久堂清霞

くどうきよか

小説『わたしの幸せな結婚』の登場人物。主人公・斎森美世の婚約者。

CV：石川界人 / 演：目黒蓮(SnowMan)

概要

名家・久堂家の当主を務める青年。27歳。

平時は帝国陸軍の対異特務小隊にて隊長を務めており、階級は少佐。

世間では当代最強の異能者として恐れられており、作中で判明している限りでは雷の異能と念動力を使用する描写がある。

原作者のＸによると「厳密に言うと異能は三つある」とのこと。

周囲には冷酷無慈悲と恐れられ、数多の婚約者候補と（後述の理由により）破談続きとなってしまい長く独り身の状態が続いていた。そんな日々が続いた頃、政略結婚という建前のもと事実上実家を放逐された斎森美世を婚約者として受け入れたことで、少しずつ変化が生じていく。

人物

色素の薄い長髪と、整った容姿を持つ美男子。その美貌は街中を歩けば娘達からの視線を独り占めするほど。

しかし、贅沢好きで高慢な性格の母・芙由という悪い見本をずっと見てきたせいで「名家の女性」に対し良いイメージを持つことができず、加えて寄ってくるのは自身の容姿や久堂家の財産・家格狙いの浅慮な人々ばかりであり、そういった人付き合いを避けるため立派な久堂家本邸ではなく（本邸にいたら、清霞狙いの女性達に秋波を送られてしまうから）質素な別邸で一人暮らし（久堂家所有の別邸ではなく、大学卒業後に清霞の私財を投じて建てたもの）使用人はゆり江など古くから仕える者のみに絞るという生活を送っていた。

そんな息子を案じる父・正清が何度も縁談を持ち込み一応は応じてきたが、送られてくる婚約者候補は清霞から見て以ての外と言うような不適格者ばかりで全て破談となっていた。

(判明している限りの歴代婚約者候補の言動)

• 住んでいる家を質素だと嫌悪して入ることすらせず帰った
• こんな小屋に何故住んでいるのかと怒り出す
• 清霞にひたすら媚を売る
• 裏でゆり江を虐める
• 食事が気に入らない部屋を変えろと我儘を言う

そもそも清霞が冷酷無慈悲と呼ばれるようになったのは、破談にされた一部の婚約者候補が逆恨みからでたらめな噂を流した(清霞の姉・葉月談)のが原因の一つである。

プライベートで普通に接することができるのは家族、使用人、昔から贔屓にしている商家、軍関係者、皇族の堯人など、ごく一部に限られる。

小説版1巻

美世との出会い

いつものように父親が持ち込んだ縁談でやって来た娘・斎森美世に対しても、上記の経緯から警戒して当初は素っ気ない態度を取っていたが、何も求めない、何も拒まない、自身の我儘も要望も主張しない等今までの婚約者候補達とは全く異なるタイプに内心戸惑う。

美世の過去、生い立ちを知る

更に美世の作った料理を褒めたことが切っ掛けで、これまでの美世の言動が良家の令嬢らしくないこと（挨拶の時に着ていた着物以外の普段着が古過ぎること、持参した美世の私物が少ない上に粗末過ぎること、良家の娘らしからぬ手荒れが目立つこと、等）に疑問を抱き、密かに斎森家の内情を調べさせる。その結果、美世が斎森家で受けてきた虐待の数々や内情、美世の母親の実家について、更に美世が異能を持たないことを知る。

(歴代の婚約者候補達も皆が異能者ではなかったことや、そもそも清霞自身が相手の異能の有無について一切気にしていなかったので特に驚くことはなかった)

美世の過去を知り、単身斎森家を訪問した清霞は、美世の父親・真一に対して「両家の婚姻は政略結婚であり双方に何らかの益をもたらすのが前提としてあるが、久堂家としては斎森家に利益をもたらすのは不満がある(意訳)」ことと近い将来美世と結婚するつもりでいることを伝えた上で「斎森家が美世にした仕打ちを把握している事」を伝える。更に「美世への虐待について誠心誠意の謝罪をする事」を要求、その見返りとして結納金を増額する旨を発言した(斎森家は異能者の家としては落ち目で金銭的にも困窮していたことを前述の調査で把握していた為、斎森家側としては何が何でも貰える物は貰っておきたいはず、という清霞側の打算もあっての発言だった)

