仮面ライダー本郷猛は改造人間である。彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ!
概要
世界征服を狙う特殊結社ショッカーによって拉致され、強制的に身体改造手術を受けさせられた事により仮面ライダー1号に変身し、以降に連鎖的に出現し続ける全ての悪の組織に対して戦いを繰り広げ続ける、伝説にして始まりの男。
1948年8月15日生まれ。父親は造船業を営み、母親はピアノ教室を開いていたが、両親には先立たれて天涯孤独の身(ライダーカードより)。
城南大学の若き生化学者にして、立花モータースのバイクレーサーであり、知能指数600にしてスポーツ万能という超人的な能力の持ち主であったことからショッカーに目を付けられ、バッタの能力を持った改造人間にされてしまった。だが脳改造寸前に恩師・緑川博士の手引きで脱出し、親から貰った体を奪い去られ異形の怪物にされた悲しみを乗り越えて、ショッカーと戦うことを誓った。
改造の影響で変身前でも人間業ではない怪力を発揮できるが、これが仇となって子供をあやす事も出来なくなった事を悔やんでいる。その為、これ以上自分のような改造人間が増やさない事も戦う目的の一つとなっている(これは一文字も同様であり、当初は志郎をV3に改造する事を躊躇っていた)。
しかしながら、次々と現れる仮面ライダーを共に戦う同志と考えているためか、よほどの悪人や壁として立ちはだかる状況でもない限り、好意的に接している。これは改造人間や非改造人間であっても変わらない。
IQ600という超頭脳のなせるワザなのか、目上の老人を「君」呼ばわりしたりと言動のそこかしこにズレた部分が見られるのはご愛嬌。
おじさん特有の自己語り性なのか、教授格としての癖なのか「みんなで授業キターッ!」では1号の姿でフォーゼと話をするがめちゃくちゃ話が長い。しかも笑い方は藤岡弘、の「ハッハッハッハッ…」そのものである。
また、意外とユーモアのわかる所があり、シティウォーズではゼロワンのギャグの意図を理解しており、冷静に解説し始めていた。お願いだからギャグは説明しないで〜!
初期の頃は敵を騙して利用するなどヒーローらしからざる振る舞いも見せていたが、これは番組が元々「怪奇アクションドラマ」として企画されていたからであり、いわゆる正統派な「ヒーロー番組」路線となったのは旧2号が主人公になってからである。
天才的な生化学者であるため、科学的な分析や他のライダー達のサポートも得意としている。風見志郎を死の淵からすくい上げ、仮面ライダーV3として蘇らせたのも生化学者である彼の手腕の成せる技であった。
変装の類も得意であり、劇場版では大道寺博士の珠美を奪還するために博士に、第71話ではアブゴメスの目を欺くために電子工学の権威である木原通俊博士に変装している。後者は道具を使って変装しているが、前者は腕をクロスして本郷の姿に戻っている辺り、他の改造人間がやっているような他者への変身能力があるのかもしれない。
平成以降の客演
ここでは、藤岡氏が顔出しで登場した作品を挙げる。
仮面ライダーアギトPROJECT_G4
彼に良く似た顔の警視総監が登場。「今の俺にできないことをやってくれ」と津上翔一にエールを送った。あくまで演じた藤岡氏自身の解釈ではあり、公式設定ではないが、本郷猛本人と見ていいとの事。
後に『正義の系譜』などでアギトと度々共演することになった事を考えると感慨深いセリフである。
その後の客演作品の展開を見るに、本郷は警視総監を退職したと思われる(平成二期のようにその後の作品が繋がっていると考えた場合、彼の後任になった人物は彼だろう。)
仮面ライダー大戦
