かつて、ある若者が皆と同じこの学び舎にいた。
城の廊下を歩き、この屋根の下で眠り、傍目には他の生徒となんら変わらなかった。
曖昧さ回避
トム・リドルという名前の人物は二人存在する。
- トム・マールヴォロ・リドル。本記事にて解説。
- トム・リドル・シニア。1.の父親。
概要
『ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。魔法使いの男性。ハリー・ポッターの50年前にホグワーツ魔法魔術学校に在学していた。
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』にて「リドルの日記」に宿る「記憶」としてハリーの前に現れ、彼に50年前のホグワーツで起きた「秘密の部屋」事件の記憶を見せる。
そこでハリーは、当時の事件でマグル生まれの女子生徒が「スリザリンの怪物」に襲われて死亡したこと、当時3年生だったルビウス・ハグリッドがリドルに犯人として告発され、退学処分を受けたことを知る。
1943年の「秘密の部屋」事件の時点で5年生で、16歳。
プロフィール
Name | Tom Marvolo Riddle
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誕生 | 1926年 12月31日 |
学校 | ホグワーツ魔法魔術学校 🟢スリザリン寮 |
在学中の地位など | |
映画版演者 |
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映画版吹替 | |
ゲームEA版CV | えなりかずき |
容姿
色白の肌に黒い髪、黒い瞳。背の高い美男子。細面で、どこかハリー・ポッターと雰囲気が似ている。
映画2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』ではクリスチャン・コールソンが演じた。パーマのかかった前髪を流している。
映画6作目『ハリー・ポッターと謎のプリンス』ではフランク・ディレインが演じた。こちらも前髪を流しているが、髪質はストレートに近い。
ファンアートではストレートに近い黒髪で、流し切らず目元に垂らしたヘアスタイルで描かれることが多い。
人物・能力
ホグワーツ在学時は優れた頭脳と才能の持ち主として知られた。当時から教授を務めていたアルバス・ダンブルドアに「ホグワーツ始まって以来の秀才」と評されるほど。ダンブルドアによれば受けた試験は全てトップだったとされる。
5年生(1942年)の時には監督生、7年生(1944年)の時には首席に選ばれている。成績優秀かつ品行方正な模範生として、当時の校長アーマンド・ディペットを含めた教師陣からの信頼は絶大だった。
関連イラスト
【警告】これより先、この男の正体が記載されているため閲覧には注意されたし
真相【ネタバレ注意】
真の姿
「ヴォルデモートは…僕の過去であり、現在であり、未来なのだ。」
TOM MARVOLO RIDDLE(トム・マールヴォロ・リドル)
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I AM LORD VOLDEMORT(俺様はヴォルデモート卿だ)
ハリー「君が…スリザリンの継承者…」
「その通り…この僕が穢らわしいマグルの父親の名前をいつまでも使うと思うか?…ノーだ。自分で新しい名を付けた、僕が最も偉大な魔法使いになった時、皆が口にすることを恐れるであろう名前を!」
その正体は、「秘密の部屋」事件の真犯人「スリザリンの継承者」、そして、ハリー・ポッターの両親を殺した宿敵闇の帝王ヴォルデモート卿の若かりし頃の姿である。
ファーストネームは父トム・リドル・シニア、ミドルネームは母方の祖父マールヴォロ・ゴーントに由来する。
しかし、幼少期から「トム」という「平凡な名前」が好きではなかったことに加え、後に自身の出生を知るとマグルの父親と同じ「トム・リドル」という名前を嫌悪した。そこで自分の名前の綴りを並べ替えて、ヴォルデモート卿と名乗るようになる。本人によれば、この名前は学生時代から密かに使い始めていた。
"I am"はキリスト教の聖書を思わせる言い回しであり、"Lord"は「卿」だけでなく「帝王」や「主」、そして「神」という意味合いがある。"Voldemort"はフランス語で「死の飛翔」や「死の窃盗」という意味。
また、"Dark Lord"とも呼ばれることになった。これは「闇の帝王」と訳されているが、「魔王」や「冥王」、「暗黒卿」などとも訳すことができる。
母方の血筋であるゴーント家は、ホグワーツ創設者のひとりサラザール・スリザリンの末裔である。また、本人は知らなかったが、実はペベレル三兄弟の次男で「蘇りの石」と関連するカドマス・ペベレルの末裔でもある。
純血主義である彼にとって、非魔法族との混血(半純血)である自分の出自、父親と瓜二つの容姿は強烈なコンプレックスである。
プロフィール(完全版)
Name | Voldemort
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名前の意味 |
