概要
1983年4月1日から1984年3月23日にかけて、テレビ東京とテレビ大阪で放映されたロボットアニメ。また、ほぼ同じ時期に、東海テレビ(フジテレビ系列局)、山陽放送、北海道放送、RKB毎日放送(これらはTBS系列局)などでも放送されている。
監督は高橋良輔。
高橋が『太陽の牙ダグラム』を経て作り上げ、ファンからは「リアルロボットアニメの頂点」とも呼ばれた人気作であり、TV放映が終わった後もOVAで続編、派生作品が制作された。
同様に続編が制作され続けている他のロボットアニメ作品とは異なり、外伝作品を除けば一貫してキリコ・キュービィーが主役を務め、「キリコの物語」として描かれ続けている作品である。
作品名のボトムズとは、泥水をすすり地べたを這いつくばりながらも戦い続けるキリコたちのような存在を象徴した単語であり、いわゆるガンダムのように作中にタイトルと同名のロボットが登場するわけでは無い。もっとも、これに関してはボトムズのみの個性ではなく、「コードギアスシリーズ」等にも当てはまるものである。
言ってしまえば、地獄のようなアストラギウス世界を意地汚くも逞しく生きる最低野郎(ボトムズ)ども全てがボトムズなのである。
市街を舞台に戦う「ウド編」、ベトナム戦争を彷彿とさせるジャングル戦が展開される「クメン編」、宇宙空間と砂塵吹く荒野で戦いを繰り広げる「サンサ編」、かつての『ダグラム』の如く砂漠が舞台となる「クエント編」など、戦いの舞台をクールごとに改めることで視聴者を飽きさせない工夫がなされている。
また主役メカに相当する「スコープドッグ」についても、すぐ乗り捨てられたり、カラーリングは違えど敵役も同じ機体を使っていたりと、やられメカのような扱いで、それまでのロボットアニメとは一線を画した演出がなされていた。
当時のロボットアニメの主人公メカといえば特別なパワーが込められた1点物か、リアル系であってもガンダムがそうであるように同時代の機体を凌駕するハイスペック機というのが通例であった中、敵も味方も汎用の量産品を次々と乗り継ぐという作風は非常に斬新であった。
「監督はそれしか考えていなかった」と噂されるほど秀逸な独特のテンポの次回予告など、特筆すべき点を数え上げればキリがない。
昭和の中でも有名なロボットアニメではあるが、『スーパーロボット大戦』への参戦には『第2次Z』を待たねばならなかった。
これはスポンサーがバンダイナムコグループのライバル会社であるタカラ(現・タカラトミー)である事と、メカニックが他のロボ作品と比べて全体的に貧弱である事などが原因と噂されてており、サンライズがバンダイナムコグループの傘下になって版権が緩和したと思われる(2000年代以降はバンダイビジュアルがOVAを発売)。
初代のプレイステーションソフトとしてバンダイから同名タイトルがリリースされ、その後プレイステーション2ソフトとして装甲騎兵ボトムズライトニングスラッシュなどがリリースされた。
ストーリー
アストラギウス銀河を真っ二つに分ける勢力、ギルガメスとバララントは原因も定かではない戦争を100年以上も続けていた。最初は局地戦が続いていたが、アーマードトルーパー(AT)の登場によって戦線は拡大し、両陣営の疲弊は極みに達しようとしていた。人々は疲れていた、疲れ切っていた。
そんな百年戦争の末期、一介のギルガメス兵士であるキリコ・キュービィーは味方の基地を攻撃するという不可解な作戦に参加させられる。そこでキリコは、己の運命を一変させる者を目撃する。
登場人物
※本項はTVシリーズを中心にしており、小説、OAVは別に記載。これはメカも同様である。
キリコ・キュービィー(CV:郷田ほづみ)
ジャン・ポール・ロッチナ(CV:銀河万丈)
アロン・シュミッテル(CV:野島昭生)
グラン・シュミッテル(CV:二又一成)
