内容
ある村の羊飼いの少年が羊の番に飽き、村人達に悪戯をしかけることに始まる物語。
「オオカミがきた」と大声で触れまわり、その声に慌てて駆けつける大人たちを見ては喜んでいた。
そんなことを何度か繰り返した結果、やがて少年の声に村人たちは見向きもしなくなった。
そしてある日本当にオオカミがやってきて、少年はそれに驚いて大声で叫ぶものの、
これまでの少年の行いにさんざん振り回された村人たちはその声を
「今回もいつもの嘘なのだろう」と無視し、助けに向かうものは誰もいなかった。
結果、だれにも助けてもらうことができず、
少年の羊はオオカミに食べられてしまうのである。
教訓
嘘をつき、他者に不誠実な姿勢であると、遠からずその信頼を失い、
真に助けを必要とするときに誰からも信じてもらえなくなる。
ましてや他者の真心を弄んで笑おうなどとすれば、必ずその身に報いは還ってくるものである。
日ごろから他者に対して正直で、誠実であることが大切である。
食べられたのは…?
原典では、羊は食べられても羊飼いの少年が食べられることはない。
しかし訳によっては少年が食べられてしまうストーリーも複数ある。
こちらは原典を元にした一種の創作であるともいえる。
解釈の多様性
寓話は、複数の解釈が可能である。それは、本ストーリーにおいてもあてはまる。
前述の「教訓」もまた、解釈の一形態である。この解釈の形態が創作の幹ともなる。
例えば「少年が嘘をついた動機」などの少年の内面によりスポットをあてたものや、
少年の「嘘」に振り回された村人たちの心情など、方向性は多様である。