『うしおととら』に登場する武器。
使用者の魂を糧にあらゆる妖怪を討ち滅ぼす退魔の霊槍。
白面の者を唯一貫ける妖器物とされ、物語でも重要な位置を占める武器である。
獣の槍は意思を持ち使用者を選ぶ。槍に選ばれた者が手にして戦うと槍は使用者に囁きかけ、魂と引き換えに強大な戦闘力を与える。
頭から空中の妖気を吸収して髪の毛が伸びた外見となり使用者を妖化させ、人間を遥かに超えた身体能力や生命力、再生力を得た状態となる。しかし槍を使用し続けると魂が削られていき、次第に外見が異形へと近づいていく。
獣の槍は一撃でも妖怪には致命傷となりかねない程の威力を誇るが、人間を貫いても一切傷を負わせない特性を持っている。このため人に取り付いた妖怪を人間ごと貫き妖怪だけを退治するといった使い方もできる。他にも妖怪が作り出す結界や亜空間を切り裂く能力もある。
槍は妖怪の悪意に反応し瞬時に所有者に知らせる。逆にいえば妖怪でも悪意がなければ槍は反応しない。また所有者が呼べば槍は所有者に向かって飛び、所有者が危険に陥ると槍自らが動いて所有者を守る。
刃の根元に巻かれているボロボロの赤布はかつて妖怪によって封印されたときの封印の一部であり、完全でなくとも槍を封じる力が残っている。この赤布を取り除けば獣の槍の威力は増すが、削られる魂の量も増えてしまう。
物語中二度この封印を破るシーンがある。一回目は物語の中盤、悪神・オヤウカムイに敗北した後、赤布の一部を取り除いて力を増してから再戦して相手を真っ二つして滅ぼした。二回目は白面の者との最終決戦にて一度槍を粉砕され、とらの身体を通じて再生したのち覚悟を決めて赤布を全て取り除き槍の力を完全に解放した。