曖昧さ回避
- 加熱・塩蔵などの加工をしていない食品。特に魚介類について言う。
- 陳腐化が早くすぐに価値の下がる工業製品に対する俗称。生鮮食品(なまもの)が早く売らないと価値が下がってしまう、または売り物にならなくなることとかけた俗語。
- 柴田亜美の漫画「南国少年パプワくん」および「PAPUWA」に登場するパプワ島の生き物の総称。そこから転じて、得体の知れない珍妙な生き物を指して言う言葉。作中では「生物」のルビに「ナマモノ」と書かれている。
- メルティブラッドシリーズにおけるネタとカオスの権化の事。最近では別次元にも増えた。
- 実在の人物を題材にした同人ジャンルや、同人誌などを指す隠語。
ここでは5について記述する。
解説
「実在の人物」を題材にした二次創作のこと。
そのようなネタ、および同人ジャンル、同人誌などを総称した隠語である。
生モノ、nmmnとも表記され、海外ではRPS、RPFなどの略称がある。ただし、RPSとナマモノでタグの名称は違うのだが棲み分けタグという訳ではない。記述は違っても全く同じものを指すものなのだが、RPSでは実名タグを明記している作品が後を絶たないのが現状である。この辺りの詳細と事情はRPSにて。
主にリアルタイムの人物をネタにしたものがそう扱われる。故人についても亡くなって日の浅い人物についてはナマモノ扱いされることもあるが、歴史上の人物を題材にしたものはナマモノジャンルではなく歴史創作ジャンルに当たる(ナマモノに引っ掛けて「ヒモノ」「カワキモノ」の呼称もある)。
対象となる人物は本尊と呼ばれることもある。
バリエーション
最近では歌い手、踊り手、生放送主、実況者、動画投稿者、アマチュア声優、2.5次元、海外アイドル(K-POPなど)系なども題材にすることがある。
その人物単体を萌え・同人的な観点や視点で扱った作品のことも指すが、ナマモノ活動の中心となるのは、カップリングを前提とした恋愛系の二次創作。
特に、有名人同士を妄想で恋人設定などにして楽しむ同性愛ネタ(腐向け/BLや百合/GL)表現が大半を占める。
その歴史は古く、1980年代の同人バブル期には、既にジャニーズやスポーツ選手などを扱ったナマモノ同人誌が即売会に並んでいた。
2000年代からは、萌え美少女化(美青年化)ジャンルが勃興。2010年代になると存命作家の名前を持つキャラクターが登場する文豪ストレイドッグス外伝など、ナマモノの要素を含んだ商業作品も登場した。
またニコニコ動画やYoutube動画サイトの隆盛により、それらの投稿者をネタにしたナマモノが作られるという潮流も起きている。
他にも同性愛者向けアダルトビデオを題材にしたMAD等がジャンルとして定着し、それらの二次創作作品も多く作られている。
また、2017年頃から台頭したバーチャルYouTuber(VTuber)はアニメキャラクターの様に予め設定された演技をしているのではなく、ライブや実況動画のような「キャラクターのアバターを被った中の人自身による活動」の様なタイプで売りだしているパターンもあり、これらの二次創作をナマモノの一種として捉える考えもある。
FANZAGAMES(DMMGAMES.R18)ではAV女優を題材とした実写ソーシャルゲームがいくつかサービスされており、作品によっては学園ものだったりバトルをしていたり……と言うケースも存在する。ある意味で公式がナマモノ作品を作っているという典型例と言えるだろう。
(この事例に関しては肖像権関係をクリアしているので、公式二次創作と言う位置づけかもしれない。この事例は例外中の例外でイレギュラーと言える)
テレビドラマなど実写作品を題材にした二次創作は「半ナマ」という呼称もある(上述のヒモノ・カワキモノとは無関係)が、これは(実在の俳優が演じる)「架空の人物」を素材にしているので、「ドラマ同人」などと呼ばれ、基本的にはナマモノには含まれない。
創作する上での注意
