発掘と命名
1923年、アメリカ自然史博物館の調査隊がモンゴルのゴビ砂漠で最初の化石を発見したが、これがどのような動物の化石なのか当時は分からず、「正体不明の鳥に似た恐竜」と報告された。その後1990年代に同じ博物館の別の調査隊が、前のものよりも質の良い標本を発見した。そして1993年に「一本の爪」を意味するMononychusと命名されたが、すでに甲虫の学名に付けられていることが分かり、Mononykusと改名された。
アルヴァレスサウルス類について
モノニクスが含まれる「アルヴァレスサウルス類」は、長い間鳥か恐竜かという論争で話題になった。胸骨のある特殊化した前肢、癒合した足首の骨、細い頭骨は鳥類の特徴だが、長い尾や巨大な鉤爪は恐竜の特徴だった。しかし近年、中国のジュラ紀後期の地層から発掘された「ハプロケイルス」の研究により、彼らはコエルロサウルス類の獣脚類であることが分かった。白亜紀後期になるとアルヴァレスサウルス類はベーリング海峡を渡って南北アメリカまで進出したようで、カナダやアルゼンチンでも化石が見つかっている。。また、ルーマニア産の「ブラディクネメ」はかつてトロオドンの仲間とされたが、現在はアルヴァレスサウルス類とされている。
生態
モノニクスの最大の特徴は、名前の由来ともなった長さ約7.5センチの大きな一本の爪をもつずんぐりした腕である。この一本の爪は第一指のもので、他の2本の爪は消失していた(ただし近縁種の「シュヴウイア」では痕跡的な2本の爪が第一指の横に存在する)。これらの高度に特殊化した腕の用途はいまだ謎だが、現代のアリクイのように朽木や蟻塚を壊すのに使ったとする説や、交尾の時に相手の体を引っ掻いて愛撫するのに使ったとする説などがある。
近縁種のシュヴウイアの化石に羽毛の跡が残っていたことから、彼らは羽毛もしくは毛で覆われていたことが明らかになっている。