概要
時は1930年後半。オグデン-ワサッチ間に存在する11.4‰の勾配を3300tの貨物列車を牽いて乗り越えるためには、重連運転、または補機運転が必須であった。しかし、このような運転方法ははっきり言って好ましくない。機関車の付け替えに時間を使う上、機関車の人件費も二倍になるのである。そのためUnion Pacific鉄道は一両で重連と同じ列車を牽ける高速で強力な機関車を求めた。新型機関車の設計には同社の高速貨物機として成功を収めた3900形が参考にされ、火室面積を14m2に拡大し、動軸を2軸追加し、ボイラー圧力を21MPaに増強することで、牽引力を39%増大した。かくしてUP4000形は設計・製造され、目論見通り重連を解消するに至った。しかし、ただでさえ大きい3900形をさらに拡大したとあって、やはりその設計には無理があった。その最たるものがボイラーである。高圧に耐えうるよう設計された巨大なボイラーは非常に重く、重心を上げる要因となっていたため、やむを得ずボイラーの水面を下げた結果、煙管の取り付け面積が減少し、通風力・蒸発量の低下を招いた。このためか、二本煙突としたり、後に加熱器が抵抗の大きいE式からA式に切り替えられて製造されたりしている。それでもボイラー効率は悪かったが、使用する石炭が安価なワイオミング州産の低質炭であること、人件費が削減されていることから、経済的には全く問題がなくむしろ良好だった。