころか嫌悪感を抱いているので、二人が仲良く出来ないのも当然と言える。
そんな中、たまたま幸次と買い物に出かけた際、美世と偶然再会し、いつものように美世を「みすぼらしい恰好でうろついて」、「どこぞと野垂れ死んでいると思ってたのに」と口汚く貶すが、幸次に窘めらてもなお止めず、更には「久堂家から追い出されたなら使用人として斎森家に出戻りしてもいい」とか「金銭的に困ったなら地べたに這いつくばって必死にお願するなら貸してやってもいい」などと(美世が久堂家で上手くやっている訳がない、という思い込みと自身と幸次の不仲の八つ当たりもあると思われる)傲慢な発言を美世に浴びせかけていたところ、後から合流したゆり江に対し「(美世が久堂家で使用人として扱われていると決めつけた上で)おねえさまの同僚ですか?」と質問する。するとゆり江はあっさり否定して「美世は使用人の同僚ではなく旦那様の妻になる方」と紹介され内心驚く。
※ゆり江の性格上やんわりと接しているが、香耶の発言は「久堂家は嫁いできた女性を妻ではなく使用人扱いする家か?」と聞いているようなもので美世だけでなく久堂家も侮辱しているも同然の大変失礼極まりない発言であった。
後日、異能を用いて美世の動向を探ると、久堂家から追い出されるどころか婚約者から贈られたらしい上質な着物や小物を身に付け、良家の娘らしく美しく変貌した美世を見て愕然とする。更に、清霞と恋人のように仲睦まじく過ごしている様子が分かると(幸次と上手くいってない自身との差を見せつけられてプライドを傷つけられたこともあり)美世への嫉妬と憎悪を募らせる。
破滅へと落ちる令嬢
薄刃の血欲しさに、何としても美世を長男の嫁に迎えるために策を講じていた幸次の父・辰石実は、香耶の嫉妬心につけ込んで彼女を利用するようになる(斎森家の内情を得ようと自宅に招く等)。
香耶も実の計画に乗る形で美世から清霞を奪うべく、幸次に美世と香耶の婚約者を交換する提案をし、更に父にかけ合うも、美世に興味のない真一は取り合うことなく、「家長(真一)の許しがないなら無理だ」として却下となる。
※当時の結婚は現代のように当人同士の意思ではなく家同士の結びつきを強めるという意味が強い。そのため、子の結婚相手は両家の親が協議して決めるので子の意思は無関係である。
それでもこの策は手荒な形で強行される。実の手の者が強引に攫ってきた美世を斎森家の蔵に閉じ込め、美世を斎森家に連れ戻すことに成功する。
※美世を連れ戻した時点で婚約者交換の件は父・真一の了承どころか久堂家に一切話を通してすらいない。完全に香乃子と香耶の独断行動であった。
実が清霞を足止めしている間に自分は母と共に二人掛かりで暴力に訴え、美世に清霞との婚約を破棄するよう迫る形で婚約者を取り換えようとした。
「お姉さまの口から聞かせて頂戴。縁談を断るって。」
「いい加減言いなさいよッ!!縁談を断るってっ!!」
「言え!早く!言えーっ!!!」(アニメ6話にて)
(アニメ版6話では身動きが取れない美世を前に鋏で脅す、断る美世に対し、着物の襟を切る、天井に吊す縄を刈り鋏で問答無用に切って床に叩き落とすなど香乃子同様美世を手酷く拷問する。しまいに抵抗し続ける美世に徐々に焦りを覚え、終いには躊躇なく首を絞めるといった凶行に走った。この時の怒りで爆発し我を忘れた香耶が激高しながら美世の首を絞めながら叫ぶ姿に視聴者にも恐怖を与えた。)
だが美世には悉く拒絶され、すんでのところで清霞が美世の救出に駆けつけたことで計画は破綻する。香乃子は怒り心頭の清霞に怯えるが、良くも悪くも世間知らずな香耶は(前述の生い立ちにより形成されたその歪んだ価値観から)間違いを正しただけと一点張りし、美世が如何に無能か、自身が如何に優れているか、そして美世より自分の方が久堂家の妻に相応しい女であることを必死に清霞に説こうと躍起になるが(漫画版では、他人の意見をそのまま言っているだけで香耶個人の意思がほとんど無いのに全く気づかないまま発言している)清霞には「傲慢な女」と一蹴され、自分の価値を全否定される形で突き放された。
清霞が去った後、実の愚挙によって火に包まれた斎森家で、自分の思い通りに行かないことに憤り、自暴自棄になって幸次の助けを拒むも、幸次から「(散々自分を苦しめた)香耶たちなんかでも、死ねば美世が悲しみ、心に傷を負ってしまう」と押し切られ、香乃子と共に半ば強制的に幸次によって斎森家から連れ出された。
実家は火事で焼失、両親は地方の別邸へ移り業界から退くことで斎森家は事実上の没落となった。