それを聞いた真一は明確な返答をしなかったが、清霞は｢長くは待てない｣と釘を刺した。

美世の危機、救出

ゆり江と一緒に外出していた美世が一瞬の隙を突かれる形で拉致され、斎森家に監禁されたことを辰石幸次から聞かされた時は、静かに怒りを爆発させ幸次を怯えさせる。

幸次の案内で斎森家に到着し、(斎森家側から久堂家側に対して破談にする旨の事前の相談等は一切無かった)美世を攫われた怒りから異能で斎森家の門を破壊する。騒ぎを聞きつけ、異能における実戦経験のある斎森真一、辰石実が二人掛かりで(漫画版・アニメ版では呪符のような道具を使用し、異能の力を増幅した状態で)清霞を止めようとしたが、一切歯が立たなかった。

更に、薄刃家の血を清霞に渡すまいと追いすがった実が、息子の幸次や斎森家の屋敷もろとも清霞を異能の業火で焼き払おうとするが、それも清霞は事無げに一蹴する。(この際に実が使用した異能が原因で斎森家は火災に見舞われることになった)

(小説版1巻にはないシーンで漫画版の15話にて、清霞が真一に対し「美世に父親としての愛情をお持ちなのか」と詰問した。真一の回答は薄刃家の血を引く美世の存在そのものを嫌悪、更に父親としてあまりにも非道な回答だった。その発言が清霞の逆鱗に触れたため、斎森家は後述の処遇に繋がったと思われる)

美世が監禁されていた蔵に幸次と共に到着した時、清霞が目にしたのは、香乃子と香耶により身体を拘束された上で激しい暴行を受け、全身傷だらけになった美世の姿だった。そして清霞に対し、助けに来てくれた御礼と自身の口から(何をされても清霞の婚約者の立場は譲らないと拒否し続けた)香乃子と香耶と戦い抜いたことを伝え、間もなく気絶した美世を見て二人に

｢……こんなふうになるまで、何をした｣

｢無抵抗の人間にこれほどの傷を負わせてまで、何をさせようとした｣

と激しい怒りを向ける。

香乃子は清霞の怒りに恐れをなしたが、香耶は世間知らずの娘だった故か自らの暴挙を棚に上げて「姉より自分の方が優れている」という幼稚で見苦しい言い訳を繰り返した。年齢や出自の割に考え方も性格も幼稚な香耶に怒りと呆れ、そしてそうなった境遇に若干の同情を覚えながらも、

｢お前のくだらん自慢は、もうたくさんだ。顔だの、才能だの、どうでもいい。

私がお前のような傲慢な女を選ぶことなど、天地がひっくり返ってもありえん。どけ｣

と冷たく言い放ち、美世を抱えて火に包まれた斎森家から去って行った。

美世の過去を清算

美世が目を覚ますまでの間、斎森家と辰石家の処遇については清霞の手によりまるで重罪人相手のごとく厳しい、脅迫まがいの交渉で決められた。

※美世には斎森家の人々の行き先を告げたのみで、上記の経緯は伏せられている。

• 斎森家について

屋敷が焼失したことで使用人の大半を解雇し、真一と香乃子は地方の別邸に移ることになった。(清霞曰く)これまでとは比べ物にならない貧しいくらしになり、これを機に斎森家は業界から退くことで事実上の没落となることが示唆されている。

香耶は両親には付いていかず(見鬼の才があるが、拙い術を使える以外に異能は無いので外部に預けても危険は無いと判断した上で)「まだ若いから、少しは揉まれて世間を知った方がいいだろう」と特別厳格で有名な家に奉公に出された。

• 辰石家について

辰石実が引き起こした騒動は公になっていないので彼が法的に裁かれることはないが、一連の騒動の責任を取り当主の座を長男の一志に譲り、久堂家の監督の下での行動制限を受け入れ、事実上辰石家は久堂家の麾下になった。

次男の幸次は旧都で異能者として修行に出ることになった。

(清霞の計らいによるものかどうかは現時点では不明)

この時点で香耶と幸次の婚約は白紙にはされず、現在も継続中である。

美世と正式に婚約

こうして美世の実家との確執、過去を断ち切り、改めて二人は正式な婚約を結び、結婚までの準備に向けて歩んでいくことになる。

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