昭和ライダー達のリーダー格として登場し、バダンと戦っていたが、どういうわけか平成ライダー達と組む事はなく、何故か仲間であるはずの平成ライダー達と大バトルを繰り広げるなど往年の本郷達を知るファンからは疑問と混乱の声が挙がったが、それは村雨良と組んでバダンを誘き出し『メガ・リバース計画』を阻止する為の計画であった。しかし、平成ライダー達と対立した理由はそれだけではなく、死者に対する考え方や優しさの向け方の違いに端を発するもので、彼らの壁となって喝を入れる事にあったのだと言う。(参考:アニヲタwiki「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」)
時には優しさを捨てる覚悟も必要だと言ったのも、昭和ライダー達がかつて友人だった者が相手でも大切な物の為に優しさを捨てて戦わねばならなかったという経歴に起因する。確かに優しさも大事な物だが、その優しさを向ける方向を間違えてしまえば、もっと大事な物を失いかねない、それを平成ライダー達に伝えたかったのだろう。
(最も平成ライダーにも天道総司や門矢士の様に、逆に世界を敵に回しても構わない覚悟の持ち主や、モモタロスの様に「最初からクライマックス」なスタンスの持ち主もいるので、両者間に意見の相違があったのかもしれないが。)
とはいえ実際に、この伝えは間違っておらず、自らが「ひよっこ」と蔑んだ鎧武は当初「怪人と化した初瀬亮二を殺せない」(仲間の犠牲者が出ているにも拘わらず)という事態に陥っており、「大事な物を失いかねない」という助言は間違いでもなかった。
しかし、『鎧武』のメインライターであった虚淵氏がその教えの意図を分かっていたのかどうかは定かでないが、「鎧武」こそ皆を守る為に友人だった者を殺す道を選んだのであった。
ちなみに、この死者に対する考え方というテーマは次回作へと繋がっていくのであった。
なお、バダンが平成15ライダーロックシードを所持していたのに対し、こちらは何故か昭和15ライダーロックシードを所持していたが、バダンから奪ったとも解釈できるし、IQ600の本郷の事なのだから、1から作った可能性も考えられる。
仮面ライダー1号
平成になってから初の主演映画。藤岡氏は企画としても関わっている。
海外を転々としながら平和のために戦っていたが、既に亡くなっている立花藤兵衛の孫・立花麻由がノバショッカーに狙われたことから、彼女を守るために日本へ帰国する。
度重なる戦いの結果、改造人間の限界を迎えており、劇中で敵の攻撃によって死亡。
だが、火葬される中、ベルトのタイフーンが起動し、取り込んだ炎のエネルギーによって死から蘇った。
スーパーヒーロー戦記
「ライダーもスーパー戦隊も不滅だ!」
「これからも世界・人類の為に戦い続ける。永遠に、皆んなの側にいる…」
ライダー生誕50周年・戦隊45作の両方を記念した作品。
演者
演・藤岡弘、
最初期の頃は藤岡弘、(当時は「藤岡弘」名義)が仮面ライダーの中の人も兼任しており、バイクアクションと格闘をこなしていたが、第10話のロケ中に藤岡がバイク事故で右足を複雑骨折してしまったため、13話まではずっと変身したままの姿であり(一部シーンでは映像を流用し登場しており、その際の声は納谷六朗)、後に佐々木剛演じる一文字隼人こと仮面ライダー2号に復帰までの間主役を交代してもらった。
第40話で復帰を果たし、第53話から再び主役に返り咲いた。
以後の昭和ライダー作品での客演は他のドラマなどの出演で少なく、昭和シリーズでは仮面ライダーV3、仮面ライダーストロンガーのみであった。
平成に入ると、『レッツゴー仮面ライダー』で1号役の声を担当したことを皮切りに、『仮面ライダー大戦』、『仮面ライダー1号』にて変身前の姿である本郷猛役でも出演している。
そのため、『仮面ライダー大戦』では生身の客演は何十年ぶりと不本意な記述もある。