香耶は両親とは違う処分を与えられ「まだ若いから、少しは揉まれて世間を知った方がいい」という清霞の意向により、両親から引き離され特別厳格と有名な家に女中奉公に出された。
(この時点で香耶と幸次の婚約は白紙になっておらず、幸次はまだ斎森家次期当主の立場となっている。清霞曰く「(幸次の)成長次第では、斎森家の再興もありうる」とのこと)
(アニメ版7話では、辛うじて焼け残った身の回りの品をまとめ、誰の見送りも付添も無く、独り奉公先へ向かう香耶の姿が描写されている)
余談
(母親・香乃子の歪んだ教育のせいで)姉の美世に対して見下した言動を平気で取る等、可憐な見た目とは裏腹に性格には難ありまくりで登場時には読者も腹が立つ程の性悪娘だが、ストーリーを読み進めると彼女もまた家や両親の思惑に振り回された美世とは違う意味での気の毒な娘でもある。
香乃子は澄美への恨みから美世に辛く当たったが、香耶の場合は香乃子に引きずられる形で美世を貶していたこと(幼い香耶が美世が一人掃除をするところを見て疑問に思った描写がある)、真一も香耶を甘やかすだけで父としての威厳が無い上にどこか侮られていることから、香耶が更正するとしたら親との関係を見直すことが鍵となると思われる。
よって、上記の経緯から香耶は本当の意味で親からの愛情を受けていないのではと一部の読者からは考察されている。
元々、清霞の婚約者となるのは香耶だったのではないかと清霞は推測していた(小説版1巻)
補足として、久堂家側は香耶の存在を知った後で斎森家のことを調べ、美世の存在も把握していた。縁談相手は美世か香耶、どちらとも解釈出来るように曖昧な表現で縁談を人伝に持ち込んだこと、そしてどちらがやってくるかはある意味賭けのようなものだったと小説版3巻の久堂正清の発言で明らかになっている。だが、過去の経緯から我儘な女性にうんざりしていた清霞と香耶の甘ったれで我儘な性格が合うとは思えない為もし香耶が清霞の元に来ていたとしても、過去の婚約者候補と同じく破談になったと思われる。
婚約者の幸次に対しては、好意も尊敬の念もなく「気が利かない」等と内心悪態をついて見下しており、また幸次が以前より美世に懸想していたことも察していた。
更に(辰石実に唆されたのが前提としてはあるが)姉と自身の婚約者を交換するという、幸次や美世だけでなく、清霞や久堂家をも侮辱するような失礼な行動を平気で取るなど、名家の子女の自覚の無さがうかがえた。
上記のことからも他人の気持ちや立場を考慮しない傲慢な性格や言動が目立つため、甘やかすだけの両親の元から香耶を強制的に引き離し、特別厳格と有名な家に奉公に出した清霞の対処はある意味正しいと言えるだろう。
現状では香耶と幸次の婚約は継続しているが、本当に二人が結婚するかどうかは現時点では明確にされていない。
小説版1巻内では(美世が療養中に奉公先へ向かわされたこともあり)美世に対し謝罪も反省もすることは無かった。
原作2巻、漫画版4巻では美世の前でプレッシャーを感じる美世の幻覚として現れることから、如何に香耶の存在が美世の強烈なトラウマになっているかがうかがえた。
その後について
小説版7巻にて無事祝言を上げた清霞と美世。
祝言後、美世宛てに手紙を一通執筆をし、幸次を介してその後美世に渡されている。彼女の今までの行いから、手紙を寄こしたことに美世自身驚いていた。
手紙の内容に関しては「自分のほうが平穏で、満足な、何倍もましな暮らしをしている」とあいかわらずの意地っ張りな面を強調する内容だった。
(※香耶が手紙を寄越した理由について具体的な言及は無いが、奉公先に言われて書かされた可能性は低い。もし奉公先の指示によるものならばあの内容では到底出せないものであるし、手紙を幸次を介して渡そうとしているところから考えると、香耶自身の意思で手紙を出した思われる)
美世は「刺々しいけれど、やけに楽しそうなお手紙」と好意的に受け止められ、自然と笑みが浮かんでいた。
また、今までの香耶にあったいやらしさや歪みがないとも感じられていた。
美世は「(手紙を読んだ印象から)たぶん元気に日々を満喫しているのだろう」「たった一年でも、人は少しは変われますから」と香耶には香耶の苦しみがあったのだろうと彼女の心境を思い遣る描写があった。
しかし、美世は一生かかっても、香耶のしたことを笑って許す気になれるかわからないと複雑な思いを抱いていた。
作中では、香耶の心境について明確な言及は無いが、奉公先での生活を経て何らかの変化があった可能性が示唆されている。
関連タグ
花梨(鬼の花嫁)作品の登場人物でこちらも姉妹関係が共通点ががある。