実在の人物を題材にするという特性上、当人の名誉を損ねたり、閲覧者が当人の人物像を誤解する可能性をはらんでいる。商業作品はさすがに元ネタの本人から了承を受けているが、存命人物をネタに好き勝手やった作品が横行している同人は「お目こぼし」されているだけで、よほどの事が無い限り本人から抗議を受けたら作者は文句は言えず、場合によっては業務妨害・誹謗中傷・名誉毀損等で訴訟に発展する危険性が有る事を忘れてはならない。
エゴサーチをしている芸能人も多いため、ふとした所からナマモノの話題が目に入るケースは多々ある。自分を題材にした腐向けイラストなどを、自身の公式Twitterアカウントにあげたような例もある(※某ハリウッドのスターである)
中には某日本の歌手のように「自分をネタにした薄い本がほしい」とかジョークにする人もいるが、真に受けてナマモノ同人誌を送るような行為は控えたほうが無難。
百合界隈の中には、実在する女性(特に声優やvtuber)に対して特定の女性と百合営業をしてカップリングを作るよう本人にメッセージを送りつけたり、男性共演者に苦情を送り付ける人がしばしば現れる。
論外では有るが特定ジャンルに対するアンチや過激な活動を志向している人間が、それらの関係者に対するヘイト創作として行う例もある。
対策
上記の問題を回避するため、「ナマモノジャンルは隠れるべき」というのが一般的認識。ましてやナマモノ同人誌等を題材にした本人に送りつける事など、言語道断である。本人や関係者、一般のファンなどの目に触れないようにする配慮がナマモノ同人活動における最低限のマナーである。
具体的には以下の防衛手段がある。
- サイトが検索エンジンに引っかかることがないよう検索避けをする。
- サイト(ブログ)にパスワードを設定する
- pixivで活動するならマイピク限定で公開しランキング入りを避ける、Twitterなら鍵をかける
- 小説投稿機能で投稿する小説は、汎用の物か自作等が望ましい。肖像権を無視したコラ画像等は題材に関係なくpixivガイドライン違反の為、絶対にやめよう。
上記はあくまで一例であり、配慮の仕方は人それぞれである。また配慮の仕方に対しこだわりがある人も多く、スタンスの差から論争に発展することもある。本人だけでなく、一般ファンの反感からの自衛のためにも、十分な配慮が必要であろう。
だが、一番望ましいのはモデルの実在人物から名前や属性を変え、「別人」として言い逃れできるようキャラクターを造形することであろう(この場合ナマモノジャンルではなくオリジナル創作ジャンルになる)。例えば、実在人物をモデルにしつつ、歴史上の人物に仮託するという手段がある。
創作者にとっては「ナマモノには手を出さない」のが一番の自己防衛なのだ。
実例
上記で説明した事情もあり、(許諾外の二次創作の投稿を禁止している)小説家になろうでも第二次世界大戦を一区切りにして存命の著名人を題材にした作品の投稿を禁止している。これに関しては(仮に)一次創作であっても例外ではないので注意。
(参考リンク:二次創作の投稿に関して(小説家になろう))
カクヨムに関してはナマモノの投稿禁止を明言しているような規約はないが、ジャンル的な事情(二次創作)もあって投稿は推奨されない。基本的にカクヨムで許可されている二次創作は版権許諾済みの物に限られる。
(※その詳細に関してはカクヨムのリンク先にて)
ハーメルン(小説投稿サイト)では、いかなる作品であってもナマモノに該当する作品は禁止されている。
pixiv内でも投稿には配慮が必要とされるジャンルだが、特に一次創作以外の投稿を禁止しているピクシブ文芸へ該当作品を投稿するのは避けることが求められていた。
(人気の二次創作の場合、小説デイリーランキング上位入りが容易、仮にランキング入りした際への対応が遅い、それが影響して二次創作小説が数日~1週間はランキング入りする為である。こちらに関しては、実際にランクインした事例も報告されている。それに加えて、ピクシブ文芸ではデイリーランクインしてもメール連絡がある訳ではないので、投稿者がミスに気づかない場合が多いのに加え、ジャンルタグ以外は作品を閲覧しないと見る事が出来ないと言う致命的な弱点がある。ピクシブ文芸は2021年にサービス終了予定)