『仮面ライダー大戦』パンフレットでは製作陣、そして藤岡本人が、「この映画の本郷猛は、ショッカーやバダンが滅んだ後も、ずっと悪と戦い続けてきた姿」であると明かしており、衣装は世界各地でボランティアを長年続けてきた藤岡の私物である。
『仮面ライダー1号』では、何十年も戦ってきた戦士として主役を務める。
TVシリーズの頃とは性格が変わっておらず優しさも健全ではある。
これは原作者の石ノ森章太郎が、かつて「本郷猛のその後が見たいなら、今の藤岡君を見るといい。あれがその後の本郷だよ」と語ったことが根拠の一つとなっているらしい。一方、長年の力の酷使は、肉体に多大な影響を与えており……
他媒体の本郷
漫画版の本郷猛
「バカな 人間はみな平等だっ 自由を奪って統制するだと! そんな平和があってなる物か」
TV版同様に天涯孤独の身ではあるが、親の財産を受け継いで邸宅で暮らしている。TV版では立花藤兵衛を父親のように慕っていたが、漫画では彼は執事であり、「猛坊ちゃま」と呼ばれている。
大学でも五指に入る若き研究者で、モトクロスを趣味にしているが、練習中にショッカーが起こした交通事故に巻き込まれて拉致され、改造人間にされてしまう。
漫画版においてはTV版とは異なり、感情が高ぶると顔に手術跡が出てしまうため、それを隠すために自らバッタの仮面をかぶっていた(首から下の「第二の皮膚」はベルトの風車に風を受けると勝手に生えてくる)。
本郷はその力で「大自然が生んだ正義の使者」としてショッカーの改造人間を次々に倒していくが、彼の前に一文字隼人と名乗る謎の新聞記者が現れ…。
『仮面ライダーSPIRITS』の本郷猛
「スマンな滝…遅くなった」
「敵は多いな…。いや…たいしたことないか…」
『スーパー1』終了後の設定で登場。世界各地を飛び回っていたという設定。主人公ではないためあまり出番は多くないものの、存在感は抜群。
10人ライダーのリーダーとして活躍し、卓越した頭脳と磨き抜かれた技で、悪の野望を打ち砕く。
一文字と同様、顔に漫画版での物とよく似た手術跡が浮かび上がる場面がある。
小説版の本郷猛
初代仮面ライダーのリメイク小説、「仮面ライダー1971-1973」では、未来永劫ただひとりの【仮面ライダー】として登場する。詳しくは本郷猛(小説版)の項を参照。
映画FIRST・NEXTの本郷猛
「俺はただ 美しい物を守りたい それだけだ」
演・黄川田将也
映画「仮面ライダーTheFirst」では城南大学大学院の研究員という設定で登場。
「命は美しい物である」という信条を持ち、そうした美しい物に反応すると考えていた水の結晶について研究していた。
彼の研究について取材をしていた雑誌記者の緑川あすかに惹かれていたが、彼女に婚約者がいたことから手を引いており、本人も自身の感情が恋愛感情であると自覚していなかった。
ショッカーの怪人、バットによって改造人間の素体として拉致され、バッタ型の怪人ホッパー(このシリーズでは仮面ライダー1号としての名前は登場せず、一貫してホッパーと呼称されている)に改造される。
ショッカーのマインドコントロールにより「ショッカーの改造人間である自分達は選ばれた特別な存在である」という選民思想を植え付けられ、ショッカーの命じるままに破壊活動に手を染めていた(仮面ライダーZXに近い)。
しかし、ショッカーの活動を探っていたあすかとその婚約者を抹殺しようとしていたスパイダーのサポートを命じられていた時に雪、すなわち水の結晶を目撃したことで本来の自我を取り戻し、ショッカーに反旗を翻した。
ショッカーを離反してからは人知を超えた力に戸惑いを隠せず、ビーカーを握り潰す、大型トラックを張り手一発で止める(※変身してません)などの行動に出てしまい怪物になってしまったのかと苦悶するが、あすかを救うためにかつての仲間だったスパイダーと戦いこれを撃破したことで、迷いながらも自らの信じるもののために戦うことを決意した。
