発掘と命名
アルゼンチンの白亜紀後期の地層から発掘され、1980年にサルタサウルス・ロリカトゥスと命名された。名前はアルゼンチンの地名「サルタ」に由来する。
また、1929年に命名された「ロリコサウルス」をサルタサウルスと同一種と考える研究者もいる。
生態
白亜紀以降に急速に繁栄した竜脚類である「ティタノサウルス類」の代表格であるサルタサウルスは、全長12~15メートル・体重10トン程度と、竜脚類としては小型だった。どっしりとした幅の広い胴体をしており、四肢はやや短めであった。
特筆すべき身体的特徴として、背中に皮骨板(内骨格に由来しない骨質の装甲)を持っていた。豆粒ほどの骨質の粒が皮膚を固め、所々にこぶし大ほどの骨板の装甲で、カルノタウルスやアウカサウルスなどのアベリサウルス類から身を守ったと考えられている。
サルタサウルスの成長
1997年、アルゼンチンでサルタサウルスのものと思われる大規模な営巣地が発見された。スペイン語で「たくさんの卵」を意味するアウカ・マウエボと命名されたこの発掘地では、胚が残った卵の化石が何百も発掘された。しかもその胚の中には皮膚の痕跡まで残っているものもあった。
これらの化石から、サルタサウルスは群れで行動し、繁殖期になると営巣地に集まって産卵したと考えられている。後ろ足で穴を掘り、直径11~13センチ程の卵を15~40個ほど産み、砂や草木で埋めたようだ。孵化した幼体は全長30~40センチ程度で、ウロコは成体と同じだが現代のワニと同じように装甲は未発達だった。だが骨に血管が多数確認されていることから、成長は比較的速く、12~15歳ほどで全長10メートル以上になったと考えられている。装甲も、歳をとるにつれて発達していったのだろう。