概要
『BLEACH』における死神の専用武器「斬魄刀」の能力は、通常であれば精神世界で斬魄刀の本体と信頼関係を築き、名前を知る「対話と同調」を済ませて習得できる「始解」だけで引き出すことができる。
事実、死神で編成される護廷十三隊の中でも、各部隊の副隊長以下の面々は始解しか習得していない。戦闘力としてはそれで十分と見なされるのだ。
しかし斬魄刀の解放にはさらなる形態がある。それが卍解である。
会得条件
精神世界にいる本体をこちらの世界に呼び出す「具象化」、そして戦って勝ち自分の力を認めてもらう「屈服」が必要となる。
このうち難しいのは具象化のほうであり、これが会得難易度を大幅に引き上げている。
始解との違い
能力は「単純に始解の上位互換」「始解とは真逆」「関連性はあるが全く違う」のどれかに大別されるが、一般的には戦闘能力が5~10倍になるとも言われるため、始解しか習得していない死神や"数字持ち"の破面であれば瞬殺できるレベルの力が手に入る。
また、始解が「刀の形状が個性的になる」もしくは「刀から全く別の武器に変化する」程度の変化だったのに対し、卍解の方は「ミサイルや戦車レベルの兵器に変化」したり、「周囲の気候変動を起こす」など、もはや刀の概念を超えているものであることが多い。
発動時には「卍解」というワードと「真の名前」を呼ぶ。
会得することで始解時に解号などを唱えなくてもよくなるため、卍解時に唱える場合もある。また、始解と違う解号を唱えることで更に違う能力が発動する場合もある。
卍解を維持するのは膨大な霊力が必要とされ、熟練者でももって数十分が限界と言われる。また、所有者の意思に反した卍解の解除は所有者が死の危機に瀕していることを意味する。
名称に関しては、
- 始解名の前に新しい単語が追加される
例:黒崎一護(「斬月」→「天鎖斬月」)
- 始解名の後に新しい単語が追加される
例:朽木白哉(「千本桜」→「千本桜景厳」)
- 始解名が訓読み、または音読みになった上で新しい単語が追加される
例:砕蜂(「雀蜂(すずめばち)」→「雀蜂雷公鞭(じゃくほうらいこうべん)」)
- 始解とは全く異なる名称になる
例:朽木ルキア(「袖白雪」→「白霞罸」)
といったようにバリエーションが多い。
なお、最終章において卍解は破損すると治らないということが明らかになった。
例外的に修復可能なのは使用者の体と強く結び付いている狛村左陣、改造を施されている涅マユリの2名が明言されている。また、氷の翼でできている日番谷冬獅郎の卍解も恐らく修復可能。
卍解の一覧
現在、原作や外伝小説、アニメなどで確認できる卍解は以下の通りである。
持ち主 | 始解 | 卍解 |
---|---|---|
現世 | ||
黒崎一護 | 斬月 | 天鎖斬月 |
浦原喜助 | 紅姫 | 観音開紅姫改メ |
護廷十三隊 | ||
山本元柳斎重國 | 流刃若火 | 残火の太刀 |
雀部長次郎 | 厳霊丸 | 黄煌厳霊離宮 |
砕蜂 | 雀蜂 | 雀蜂雷公鞭 |
市丸ギン | 神鎗 | 神殺鎗 |
卯ノ花烈 | 肉雫唼 | 皆尽 |
朽木白哉 | 千本桜 | 千本桜景厳 |
阿散井恋次 | 蛇尾丸 | 狒狒王蛇尾丸 → 双王蛇尾丸 |
狛村左陣 | 天譴 | 黒縄天譴明王 |
京楽春水 | 花天狂骨 | 花天狂骨枯松心中 |
東仙要 | 清虫 | 清虫終式・閻魔蟋蟀 |
檜佐木修兵 | 風死 | 風死絞縄 |
日番谷冬獅郎 | 氷輪丸 | 大紅蓮氷輪丸 |
更木剣八 | 野晒 | (名称不明) |
斑目一角 | 鬼灯丸 | 龍紋鬼灯丸 |
涅マユリ | 疋殺地蔵 | 金色疋殺地蔵 |
朽木ルキア | 袖白雪 | 白霞罸 |
零番隊 | ||
兵主部一兵衛 | 一文字 | しら筆一文字 |
仮面の軍勢 | ||
平子真子 | 逆撫 | 逆様邪八宝塞 |
鳳橋楼十郎 | 金沙羅 | 金沙羅舞踏団 |
六車拳西 | 断風 | 鐵拳断風 |
刳屋敷剣八 | 餓樂廻廊 | (名称不明) |
アニメオリジナル | ||
天貝繍助 | 雷火 | 雷火業炎殻 |
朽木響河 | 村正 | 無鉤条誅村正 |
ゲームオリジナル | ||
宮能藤丸 | 竜条丸 | 虎糾竜条丸 |
宮能まつ梨 | 虎淘丸 | 竜糾虎淘丸 |
卍解を習得していること自体は明らかになっているものの、作中で披露する機会がなかった者、また披露されても詳細な能力が不明なままの隊長格もいる。
最終章では余りにも強力すぎて、味方を巻き込んだり、世界そのものを滅ぼしかねない、更には敵と味方どころか自分さえも即死しかねない卍解が登場したため、そもそも使い所が限られているものも多い。
必ずしも始解より扱い易いとは限らず、明らかに始解よりも使い勝手が悪いため、、本編では使う機会が訪れなかった隊長もいる。
また一部の副隊長のように、とある事情から卍解できることを隠している者もいる。
作中での扱い
白哉曰く、
- 死神として頂点を極めた者にのみ許される
- 習得者は尸魂界に永遠に名前が刻まれる
- 四大貴族でも至れるのは数世代に1人
であるとされ、卍解に至るまでの難易度の高さが伺える。護廷十三隊隊長になるには、卍解を会得していることが必須条件の一つとなっているが(例外のただ一人も後に修得。)、後に副隊長や三席の1人も覚醒させている。
※過去篇では五席の1人もそれらしき能力を見せている。
長らく死神達の切り札とされてきた卍解だが、千年血戦編では相手の滅却師達が隊長格でなければ手も足も出ない実力者揃いであり、隊長格やそれに近い実力者達が卍解をしなければ勝てないと全員が単純な実力ならば十刃クラス。
だが、それに追い打ちをかけるように卍解を奪うという反則じみた手段を用いられ、隊長達が瞬く間に無力化されてしまうという絶望的な状況に立たされてしまった。『卍解を使っても勝てるか怪しいにもかかわらず、卍解を奪われる』というこのジレンマは護廷十三隊を壊滅させる一因にもなった。
ただし、元々滅却師の能力は死神とは性質が異なるため、卍解を奪ったところで奪った卍解を使いこなせるかはその滅却師の実力で左右される。中でも、別次元と言っても良い元柳斎の卍解はユーハバッハ以外は制御できないレベルで、そのユーハバッハすら奪った卍解を使おうとしなかった。