本郷抹殺の命を受けて現れたもう一人のホッパーこと一文字隼人とは、一文字もあすかに惹かれた事もあり何度も拳を交えることになったが、最終的に一文字がショッカーの意に反してあすかを庇い本郷同様裏切り者と見做されたこと、そのあすかがショッカーの新しい改造人間の素体として拉致されたことから、一文字と共闘しショッカーの基地を壊滅させた。
ちなみに本作で本郷が行っていた研究については、現実世界の科学に照らしてみるかぎりは明らかに疑似科学であることからDVDのオーディオコメンタリーでも「トンデモ」と称されていた。
続編の映画「仮面ライダーTheNext」では人間としての平穏な生活を求め、城南大学付属高校の生物教師になっていたが、受け持つクラスは学級崩壊して生徒からは馬鹿にされ、ショッカーの刺客からも人知れず命を狙われていた。
教え子の親友がショッカーの実験に巻き込まれて行方不明になったことをきっかけに、再びショッカーとの戦いに正面切って身を投じることになる。
しかし、生徒を不良から守るためにやむを得ず改造人間の力を衆目の前で使ってしまい、生物教師の職を失ってしまう。
シン・仮面ライダーの本郷猛
演・池松壮亮
細かな設定は現時点では不明。髪型は当時の藤岡氏を意識したものになっている。本郷猛(シン)を参照。
仮面ライダービヨンド・ジェネレーションズの本郷猛
演・藤岡真威人
1971年当時の本郷猛。
演者の藤岡真威人氏は藤岡弘、氏の実子である。
史上初の親子二代で本郷猛かつ仮面ライダー1号役である。
50年前の本郷猛を参照。
バトライド・ウォー創生
他のライダーとは異なり、何と変身前の本郷が操作できる。一度変身するとステージクリアまで本郷猛の姿に戻る事は出来ない。
尚、『本郷猛の状態でレッドシャドームーンを倒す』と言うトロフィーがあり、レベルとフィギュアの組み合わせによって、達成可能である。
ぱちんこ仮面ライダー轟音
他の作品同様に、半世紀も悪と戦って来たという設定で登場。
しかし、この世界線では改造人間としての能力に限界を感じていたということになっており、後継者と見定めた大和座ゴウ、力堂シュンにタイフーンを託して彼らの背中を押した。
何故改造人間である仮面ライダー1号と2号に変身できるベルトを作れたんだとか積もる疑問は山ほどあるが、IQ600という設定から考えるに平成ライダーのようなベルトを作れてもおかしくないのかもしれない。
一応、レジェンドモードで新1号が登場する仕様になってはいる。
スカルマンの本郷猛
原作の正統続編となる島本版スカルマンにて飛岡剛という名前で登場。
姿形は特撮版の本郷もとい藤岡弘、に似るが、職業は大学生ではなく、大滝とコンビを組んで、スカルマン事件を追う刑事である。
蠍男の毒針にやられ、ラスプーチンの手によってスカルマン監視用のバッタの改造人間に改造されるが、洗脳が不完全なまま覚醒した為にラスプーチン配下の改造人間達を次々と破っていく。なお、監視用改造人間に関わらず、ここまでの戦闘能力を発揮できたのは飛岡が素で強かった為。
敵の本拠地の自爆により、命を落とした筈だったものの、改造人間であった為に生き残り、スカルマンこと千里竜生とその妹麻耶の手で究極の改造人間へと生まれ変わった。
(正義の為に)悪と戦い続ける事が欲望という趣旨のセリフは仮面ライダーは何の為に戦うのかという疑問へ一つの解答を導き出した。
関連イラスト
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仮面ライダーSPIRITS 仮面ライダーTHEFIRST 仮面ライダー大戦
城戸真司・紅音也 -変身ポーズが同じ。真司は1号ライダーである点も含む。
歌星賢吾 -『仮面ライダーフォーゼ』の登場人物で、名前が本郷猛のアナグラム。