ヒロラム・カンジェルマン(CV:寺田誠)
メカニック
スコープドッグ(スコタコ) ブルーティッシュドッグ ストライクドッグ ラビドリードッグ ベルゼルガ ファッティー スタンディングトータス ダイビングビートル ツヴァーク
OVA
その他
チャイルド神の子篇……幻影編の後日談小説
外伝シリーズ
生身でATと戦う機甲猟兵「メロウリンク・アリティ」を主役にしたOVAシリーズ。
『ホビージャパン』で連載されたディオラマを絡めた小説作品。
百年戦争の末期、ギルガメスに誕生したAT部隊「コマンドフォークト」の物語。
装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE
『コードギアス反逆のルルーシュ』などを制作したスタッフによるアニメ作品。
負け役専門のバトリングファイター「アービン・レスター」の物語。
デュアルマガジン誌に連載され、その後刊行先を朝日ソノラマに移して完結した外伝作品。
原作ではウド編で触れられたに留まった世界観、特にバトリング関連の描写に多大なる影響を残した一方、後半の(超兵器化しているATなどに代表される)世界観を逸脱しているとも評される荒唐無稽な描写が賛否両論分かれている。
チャンピオンRED掲載。
ATを操縦する少女が主人公になっているなど掲載誌のカラーを反映している一方、上記「青の騎士」を思わせるハードな世界観を持つ作品となっている
世界観を共有しない「崖の底の地ボトムズ」を舞台とするスピンオフ作品。
ATに代わりAt(アルトロ)が登場する。
初期構想
初期構想は「ウォーリアーズ」と言う題名で、宇宙大戦終結後の戦後世界で元軍人によるロボットレスリングチームが巡業先でトラブルに巻き込まれ、試合をする一方でそのトラブルを解決すると言うストーリー構成の予定で、決定稿とは大幅に掛け離れた内容だった。
漫画版
のなかみのる版
『コミックボンボン』(講談社)1983年5月号~1984年4月号に連載。単行本収録の際に大幅な修正があったが、のなか氏曰く、漫画執筆作業の時点でアニメの相当回の設定や脚本の決定稿が届いていなかったり、色設定やキャラクターの詳細も不明なことが多かったとのこと。更に後の大都社版では全体的に作画修正され、アニメ本篇に近い絵柄となった。
岡崎優版
『TVアニメマガジン』(秋田書店)に連載、毎回8ページのダイジェスト形式。2011年3月にマンガショップより、『サンライズロボット漫画コレクションVol.2』として「ダグラム」共々初の単行本化となった。
余談
- キリコ役の郷田氏はボトムズの収録台本やオーディション時の資料などが残っていた(物置を整理時に発見)ことを自身のYouTubeチャンネルの動画にて公開した。
- ボトムズの現案に近い構想になってからは当初は銀河100年戦争ではなく銀河10年戦争だった(コミックボンボン83年3月号の紹介記事より引用)
- かつてはスーパーロボット大戦に参戦する度に版権が最低でも5つ以上並ぶトンデモない作品だった。理由はスコープドッグの換装パーツがあちこちに跨っており、それらを全て入れる為にはどうしても増やさざるを得ないからである。しかし、スーパーロボット大戦30にてようやく単独版権となった。スパロボファンはあまりにもスッキリとした表記のボトムズに逆に驚いたという。
関連動画
関連タグ
個別
クロスアンジュ天使と竜の輪舞…2014年に放送された『ボトムズ』と同じサンライズが制作したSFロボットアニメ。『ボトムズ』が登場人物の殆どが男性だったのに対し、こちらは登場人物の95%以上が(主人公を含めて)女性で占められている対極的な作品。しかし、物語の根幹に『男女の恋愛』や『癖の強い登場人物たちの泥臭い生き様』など、ボトムズに通じるものもある。
コラボ
二次創作
装甲騎兵ボトムズのコラボタグ一覧を参照のこと。