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異名 |
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杖 |
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主な血縁者 |
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蛇 |
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配下 | 死喰い人(Death Eaters) |
象徴 | 闇の印(Dark Mark) |
ボガート | 死(自分の屍) |
誕生 | 1926年 12月31日 |
死亡 | 1998年 5月2日(享年71歳) |
学校 | ホグワーツ魔法魔術学校 🟢スリザリン寮 |
在学中の地位など | |
映画版演者 |
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映画版吹替 |
変貌
本来は黒眼だが、ヘプシバ・スミスと接触するころ(少なくとも2つの分霊箱を作成済みの時期)には、感情の高ぶりに伴い赤い光が走るように。のちに瞳は常時真紅、瞳孔は蛇のように縦に割れる。
これらは分霊箱を複数作成する過程で起きた変化。最終的には頭髪や鼻の無い、青白い肌の怪異な姿となった。
来歴
生い立ちの詳細、ボージン・アンド・バークス失踪後の動向については「ヴォルデモート」の記事を参照。
幼少期
1926年12月31日、ロンドンのマグルの孤児院で、スリザリンの末裔でありながら貧窮したゴーント家の娘メローピー・ゴーントから誕生。
メローピーは彼の誕生後、「トム・マールヴォロ」と名前をつけた後に死亡。
「母に見捨てられた」と感じていたトムは、「愛」を信じられないまま成長する。
孤児院の職員たちはトムの母親についても、魔法についてもまったく知識がなかった(そのうちの一人であったミセス・コールはメローピーをサーカス団員だと思っていた)。
当然、リドルも両親について何も知らなかったが、自身に特別な「力」があることは自覚していた。同年代の魔法族の子たちより早く自分の能力(魔力)に目覚めていたトムは、その力を他人を虐げ支配するために行使する。気に入らないことがあると他の孤児やそのペットを傷つける、物を盗んで「戦利品」として自分の部屋のタンスに隠したりするなど、暴力性を示していた。
もっとも、「家族を知らない孤児」「事務的な養育環境での集団生活」「自分の特別な力を理解されない」という環境は、相当に彼にとってストレスであった可能性は高い。後にアルバス・ダンブルドアが訪問してきた際、トムは「あなたはドクターなのか?」と強い不信感を示していた。つまりトムが当時、周囲の大人から精神異常者として扱われていたということである。トムの暴力性は生来のものであると同時に、育ちの環境も影響しているのかもしれない。
学生時代
《優等生とその裏の顔》
1938年の夏、11歳になったリドルは孤児院を訪れたアルバス・ダンブルドアから自身が魔法使いであることを知らされる。
トムはホグワーツ魔法魔術学校に入学し、スリザリン寮に組み分けされた。
トムは自身が魔法使いである理由について、この時点では父の才能を受け継いだものと考え、「死に屈したのだから、母は魔力の無い人間である」と思い込んでいた。
表面上は謙虚で成績優秀な模範生を演じており、その父親譲りの端正な容姿と孤児院育ちという不幸な境遇も相まって、教授陣からは絶対的な信頼と同情を集めた。特に当時のスリザリン寮監のホラス・スラグホーンのお気に入りだった。
しかしその実、当時ホグワーツで起こった数々の怪事件を裏で操っていた黒幕であった。蛇語をはじめとした自らの「力」を周囲の学生に示し、後に死喰い人となる者を取り巻きとして従え始めたのもこの頃である。上級生すら統率下に置いていたという。
教授で唯一、アルバス・ダンブルドアだけは、こうしたトムの闇の本性を見抜いていた。ダンブルドアは当時最大の敵であったゲラート・グリンデルバルドと戦いながらも、常にトムを監視下に置いていた。トムもダンブルドアを非常に警戒しており、ダンブルドアを魅了しようとはしなかった。
《自らの血筋を知り、名を改める》
トムは自らの出生を探し求めた。そして、ホグワーツの史料のどこにも「リドル」姓が無かったことから、「実際は母ではなく父がマグルであり、母は魔女であるにもかかわらず息子を育てられずに死んだ」という事実を受け入れざるを得なくなる。そして、今度はそれまで軽蔑していた母の素性を調べ、ミドルネームの「マールヴォロ」というヒントから「ゴーント」の家名を発見。母がサラザール・スリザリンの末裔であり、純血であったことを確信する。
このころ、仲間内で「ヴォルデモート卿」を名乗り始める。
《「秘密の部屋」の開放》
ある日「秘密の部屋」を探し当てたトムは、5年次(1943年)に計画を開始する。密かに「部屋」を開放すると、バジリスクを従える。そして、マグル生まれのレイブンクロー生のマートル・エリザベス・ワレンを殺害した。