該当ジャンルをどうしてもやりたいと言う場合は、ピクシブ文芸のチェックを入れないのがトラブル回避等の点からも有効だろう。
ピクシブ文芸への二次創作誤爆等が相次いだ結果、『小説の表現内容について』(ガイドライン下の部分)が11月15日に追加された。そこには実在する人物(芸能人、配信者等)を題材とした作品をオリジナルタグを付けての投稿は不可であり、ジャンルの設定解除も行う事が明記されている。
DLSiteでは(当人の合意を得ているか、萌化・声優ネタなど肖像権などを侵害しないものはともかく)存命中、または最近亡くなられた人物を題材にした創作物は禁止されている。
DMM(現FANZA)では、ナマモノに当たる創作物は禁止されている。
アリスブックスでは、現在存命中の実在の人物を扱った創作物は取り扱いがなされない。なお、アリスブックスはポケモンジャンルも禁止している(補足すると、ポケモン同人誌事件は背後に暴力団がいると思い込まれて捜査された経緯があるので特定のジャンルが危ないということとは無関係である。参考まとめ、アーカイブ)。
メロンブックスではナマモノ同人誌の取り扱いはなされないが、とらのあなでは禁止対象ではない。
ウマ娘プリティーダービーにおいては、Cygamesよりウマ娘の二次創作に関して、題材となる競走馬のイメージを損なう様な表現を行わないように注意喚起を呼びかける告知がされている。
ウマ娘自体は人物には当たらないが、元ネタとなった競走馬の所有者や企業などが絡んでくるため、事実上のナマモノジャンルの様相となっている。
DMMGAMES.R18におけるAV女優を題材にした作品だが、メーカーによっては出演NG(最初から登場しない)だったり、時期によってガチャ排出がなくなるケース(出演女優の契約終了等)もいくつか存在している。許可を出しているメーカーも限られている為、同じAV女優が横並びで他作品のイベントに登場する事もあるだろう。稀にAVソフトメーカーなどが公式コラボを行う事もあるが、こうした事例は本当に稀である。
(引退後の対応に関しては一律の排出停止が多いが、作品によっては残留して残り続ける事も稀にある。引退後にサービス開始した作品では収録されない可能性は高いだろうか)
Pixivに見るナマモノ活動
センシティブな創作である以上、「多くの人の目に触れてはいけない」が大前提である。
漫画形式にしてサムネイル表示されないよう工夫をする等の手段もある。
Pixivでは「ナマモノ」タグをつけているだけのイラストも散見され、本人達の名前に加えCP名や「腐向け」タグをつけるだけでは棲み分けとならない。
百合創作においては、腐向けほど棲み分けという考え方が周知されていないということもあり、「ナマモノ」タグすらついておらず、本人の名前も堂々とタグ付けされていることが多い。また、百合においてはR-18の作品も少なくない。
ナマモノタグではなく、RPSタグをつけている場合に散見されるのだが、堂々と実在アイドルのタグ及びカップリングタグをつけているケースも存在し、それらの作品が実際にpixiv上の小説デイリーランキングにランクインするという事例も出ている。
(特に特定作品のタグをミュートしている場合やルーキーランキングが顕著)
ニコニコ動画などにおける「実況」などの顔を出さないジャンルにおいても同様で、「声から姿を想像して描く」以上の領域に踏み込むことになる。pixivのアカウントを持っている実況主も少なからず居ることを忘れずに。
検索に引っかかるpixiv百科事典にCPの項目を作る行為などもなるべく避けるべきである。
二次創作の問題点については二次創作の項目も参照のこと。
表記ゆれ
関連タグ
生鮮食品 食べ物 食材 食品 魚 生魚 肉 生肉 野菜 生野菜 果物
映像研には手を出すな!:同様事例と言って過言ではない漫画作品。詳細は該当リンクにて。
ウマ娘:同様事例のゲーム作品。詳細は該当リンクにて。