同年6月13日、グリフィンドールの問題児であったルビウス・ハグリッドに濡れ衣を着せて退学に追い込み、自身は犯人を捕らえたとしてホグワーツ特別功労賞を授与された。
(当時のハグリッドは秘密裏にアクロマンチュラのアラゴグを飼育しており、スケープゴートとしてはまさにうってつけの相手だったのである。)
《リドル一家の殺害》
同年の夏休み、訪れたリトル・ハングルトン村のゴーント家のボロ屋で、伯父(トムの母メローピーの兄)のモーフィン・ゴーントと対面する。モーフィンの証言から「凡庸なマグル」の父が「魔法使いの中でも特別」だった母を棄てたことを知る。
トムはモーフィンを気絶させて彼の杖を拝借すると、その足でリドル邸に向かい、「母の復讐」および「自分に相応しくない血筋の抹殺」のため実父と父方の祖父母の三人を「死の呪文」で殺害した。
直後にトムはモーフィンの記憶を魔法で改ざんし、彼自身がリドル一家を殺害したと思い込ませ、その罪を着せた。かつてマグルに対して魔法で暴力を振るったためにアズカバンに3年服役した前科があったモーフィンは、修正された記憶をもとに自らの「犯行」を自慢げに認め、アズカバンでの終身刑を宣告された。後に獄死。
また、トムはゴーント家の家宝である指輪をモーフィンから奪い、ホグワーツで付けるようになった。
《分霊箱への探求》
この頃には既にホークラックス(分霊箱)の概要を知っていたトムは、6年時、親しい教師の一人であったホラス・スラグホーンに取り入って言葉巧みに「魂を二つ以上に分割した場合はどうなるのか」という質問をしている。
前述のマートルや実父殺害も、分霊箱作成の過程上の生贄として利用していた。
《主席に輝く》
トムは7年生(最終学年)になると、首席に選ばれた。
卒業の直前、トムは灰色のレディという名でよく知られたレイブンクローのゴースト、ヘレナ・レイブンクローをそそのかしてレイブンクローの髪飾りの場所を聞き出した。トムは髪飾りを新たな分霊箱にしようと考えていた。
卒業後
卒業後の進路が注目される中、トムは「闇の魔術に対する防衛術」の教授としてホグワーツに残ることを志願した。
ダンブルドアは「教師、恩師という立場から教え子に影響力を与えること」と「歴史あるホグワーツ校に秘された魔術の探求」が目的と考え、ディペット校長に対してトムに職を与えないよう進言し、ディペットもそれに従った。
教授職を拒否されたため、ホグワーツ卒業後は「夜の闇横丁」にある魔法道具の店ボージン・アンド・バークスに就職。
周囲からは「あんな優秀な生徒がただの店員とはもったいない」と残念がられたが、彼自身は「将来特別になる自分に相応しい、伝統と由緒ある魔法道具の探索と入手」を目的としていた。
そして自らの目的に相応しい魔法道具であるハッフルパフのカップとスリザリンのロケットを発見すると、その持ち主であったヘプジバ・スミスを殺害してそれらを強奪、その後約10年間に渡って行方を眩ませるのだった……。
似ている人物
《ハリー・ポッター》
マグルと純血の魔法使いの混血、高い能力、愛情に恵まれなかった幼少時代と、ハリーとは多くの共通項がある。
しかしながら二人を決定的に分けたものは「愛情のない結婚」による出生であったことだと作者は語っており、父親のトム・リドル・シニアがメローピーを捨てなければ、或いは母親のメローピーが捨てられたことに絶望し、生きることを放棄せずに愛を持って彼を育てていたならばヴォルデモートは生まれなかっただろう、とも述べている(ただし、前者の方は魔法で無理矢理心を奪われた被害者なので「常識で考えてそんなことはあり得ないが」というニュアンスを含んでいる)。
『ハリー・ポッターと呪いの子』ではドラコ・マルフォイがハリー・ポッターとの会話で「トム・リドルも孤独な子供だった。(中略)トム・リドルは闇から抜け出すことができなかった。その孤独がトム・リドルをヴォルデモート卿にしたんだ」と評している。
《セブルス・スネイプ》
両親が不仲、マグルと純血の魔法使いの混血、スリザリン寮に所属、魔法使いである母の血筋を重んじて本名とは別の名前を自称していたなど、彼が腹心として重用したセブルス・スネイプとも共通点が多い。
《バーテミウス・クラウチ・ジュニア》
腹心の一人であったバーテミウス・クラウチ・ジュニアとは、「父親と全く同じ名前を付けられた」「父の存在を受け入れることができず、最終的に自らの手で父親を殺した」「ホグワーツ在学中は首席級の秀才だった」「闇の魔術に対する防衛術の教職を志願した」「演技力に長けている」などの共通点が多い。
タグ付けの注意
「リドル」タグのみをトム・リドルを描いた作品に付けられることが多い。
しかし「リドル」と言うタグははハリポタ以外の作品でも多く使用されるため(特にツイステのリドル・ローズハート)、特定の意図や好みがなければ「トム・リドル」とフルネームのタグを付けることが検索に配慮した形となる。
「ヴォルデモート」だと彼が闇の帝王になった後の容姿の作品が出てくることが多い。
ミドルネームも入れた「トム・マールヴォロ・リドル」のタグも使われることがあるが、現状「トム・リドル」が多いのでそちらに合わせる方が都合が良い。